短編
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ふわり、ふわり、と意識が地表を撫でるように心許ない意識が、ふわり、と舞い上がった瞬間、バチンッ!と激しい乾いた音と額に走る痛み。
「いっーー!」
痛い、そう叫んで立ち上がろうとしたが、バランスを崩し椅子から転げ落ちそうになる。
寸でのところで、痛みの発生源、破壊力大なデコピンをしたカルエゴくんが腕を掴んでくれたから、倒れることはなかった。
「就業時間に居眠りとは、随分と大胆だな」
「すみません、カルエゴ先生」
少し痛いくらい私の腕を掴み立ち上がらせ、「眠れなかったのか」と聞いてくれるカルエゴくんに、「原稿が進まなくて」と説明しあくびをひとつしたら、開いた口を隠すために添えられた手の甲を叩かれ顔面に直撃した。
「噛み殺さんか、締りのない」
「すみません……」
「眠いならコーヒーでも飲め」
「そうします」
フラフラと給湯室に向かいコーヒーを淹れようとしたら、「待て待て待て。やめろ、絶対になにかこぼすだろ」と即座に自席に押し戻された。
「俺が淹れてくるから、寝ずに待っていろ」
念押しされ自席で睡魔と戦っていたが、コーヒーの香ばしい匂いに気持ちが緩んでいき、気がつけば寝落ちしていた。
ここのところ根を詰めて作業をしていたから深く眠れず、眠気は溜まる一方であった。
温かいぬくもりと、落ち着く匂いに意識はどんどん深く落ちていく。
頭にあたる硬めの枕も気持ちよく、夢も見ず寝付いていたのに、ユサユサと揺すられて眠りから覚める気配を察した。
まだ寝たいとぐずると、頭を掴まれギチギチと締め上げられる。
「いだだだだだだだ!!」
「起きろ。そろそろ、貴様の授業だぞ」
ぱっ、と開放されるとカルエゴくんがあの鋭い視線で覗き込んでいた。
重い頭で現状を把握しようとし、「あ゛ー」と低い声が出た。
「カルエゴくんの膝枕、久しぶり……」
「カルエゴ“先生”だ」
「あー、はい……。そうでした……」
寝起きで怠い体を起こすと、どうやら職員室備え付けのソファーで横になっていたようだ。
「ん……ありがとう……」
「さっさと行け」
シッシッ、と追い払われ、緩慢な動きで教材を持ち準備を始める。
忘れ物がないか確認してから、ソファーで険しい顔をしながら手帳を見るカルエゴくんに「帰ってきたら、また枕になってよ」とお願いしたら、「知るか。仮眠を取るなら、保健室に行け」と怒られた。
なら、さっき寝落ちたときも保健室に引きずって行けばよかったのに、なぜそれをしなかったのか。それは、私がカルエゴくんの側が一番落ち着いて眠れることを知っているから。
優しいんだよなあ、彼は。
保健室で眠ったとしても、きっと最初に見るのは彼の顔だろう。
「いっーー!」
痛い、そう叫んで立ち上がろうとしたが、バランスを崩し椅子から転げ落ちそうになる。
寸でのところで、痛みの発生源、破壊力大なデコピンをしたカルエゴくんが腕を掴んでくれたから、倒れることはなかった。
「就業時間に居眠りとは、随分と大胆だな」
「すみません、カルエゴ先生」
少し痛いくらい私の腕を掴み立ち上がらせ、「眠れなかったのか」と聞いてくれるカルエゴくんに、「原稿が進まなくて」と説明しあくびをひとつしたら、開いた口を隠すために添えられた手の甲を叩かれ顔面に直撃した。
「噛み殺さんか、締りのない」
「すみません……」
「眠いならコーヒーでも飲め」
「そうします」
フラフラと給湯室に向かいコーヒーを淹れようとしたら、「待て待て待て。やめろ、絶対になにかこぼすだろ」と即座に自席に押し戻された。
「俺が淹れてくるから、寝ずに待っていろ」
念押しされ自席で睡魔と戦っていたが、コーヒーの香ばしい匂いに気持ちが緩んでいき、気がつけば寝落ちしていた。
ここのところ根を詰めて作業をしていたから深く眠れず、眠気は溜まる一方であった。
温かいぬくもりと、落ち着く匂いに意識はどんどん深く落ちていく。
頭にあたる硬めの枕も気持ちよく、夢も見ず寝付いていたのに、ユサユサと揺すられて眠りから覚める気配を察した。
まだ寝たいとぐずると、頭を掴まれギチギチと締め上げられる。
「いだだだだだだだ!!」
「起きろ。そろそろ、貴様の授業だぞ」
ぱっ、と開放されるとカルエゴくんがあの鋭い視線で覗き込んでいた。
重い頭で現状を把握しようとし、「あ゛ー」と低い声が出た。
「カルエゴくんの膝枕、久しぶり……」
「カルエゴ“先生”だ」
「あー、はい……。そうでした……」
寝起きで怠い体を起こすと、どうやら職員室備え付けのソファーで横になっていたようだ。
「ん……ありがとう……」
「さっさと行け」
シッシッ、と追い払われ、緩慢な動きで教材を持ち準備を始める。
忘れ物がないか確認してから、ソファーで険しい顔をしながら手帳を見るカルエゴくんに「帰ってきたら、また枕になってよ」とお願いしたら、「知るか。仮眠を取るなら、保健室に行け」と怒られた。
なら、さっき寝落ちたときも保健室に引きずって行けばよかったのに、なぜそれをしなかったのか。それは、私がカルエゴくんの側が一番落ち着いて眠れることを知っているから。
優しいんだよなあ、彼は。
保健室で眠ったとしても、きっと最初に見るのは彼の顔だろう。