短編
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「ティティ、コーヒー淹れてくれ」
「十ゼーロ」
「バカ言ってないで淹れろ」
ちぇっ、冗談の通じない男め。
こちとら、豆からしっかり挽いて淹れてるんだぞ。ちょっとくらい、お金が発生してもいいじゃないか。とぶつくさ文句をたれなが丁寧にコーヒーを淹れていると、ザップとレオくん、ツェッドくんが帰ってきた。
「あ、ティティさんコーヒー淹れてるんですか?」
「スティーブンさんに言われてね」
「ついでに淹れてくれや、妖精様よお」
「どぶ水すすってろ、下半身脳。ツェッドくんはいる?」
「じゃあ、もらいます」
人数分淹れくばる。ザップにもだしてやった私、優しいなあ。
さて、今日もちゃんと淹れられたか、とコーヒーをすする。
「っ!……お゛ぉ゛ん゛」
「なんつー声だしてんだよ」
「熱かった……」
「猫舌なんだから、ちゃんと冷ましてから飲んだ方がいいぞ」
スティーブンさんの言葉に「美味しく淹れられてるか気になって」と言いながら、再チャレンジする。
熱い……。
「大丈夫、美味しいよ」
「そうっすよ。俺でも、すげー美味いってわかりますもん」
「そりゃそうさ。ティティはバリスタの資格を持ってるんだからな。美味く淹れられて当然だ」
「へぇ、わざわざとったんですね」
「僕のためにな」
なー?ティティ?と嬉しそうに聞いてくるスティーブンさんの足を蹴る。
そうだけど、言う必要ないでしょ。
「はー、相変わらずのファザコンっぷりだな」
「ザップ。僕とティティは親子ほど歳は離れてない」
「はいはい、ブラコン、ブラコン」
ザップを串刺しにしてやりたい気持ちを抑え、コーヒーをもう一口飲む。
まだ熱い。
「……ブラコンじゃない!」
ザップを串刺しにしてやろうとしたが「ほぎゃぁ!なにしやがる、クソアマ!」と言いながら、避けられてしまった。
「確かにスティーブンさんのために資格はとったけど、そういうブラコンとかでとったわけじゃないし!これは、あれ!ギルベルトさんが、クラウスさんのためにがんばるのと同じ!決してブラコンとかそんな親密な感じの理由ではない!」
一気に捲し立てると、部屋が静まり返って気まずい。
で、でも間違ってないし……。と思いつつも、視線はスティーブンさんへ。
「そうか……」
あ~目に見えてしょんぼりしてる~。
「僕のことが好きだから、がんばってくれたんだと……」
「す……好きじゃないとは言ってないじゃないですか!スティーブンさんが喜んでくれたらいいなって思ってとったわけですし!どうでもいい相手のためにがんばる人間だと思ってるんですか!アロマテラピーだってマッサージだって勉強だって、スティーブンさんの役に立てたらなって!そりゃ、褒められたら嬉しかったですけど……はっ!」
途中から聞かれてもいないことを口走っていないか?と冷静になったときには既に遅し。
ザップ以外がなんかほっこりした顔でこちらを見ている。
「うん、知ってる」
スティーブンさんの言葉で顔が熱い。
うぎぎぎぎ……!
知っててあの反応だなんて酷すぎる……!
「こんな屈辱耐えられない……」
「悪かったって、ティティ。泣くなよ」
「あーあ、スティーブンさんがティティさん泣かした」
「悪い男ですねえ」
「大丈夫ですか?」
いまにも羞恥で舌噛みきりそうな私を、若者たちとスティーブンさんがなだめていたが、クラウスさんの「ティティ。キミのスティーブンへの献身は恥じることではない。誇りたまえ」と追い討ちをかけてきて、もうダメだった。
「ヒュッ……!ヒュッ……!」
「おいおいおい!大丈夫なのか、これ?!」
「ヤバい呼吸してるんすけど!?」
「ティティさん!息吐いて!吐いて!」
「息止めろ、ティティ!」
こんなん、恥ずかしくて過呼吸おこすわ。
あ~無理~。これはベーコンブロック噛みちぎるレベルのストレス値。
「あーもー最悪だー!」
幻術で繭玉になり、外界をシャットアウトする。
こんこん、と繭玉をノックして「ティティ、悪かったって。出ておいで」とスティーブンさんが諭してくるが、しばらく外にはでないし、帰るときはこの状態で帰る。
と強く思っていたのに、なんだか繭玉内が段々と寒くなってくる。
なにされてるんだ、と繭玉の外に精神体をだすと、繭玉が氷漬けにされていた。
『おいおい、こらこら、スティーブンさん。なにしてるんですか』
繭玉の側でコーヒー啜りながらしゃがみこんてま凍らせている本人に話しかけると、限界ギリギリまでキレさせたときの顔で睨まれた。
怖い……。
『いや、いきなりキレるじゃないですか』
「キミが俺の言うことを聞かないのが、とても腹がたった」
「うわ、理不尽……」
「冷静になりましょう……」
若者たちがどん引く理不尽さだが、わりとこの理不尽さは昔からだ。
私が言うことを聞かなかったから、ならまだ常識の範疇だ。
無断で視界から消えたからとか、一言もなく側を離れようとしたとか。
HL以前は本当に片時も側から離さない、という状況だった。
術師である私は諸々脆いから、死なせないために側に置いていたというのはわかるが、正直戦地に連れていかれる方が命の危険を感じていた。
HLでは許可なく視界から消えないことを条件に自由にされていたが、久しぶりに「言うことを聞け」となっているのだろう。
「僕の視界から消えるな。そういう約束だろ」
『ストップ!ストップ!スティーブンさん!出る!出るから、凍らせるのやめて!』
「……」
ダメだ、この目。
言うことを聞くまで攻撃をやめないぞ、という目だ。
繭から転がりでると、外気が暖かくて震える。
「外あったかい……」
ガタガタと震える私をスティーブンさんは抱えると、お気に入りのテディベアを抱き締める子供のように、肩に顔を埋めた。
「……約束は守れ」
「わかりましたってば」
げんなりする私の耳に、レオくんたちのひそひそ声が届く。
「なんすか、あれ」
「番頭は昔からアイツにたいして過保護なんだよ」
「過保護の域越えてますよ」
「ティティは、引き取られた当初はとてもか弱い存在だったんだ」
「それはもう、幻術以外は風が吹けば飛んでいってしまいそうなほどに」
ギルベルトさん、それは言いすぎです。
さすがに、もっと地に足つけていました。
「あれは、スティーブンなりの愛情なのだ」
感動しているクラウスさんには悪いが、愛情表現が蛮族すぎて、まったく感動できない。
とりあえず、凍える私に紅茶を淹れてください。
「十ゼーロ」
「バカ言ってないで淹れろ」
ちぇっ、冗談の通じない男め。
こちとら、豆からしっかり挽いて淹れてるんだぞ。ちょっとくらい、お金が発生してもいいじゃないか。とぶつくさ文句をたれなが丁寧にコーヒーを淹れていると、ザップとレオくん、ツェッドくんが帰ってきた。
「あ、ティティさんコーヒー淹れてるんですか?」
「スティーブンさんに言われてね」
「ついでに淹れてくれや、妖精様よお」
「どぶ水すすってろ、下半身脳。ツェッドくんはいる?」
「じゃあ、もらいます」
人数分淹れくばる。ザップにもだしてやった私、優しいなあ。
さて、今日もちゃんと淹れられたか、とコーヒーをすする。
「っ!……お゛ぉ゛ん゛」
「なんつー声だしてんだよ」
「熱かった……」
「猫舌なんだから、ちゃんと冷ましてから飲んだ方がいいぞ」
スティーブンさんの言葉に「美味しく淹れられてるか気になって」と言いながら、再チャレンジする。
熱い……。
「大丈夫、美味しいよ」
「そうっすよ。俺でも、すげー美味いってわかりますもん」
「そりゃそうさ。ティティはバリスタの資格を持ってるんだからな。美味く淹れられて当然だ」
「へぇ、わざわざとったんですね」
「僕のためにな」
なー?ティティ?と嬉しそうに聞いてくるスティーブンさんの足を蹴る。
そうだけど、言う必要ないでしょ。
「はー、相変わらずのファザコンっぷりだな」
「ザップ。僕とティティは親子ほど歳は離れてない」
「はいはい、ブラコン、ブラコン」
ザップを串刺しにしてやりたい気持ちを抑え、コーヒーをもう一口飲む。
まだ熱い。
「……ブラコンじゃない!」
ザップを串刺しにしてやろうとしたが「ほぎゃぁ!なにしやがる、クソアマ!」と言いながら、避けられてしまった。
「確かにスティーブンさんのために資格はとったけど、そういうブラコンとかでとったわけじゃないし!これは、あれ!ギルベルトさんが、クラウスさんのためにがんばるのと同じ!決してブラコンとかそんな親密な感じの理由ではない!」
一気に捲し立てると、部屋が静まり返って気まずい。
で、でも間違ってないし……。と思いつつも、視線はスティーブンさんへ。
「そうか……」
あ~目に見えてしょんぼりしてる~。
「僕のことが好きだから、がんばってくれたんだと……」
「す……好きじゃないとは言ってないじゃないですか!スティーブンさんが喜んでくれたらいいなって思ってとったわけですし!どうでもいい相手のためにがんばる人間だと思ってるんですか!アロマテラピーだってマッサージだって勉強だって、スティーブンさんの役に立てたらなって!そりゃ、褒められたら嬉しかったですけど……はっ!」
途中から聞かれてもいないことを口走っていないか?と冷静になったときには既に遅し。
ザップ以外がなんかほっこりした顔でこちらを見ている。
「うん、知ってる」
スティーブンさんの言葉で顔が熱い。
うぎぎぎぎ……!
知っててあの反応だなんて酷すぎる……!
「こんな屈辱耐えられない……」
「悪かったって、ティティ。泣くなよ」
「あーあ、スティーブンさんがティティさん泣かした」
「悪い男ですねえ」
「大丈夫ですか?」
いまにも羞恥で舌噛みきりそうな私を、若者たちとスティーブンさんがなだめていたが、クラウスさんの「ティティ。キミのスティーブンへの献身は恥じることではない。誇りたまえ」と追い討ちをかけてきて、もうダメだった。
「ヒュッ……!ヒュッ……!」
「おいおいおい!大丈夫なのか、これ?!」
「ヤバい呼吸してるんすけど!?」
「ティティさん!息吐いて!吐いて!」
「息止めろ、ティティ!」
こんなん、恥ずかしくて過呼吸おこすわ。
あ~無理~。これはベーコンブロック噛みちぎるレベルのストレス値。
「あーもー最悪だー!」
幻術で繭玉になり、外界をシャットアウトする。
こんこん、と繭玉をノックして「ティティ、悪かったって。出ておいで」とスティーブンさんが諭してくるが、しばらく外にはでないし、帰るときはこの状態で帰る。
と強く思っていたのに、なんだか繭玉内が段々と寒くなってくる。
なにされてるんだ、と繭玉の外に精神体をだすと、繭玉が氷漬けにされていた。
『おいおい、こらこら、スティーブンさん。なにしてるんですか』
繭玉の側でコーヒー啜りながらしゃがみこんてま凍らせている本人に話しかけると、限界ギリギリまでキレさせたときの顔で睨まれた。
怖い……。
『いや、いきなりキレるじゃないですか』
「キミが俺の言うことを聞かないのが、とても腹がたった」
「うわ、理不尽……」
「冷静になりましょう……」
若者たちがどん引く理不尽さだが、わりとこの理不尽さは昔からだ。
私が言うことを聞かなかったから、ならまだ常識の範疇だ。
無断で視界から消えたからとか、一言もなく側を離れようとしたとか。
HL以前は本当に片時も側から離さない、という状況だった。
術師である私は諸々脆いから、死なせないために側に置いていたというのはわかるが、正直戦地に連れていかれる方が命の危険を感じていた。
HLでは許可なく視界から消えないことを条件に自由にされていたが、久しぶりに「言うことを聞け」となっているのだろう。
「僕の視界から消えるな。そういう約束だろ」
『ストップ!ストップ!スティーブンさん!出る!出るから、凍らせるのやめて!』
「……」
ダメだ、この目。
言うことを聞くまで攻撃をやめないぞ、という目だ。
繭から転がりでると、外気が暖かくて震える。
「外あったかい……」
ガタガタと震える私をスティーブンさんは抱えると、お気に入りのテディベアを抱き締める子供のように、肩に顔を埋めた。
「……約束は守れ」
「わかりましたってば」
げんなりする私の耳に、レオくんたちのひそひそ声が届く。
「なんすか、あれ」
「番頭は昔からアイツにたいして過保護なんだよ」
「過保護の域越えてますよ」
「ティティは、引き取られた当初はとてもか弱い存在だったんだ」
「それはもう、幻術以外は風が吹けば飛んでいってしまいそうなほどに」
ギルベルトさん、それは言いすぎです。
さすがに、もっと地に足つけていました。
「あれは、スティーブンなりの愛情なのだ」
感動しているクラウスさんには悪いが、愛情表現が蛮族すぎて、まったく感動できない。
とりあえず、凍える私に紅茶を淹れてください。