短編
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「ティティ。今日、キミの家に行っていいか」
「え、やだ」
スティーブンさんが家にくるとベッドは占拠されるし、貯蓄していた酒は飲み干されるし、身の回りの世話をさせられるから、やだ。
スティーブンさんが普段は気をはっている分、揺り返しが激しいのは知っているが、私にシワを寄せないでほしい。
「……ここにキミの部屋の合鍵がある」
「鍵つけ直したばかりなんですけど」
「だから僕も合鍵を作り直した」
合鍵は他人が作り直すもんじゃない。
しかも、私がNoと言っても襲撃する気満々じゃないですか。
「自堕落な僕を受け入れて面倒を見てくれるのはキミしかいない」
「そんなことないと思うけどなあ」
まあ、面倒を見てもいいけど飲む分の酒とつまみの調達は自分でする、と約束させてお互い別れた。
家で食事を作っていると、玄関でガチャガチャとビンの擦れる音が。
来るのに結構時間がかかったな、と思いながら無視していたが一向にリビングに入ってこない。
なにやってるんだ、と玄関まで行くと虚空を見つけながら座り込むスティーブンさん。
「……なにやってるんですか」
「疲れて動けない」
あるある、と思いながら側に転がるシャンパンとワインを回収する。
つまみは自分で持ってきてくれ。まあ、多分全部置いて来て結局私が回収することになるんだろうが。
この銘柄は常温の方が美味しくて、こっちは冷やして、と処理をしているとパンツ一枚のスティーブンさんがフラフラと入ってきてソファーに沈んでいった。
「ちょっとー!服は!?」
「玄関で脱いだー。あと、着替えとかつまみとか持ってきてくれー」
ほらね。
ワイシャツと靴下を洗濯機にいれ、スーツをハンガーに通す。
パンイチでソファーでゴロつくスティーブンさんに「ごはんは?」と聞くと、だらけた声で「すぐ食べる」と返ってきた。
「部屋着、出してくれ」
「ん」
ボストンバッグから部屋着用のスウェットをだしてわたすと、寝たまま着替え出す。
だるだるスウェットでも様になるのが、スティーブンさんだ。
普段は部屋着でもワイシャツなのに、ここにくると必ずあのだるだるスウェットなのはなぜなんだろう。
なにか、決まりでもあるのかな。
「ていうか、一回帰ってません?」
「当たり前じゃないか。じゃなきゃ、替えの服なんて持ってるわけないだろ」
なら、そのまま家でだらけて一日を終えればいいのに。
文句を言いたいが、なんやかんやで日頃世話になっているし、追い返すとメチャクチャしょんぼりするので無碍には扱えない。
ビーフシチューをよそいパンとサラダも食卓に並べると、なんとも間抜けな幸せそうな顔をされる。
「はー、たまにキミの自分が食べたいものを適当に作りました、て感じの料理が食べたくなるんだよな」
「適当で悪かったですね」
「いやいや、こういうのが好きなんだよ。安心する」
地の口の悪さのせいで褒められている感が皆無だが、褒められたのだろう。
自分の分のビーフシチューを食べるが、やはり雑な味としか言いようがない。
私はスティーブンさんのように、自分だけが食べる物でも完璧に、なんてタイプではないのだから雑になって当たり前。
舌がスラムで鍛えられたのだから、食べられればいい。
死なない程度の味であればいいのだ。
「ごちそうさまでした」
「どーも」
皿を台所に持っていき洗っていると、スティーブンさんが側に寄ってくる。
普段だったら、手伝ってくれるのかなと思えるのだが、いかんせん、いまはダラけタイムのスティーブンさん。
手伝うどころか、こちらに軽く体重をかけて寄りかかってくる。
「邪魔なんですけど」
「いま、俺はティティから離れると寂しくて死んじゃうんだから仕方がないだろ」
「それ言われると、拒否しにくいんですけど」
「拒否したら拗ねるからな」
はい、はい。拒否しませんよ。と言いながら、皿洗いの手は止めない。
今日はなにがあって、ザップがこんなバカやって、レオくんにどんな迷惑がかかって、チェインさんが買ってきた雑貨がどうで、という話に合いの手を打っているうちに、皿洗いは終わっていた。
「スティーブンさん、シャワー先に浴びちゃってください」
「キミ、そろそろバスタブのある部屋に越したらどうだい」
「マイバスタブを手に入れたら最後、私はバスタブで生活する羽目になります」
「そりゃダメだな」
冗談半分で聞き流しながら、スティーブンさんは服を全部脱いでシャワー室に消えてった。
部屋着をたたみ、寝巻きと替えのパンツをバスタオルと一緒にカゴへ入れておく。
シャンパンをシャンパンバケットに突っ込んで、出てくるのを待つ。
「ティティ、先にありがとう」
「んー。ワインとシャンパンとつまみ出しておきましたから、それだけ飲んでくださいね」
「わかってるよ」
入れ替わりにシャワーを浴びてちゃっちゃと出ると、机の上に広がる私のつまみ。
「なに食べとんじゃ、おまえー!」
「俺は飲まないとは約束したが、食べないとは約束してない」
「あー、もう!ジャーキーもドライフルーツもチーズもチョコも全部開けて!」
「まあ、まあ、俺が持ってきたおつまみあげるから」
「こんなチーズ一択で、満足できるわ……うっま!」
「ティティが好きそうだな、と思って買ってきた」
私の好みに合わせず、自分が食べたいものを買ってくればいいのに、とは思うがこのチーズ本当に美味しいので許してしまう。
チーズをかじりながら、自分のために作った果実酒を引き摺り出す。
ジャパンのネット友達に教えてもらったのだが、これが中々美味しい。
「なんだいそれ?」
「私お手製の果実酒です」
「あ、ずるい。俺も飲みたい」
と言いながら、人が丹精込めて作った果実酒に手を出すので、勢いよくその手を叩き落とす。
「飲みたければ、一杯五ゼーロくらいは払ってもらいましょうか」
「優良店だね。はい、どうぞ」
「どうも。お湯割り、水割り、ソーダ割り、ロック」
「オススメは?」
「スティーブンさんなら紅茶割りがオススメですけど、寝る前なのでカフェインは接種してほしくないんですよね」
てなると、お湯割りかなー!と問答無用でお湯割りを出す。
ちょっと濃いめが私は好きなので濃いめでご提供。
「ん、美味いな」
「愛情を込めて作りました」
「今度、作りに来てくれよ」
「レシピ送るんで、自分で作ってください」
「ティティの愛情たっぷりのが飲みたいな」
「ティティの愛情は有料ですよ」
「作ってくれないなら、これ持って帰るぞ」
体張った脅しをしてくる。
ちゃんとバイト代だしてくださいよ、と言えば「小遣いならたくさんあげるよ」と言われる。
いつまでも子供扱いするなあ。
もらえる物はもらうけど。
「スティーブンさん、寝なくていいんですか?」
「キミ、明日は?」
「引きこもり体勢万全です」
「喜べ、明日は俺も休みだ」
なぜ、スティーブンさんの休みを私が喜ぶと思っているのか、謎である。
まあ、帰るときは勝手に帰るだろうし、別にいいか。
合鍵持ってるし、鍵もかけていってくれるだろうし。
「ふぁ……んっ!寝る!」
「じゃあ、俺も寝ようかな」
そう言いながら、フラフラと私のベッドへ倒れこむスティーブンさん。
いいんですけどね。私の方が小さいからソファーで寝ますし!実はソファーベッドに替えたばかりなんでね!
なかなか高いソファーベッドだったので、正味自分のベッドより広い。
枕とぬいぐるみと毛布をセットして寝ようとしたら、スティーブンさんが移動してきた。
「いや、ベッド占領したじゃないですか」
「こっちの方が広い」
そうだな。
なら私がベッドに、と移動しようとしたら腰をガッチリホールドされていた。
捕まった。
「やだも~、離してくださいよ~」
「なんだい。昔は、スティーブンさん一緒に寝よう、て自分から来たのに」
「いつのばぶメンタル時代の話してるんですか」
それ以外だと夜営に連れていかれたときに、寒くて引っ付いていたくらいだ。
抜け出そうにも、ふとましい腕をほどけず抜け出せそうにない。
諦めて寝る体勢に入ると、抱え直されゆっくりとしたリズムで優しくお腹を叩かれる。
「もー、子供じゃないんですから、やめてくださいよ」
「でも、キミこれ好きだろ」
好きだけど。
一定のリズムと、背中の少し低めの体温にうつらうつらしていると、小さく「おやすみ、ティティ」と聞こえた。
「スティーブンさん……朝いる……?」
「いてほしい?」
「しい……」
「朝ちゃんと起きるかい?」
「きる……」
「じゃあ、いるよ。一緒にご飯食べに行こう」
「ん……約束……」
「ああ、約束」
フワフワした意識の中で返事をしたので、私はこの会話を覚えていなかった為、朝、スティーブンさんに叩き起こされて、朝が弱い私は盛大にキレ散らかして怒られた。
昨日のダレたスティーブンさんはどこにもおらず、キッチリとスーツを着こなし、私の着替えを手伝い出掛ける準備を急かす。
「ねむいー……」
「ほら、ちゃんと手繋いで。人にぶつかるぞ」
「んー……」
「まったく。キミは俺がいないとダメだな」
と言いつつ、なんか嬉しそうな顔をするんだから。
「え、やだ」
スティーブンさんが家にくるとベッドは占拠されるし、貯蓄していた酒は飲み干されるし、身の回りの世話をさせられるから、やだ。
スティーブンさんが普段は気をはっている分、揺り返しが激しいのは知っているが、私にシワを寄せないでほしい。
「……ここにキミの部屋の合鍵がある」
「鍵つけ直したばかりなんですけど」
「だから僕も合鍵を作り直した」
合鍵は他人が作り直すもんじゃない。
しかも、私がNoと言っても襲撃する気満々じゃないですか。
「自堕落な僕を受け入れて面倒を見てくれるのはキミしかいない」
「そんなことないと思うけどなあ」
まあ、面倒を見てもいいけど飲む分の酒とつまみの調達は自分でする、と約束させてお互い別れた。
家で食事を作っていると、玄関でガチャガチャとビンの擦れる音が。
来るのに結構時間がかかったな、と思いながら無視していたが一向にリビングに入ってこない。
なにやってるんだ、と玄関まで行くと虚空を見つけながら座り込むスティーブンさん。
「……なにやってるんですか」
「疲れて動けない」
あるある、と思いながら側に転がるシャンパンとワインを回収する。
つまみは自分で持ってきてくれ。まあ、多分全部置いて来て結局私が回収することになるんだろうが。
この銘柄は常温の方が美味しくて、こっちは冷やして、と処理をしているとパンツ一枚のスティーブンさんがフラフラと入ってきてソファーに沈んでいった。
「ちょっとー!服は!?」
「玄関で脱いだー。あと、着替えとかつまみとか持ってきてくれー」
ほらね。
ワイシャツと靴下を洗濯機にいれ、スーツをハンガーに通す。
パンイチでソファーでゴロつくスティーブンさんに「ごはんは?」と聞くと、だらけた声で「すぐ食べる」と返ってきた。
「部屋着、出してくれ」
「ん」
ボストンバッグから部屋着用のスウェットをだしてわたすと、寝たまま着替え出す。
だるだるスウェットでも様になるのが、スティーブンさんだ。
普段は部屋着でもワイシャツなのに、ここにくると必ずあのだるだるスウェットなのはなぜなんだろう。
なにか、決まりでもあるのかな。
「ていうか、一回帰ってません?」
「当たり前じゃないか。じゃなきゃ、替えの服なんて持ってるわけないだろ」
なら、そのまま家でだらけて一日を終えればいいのに。
文句を言いたいが、なんやかんやで日頃世話になっているし、追い返すとメチャクチャしょんぼりするので無碍には扱えない。
ビーフシチューをよそいパンとサラダも食卓に並べると、なんとも間抜けな幸せそうな顔をされる。
「はー、たまにキミの自分が食べたいものを適当に作りました、て感じの料理が食べたくなるんだよな」
「適当で悪かったですね」
「いやいや、こういうのが好きなんだよ。安心する」
地の口の悪さのせいで褒められている感が皆無だが、褒められたのだろう。
自分の分のビーフシチューを食べるが、やはり雑な味としか言いようがない。
私はスティーブンさんのように、自分だけが食べる物でも完璧に、なんてタイプではないのだから雑になって当たり前。
舌がスラムで鍛えられたのだから、食べられればいい。
死なない程度の味であればいいのだ。
「ごちそうさまでした」
「どーも」
皿を台所に持っていき洗っていると、スティーブンさんが側に寄ってくる。
普段だったら、手伝ってくれるのかなと思えるのだが、いかんせん、いまはダラけタイムのスティーブンさん。
手伝うどころか、こちらに軽く体重をかけて寄りかかってくる。
「邪魔なんですけど」
「いま、俺はティティから離れると寂しくて死んじゃうんだから仕方がないだろ」
「それ言われると、拒否しにくいんですけど」
「拒否したら拗ねるからな」
はい、はい。拒否しませんよ。と言いながら、皿洗いの手は止めない。
今日はなにがあって、ザップがこんなバカやって、レオくんにどんな迷惑がかかって、チェインさんが買ってきた雑貨がどうで、という話に合いの手を打っているうちに、皿洗いは終わっていた。
「スティーブンさん、シャワー先に浴びちゃってください」
「キミ、そろそろバスタブのある部屋に越したらどうだい」
「マイバスタブを手に入れたら最後、私はバスタブで生活する羽目になります」
「そりゃダメだな」
冗談半分で聞き流しながら、スティーブンさんは服を全部脱いでシャワー室に消えてった。
部屋着をたたみ、寝巻きと替えのパンツをバスタオルと一緒にカゴへ入れておく。
シャンパンをシャンパンバケットに突っ込んで、出てくるのを待つ。
「ティティ、先にありがとう」
「んー。ワインとシャンパンとつまみ出しておきましたから、それだけ飲んでくださいね」
「わかってるよ」
入れ替わりにシャワーを浴びてちゃっちゃと出ると、机の上に広がる私のつまみ。
「なに食べとんじゃ、おまえー!」
「俺は飲まないとは約束したが、食べないとは約束してない」
「あー、もう!ジャーキーもドライフルーツもチーズもチョコも全部開けて!」
「まあ、まあ、俺が持ってきたおつまみあげるから」
「こんなチーズ一択で、満足できるわ……うっま!」
「ティティが好きそうだな、と思って買ってきた」
私の好みに合わせず、自分が食べたいものを買ってくればいいのに、とは思うがこのチーズ本当に美味しいので許してしまう。
チーズをかじりながら、自分のために作った果実酒を引き摺り出す。
ジャパンのネット友達に教えてもらったのだが、これが中々美味しい。
「なんだいそれ?」
「私お手製の果実酒です」
「あ、ずるい。俺も飲みたい」
と言いながら、人が丹精込めて作った果実酒に手を出すので、勢いよくその手を叩き落とす。
「飲みたければ、一杯五ゼーロくらいは払ってもらいましょうか」
「優良店だね。はい、どうぞ」
「どうも。お湯割り、水割り、ソーダ割り、ロック」
「オススメは?」
「スティーブンさんなら紅茶割りがオススメですけど、寝る前なのでカフェインは接種してほしくないんですよね」
てなると、お湯割りかなー!と問答無用でお湯割りを出す。
ちょっと濃いめが私は好きなので濃いめでご提供。
「ん、美味いな」
「愛情を込めて作りました」
「今度、作りに来てくれよ」
「レシピ送るんで、自分で作ってください」
「ティティの愛情たっぷりのが飲みたいな」
「ティティの愛情は有料ですよ」
「作ってくれないなら、これ持って帰るぞ」
体張った脅しをしてくる。
ちゃんとバイト代だしてくださいよ、と言えば「小遣いならたくさんあげるよ」と言われる。
いつまでも子供扱いするなあ。
もらえる物はもらうけど。
「スティーブンさん、寝なくていいんですか?」
「キミ、明日は?」
「引きこもり体勢万全です」
「喜べ、明日は俺も休みだ」
なぜ、スティーブンさんの休みを私が喜ぶと思っているのか、謎である。
まあ、帰るときは勝手に帰るだろうし、別にいいか。
合鍵持ってるし、鍵もかけていってくれるだろうし。
「ふぁ……んっ!寝る!」
「じゃあ、俺も寝ようかな」
そう言いながら、フラフラと私のベッドへ倒れこむスティーブンさん。
いいんですけどね。私の方が小さいからソファーで寝ますし!実はソファーベッドに替えたばかりなんでね!
なかなか高いソファーベッドだったので、正味自分のベッドより広い。
枕とぬいぐるみと毛布をセットして寝ようとしたら、スティーブンさんが移動してきた。
「いや、ベッド占領したじゃないですか」
「こっちの方が広い」
そうだな。
なら私がベッドに、と移動しようとしたら腰をガッチリホールドされていた。
捕まった。
「やだも~、離してくださいよ~」
「なんだい。昔は、スティーブンさん一緒に寝よう、て自分から来たのに」
「いつのばぶメンタル時代の話してるんですか」
それ以外だと夜営に連れていかれたときに、寒くて引っ付いていたくらいだ。
抜け出そうにも、ふとましい腕をほどけず抜け出せそうにない。
諦めて寝る体勢に入ると、抱え直されゆっくりとしたリズムで優しくお腹を叩かれる。
「もー、子供じゃないんですから、やめてくださいよ」
「でも、キミこれ好きだろ」
好きだけど。
一定のリズムと、背中の少し低めの体温にうつらうつらしていると、小さく「おやすみ、ティティ」と聞こえた。
「スティーブンさん……朝いる……?」
「いてほしい?」
「しい……」
「朝ちゃんと起きるかい?」
「きる……」
「じゃあ、いるよ。一緒にご飯食べに行こう」
「ん……約束……」
「ああ、約束」
フワフワした意識の中で返事をしたので、私はこの会話を覚えていなかった為、朝、スティーブンさんに叩き起こされて、朝が弱い私は盛大にキレ散らかして怒られた。
昨日のダレたスティーブンさんはどこにもおらず、キッチリとスーツを着こなし、私の着替えを手伝い出掛ける準備を急かす。
「ねむいー……」
「ほら、ちゃんと手繋いで。人にぶつかるぞ」
「んー……」
「まったく。キミは俺がいないとダメだな」
と言いつつ、なんか嬉しそうな顔をするんだから。