短編
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「……」
「……」
唯一の出入口に高々と掲げられた「セックスをしないと出られない部屋」と書かれた看板。
部屋にはベッドがあり、その側にはアダルトグッズが。
隣に立つスティーブンさんに、「どう思います?」と聞くも「うーん……」と渋い反応。
「一発ヤるのが手っ取り早いですが、私相手に勃ちます?」
「勃たないかなぁ。天塩にかけて育てた可愛い妹に手を出したくなるバカでもないし」
だよなぁ。
私もスティーブンさん相手に興奮するかと聞かれたら、しない。
どうしようか、どうしましょうか。と言っていたら、床から箱。
中には瓶が十本ほど詰められていた。
箱の側面には“媚薬”と書かれている。
「媚薬かあ」
「最終手段ですね」
使う前に物理で出られないか試してからね、と箱をベッドの脇に寄せる。
蹴りで開かないか試すスティーブンさんだったが、どうも開かないようで、こちらに視線を寄越し「技使っていいか?」と笑顔で聞いてきた。
いいわけあるか。
「開かなかったら仲良く凍死ですよ」
「だよな。ティティの方はどうだ?」
「どうも妨害術式が展開されているみたいで、精神飛ばせないんですよね」
術式を壊せればいけるが、私は術式に介入する術をもたない。
つまり、詰み。
「私たちを狙い澄ましたかのようですね」
「作為的な、なにかを感じるな」
「何日くらいで助け来ると思います?」
「三日で来たら御の字」
やったー、三日休みだー。と喜ぶ私に「三日間、食事、風呂、トイレを我慢できるならな」と言われ、気が狂いそうになった。
我慢できるか。
有幻覚で暴れまわるが、傷ひとつつかない。
ぎぃー!
「まあ、まあ。しばらく、様子見ようじゃないか」
「なんでそんなに落ち着いてるんですか」
「僕は極限状態に慣れてるから。おいで、ティティ」
ベッドの縁に座り、隣を叩いて座るのを促してくる。
促されるまま隣に座ると、慈しみのこもった目で見つめられ、頭を撫でられた。
ゆっくりとした動作で撫でられ、慌てていた気持ちも落ち着いてきた。
「たまにはゆっくりと、キミと話をするのもいいな」
「極限状態で?」
「そうでもしないと、長時間二人きりになれないだろ」
クルクルと私の髪をいじり、私の頬を撫で、手を握ってくる。
「なんですか、もう」
「触りたくなった」
そう言うと、いきなり抱きついてきて、そのまま転がるようにベッドに雪崩れ込んだ。
あーもー、本当になに、もう!
ジタバタする私を見て、クスクス笑うスティーブンさんに「なに笑ってるんですか」と怒ると、また私を撫でて「懐かしくてね」と言う。
「引き取ったとき、ギャーギャー文句言うくせに、一人でちゃんと眠れなくてさ。なだめながら一緒に寝たのを覚えてるか?」
「……まあ」
「最初は警戒してたのに、段々と読み聞かせをせがんできて可愛かったなあ」
「……」
恥ずかしがる私の頬に手を添え、「立派になったな」とスティーブンさんが誉めてくれるのが、嬉しかった。
「私、期待どおりになれた?」
「期待以上だよ。言うこと聞かないときもあるけど、そこも好きだよ」
「ひひっ、嬉しい。私も、スティーブンさん好き」
「結構厳しくしたから、嫌われてると思ったよ」
「スティーブンさんは私の手を離さないから。好きだよ」
「チョロいなあ。変な男に引っ掛からないでくれよ?」
「手遅れじゃない?」
「どういう意味だい?」
クスクスと内緒話のように小さな声で他愛のない世間話をしていたら、“かしゃん”という乾いた音がした。
起き上がり、音のした方である扉を見ると「純愛尊い 箱に入ってる媚薬全部飲んでくれたら出します」と文字が変わっていた。
「なんかいきなりハードルが下がったな」
「純愛とは、て感じですけどね」
飲めばでられるなら、と瓶に手を伸ばそうとしたら「なにしてるんだ」と、スティーブンさんに止められた。
「なにって、飲むんですよ」
「飲むなら俺が飲むよ。媚薬の類いは耐性があるからね」
なぜとは聞かない。
どうせ、女から情報抜くときに盛られているからだろう。
しかし、私もここは譲る気はない。
「これが媚薬である保証はありません。スティーブンさんになにかあれば、ライブラの活動に支障をきたします」
それはわかっていますよね?と聞く私から視線をそらし、「わかってる」と苦々しそうに言う。
「それに、スティーブンさんに理性を失われたら、私はどうしようもできません。私は理性がなければ、幻術もまともに使えないただの女です。あなたなら、簡単に制圧できる」
「……無茶だと思ったら止めるからな」
なら、止められないスピードで飲み干せばいい!と一気に五本飲んだら勢い良く鼻血がでた。
な、なんじゃこりゃー!
「媚薬は基本的に精力剤だ。興奮作用のある薬を一気に飲んだらそうなるだろうな」
「わがっででどめながっだんでずが」
「口で言うより体験した方がいいかと思って」
「なんでもかんでもだいげんざぜないでぐだざい!」
あなたは昔からそうだ!知識も必要だが、実践が一番身に付くといって、なにかと危険なことを平然と私にしていた。
本当に死にそうなときは助けてくれるし、そもそもやらせないが、死なないギリギリのことはよくやらされていた。
「ほら、横になってなさい」
「うぅ……頭がぐるぐるする……」
「あとは僕が飲むから」
「スティーブンさんは平気なんですか?」
「言っただろ、“耐性がある”って」
そう言うと、五本一気にあおり飲む。
平然としているスティーブンさんを見て、この人、勃たなくなったらどうするんだろう、とかなりどうでもいいことを考えてしまった。
かちゃ、と扉が開く音がした。
「開いたみたいだね。ティティ、動けるか?」
「うー……」
「仕方ないな」
唸る私の膝裏と背中に手を添えて、軽々と持ち上げるスティーブンさん。
あれ、でもこれじゃあ両手が塞がって扉が開けられない、と思ったが、あのカッコいい蹴りで扉をぶち開けた。
「……怒ってます?」
私の愚問に、スティーブンさんは柔らかい笑みで「怒らない理由があるかな?」と聞いてきた。
ないですね。なめ腐られたわけですし。
「貴重な時間を奪い、仕事の邪魔をし、わけのわからない部屋でキミを危険に晒したんだ。どこのうすらバカかは知らないが、僕に喧嘩を売ったことを後悔させてやる」
「わあ、顔が怖い……」
「……」
唯一の出入口に高々と掲げられた「セックスをしないと出られない部屋」と書かれた看板。
部屋にはベッドがあり、その側にはアダルトグッズが。
隣に立つスティーブンさんに、「どう思います?」と聞くも「うーん……」と渋い反応。
「一発ヤるのが手っ取り早いですが、私相手に勃ちます?」
「勃たないかなぁ。天塩にかけて育てた可愛い妹に手を出したくなるバカでもないし」
だよなぁ。
私もスティーブンさん相手に興奮するかと聞かれたら、しない。
どうしようか、どうしましょうか。と言っていたら、床から箱。
中には瓶が十本ほど詰められていた。
箱の側面には“媚薬”と書かれている。
「媚薬かあ」
「最終手段ですね」
使う前に物理で出られないか試してからね、と箱をベッドの脇に寄せる。
蹴りで開かないか試すスティーブンさんだったが、どうも開かないようで、こちらに視線を寄越し「技使っていいか?」と笑顔で聞いてきた。
いいわけあるか。
「開かなかったら仲良く凍死ですよ」
「だよな。ティティの方はどうだ?」
「どうも妨害術式が展開されているみたいで、精神飛ばせないんですよね」
術式を壊せればいけるが、私は術式に介入する術をもたない。
つまり、詰み。
「私たちを狙い澄ましたかのようですね」
「作為的な、なにかを感じるな」
「何日くらいで助け来ると思います?」
「三日で来たら御の字」
やったー、三日休みだー。と喜ぶ私に「三日間、食事、風呂、トイレを我慢できるならな」と言われ、気が狂いそうになった。
我慢できるか。
有幻覚で暴れまわるが、傷ひとつつかない。
ぎぃー!
「まあ、まあ。しばらく、様子見ようじゃないか」
「なんでそんなに落ち着いてるんですか」
「僕は極限状態に慣れてるから。おいで、ティティ」
ベッドの縁に座り、隣を叩いて座るのを促してくる。
促されるまま隣に座ると、慈しみのこもった目で見つめられ、頭を撫でられた。
ゆっくりとした動作で撫でられ、慌てていた気持ちも落ち着いてきた。
「たまにはゆっくりと、キミと話をするのもいいな」
「極限状態で?」
「そうでもしないと、長時間二人きりになれないだろ」
クルクルと私の髪をいじり、私の頬を撫で、手を握ってくる。
「なんですか、もう」
「触りたくなった」
そう言うと、いきなり抱きついてきて、そのまま転がるようにベッドに雪崩れ込んだ。
あーもー、本当になに、もう!
ジタバタする私を見て、クスクス笑うスティーブンさんに「なに笑ってるんですか」と怒ると、また私を撫でて「懐かしくてね」と言う。
「引き取ったとき、ギャーギャー文句言うくせに、一人でちゃんと眠れなくてさ。なだめながら一緒に寝たのを覚えてるか?」
「……まあ」
「最初は警戒してたのに、段々と読み聞かせをせがんできて可愛かったなあ」
「……」
恥ずかしがる私の頬に手を添え、「立派になったな」とスティーブンさんが誉めてくれるのが、嬉しかった。
「私、期待どおりになれた?」
「期待以上だよ。言うこと聞かないときもあるけど、そこも好きだよ」
「ひひっ、嬉しい。私も、スティーブンさん好き」
「結構厳しくしたから、嫌われてると思ったよ」
「スティーブンさんは私の手を離さないから。好きだよ」
「チョロいなあ。変な男に引っ掛からないでくれよ?」
「手遅れじゃない?」
「どういう意味だい?」
クスクスと内緒話のように小さな声で他愛のない世間話をしていたら、“かしゃん”という乾いた音がした。
起き上がり、音のした方である扉を見ると「純愛尊い 箱に入ってる媚薬全部飲んでくれたら出します」と文字が変わっていた。
「なんかいきなりハードルが下がったな」
「純愛とは、て感じですけどね」
飲めばでられるなら、と瓶に手を伸ばそうとしたら「なにしてるんだ」と、スティーブンさんに止められた。
「なにって、飲むんですよ」
「飲むなら俺が飲むよ。媚薬の類いは耐性があるからね」
なぜとは聞かない。
どうせ、女から情報抜くときに盛られているからだろう。
しかし、私もここは譲る気はない。
「これが媚薬である保証はありません。スティーブンさんになにかあれば、ライブラの活動に支障をきたします」
それはわかっていますよね?と聞く私から視線をそらし、「わかってる」と苦々しそうに言う。
「それに、スティーブンさんに理性を失われたら、私はどうしようもできません。私は理性がなければ、幻術もまともに使えないただの女です。あなたなら、簡単に制圧できる」
「……無茶だと思ったら止めるからな」
なら、止められないスピードで飲み干せばいい!と一気に五本飲んだら勢い良く鼻血がでた。
な、なんじゃこりゃー!
「媚薬は基本的に精力剤だ。興奮作用のある薬を一気に飲んだらそうなるだろうな」
「わがっででどめながっだんでずが」
「口で言うより体験した方がいいかと思って」
「なんでもかんでもだいげんざぜないでぐだざい!」
あなたは昔からそうだ!知識も必要だが、実践が一番身に付くといって、なにかと危険なことを平然と私にしていた。
本当に死にそうなときは助けてくれるし、そもそもやらせないが、死なないギリギリのことはよくやらされていた。
「ほら、横になってなさい」
「うぅ……頭がぐるぐるする……」
「あとは僕が飲むから」
「スティーブンさんは平気なんですか?」
「言っただろ、“耐性がある”って」
そう言うと、五本一気にあおり飲む。
平然としているスティーブンさんを見て、この人、勃たなくなったらどうするんだろう、とかなりどうでもいいことを考えてしまった。
かちゃ、と扉が開く音がした。
「開いたみたいだね。ティティ、動けるか?」
「うー……」
「仕方ないな」
唸る私の膝裏と背中に手を添えて、軽々と持ち上げるスティーブンさん。
あれ、でもこれじゃあ両手が塞がって扉が開けられない、と思ったが、あのカッコいい蹴りで扉をぶち開けた。
「……怒ってます?」
私の愚問に、スティーブンさんは柔らかい笑みで「怒らない理由があるかな?」と聞いてきた。
ないですね。なめ腐られたわけですし。
「貴重な時間を奪い、仕事の邪魔をし、わけのわからない部屋でキミを危険に晒したんだ。どこのうすらバカかは知らないが、僕に喧嘩を売ったことを後悔させてやる」
「わあ、顔が怖い……」