短編
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「ティティ!キミはまた精神分割して有幻覚で出歩いただろ!」
「ミモザの限定アイスが食べたかったんです!でも私はでかけられなかったから!」
「そういう無駄なところに力を使うなと、何度も教えたのを忘れたか!」
「無駄じゃないでーす!私にとっては重要でーす!」
「待て!逃げるな!」
バタバタと逃げ回る私を捕まえて、「ティティ!」と怒るスティーブンさんを見て、ギルベルトさんが「相変わらず仲がよろしいですね」と微笑ましそうに言った。
「そりゃね。この子が十代後半で中二病拗らせたときからの付き合いですから」
「誰が中二病だ!」
「中二病だったろ。とにかく、ティティ。僕の了承なしに有幻覚を使うな。精神になにかあれば、キミにダメージが返ってくるんだぞ」
「わかってますよ!だーい丈夫でゴファッ!」
突然のダメージに血を吐く私に、さしものスティーブンさんも「ティティー!?」と動揺を見せた。
だが私が一番ビックリしている。
まさか、近道したらマフィアの抗争に不意打ちで巻き込まれるとは。
幻術以外はまったくの一般人な私に、あの銃弾を避けるのは難しい。
朦朧とする意識のなか、抗争の場所を伝えてから息絶える。いや、死んでないけど。
これは起きたときに、またスティーブンさんに怒られてしまうな。
それはそうと、私のアイス……。
ゆらゆらと揺れる意識。
夢なのか、いつだったかスティーブンさんに背負われて帰った過去。
懐かしいな……。背負われてる原因は、だいたいスティーブンさんに逆らってしばかれたからなのだけれども。
「……ティティ」
「んあ……」
「いつまで寝てるんだい」
「んー……スティーブンさん……」
「もうウチだよ」
「ウチにこんなフカフカなマットレスはない……」
「俺の家」
はやく起きなさい、と頭をひと撫でされ、気だるい体を起こせば嫌みなほど高そうなおしゃれな家。
うちの安アパートとは天と地ほどの差だ。
「先に風呂はいるか?」
「お腹空いた」
「なら、さっさと食卓につくんだな。食事が冷えるぞ」
「んー……」
のそのそと食卓につくと、スティーブンさんが食事を机に並べてくれた。
昔は「手伝え!」と口うるさく言われていたけど、HLができて一人暮らしを初めてからは“お客様”だからということで、そういうことは言われなくなった。
食事中の他愛のない世間話。
たまにお邪魔したときに交わされるこういう穏やかな時間は好きだ。
まあ、スティーブンさんに穏やかな時間などほとんどないし、いまこのときだって穏やかな時間ではないのかも知れない。
「お風呂借りまーす」
「百まで数えて肩まで浸かるんだぞ!あと、一時間で出ること!」
「はーいやー」
足が伸ばせるバスタブ最高だぜ~、と百と言わず二時間くらい浸かっていたら、スティーブンさんが「長い!」と言いながら乱入してきた。
すーぐ乱入してくるんだから。
「スティーブンさん、私とお風呂入りたいだけじゃないのー?」
「そういうキミは、俺と入りたくてわざと長風呂してるんじゃないのか?」
「してませーん。普段ユニットバスだから、たまには足を伸ばして長風呂したいだけでーす」
「素直じゃないな、キミは」
育てた人が素直じゃないからねえ。
「ほら、そっちつめて」
「はい、はい」
端によると、向かい側にスティーブンさんが入ってきた。
「あー、ビール飲みたーい」
「なら早く出たらどうだ。冷蔵庫に入ってるよ」
「やだー。私が風呂に浸かったら、三時間は出ないの知ってるくせに」
「ミモザの限定アイスもあるんだけどな」
うーん、ちょっと出たくなってしまった。
けどなー。
「……もうちょっと入ってる」
「のぼせるぞ」
「もうちょっと」
私の気分の変わり目をめざとく察したスティーブンさんに「どうかしたのか」と聞かれ、なんと答えようか悩む。
言ったところではぐらかされるとはわかっている。
「……スティーブンさんとちょっとでも長くいたいなー、て思っただけです」
「なんだい、突然」
「スティーブンさんはさ、ライブラの中でも更に危ないところにいるからさ、私より先に死ぬんだろうなー、て思ったから話せるうちに話しとこうって思っただけ」
死んでほしくないなー、と未練たらしく言う私に、スティーブンさんは上機嫌で「嬉しいね」と言う。
「ティティ、おいで」
呼ばれるまま近寄れば、流れるように引き寄せられ抱き締められた。
「大丈夫、俺が死ぬときはキミを殺す」
どんな宣言だよ。
私一人を世に放てねえってか?
「キミを一人にしない、ティティ」
「……うん、約束だよ」
「ミモザの限定アイスが食べたかったんです!でも私はでかけられなかったから!」
「そういう無駄なところに力を使うなと、何度も教えたのを忘れたか!」
「無駄じゃないでーす!私にとっては重要でーす!」
「待て!逃げるな!」
バタバタと逃げ回る私を捕まえて、「ティティ!」と怒るスティーブンさんを見て、ギルベルトさんが「相変わらず仲がよろしいですね」と微笑ましそうに言った。
「そりゃね。この子が十代後半で中二病拗らせたときからの付き合いですから」
「誰が中二病だ!」
「中二病だったろ。とにかく、ティティ。僕の了承なしに有幻覚を使うな。精神になにかあれば、キミにダメージが返ってくるんだぞ」
「わかってますよ!だーい丈夫でゴファッ!」
突然のダメージに血を吐く私に、さしものスティーブンさんも「ティティー!?」と動揺を見せた。
だが私が一番ビックリしている。
まさか、近道したらマフィアの抗争に不意打ちで巻き込まれるとは。
幻術以外はまったくの一般人な私に、あの銃弾を避けるのは難しい。
朦朧とする意識のなか、抗争の場所を伝えてから息絶える。いや、死んでないけど。
これは起きたときに、またスティーブンさんに怒られてしまうな。
それはそうと、私のアイス……。
ゆらゆらと揺れる意識。
夢なのか、いつだったかスティーブンさんに背負われて帰った過去。
懐かしいな……。背負われてる原因は、だいたいスティーブンさんに逆らってしばかれたからなのだけれども。
「……ティティ」
「んあ……」
「いつまで寝てるんだい」
「んー……スティーブンさん……」
「もうウチだよ」
「ウチにこんなフカフカなマットレスはない……」
「俺の家」
はやく起きなさい、と頭をひと撫でされ、気だるい体を起こせば嫌みなほど高そうなおしゃれな家。
うちの安アパートとは天と地ほどの差だ。
「先に風呂はいるか?」
「お腹空いた」
「なら、さっさと食卓につくんだな。食事が冷えるぞ」
「んー……」
のそのそと食卓につくと、スティーブンさんが食事を机に並べてくれた。
昔は「手伝え!」と口うるさく言われていたけど、HLができて一人暮らしを初めてからは“お客様”だからということで、そういうことは言われなくなった。
食事中の他愛のない世間話。
たまにお邪魔したときに交わされるこういう穏やかな時間は好きだ。
まあ、スティーブンさんに穏やかな時間などほとんどないし、いまこのときだって穏やかな時間ではないのかも知れない。
「お風呂借りまーす」
「百まで数えて肩まで浸かるんだぞ!あと、一時間で出ること!」
「はーいやー」
足が伸ばせるバスタブ最高だぜ~、と百と言わず二時間くらい浸かっていたら、スティーブンさんが「長い!」と言いながら乱入してきた。
すーぐ乱入してくるんだから。
「スティーブンさん、私とお風呂入りたいだけじゃないのー?」
「そういうキミは、俺と入りたくてわざと長風呂してるんじゃないのか?」
「してませーん。普段ユニットバスだから、たまには足を伸ばして長風呂したいだけでーす」
「素直じゃないな、キミは」
育てた人が素直じゃないからねえ。
「ほら、そっちつめて」
「はい、はい」
端によると、向かい側にスティーブンさんが入ってきた。
「あー、ビール飲みたーい」
「なら早く出たらどうだ。冷蔵庫に入ってるよ」
「やだー。私が風呂に浸かったら、三時間は出ないの知ってるくせに」
「ミモザの限定アイスもあるんだけどな」
うーん、ちょっと出たくなってしまった。
けどなー。
「……もうちょっと入ってる」
「のぼせるぞ」
「もうちょっと」
私の気分の変わり目をめざとく察したスティーブンさんに「どうかしたのか」と聞かれ、なんと答えようか悩む。
言ったところではぐらかされるとはわかっている。
「……スティーブンさんとちょっとでも長くいたいなー、て思っただけです」
「なんだい、突然」
「スティーブンさんはさ、ライブラの中でも更に危ないところにいるからさ、私より先に死ぬんだろうなー、て思ったから話せるうちに話しとこうって思っただけ」
死んでほしくないなー、と未練たらしく言う私に、スティーブンさんは上機嫌で「嬉しいね」と言う。
「ティティ、おいで」
呼ばれるまま近寄れば、流れるように引き寄せられ抱き締められた。
「大丈夫、俺が死ぬときはキミを殺す」
どんな宣言だよ。
私一人を世に放てねえってか?
「キミを一人にしない、ティティ」
「……うん、約束だよ」