短編
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やっても、やっても終わらない書類処理。
終わりの見えないプログラム組み。
帰れない家、二週間目突入。
「そうだ、家に帰ろう」
「そんな旅行感覚で帰るな、ティティ」
「勘弁してくださいよ、スティーブンさん~。アニラたちは帰ったんですから、私も帰ってもよくないですか~?」
「キミは僕になにかあったときの為に、僕の作業をすべて把握する義務がある。つまり、僕が帰らなければキミも帰れない」
いや、まあ、そうなんだけどさ。
私はスティーブンさんのスペアとして拾われた。
拾われたと言うか、生かされたというか。
血界の眷属に体弄くりまわされて、人だった頃の記憶がなく、放置され自分が本である妖精の女王であると思い込み、幻覚を使ってやりたい放題やっていた時代。
バカなことにスティーブンさんに喧嘩を売ってしまい、返り討ちにあった。
そして、諸々あってスティーブンさんに引き取られて再教育を受けたわけだが……。
「……殺せ!」
「どんなに仕事が辛くても自害はしないでくれよ」
「自害しないので、私の過去を知っているやつ全員ぶっ殺してください!」
「……我が名はティターニア、妖精を統べる女王。その妾にたてつこうとは、愚かな人間だ」
「人の傷口抉るのやめてくれませんか?!」
人間で言うところの中二病期間を一番長く過ごしているスティーブンさんの記憶を一番消したい。
「懐かしいな。キミの教育は大変だったよ」
「ティターニアムーヴするたびに殴る蹴る吊るされるの暴行を受けましたからね。あれ、普通にDVですよね」
「口で言っても聞かないキミが悪いんだろ」
口で言って聞かせる期間が一日もなかったような気もするがな。
何度逃げ出そうと試みたが、そのたびにしばき倒されて連れ帰られたことか。
「……思い出しただけで、胃が痛い」
「でも、悪くない人生だろ」
どの口が、と言おうとしたが、結果的に新たな名前と人生と仕事を与えられ、いま生きているのはスティーブンさんのおかげだ。
楽しい思い出がなかったわけでもないし、結果オーライ?
「いいように使われている気もするんだよなあ」
「いいように使ってはいるが、ちゃんと愛情はあるぞ」
「スティーブンさんの愛情って言葉、うさんくせー!」
「なんだとー」
がたっ、とイスが動く音がし、一瞬身構えたが特になにかされることもなく、私の後ろを通りコーヒーを作りにいった。
そのまま席に戻るのかと思ったら、通りすぎ様に人の頭を撫で「愛情がなかったら、ここまで天塩にかけないさ」ていった。
「途中までは確かに、適度に利用してやろうと思っていたが、気がついたら可愛くなっていた。誤算だよ。これじゃあ、切り捨てられないじゃないか」
「嘘つけ。なんかあったら、切り捨てるくせに」
「そういう可愛くないことを言うやつは、ぎゅっ、てしてよしよししてやる」
「やめやー」
抱き締めたスティーブンさんからは、汗と香水とコーヒーの匂いがした。
「……ちょっと和んでしまった」
「キミは俺の匂い好きだもんな。寂しくなると、すーぐ僕にくっついて来てさ」
「うるせー」
「素直じゃないなあ、僕の妖精は」
終わりの見えないプログラム組み。
帰れない家、二週間目突入。
「そうだ、家に帰ろう」
「そんな旅行感覚で帰るな、ティティ」
「勘弁してくださいよ、スティーブンさん~。アニラたちは帰ったんですから、私も帰ってもよくないですか~?」
「キミは僕になにかあったときの為に、僕の作業をすべて把握する義務がある。つまり、僕が帰らなければキミも帰れない」
いや、まあ、そうなんだけどさ。
私はスティーブンさんのスペアとして拾われた。
拾われたと言うか、生かされたというか。
血界の眷属に体弄くりまわされて、人だった頃の記憶がなく、放置され自分が本である妖精の女王であると思い込み、幻覚を使ってやりたい放題やっていた時代。
バカなことにスティーブンさんに喧嘩を売ってしまい、返り討ちにあった。
そして、諸々あってスティーブンさんに引き取られて再教育を受けたわけだが……。
「……殺せ!」
「どんなに仕事が辛くても自害はしないでくれよ」
「自害しないので、私の過去を知っているやつ全員ぶっ殺してください!」
「……我が名はティターニア、妖精を統べる女王。その妾にたてつこうとは、愚かな人間だ」
「人の傷口抉るのやめてくれませんか?!」
人間で言うところの中二病期間を一番長く過ごしているスティーブンさんの記憶を一番消したい。
「懐かしいな。キミの教育は大変だったよ」
「ティターニアムーヴするたびに殴る蹴る吊るされるの暴行を受けましたからね。あれ、普通にDVですよね」
「口で言っても聞かないキミが悪いんだろ」
口で言って聞かせる期間が一日もなかったような気もするがな。
何度逃げ出そうと試みたが、そのたびにしばき倒されて連れ帰られたことか。
「……思い出しただけで、胃が痛い」
「でも、悪くない人生だろ」
どの口が、と言おうとしたが、結果的に新たな名前と人生と仕事を与えられ、いま生きているのはスティーブンさんのおかげだ。
楽しい思い出がなかったわけでもないし、結果オーライ?
「いいように使われている気もするんだよなあ」
「いいように使ってはいるが、ちゃんと愛情はあるぞ」
「スティーブンさんの愛情って言葉、うさんくせー!」
「なんだとー」
がたっ、とイスが動く音がし、一瞬身構えたが特になにかされることもなく、私の後ろを通りコーヒーを作りにいった。
そのまま席に戻るのかと思ったら、通りすぎ様に人の頭を撫で「愛情がなかったら、ここまで天塩にかけないさ」ていった。
「途中までは確かに、適度に利用してやろうと思っていたが、気がついたら可愛くなっていた。誤算だよ。これじゃあ、切り捨てられないじゃないか」
「嘘つけ。なんかあったら、切り捨てるくせに」
「そういう可愛くないことを言うやつは、ぎゅっ、てしてよしよししてやる」
「やめやー」
抱き締めたスティーブンさんからは、汗と香水とコーヒーの匂いがした。
「……ちょっと和んでしまった」
「キミは俺の匂い好きだもんな。寂しくなると、すーぐ僕にくっついて来てさ」
「うるせー」
「素直じゃないなあ、僕の妖精は」