短編
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バトルサブウェイでノボリさんのバトルに魅せられ、何度となく通った。
仕事の合間に戦術を練り、バトルサブウェイで実戦し、確実に実力をつけていた。
それでも、ノボリさんにはまったく敵わなかった。
それどころか、どんどん差をつけられている気がしてならない。
これは、もしやモチベーションが下がっている……?!この私が?!
確かに、私は目の前にご褒美があったほうが目標に向かって走れていた気がする。
スウィーツなんて生半可なご褒美ではダメだ!私がノボリさんに勝てるほどの、ご褒美。それは……!
「ノボリさん!私が勝ったら、ディナーをご一緒してくれませんか!」
「はい?」
きょとんとするノボリさんに、いま考えたことを話すと、口角を下げたまま面白そうに笑った。
ノボリさんは、表情はあまり変わらないが表情豊かな人だ。
「よい考えだと思いますよ」
「それじゃあ、ご一緒してくれるんですね!」
「えぇ、ご一緒いたしますよ。ですが、そうなると私から誘えなくなってしまいますね。困りました」
ふふっ、と上品に笑うノボリさんに「なんで、言う前に誘ってくれなかったんですか」と本気で怒るも、「申し訳ありません」とあまり申し訳ないと思っていない口調で謝られた。
「なら、いまからご褒美を変えますか?」
「いいです。ノボリさんとのディナー以上のご褒美なんてありませんから」
絶対にディナーに行ってやる、と気持ちも新たに特訓に特訓を重ね、コンディションも実力も気合も万全の状態で、その日はバトルに臨んだ。
その気迫たるや、クラウドさんに「オノノクスが来たんかと思ったわ」と言わせるほど。
勝てる、勝てるぞ、これは!
その確信は、ノボリさんとの前哨戦で戦うトレーナーたちとの実力差で更に固まっていった。
が、しかし、ノボリさんにだけ勝てないのだ。
何度も、何度も乗り直し、四十九戦目で降車を繰り返している。
勝てない、勝てない、勝てない。
毎回当たる駅員さんに、「また来たのか」という顔をされても諦めずに挑むも、敵わない。
最後の一匹が、ノボリさんの最初の一匹に倒され、目の前に絶望が横たわった瞬間、ぶつり、となにかが切れた。
泣きたくないのに、目から止めどなく涙が落ちてくる。
「ど、どうされました……!」
慌てた様子のノボリさんに肩を抱かれシートに座らされた。
ゆっくりと背中を擦り落ち着かせようとするノボリさんに、「悔しい……」と零せば、困ったような顔をされた。
「勝ちたいのに、全然勝てない……!今日は絶対に勝てるはずだったのに……!なんで勝てないの……!」
私の言葉に、ノボリさんは不安そうな、しかしなにかを推し量ろうとするような視線を投げかけてくる。
「ならば、辞めますか……?」
「……止めます。今日は、気持ちが悪い方向に行っているので」
このままでは、またみっともなく泣き出してしまう気がするから、「今日は一度帰って、また出直します」と告げると、ノボリさんは目を丸くして「また、来てくださるのですか?」と聞いてきた。
何故そんなことを聞くのかわからず、「来てほしくないんですか?」と尋ねると、慌てた様子で「違います!」と否定する。
「多くのお客様が、勝てないとお嘆きになられたあとは二度と来られなくなるので、貴方様もそうなるのではと思ってしまいまして……」
「私は諦めませんよ。ノボリさんとディナーに行くのもありますけど、ノボリさんとのバトル好きですから!」
「バトルだけですか?」
「ノボリさんも……好きです……」
恥ずかしがりながら言うと、ノボリさんも「私もですよ」と言う。
わー、両思いー。と思うが、ノボリさんの場合は冗談と本気の区別がつかない。
本気のトーンで冗談をいつも言うので、真意が推し量れないのだ。
「今日のバトル、どうでした?私としては、結構調子よかったと思うんですけど」
「えぇ、とても素晴らしかったですよ!一瞬も気を抜けないギリギリの攻防に、私、肌がひりつきました!」
「一匹も倒せませんでしたが……。なにが問題なんでしょうか……」
首を傾げる私に、ノボリさんは「強いて上げるのであれば、男のプライドの差でしょうか」とよくわからないことを言う。
ここに来て根性論ではないだろうな、という顔をする私など気にしないように「恋心を抱いているお相手には、絶対に負けたくないものでしょう?」と言うから動悸が激しくなる。
「ノボリさん、それは冗談ですか、本気ですか」
「当ててみてくださいまし」
あの白い双子の片割れなだけある、食えない。
仕事の合間に戦術を練り、バトルサブウェイで実戦し、確実に実力をつけていた。
それでも、ノボリさんにはまったく敵わなかった。
それどころか、どんどん差をつけられている気がしてならない。
これは、もしやモチベーションが下がっている……?!この私が?!
確かに、私は目の前にご褒美があったほうが目標に向かって走れていた気がする。
スウィーツなんて生半可なご褒美ではダメだ!私がノボリさんに勝てるほどの、ご褒美。それは……!
「ノボリさん!私が勝ったら、ディナーをご一緒してくれませんか!」
「はい?」
きょとんとするノボリさんに、いま考えたことを話すと、口角を下げたまま面白そうに笑った。
ノボリさんは、表情はあまり変わらないが表情豊かな人だ。
「よい考えだと思いますよ」
「それじゃあ、ご一緒してくれるんですね!」
「えぇ、ご一緒いたしますよ。ですが、そうなると私から誘えなくなってしまいますね。困りました」
ふふっ、と上品に笑うノボリさんに「なんで、言う前に誘ってくれなかったんですか」と本気で怒るも、「申し訳ありません」とあまり申し訳ないと思っていない口調で謝られた。
「なら、いまからご褒美を変えますか?」
「いいです。ノボリさんとのディナー以上のご褒美なんてありませんから」
絶対にディナーに行ってやる、と気持ちも新たに特訓に特訓を重ね、コンディションも実力も気合も万全の状態で、その日はバトルに臨んだ。
その気迫たるや、クラウドさんに「オノノクスが来たんかと思ったわ」と言わせるほど。
勝てる、勝てるぞ、これは!
その確信は、ノボリさんとの前哨戦で戦うトレーナーたちとの実力差で更に固まっていった。
が、しかし、ノボリさんにだけ勝てないのだ。
何度も、何度も乗り直し、四十九戦目で降車を繰り返している。
勝てない、勝てない、勝てない。
毎回当たる駅員さんに、「また来たのか」という顔をされても諦めずに挑むも、敵わない。
最後の一匹が、ノボリさんの最初の一匹に倒され、目の前に絶望が横たわった瞬間、ぶつり、となにかが切れた。
泣きたくないのに、目から止めどなく涙が落ちてくる。
「ど、どうされました……!」
慌てた様子のノボリさんに肩を抱かれシートに座らされた。
ゆっくりと背中を擦り落ち着かせようとするノボリさんに、「悔しい……」と零せば、困ったような顔をされた。
「勝ちたいのに、全然勝てない……!今日は絶対に勝てるはずだったのに……!なんで勝てないの……!」
私の言葉に、ノボリさんは不安そうな、しかしなにかを推し量ろうとするような視線を投げかけてくる。
「ならば、辞めますか……?」
「……止めます。今日は、気持ちが悪い方向に行っているので」
このままでは、またみっともなく泣き出してしまう気がするから、「今日は一度帰って、また出直します」と告げると、ノボリさんは目を丸くして「また、来てくださるのですか?」と聞いてきた。
何故そんなことを聞くのかわからず、「来てほしくないんですか?」と尋ねると、慌てた様子で「違います!」と否定する。
「多くのお客様が、勝てないとお嘆きになられたあとは二度と来られなくなるので、貴方様もそうなるのではと思ってしまいまして……」
「私は諦めませんよ。ノボリさんとディナーに行くのもありますけど、ノボリさんとのバトル好きですから!」
「バトルだけですか?」
「ノボリさんも……好きです……」
恥ずかしがりながら言うと、ノボリさんも「私もですよ」と言う。
わー、両思いー。と思うが、ノボリさんの場合は冗談と本気の区別がつかない。
本気のトーンで冗談をいつも言うので、真意が推し量れないのだ。
「今日のバトル、どうでした?私としては、結構調子よかったと思うんですけど」
「えぇ、とても素晴らしかったですよ!一瞬も気を抜けないギリギリの攻防に、私、肌がひりつきました!」
「一匹も倒せませんでしたが……。なにが問題なんでしょうか……」
首を傾げる私に、ノボリさんは「強いて上げるのであれば、男のプライドの差でしょうか」とよくわからないことを言う。
ここに来て根性論ではないだろうな、という顔をする私など気にしないように「恋心を抱いているお相手には、絶対に負けたくないものでしょう?」と言うから動悸が激しくなる。
「ノボリさん、それは冗談ですか、本気ですか」
「当ててみてくださいまし」
あの白い双子の片割れなだけある、食えない。