短編
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「あ、そうだ」
「断る」
即断した私に、鬼灯は「まだなにも言っていませんが」と眉根を寄せる。
皆まで言うな。多くを語らずとも、お前が言いたいことはわかっている。
どうせこの間、懸衣翁を働かせる為に書いたマキさんとの婚姻届けをマネージャーさんにとられたから、本当に届出される前に私と婚姻届け出したいから判を捺せと言いたいんだろ?と言い連ねる私に、鬼灯は「そこまでわかっているなら、捺してください」と、私の判を捺すだけの婚姻届けを懐から取り出した。
「断っただろうが」
「私がアイドルとスキャンダラスなことになってもいいんですか!」
「痛くも痒くもないわ!」
「なら、私が記者の対応に追われている間は、貴女に私の仕事の三分の二押し付けますからね!」
「なんでだ!他の補佐官に振れ!」
「貴女が誰よりも私の思考を理解してるからでしょうがぁ!」
そらそうだけどさぁ!とはなるが、補佐官でもない私に仕事を任せるとはどういう了見だ。
そういう、困った事態のときに支えあうのが補佐官たちの仕事でしょうが!
「ほら!仕事増やされたくなかったら、さっさと判を捺す!」
「捺さねーよ!別に私じゃなくても、お香とかでもいいでしょうが!」
「お香さんが可哀想でしょうが!」
「私は可哀想じゃねーってか?!」
私の問いかけに、鬼灯「はい、まったく」といけしゃあしゃあと宣う。
「貴女が嫌がろうと、唯々嬉しくなるだけなので、捺そうが捺すまいが私が喜ぶだけです」
「お前は、昔から私に対する嫌がらせが度を越してるよな……」
子供の頃も、なにかと精神的にくる嫌がらせをしてきたものだ。
「それでも、私と付き合う貴女も大概その気がありますよね」
「人をドМみたいに言うなよ、サディスト」
「基本、貴女もサディストの枠組みなのに、どうして私と一緒にいるんでしょうね」
その言い方だと、サディスト同士は一緒にいてはいけない、というような含みを感じるな。
別に、私がマゾだろうとサドだろうと、鬼灯と一緒にいるのが面白いと感じれば一緒に居続けるし、仕事も鬼灯とやるのが一番やりやすいし楽しい。そう言うと、あの鉄面皮が珍しく表情を崩し、「嬉しいことを言ってくれますね」と言うものだから、思わず目を丸くしてしまった。
「やはり、なんだかんだで貴女との相性が一番いいと思うんですよね」
「私は虫は食べないし、玉子焼きの味付けも譲らないけど」
「そこさえなければ、完璧なんですが。それはそうと、ほら、判」
「閻魔庁の補佐官殿とスキャンダラスは勘弁でーす」
そもそも、役所にそういう勝手に届出だせない制度があったはずだ。それを知らない鬼灯ではないだろうに、本当に私への嫌がらせで体張っているんではなかろうな。
試しに、そういう制度を知っているか確認をとると、「ええ、知っていますよ」と肯定する。
「この行為は、貴女への嫌がらせであると共に、牽制でもあるのです」
「牽制?」
「私は、貴女が誰かと一緒になることが嫌です。なので、そうなるくらいなら書面上でも私と一緒にさせてしまおうという魂胆です」
「……ほお」
本当に、「ほお」しかでてこない。
そんな、独占欲丸出しな理由が飛び出してくるとは思わないじゃないか。
確認のために、「恋愛感情はない?」と聞くも、「ありませんね」と即答される。
「妹がいたら、こんな感じで可愛がっているだろうなとは思っています」
「嫌がらせが可愛がるの範疇なことに吃驚だわ。妹相手に婚姻迫ってくるのか、お前」
「馬鹿言わないでください。本物の妹じゃないから、迫っているんですよ。まあ、捺さなくてもいいですが……お前に彼氏ができたときは、夜道に気をつけろと忠告してやれ」
「お前は弟切さんか」
「断る」
即断した私に、鬼灯は「まだなにも言っていませんが」と眉根を寄せる。
皆まで言うな。多くを語らずとも、お前が言いたいことはわかっている。
どうせこの間、懸衣翁を働かせる為に書いたマキさんとの婚姻届けをマネージャーさんにとられたから、本当に届出される前に私と婚姻届け出したいから判を捺せと言いたいんだろ?と言い連ねる私に、鬼灯は「そこまでわかっているなら、捺してください」と、私の判を捺すだけの婚姻届けを懐から取り出した。
「断っただろうが」
「私がアイドルとスキャンダラスなことになってもいいんですか!」
「痛くも痒くもないわ!」
「なら、私が記者の対応に追われている間は、貴女に私の仕事の三分の二押し付けますからね!」
「なんでだ!他の補佐官に振れ!」
「貴女が誰よりも私の思考を理解してるからでしょうがぁ!」
そらそうだけどさぁ!とはなるが、補佐官でもない私に仕事を任せるとはどういう了見だ。
そういう、困った事態のときに支えあうのが補佐官たちの仕事でしょうが!
「ほら!仕事増やされたくなかったら、さっさと判を捺す!」
「捺さねーよ!別に私じゃなくても、お香とかでもいいでしょうが!」
「お香さんが可哀想でしょうが!」
「私は可哀想じゃねーってか?!」
私の問いかけに、鬼灯「はい、まったく」といけしゃあしゃあと宣う。
「貴女が嫌がろうと、唯々嬉しくなるだけなので、捺そうが捺すまいが私が喜ぶだけです」
「お前は、昔から私に対する嫌がらせが度を越してるよな……」
子供の頃も、なにかと精神的にくる嫌がらせをしてきたものだ。
「それでも、私と付き合う貴女も大概その気がありますよね」
「人をドМみたいに言うなよ、サディスト」
「基本、貴女もサディストの枠組みなのに、どうして私と一緒にいるんでしょうね」
その言い方だと、サディスト同士は一緒にいてはいけない、というような含みを感じるな。
別に、私がマゾだろうとサドだろうと、鬼灯と一緒にいるのが面白いと感じれば一緒に居続けるし、仕事も鬼灯とやるのが一番やりやすいし楽しい。そう言うと、あの鉄面皮が珍しく表情を崩し、「嬉しいことを言ってくれますね」と言うものだから、思わず目を丸くしてしまった。
「やはり、なんだかんだで貴女との相性が一番いいと思うんですよね」
「私は虫は食べないし、玉子焼きの味付けも譲らないけど」
「そこさえなければ、完璧なんですが。それはそうと、ほら、判」
「閻魔庁の補佐官殿とスキャンダラスは勘弁でーす」
そもそも、役所にそういう勝手に届出だせない制度があったはずだ。それを知らない鬼灯ではないだろうに、本当に私への嫌がらせで体張っているんではなかろうな。
試しに、そういう制度を知っているか確認をとると、「ええ、知っていますよ」と肯定する。
「この行為は、貴女への嫌がらせであると共に、牽制でもあるのです」
「牽制?」
「私は、貴女が誰かと一緒になることが嫌です。なので、そうなるくらいなら書面上でも私と一緒にさせてしまおうという魂胆です」
「……ほお」
本当に、「ほお」しかでてこない。
そんな、独占欲丸出しな理由が飛び出してくるとは思わないじゃないか。
確認のために、「恋愛感情はない?」と聞くも、「ありませんね」と即答される。
「妹がいたら、こんな感じで可愛がっているだろうなとは思っています」
「嫌がらせが可愛がるの範疇なことに吃驚だわ。妹相手に婚姻迫ってくるのか、お前」
「馬鹿言わないでください。本物の妹じゃないから、迫っているんですよ。まあ、捺さなくてもいいですが……お前に彼氏ができたときは、夜道に気をつけろと忠告してやれ」
「お前は弟切さんか」