2020バレンタイン部屋
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
首なし馬に跨がり光くんの家へ来たら、レンくんが「はっぴーばれんたいんやで、姉ね!」と抱きついてきて、今日がバレンタインだということを思い出した。
やべー、と目を泳がせていたら「そういうとこやぞ、自分」と珍しくちゃんと起きている光くんに怒られた。
しかし、目はいつもより眠そうで機嫌はいつもの三割増しで悪そう。
どうしたの?と聞くまでもなく、背中に背負った生き霊が理由を物語っている。
この時期、イケメンは大変だね。
「ごめんね、レンくん。姉ね、人混み苦手でチョコ用意できなかったんだ。今度、作って持ってくるね」
「そうなん?姉ね、人混みあかんの?ほんなら、遊園地もあかん?」
「遊園地は大丈夫だよ」
「なら、レンくんとのデートは遊園地いこな!」
「そうだねー」
子供の他愛ない言葉と思い受け流していたら、「あとから後悔するで」となにやら身に覚えがあるであろう物言いを光くんがした。
なに、後悔って。こわっ。
「レン、お客さん玄関で足止めしたらあかんやろ!撫子ちゃんも、堪忍な。まだ二人ともご飯食べてへんから、中入って待っといて!」
お姉さんに言われ、財前家へと足を踏み入れれば溌剌とした笑顔のお兄さんが「おー!おはようさん!」と挨拶をしてくれたので、「おはようございます」と簡単に挨拶をする。
「なんや、チョコ忘れたんやって?ほんまは、光の為に作ったんやけど失敗したんやろ?ええやん、ええやん!青春やん!光なら、文句言いながら食べてくれるで!」
「いや、本当に用意してないんです」
はっきりばっさり否定するも、「ほんまか~?」と忍足先輩並みのしつこさで聞いてくるお兄さんを、光くんが軽く蹴りあげ「若者にちょっかいだしとらんと、はよ会社行けやおっさん」と引き剥がしてくれた。
ありがたい。
その後、さらっと光くんに憑いていた生き霊を祓い、レンくんに見送られ首なし馬で登校している最中、光くんに「ほんまに忘れてたんか?」と聞かれ「途中まで覚えてはいた」と答えたら、「レンと部長、可哀想に」と染々言われた。
レンくんはわかるけど、なぜ白石先輩?
「毎年、この時期になると女が活発になるんだよ。人も霊も妖怪も。だから、お菓子関連の場所は入り乱れてるから下手に近寄れないんだよね」
「あぁ、なるほどな。嘘は言っとらんのか」
「言ってないよ」
「そらよかった。言っとったらしばき倒したろ思っとったから」
「バレンタインって、そんな重要なイベントなの?」
「恋する男には重要イベントやろ」
ソウナノカー、と心にも思っていない生返事をしたら脇腹つねられた。
身内思いだね、光くんは。
「そういえば、謙也さん。撫子からは絶対貰えるって確信しとったみたいやで」
「忍足先輩は、私がそんな義理深い人間だと思っていたのか……」
「イベント毎には絶対無関心ですよ、言うたんやけどな」
それだけ貰えへんのやろうな、という光くんの言葉でちょっと可哀想になったので、テニス部の面々にも、炊飯器で作るブラウニーを用意しようかな。
ふと、テニス部の上空を通ったので下を見れば、生き霊やら妖怪やらが局地的に殴り合いのサドンデスゲームをしていて引いた。
誰に憑いてきたのかはおおよそ推測できるので、両手で浄化の力を練り練りして「絶望せよ。汝の死は確定した。『破壊神の手翳』」と、光くんから借りたゲームの技名を言いながらサドンデス会場に落としたら綺麗に消えてなくなった。
「いや、マジモンのパーシュパタやん」
「散華せよ」
なんて冗談をやっているうちにテニス部の朝練が始まりそうだったので、慌てて部室裏に下ろしたら忍足先輩が「苗樫さんー!おおきにー!」と抱きついてこようとしたので、緊急回避して「無事でなによりです」と顔面スライディングした忍足先輩に言えば微かに「おおきに……」と言われた気がした。
光くんと一緒に忍足先輩を起き上がらせ部室に行けば、部室はポルターガイストで荒れ、霊に揉みくちゃにされた一氏先輩と白石先輩は瀕死、恐らく守っていたであろう石田先輩もげっそりしていて、霊から干渉を受けない小石川先輩と金色先輩も部室の惨状に困った顔をしていた。
「カルナの方がよかったかな。ブラフマーストラ・クンダーラ」
「楽に死なせたれや」
部屋を片付けようにも、またわらわらやって来たので部室の四隅に簡単な結界を書き、その場しのぎをする。
「金色先輩、リボンとか持ってませんか?」
「リボン?なんで?」
「埒があかないので、本人たちに結界施しちゃいます」
撫子ちゃんの簡単結界!
・リボンに油性ペンで邪祓いの呪文を書きます。
・中指に巻きます。(左右どちらでも可)
・一日これで霊に悩まされることなし!
「なるほど。せやけど、それリボンやないとあかんの?実際に肌に書くとか」
金色先輩が質問したので、お答えしよう。
「肌だと書いた部分に効果がある、物だと身に付けることで効果を発揮すると意味合いが違ってくるんですよ。まあ、いま書いた結界みたいに規定数以上ワンセットみたいな物もありますが、両手足に謎の模様書かれるの嫌じゃないですか?」
という私の質問に、光くん以外の要結界施術者たちが「ちょっとええなぁ……」と答えたのは聞かなかったことにした。
これだから男子は……。
「リボンなら、ユウくんがいっぱい持っとるで」
「おう、何色が一番効果的や?」
何色ものリボンのロールを鞄から次々と一氏先輩がだしているが、この鞄、ちゃんと勉強道具入っているんだろうか……。
別に何色でもいいので、各々好きな色を選んでもらい適当な長さに切り呪文を書き込み、ついでに呪文を唱えながら練り込んで中指に巻いていった。
「これで今日一日は乗りきれるはずです」
「なんで中指なん」
「中指は、邪気から身を守る指とも言われてるんですよ。循環器系とも繋がっているので、体に私の邪祓いの気もよく巡るはずです」
「苗樫さんの気が俺たちの中に……」
「なんやエロいな」
忍足先輩は少年漫画的キラキラした意味合いで言ったはずなのに、一氏先輩の所為で台無しだ。
今すぐお前のリボンほどいてやろうか。
「おおきにな、苗樫さん。最高のバレンタインや」
照れ笑いをする白石先輩の発言に、その手があったか!と名案を得てしまったので、これからはこの邪祓いリボンでバレンタインやっていこう。
ついでなので、生き霊飛ばすような粘着質な女には好かれない小石川先輩、金色先輩、石田先輩の中指にもリボンを巻いてあげた。
「ふふっ。私、ちゃんとしたバレンタインするの初めてです」
「お前、ほんまにこれバレンタインにする気なんか?」
「ダメ?効果抜群だよ」
嘘だと思うなら、外出てみなよ。と促せば、全員が恐る恐る部室の外へ顔を出すが、太陽が輝く気持ちのいい朝が待ち受けているだけだった。
今日一日、みんなが気持ちよくすごせますように。
私から親愛を込めて。
やべー、と目を泳がせていたら「そういうとこやぞ、自分」と珍しくちゃんと起きている光くんに怒られた。
しかし、目はいつもより眠そうで機嫌はいつもの三割増しで悪そう。
どうしたの?と聞くまでもなく、背中に背負った生き霊が理由を物語っている。
この時期、イケメンは大変だね。
「ごめんね、レンくん。姉ね、人混み苦手でチョコ用意できなかったんだ。今度、作って持ってくるね」
「そうなん?姉ね、人混みあかんの?ほんなら、遊園地もあかん?」
「遊園地は大丈夫だよ」
「なら、レンくんとのデートは遊園地いこな!」
「そうだねー」
子供の他愛ない言葉と思い受け流していたら、「あとから後悔するで」となにやら身に覚えがあるであろう物言いを光くんがした。
なに、後悔って。こわっ。
「レン、お客さん玄関で足止めしたらあかんやろ!撫子ちゃんも、堪忍な。まだ二人ともご飯食べてへんから、中入って待っといて!」
お姉さんに言われ、財前家へと足を踏み入れれば溌剌とした笑顔のお兄さんが「おー!おはようさん!」と挨拶をしてくれたので、「おはようございます」と簡単に挨拶をする。
「なんや、チョコ忘れたんやって?ほんまは、光の為に作ったんやけど失敗したんやろ?ええやん、ええやん!青春やん!光なら、文句言いながら食べてくれるで!」
「いや、本当に用意してないんです」
はっきりばっさり否定するも、「ほんまか~?」と忍足先輩並みのしつこさで聞いてくるお兄さんを、光くんが軽く蹴りあげ「若者にちょっかいだしとらんと、はよ会社行けやおっさん」と引き剥がしてくれた。
ありがたい。
その後、さらっと光くんに憑いていた生き霊を祓い、レンくんに見送られ首なし馬で登校している最中、光くんに「ほんまに忘れてたんか?」と聞かれ「途中まで覚えてはいた」と答えたら、「レンと部長、可哀想に」と染々言われた。
レンくんはわかるけど、なぜ白石先輩?
「毎年、この時期になると女が活発になるんだよ。人も霊も妖怪も。だから、お菓子関連の場所は入り乱れてるから下手に近寄れないんだよね」
「あぁ、なるほどな。嘘は言っとらんのか」
「言ってないよ」
「そらよかった。言っとったらしばき倒したろ思っとったから」
「バレンタインって、そんな重要なイベントなの?」
「恋する男には重要イベントやろ」
ソウナノカー、と心にも思っていない生返事をしたら脇腹つねられた。
身内思いだね、光くんは。
「そういえば、謙也さん。撫子からは絶対貰えるって確信しとったみたいやで」
「忍足先輩は、私がそんな義理深い人間だと思っていたのか……」
「イベント毎には絶対無関心ですよ、言うたんやけどな」
それだけ貰えへんのやろうな、という光くんの言葉でちょっと可哀想になったので、テニス部の面々にも、炊飯器で作るブラウニーを用意しようかな。
ふと、テニス部の上空を通ったので下を見れば、生き霊やら妖怪やらが局地的に殴り合いのサドンデスゲームをしていて引いた。
誰に憑いてきたのかはおおよそ推測できるので、両手で浄化の力を練り練りして「絶望せよ。汝の死は確定した。『破壊神の手翳』」と、光くんから借りたゲームの技名を言いながらサドンデス会場に落としたら綺麗に消えてなくなった。
「いや、マジモンのパーシュパタやん」
「散華せよ」
なんて冗談をやっているうちにテニス部の朝練が始まりそうだったので、慌てて部室裏に下ろしたら忍足先輩が「苗樫さんー!おおきにー!」と抱きついてこようとしたので、緊急回避して「無事でなによりです」と顔面スライディングした忍足先輩に言えば微かに「おおきに……」と言われた気がした。
光くんと一緒に忍足先輩を起き上がらせ部室に行けば、部室はポルターガイストで荒れ、霊に揉みくちゃにされた一氏先輩と白石先輩は瀕死、恐らく守っていたであろう石田先輩もげっそりしていて、霊から干渉を受けない小石川先輩と金色先輩も部室の惨状に困った顔をしていた。
「カルナの方がよかったかな。ブラフマーストラ・クンダーラ」
「楽に死なせたれや」
部屋を片付けようにも、またわらわらやって来たので部室の四隅に簡単な結界を書き、その場しのぎをする。
「金色先輩、リボンとか持ってませんか?」
「リボン?なんで?」
「埒があかないので、本人たちに結界施しちゃいます」
撫子ちゃんの簡単結界!
・リボンに油性ペンで邪祓いの呪文を書きます。
・中指に巻きます。(左右どちらでも可)
・一日これで霊に悩まされることなし!
「なるほど。せやけど、それリボンやないとあかんの?実際に肌に書くとか」
金色先輩が質問したので、お答えしよう。
「肌だと書いた部分に効果がある、物だと身に付けることで効果を発揮すると意味合いが違ってくるんですよ。まあ、いま書いた結界みたいに規定数以上ワンセットみたいな物もありますが、両手足に謎の模様書かれるの嫌じゃないですか?」
という私の質問に、光くん以外の要結界施術者たちが「ちょっとええなぁ……」と答えたのは聞かなかったことにした。
これだから男子は……。
「リボンなら、ユウくんがいっぱい持っとるで」
「おう、何色が一番効果的や?」
何色ものリボンのロールを鞄から次々と一氏先輩がだしているが、この鞄、ちゃんと勉強道具入っているんだろうか……。
別に何色でもいいので、各々好きな色を選んでもらい適当な長さに切り呪文を書き込み、ついでに呪文を唱えながら練り込んで中指に巻いていった。
「これで今日一日は乗りきれるはずです」
「なんで中指なん」
「中指は、邪気から身を守る指とも言われてるんですよ。循環器系とも繋がっているので、体に私の邪祓いの気もよく巡るはずです」
「苗樫さんの気が俺たちの中に……」
「なんやエロいな」
忍足先輩は少年漫画的キラキラした意味合いで言ったはずなのに、一氏先輩の所為で台無しだ。
今すぐお前のリボンほどいてやろうか。
「おおきにな、苗樫さん。最高のバレンタインや」
照れ笑いをする白石先輩の発言に、その手があったか!と名案を得てしまったので、これからはこの邪祓いリボンでバレンタインやっていこう。
ついでなので、生き霊飛ばすような粘着質な女には好かれない小石川先輩、金色先輩、石田先輩の中指にもリボンを巻いてあげた。
「ふふっ。私、ちゃんとしたバレンタインするの初めてです」
「お前、ほんまにこれバレンタインにする気なんか?」
「ダメ?効果抜群だよ」
嘘だと思うなら、外出てみなよ。と促せば、全員が恐る恐る部室の外へ顔を出すが、太陽が輝く気持ちのいい朝が待ち受けているだけだった。
今日一日、みんなが気持ちよくすごせますように。
私から親愛を込めて。