短編
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すやすやと柔らかな日差しの中で眠る勝家様の横で、少し温くなったお茶を啜る。
どうも最近、何だかんだと雑用を押し付けられ寝ていらっしゃらないご様子だったので、お茶に一服盛らせていただいた。
こうでもしないと、「このような雑妖などお気にとめられませぬよう」とか何とか言って、良い様に使われてしまうのだから。
穏やかな表情で眠る彼の艶やかな髪を撫でていると、どこからともなく猫が現れた。
猫は私の足元に擦り寄ると、直ぐに眠っている勝家様のおなかの上へと乗った。
「駄目だよ」
そう言い、猫を抱き上げる。
柔らかな毛並みを撫でてやると、気持ちよさそうにゴロゴロと猫は喉を鳴らす。
ふと、猫の尾を見ると奇怪な事になっていた。
「尻尾が二本ある……」
普通、一本しかないはずの尾を二本別々に揺らしながら、猫はもっと撫でてくれと頭を擦り付けてくるが、それどころではない。
これは以前、勝家様がお話になられていた『猫又』ではないだろうか。
何百年も生きた猫が妖怪となり、時には人を食らうとか……。
急に恐ろしくなり猫を投げるように放り出すと、猫は不満げに一鳴きし、またも勝家様のおなかへと乗った。
あっちへ行けと手で追い払おうとするが、猫はどこ吹く風。
最終手段で、勝家様の肩を揺さぶり起こす。
ぼんやりと目を覚ました勝家様は、直ぐに寝てしまった事を謝罪しようとするけれども、そんな事よりも猫!
「勝家様!その猫!猫又です!」
私の叫びに勝家様は一度私を見、そして腹の上の猫を見る。
「あぁ、どこからか迷いこんだのでしょう」
「何でそんなのんびりしてるんですか?!食べられるんじゃないんですか?!」
「今は、腹を空かせていないようなのでそれはないでしょう」
つまり、腹を空かせていたら食べられていたんですね?!
戦々恐々とする私とは反対に、勝家様は少しだけ嬉しそうに口角を上げ、猫を撫でた。
「怖くはないのですか……?」と尋ねると、「貴女は妖が苦手なのですか?」と質問で返された。
「え、そりゃ……」
「そうですか……。では、私がする話しなど不快で――」
「全く怖くないです」
一気に寂しげな表情をする勝家様の言葉を遮り否定する。
そりゃ、勝家様がいつも話される妖怪の話しは怖い物ばかりだが、それを楽しそうに語る勝家様は好きなのだ。
いつも、愁いを帯びた表情をされている勝家様が唯一楽しそうにされる瞬間を奪える訳がない。
私の、全力の否定を疑いの目で見てくるので、相変わらず勝家様に乗っている猫を抱き上げ「ほら!平気です!」と見せつける。
すると猫がニヤリと笑い「あんた、あの兄ちゃんに気があるのかい?」と喋った。
しゃべ……。
「喋ったーーーーーーー!!!!」
そのまま卒倒した私を介抱する為に、その日は丸一日勝家様の時間を使わせてしまった。
「申し訳ありません、勝家様」
私の謝罪に、勝家様は「この様な雑妖に謝ることはありません」と言われた。
「……やはり、妖の事は苦手なのですね」
「え、あ、いや!あれは驚いただけです!」
「ですが……」
「私は、確かに妖怪とかは怖いですが……、勝家様のお話しされるのは好きです」
そう必死に訴えると、勝家様は微笑み「貴女は優しい方だ」と言われた。
あぁ、この笑顔を見てしまうと、本当に私は勝家様が好きなのだと思ってしまう。
「これからも、勝家様のお話し聞かせてください」
相手が私の方に行為を向ける事などなくとも、私を只の友人程度に思っていたとしても、私はこの方が好きだと感じた。
彼が幸せなら、私はそれでいいのだ。
どうも最近、何だかんだと雑用を押し付けられ寝ていらっしゃらないご様子だったので、お茶に一服盛らせていただいた。
こうでもしないと、「このような雑妖などお気にとめられませぬよう」とか何とか言って、良い様に使われてしまうのだから。
穏やかな表情で眠る彼の艶やかな髪を撫でていると、どこからともなく猫が現れた。
猫は私の足元に擦り寄ると、直ぐに眠っている勝家様のおなかの上へと乗った。
「駄目だよ」
そう言い、猫を抱き上げる。
柔らかな毛並みを撫でてやると、気持ちよさそうにゴロゴロと猫は喉を鳴らす。
ふと、猫の尾を見ると奇怪な事になっていた。
「尻尾が二本ある……」
普通、一本しかないはずの尾を二本別々に揺らしながら、猫はもっと撫でてくれと頭を擦り付けてくるが、それどころではない。
これは以前、勝家様がお話になられていた『猫又』ではないだろうか。
何百年も生きた猫が妖怪となり、時には人を食らうとか……。
急に恐ろしくなり猫を投げるように放り出すと、猫は不満げに一鳴きし、またも勝家様のおなかへと乗った。
あっちへ行けと手で追い払おうとするが、猫はどこ吹く風。
最終手段で、勝家様の肩を揺さぶり起こす。
ぼんやりと目を覚ました勝家様は、直ぐに寝てしまった事を謝罪しようとするけれども、そんな事よりも猫!
「勝家様!その猫!猫又です!」
私の叫びに勝家様は一度私を見、そして腹の上の猫を見る。
「あぁ、どこからか迷いこんだのでしょう」
「何でそんなのんびりしてるんですか?!食べられるんじゃないんですか?!」
「今は、腹を空かせていないようなのでそれはないでしょう」
つまり、腹を空かせていたら食べられていたんですね?!
戦々恐々とする私とは反対に、勝家様は少しだけ嬉しそうに口角を上げ、猫を撫でた。
「怖くはないのですか……?」と尋ねると、「貴女は妖が苦手なのですか?」と質問で返された。
「え、そりゃ……」
「そうですか……。では、私がする話しなど不快で――」
「全く怖くないです」
一気に寂しげな表情をする勝家様の言葉を遮り否定する。
そりゃ、勝家様がいつも話される妖怪の話しは怖い物ばかりだが、それを楽しそうに語る勝家様は好きなのだ。
いつも、愁いを帯びた表情をされている勝家様が唯一楽しそうにされる瞬間を奪える訳がない。
私の、全力の否定を疑いの目で見てくるので、相変わらず勝家様に乗っている猫を抱き上げ「ほら!平気です!」と見せつける。
すると猫がニヤリと笑い「あんた、あの兄ちゃんに気があるのかい?」と喋った。
しゃべ……。
「喋ったーーーーーーー!!!!」
そのまま卒倒した私を介抱する為に、その日は丸一日勝家様の時間を使わせてしまった。
「申し訳ありません、勝家様」
私の謝罪に、勝家様は「この様な雑妖に謝ることはありません」と言われた。
「……やはり、妖の事は苦手なのですね」
「え、あ、いや!あれは驚いただけです!」
「ですが……」
「私は、確かに妖怪とかは怖いですが……、勝家様のお話しされるのは好きです」
そう必死に訴えると、勝家様は微笑み「貴女は優しい方だ」と言われた。
あぁ、この笑顔を見てしまうと、本当に私は勝家様が好きなのだと思ってしまう。
「これからも、勝家様のお話し聞かせてください」
相手が私の方に行為を向ける事などなくとも、私を只の友人程度に思っていたとしても、私はこの方が好きだと感じた。
彼が幸せなら、私はそれでいいのだ。