短編
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今年も山場を越えた気がする。
毎年この時期になると恋のキューピッド科から助っ人を要請される。
なぜ人員を増やさないのか。
まあ、毎年やっているから慣れたもんなのだが、どういう訳か私の任された地域のカップルが、くっつけては別のカップルが別れ、くっつけてはまた他のカップルが別れを繰り返してくれたので、地区カップル率ノルマが達成できなかった。
しかも、疲れからキューピッドの矢と弓を落とすという失態もしてしまった。
人間に拾われていないことを祈りながら探していると、前方に黒い影が。
「げぇぇぇ!佐助!」
「やっほー、俺様の子猫ちゃん」
悪魔の佐助が嬉しそうに手をふっているが、こちとら全然嬉しくない。
なんだか知らないが、最近この悪魔に気に入られてしまい、付きまとわれている。
なんだよ、俺様の子猫ちゃんって!
私は神のものだ!
こんな奴には構っていられないと引き返そうとすると、「探し物はこれかな?」と持ち上げて見せたものは、まさしく私が探していた矢と弓だった。
「こんな大切な物落としちゃうなんておっちょこちょいなんだから、撫子ちゃん」
「煩いわね!いいから返してよ!」
「撫子ちゃん、悪魔へのおねだりの仕方は知ってるでしょ?せめて、キスぐらいしてよ」
「天使は悪魔に屈したりしない!」
断固として拒絶すると、案外あっさり「じゃあ、いいや。返してあげる」て言うのだから拍子抜けだ。
じゃあ、と佐助から矢と弓を受け取ろうとするが、動けない。
足元を見ると、結界陣が張ってあった。
「なっ!」
まったく身動きがとれず、どういう事だと佐助の方を向くと、弓を引き矢を構えていた。
「動かないでね、撫子ちゃん」
「やめっ……!」
私の制止など無意味に終わり、勢いよく放たれた矢は一直線に私の心臓へ向かい、そしてそのまま私をすり抜けて背後にいた人間に刺さった。
嫌な汗をかいた。
心臓が喧しい程に脈打っている。
「ちぇっ。やっぱり霊体の天使には刺さらないか」
「な……、なんて事するのよ!もし刺さったらどうするつもりだったのよ!」
「そりゃ、俺様に惚れた撫子ちゃんをドロッドロに甘やかして堕天させるつもりだったに決まってるじゃん」
「堕天?!冗談やめてよ!」
「冗談じゃないよ。俺様と撫子ちゃんは運命の黒い糸で繋がってるんだ。だから、絶対堕天させてあげるから待っててね?」
私に矢と弓を投げわたし、妖艶に微笑み「今日は逃がしてあげるよ、俺様の子猫ちゃん」と言って帰っていった。
とんでもない奴に目を付けられたと戦々恐々としながら天界へと帰り、上司に泣きながら外回りをやめさせてもらった。
毎年この時期になると恋のキューピッド科から助っ人を要請される。
なぜ人員を増やさないのか。
まあ、毎年やっているから慣れたもんなのだが、どういう訳か私の任された地域のカップルが、くっつけては別のカップルが別れ、くっつけてはまた他のカップルが別れを繰り返してくれたので、地区カップル率ノルマが達成できなかった。
しかも、疲れからキューピッドの矢と弓を落とすという失態もしてしまった。
人間に拾われていないことを祈りながら探していると、前方に黒い影が。
「げぇぇぇ!佐助!」
「やっほー、俺様の子猫ちゃん」
悪魔の佐助が嬉しそうに手をふっているが、こちとら全然嬉しくない。
なんだか知らないが、最近この悪魔に気に入られてしまい、付きまとわれている。
なんだよ、俺様の子猫ちゃんって!
私は神のものだ!
こんな奴には構っていられないと引き返そうとすると、「探し物はこれかな?」と持ち上げて見せたものは、まさしく私が探していた矢と弓だった。
「こんな大切な物落としちゃうなんておっちょこちょいなんだから、撫子ちゃん」
「煩いわね!いいから返してよ!」
「撫子ちゃん、悪魔へのおねだりの仕方は知ってるでしょ?せめて、キスぐらいしてよ」
「天使は悪魔に屈したりしない!」
断固として拒絶すると、案外あっさり「じゃあ、いいや。返してあげる」て言うのだから拍子抜けだ。
じゃあ、と佐助から矢と弓を受け取ろうとするが、動けない。
足元を見ると、結界陣が張ってあった。
「なっ!」
まったく身動きがとれず、どういう事だと佐助の方を向くと、弓を引き矢を構えていた。
「動かないでね、撫子ちゃん」
「やめっ……!」
私の制止など無意味に終わり、勢いよく放たれた矢は一直線に私の心臓へ向かい、そしてそのまま私をすり抜けて背後にいた人間に刺さった。
嫌な汗をかいた。
心臓が喧しい程に脈打っている。
「ちぇっ。やっぱり霊体の天使には刺さらないか」
「な……、なんて事するのよ!もし刺さったらどうするつもりだったのよ!」
「そりゃ、俺様に惚れた撫子ちゃんをドロッドロに甘やかして堕天させるつもりだったに決まってるじゃん」
「堕天?!冗談やめてよ!」
「冗談じゃないよ。俺様と撫子ちゃんは運命の黒い糸で繋がってるんだ。だから、絶対堕天させてあげるから待っててね?」
私に矢と弓を投げわたし、妖艶に微笑み「今日は逃がしてあげるよ、俺様の子猫ちゃん」と言って帰っていった。
とんでもない奴に目を付けられたと戦々恐々としながら天界へと帰り、上司に泣きながら外回りをやめさせてもらった。