criminal
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服をどうしたものかと悩んだが、変に気合いが入った服を選んだ場合、アランに「意識してくれてるのかい?」とからかわれるのが目に見えているので、いつも通りの服を選択した。
まぁ、別にデートというわけでもない。
ただ従兄と出かける、それも監視のようなものだろうし、気合いをいれてもしかたないしね。
などと、誰に言い訳してるんだって内容を手を振り思考から追い払い、キッチンに立つ。
ヴェデッドが用意してくれた食材を手にとり、今日の朝食の段取りだてをしている時にふと気になったのだが、アランは私が来るまで朝はどうしていたんだろう。
子供の頃は朝食をとっていたが、いまもそうかと聞かれると知らない、としか言いようがない。
なんだか不健康そうな生活を送っているし、もしや、もしや、朝はたべない派だが私に気をつかって食べてくれていたのでは?
そんな仮定に、まずったかなぁ、と唸っていたら「おはよう、アーティア」と、アランが起きてきた。
チラリと視線だけで格好を確認すれば、ラフ過ぎず、かといって気後れするほどフォーマルでもない。
程よい大人の男の格好で、内心「ヤバい、外した」と若干焦った。
これでは完全に、小学生の娘と娘の休日に付き合う父親になってしまう。
「……まぁ、いいか」
結局はデートではない、ただのお出かけなんだし。
「なにがだい?」
「なんでもないよ。おはよう、アラン」
「気になるな……。なにが、まあ、いいんだい?」
なおも追及してくるアランに、「なんでもないってば」と返すも疑いの目を向けてくる。
疑り深い男だな。
「それよりさ、アランは今まで朝食どうしてたの?」
「話題をそらしたな……。どうしてたもなにも、ヴェデッドにお願いしてたよ」
「え?でも、ヴェデッド朝来てないけど。作り置き?」
「いいや。今までは朝九時に来てもらってたけど、アーティアが朝ご飯作ってくれるからってことで、遅く来て貰ったんだ」
「そ、それはつまり、私はヴェデッドの仕事をとってしまったってこと……?!」
「あぁ、大丈夫だよ。給金は据え置きだから。俺がアーティアと二人でいたいってワガママでお願いしたわけだし」
のほほんとした笑顔をむけられているが、そうじゃない。そうじゃないんだ、アラン。
ヴェデッドの仕事を奪ってしまったということも気にはしているが、彼女の美味しい朝食から私の趣味に毛が生えた程度の朝食へランクダウンしてしまったのが嫌なんだ。
あと、私もヴェデッドの朝ごはん食べたい!
「やっぱり、プロに任せた方がいいんじゃない?」
コトリ、とアランの前へ朝食を並べヴェデッド復帰を提案するも、叱られた小学生のようなしょんぼり顔で「君が……それを望むなら……。構わないよ……」と言われて素直に望めるか。
「アラン……。それ、わざとやってるでしょ……」
「それって?」
「私の罪悪感を抉る表情。その顔すれば、私が意見変えるとお思い?」
名推理とばかりに指摘して見せるが、アランは目を丸くして「そんな顔してたかい?」と身に覚えがないご様子。
いい歳した伊達男が意識せずにあんな顔をしたと判明したのだ、「無意識か!反則だ!」と声をあげてしまったのは致し方ない行為だと思う。
はしたないので、反省すべきではあるが。
「くっ……!アラン、言いたいことがあるなら言って頂戴」
「別にないよ。アーティアが朝食を作ることが負担なら、俺は構わないさ」
「アラン。そうやって自分の本心を隠すのはやめて。あなたの悪い癖よ。私がそれをされるの、嫌いなの知ってるでしょ?」
少し喧嘩腰になってしまったな、と反省して「違うの。アランの気持ちが聞きたいの」と訂正しようとしたが、満面の笑みを向けられていては悪寒が背筋に走ってしまう。
その笑顔は怒ってるの?
それとも、本当に笑ってるだけ?
恐る恐る、「なんで笑ってるの?」と尋ねれば、「思い出し笑い」と。
「アーティアは、俺が本心隠すといっつも不安そうに『無理してない?』て言って袖掴んでたなって思い出してね」
「あー……あったね……」
恥ずかしいので、あまり自分の子供時代の話は持ち出してほしくないのだが……。
「じゃあ、無理せず話してくれませんか。アランお兄ちゃん?」
「都合のいい時だけお兄ちゃんはずるくないか?」
「いいじゃない、別に」
「言ってもいいが、さっきの『まぁ、いいか』がなんだったか君も話してくれよ?」
「いいよ。たいしたことじゃないし」
「なら言うが、俺としてはこのままでいいと思ってる。だってそうだろ?どんな料理も、君が作ったという最高の隠し味には敵わないさ」
なに言ってるんだ、お前。というセリフがでてきそうになったが、なんとか飲み込み「相変わらず口が上手い」と別の言葉で誤魔化す。
アランのこういう甘い言葉も最初こそ嬉しいのだが、耐性がつくと鼻で嗤ってしまいそうになるから、あまり不意に言わないでほしい。
「本心だよ。だから、このままじゃダメか?」
「アランがそうしたいなら反対はしないよ。私のはただの提案だから」
「じゃあ、今度はアーティアの番だ。なにが、“まぁ、いいか”なんだい?」
「別に。この服装で並ぶと親子っぽいから着替えようかなって思ったけど、ただ出かけるだけだし“まぁ、いいか”て言っただけ」
ね?たいした理由じゃないでしょ?と言えば、クスクス笑いながら「その体じゃ、たぶんなにを着ても親子にしか見えないよ」と言われ、人が気にしてることを……!と腹がたったので、アランのお皿からウインナーを奪う。
「俺のことは気にせず、好きな格好をすればいいよ。それに、違う服を着せたかったら出先で買うさ」
「発想が金持ち」
ライブラは随分と金回りがいいようだ。
まぁ、別にデートというわけでもない。
ただ従兄と出かける、それも監視のようなものだろうし、気合いをいれてもしかたないしね。
などと、誰に言い訳してるんだって内容を手を振り思考から追い払い、キッチンに立つ。
ヴェデッドが用意してくれた食材を手にとり、今日の朝食の段取りだてをしている時にふと気になったのだが、アランは私が来るまで朝はどうしていたんだろう。
子供の頃は朝食をとっていたが、いまもそうかと聞かれると知らない、としか言いようがない。
なんだか不健康そうな生活を送っているし、もしや、もしや、朝はたべない派だが私に気をつかって食べてくれていたのでは?
そんな仮定に、まずったかなぁ、と唸っていたら「おはよう、アーティア」と、アランが起きてきた。
チラリと視線だけで格好を確認すれば、ラフ過ぎず、かといって気後れするほどフォーマルでもない。
程よい大人の男の格好で、内心「ヤバい、外した」と若干焦った。
これでは完全に、小学生の娘と娘の休日に付き合う父親になってしまう。
「……まぁ、いいか」
結局はデートではない、ただのお出かけなんだし。
「なにがだい?」
「なんでもないよ。おはよう、アラン」
「気になるな……。なにが、まあ、いいんだい?」
なおも追及してくるアランに、「なんでもないってば」と返すも疑いの目を向けてくる。
疑り深い男だな。
「それよりさ、アランは今まで朝食どうしてたの?」
「話題をそらしたな……。どうしてたもなにも、ヴェデッドにお願いしてたよ」
「え?でも、ヴェデッド朝来てないけど。作り置き?」
「いいや。今までは朝九時に来てもらってたけど、アーティアが朝ご飯作ってくれるからってことで、遅く来て貰ったんだ」
「そ、それはつまり、私はヴェデッドの仕事をとってしまったってこと……?!」
「あぁ、大丈夫だよ。給金は据え置きだから。俺がアーティアと二人でいたいってワガママでお願いしたわけだし」
のほほんとした笑顔をむけられているが、そうじゃない。そうじゃないんだ、アラン。
ヴェデッドの仕事を奪ってしまったということも気にはしているが、彼女の美味しい朝食から私の趣味に毛が生えた程度の朝食へランクダウンしてしまったのが嫌なんだ。
あと、私もヴェデッドの朝ごはん食べたい!
「やっぱり、プロに任せた方がいいんじゃない?」
コトリ、とアランの前へ朝食を並べヴェデッド復帰を提案するも、叱られた小学生のようなしょんぼり顔で「君が……それを望むなら……。構わないよ……」と言われて素直に望めるか。
「アラン……。それ、わざとやってるでしょ……」
「それって?」
「私の罪悪感を抉る表情。その顔すれば、私が意見変えるとお思い?」
名推理とばかりに指摘して見せるが、アランは目を丸くして「そんな顔してたかい?」と身に覚えがないご様子。
いい歳した伊達男が意識せずにあんな顔をしたと判明したのだ、「無意識か!反則だ!」と声をあげてしまったのは致し方ない行為だと思う。
はしたないので、反省すべきではあるが。
「くっ……!アラン、言いたいことがあるなら言って頂戴」
「別にないよ。アーティアが朝食を作ることが負担なら、俺は構わないさ」
「アラン。そうやって自分の本心を隠すのはやめて。あなたの悪い癖よ。私がそれをされるの、嫌いなの知ってるでしょ?」
少し喧嘩腰になってしまったな、と反省して「違うの。アランの気持ちが聞きたいの」と訂正しようとしたが、満面の笑みを向けられていては悪寒が背筋に走ってしまう。
その笑顔は怒ってるの?
それとも、本当に笑ってるだけ?
恐る恐る、「なんで笑ってるの?」と尋ねれば、「思い出し笑い」と。
「アーティアは、俺が本心隠すといっつも不安そうに『無理してない?』て言って袖掴んでたなって思い出してね」
「あー……あったね……」
恥ずかしいので、あまり自分の子供時代の話は持ち出してほしくないのだが……。
「じゃあ、無理せず話してくれませんか。アランお兄ちゃん?」
「都合のいい時だけお兄ちゃんはずるくないか?」
「いいじゃない、別に」
「言ってもいいが、さっきの『まぁ、いいか』がなんだったか君も話してくれよ?」
「いいよ。たいしたことじゃないし」
「なら言うが、俺としてはこのままでいいと思ってる。だってそうだろ?どんな料理も、君が作ったという最高の隠し味には敵わないさ」
なに言ってるんだ、お前。というセリフがでてきそうになったが、なんとか飲み込み「相変わらず口が上手い」と別の言葉で誤魔化す。
アランのこういう甘い言葉も最初こそ嬉しいのだが、耐性がつくと鼻で嗤ってしまいそうになるから、あまり不意に言わないでほしい。
「本心だよ。だから、このままじゃダメか?」
「アランがそうしたいなら反対はしないよ。私のはただの提案だから」
「じゃあ、今度はアーティアの番だ。なにが、“まぁ、いいか”なんだい?」
「別に。この服装で並ぶと親子っぽいから着替えようかなって思ったけど、ただ出かけるだけだし“まぁ、いいか”て言っただけ」
ね?たいした理由じゃないでしょ?と言えば、クスクス笑いながら「その体じゃ、たぶんなにを着ても親子にしか見えないよ」と言われ、人が気にしてることを……!と腹がたったので、アランのお皿からウインナーを奪う。
「俺のことは気にせず、好きな格好をすればいいよ。それに、違う服を着せたかったら出先で買うさ」
「発想が金持ち」
ライブラは随分と金回りがいいようだ。