criminal
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スティーブンさんの機嫌がすこぶるいい。
ザップさんのアホバカ失態を「しょうがないやつだ」と笑って受け流し、作戦会議中のK・Kさんの嫌味も「K・K、それはあとで聞くよ」と笑って許す。
機嫌は悪くないが、それがかえって気味が悪くK・Kさんとザップさんが警戒して事務所に寄り付かなくなった。
スティーブンさん曰く、「帰ったらアーティアがいるかと思うと、大体のことが許せる」らしい。
生ハムの原木が家にある人みたいな言い方だ。
「まぁ、と言っても。夜は帰るのが遅いから、先に寝てもらっている所為で朝に少ししか話せないんだけどな」
残念そうに笑うスティーブンさんに、「それじゃあ、寂しいんじゃないですか?」と聞けば「いまは寝顔が見られるだけで十分さ」と言うが、俺が気にしているのはスティーブンさんじゃないんだよな。
「そうじゃなくて、アーティアさんがっすよ。知らない土地で不安とかもあるんじゃないっすか?」
「そういうタイプの子じゃないから、どうだろう。ヴェデッドもいるし」
一切心配する様子のないスティーブンさんに、大丈夫かな、という不安が過った。
ミシェーラも、「大丈夫よ、心配しないで」と言って心配させないようにしてくれたりするので、もしかしたら言わないだけで内心は違うのではと、お節介なことを考えてしまう。
だが、そこまで突っ込んでいいものかと悩んでいると、「一度、本人に聞いてみた方がいいと思いますよ」とツェッドさんが話に入ってきた。
「会いたかった人としたい話と、新しく出会った人とする話は違いますし、この街でアーティアさんが頼れるのはスティーブンさんだけなら、心細い思いをしていないとは限りません」
世界で一人歴の長いツェッドさんの言葉にさすがのスティーブンさんも考えを変えたのか、「そこまで言うなら、ちょっと電話してみるよ」と言った。
「あぁ、もしもし。アーティア。アランだ。いや、少し声が聞きたくてね。どうだ、なにか困ったことはないか?……だと思ったよ」
可愛い子供の無邪気な発言に微笑む親のような顔をしながら話を切り上げようとしたから、ツェッドさんと一緒に「もっと話して!」とジェスチャーと口パクで催促すれば、渋い顔をしながらも「僕としては寂しい、なんて言ってくれたら嬉しかったんだけどね」と、大人の余裕で甘い言葉をかける。
しかし一瞬にして大人の余裕は凍結し、「うん……?うん……うん……そ、そうか……。あ、あぁ、ありがとう……」としどろもどろになりながら電話を切った。
そこから数秒ケータイを見つめたかと思うと、顔を覆い深い溜め息を吐きうろうろと歩き回り始め、ツェッドさんと「どうしたんすかね……」とひそひそ話ながら見守っていたら、唐突に「レオナルド!俺を殴ってくれ!」と叫んだ。
「はっ?!なんで?!」
「お前に殴られれば、怒りで理性を取り戻せる気がする!」
「怒りで理性を取り戻すってなに?!嫌っすよ!」
「ごちゃごちゃ言わずに殴れ!」
鬼気迫る表情で詰め寄ってくるスティーブンさんだったが、クラウスさんに肩を押さえられ「落ち着きたまえ、スティーブン。なにがあった」と言葉で理性を取り戻す方法を試みる。
促されるままソファーに座りギルベルトさんのコーヒーを飲んで、ようやく会話可能レベルまでスティーブンさんは落ち着いた。
「それで、アーティアさんとの電話でなにが?」
「理性なくすくらい、ヤバいこと言われたんすか?」
ツェッドさんと俺の質問に、たっぷり間を置いてから「笑ったらただじゃおかないぞ」と前置きをし、話始めた。
「予想通り、アーティアは最初こそ『別にー。なにも困ってないけど』と言っていた」
「あぁ、最初のあのやり取りっすね。で?」
「お前らが煽るから追撃したらだな……」
『やだなぁ、寂しくないわけないじゃん。せっかく会えたから、もっと話せるかなってこっちは期待してたんだから。けど、それ言って気をつかったり、時間作ってくれなんて言うほど子供じゃないもん。世界の為にがんばってるわけなんだし。私の方は気にしないで、お仕事がんばってね』
「そんなことを言われて、俺が一ヶ月くらい君を連れてバカンスに行きたいと思わないわけないだろ!」
ローテーブルを叩き主張されるのろけに、「これ、どこまで付き合えば?」となってしまった。
相変わらずの従妹可愛いムーヴである。
「従妹が可愛いからなんて理由で、世界を蔑ろにするなんてあってはならない……!ならないんだが……!」
苦悩しながらソファーに倒れ込むスティーブンさんに、クラウスさんが「聞いてくれ、スティーブン」と世界の命運を語るかのような口振りで話しかける。
「一ヶ月、君がいなくなられるのは困る。しかし、君が愛する人と数日過ごす程度の時間は我々が君に変わることは可能だ」
「クラウス……それはつまり……」
「休みたまえ、スティーブン。そして、いますぐ会いに行くのだ」
「すまない、クラウス……!一週間休ませてもらう……!」
すまないと言っている割には機敏な身のこなしで帰って行くスティーブンさんの後ろ姿からは、浮き足だっているのが見てとれた。
嬉しそうだなぁ。
ザップさんのアホバカ失態を「しょうがないやつだ」と笑って受け流し、作戦会議中のK・Kさんの嫌味も「K・K、それはあとで聞くよ」と笑って許す。
機嫌は悪くないが、それがかえって気味が悪くK・Kさんとザップさんが警戒して事務所に寄り付かなくなった。
スティーブンさん曰く、「帰ったらアーティアがいるかと思うと、大体のことが許せる」らしい。
生ハムの原木が家にある人みたいな言い方だ。
「まぁ、と言っても。夜は帰るのが遅いから、先に寝てもらっている所為で朝に少ししか話せないんだけどな」
残念そうに笑うスティーブンさんに、「それじゃあ、寂しいんじゃないですか?」と聞けば「いまは寝顔が見られるだけで十分さ」と言うが、俺が気にしているのはスティーブンさんじゃないんだよな。
「そうじゃなくて、アーティアさんがっすよ。知らない土地で不安とかもあるんじゃないっすか?」
「そういうタイプの子じゃないから、どうだろう。ヴェデッドもいるし」
一切心配する様子のないスティーブンさんに、大丈夫かな、という不安が過った。
ミシェーラも、「大丈夫よ、心配しないで」と言って心配させないようにしてくれたりするので、もしかしたら言わないだけで内心は違うのではと、お節介なことを考えてしまう。
だが、そこまで突っ込んでいいものかと悩んでいると、「一度、本人に聞いてみた方がいいと思いますよ」とツェッドさんが話に入ってきた。
「会いたかった人としたい話と、新しく出会った人とする話は違いますし、この街でアーティアさんが頼れるのはスティーブンさんだけなら、心細い思いをしていないとは限りません」
世界で一人歴の長いツェッドさんの言葉にさすがのスティーブンさんも考えを変えたのか、「そこまで言うなら、ちょっと電話してみるよ」と言った。
「あぁ、もしもし。アーティア。アランだ。いや、少し声が聞きたくてね。どうだ、なにか困ったことはないか?……だと思ったよ」
可愛い子供の無邪気な発言に微笑む親のような顔をしながら話を切り上げようとしたから、ツェッドさんと一緒に「もっと話して!」とジェスチャーと口パクで催促すれば、渋い顔をしながらも「僕としては寂しい、なんて言ってくれたら嬉しかったんだけどね」と、大人の余裕で甘い言葉をかける。
しかし一瞬にして大人の余裕は凍結し、「うん……?うん……うん……そ、そうか……。あ、あぁ、ありがとう……」としどろもどろになりながら電話を切った。
そこから数秒ケータイを見つめたかと思うと、顔を覆い深い溜め息を吐きうろうろと歩き回り始め、ツェッドさんと「どうしたんすかね……」とひそひそ話ながら見守っていたら、唐突に「レオナルド!俺を殴ってくれ!」と叫んだ。
「はっ?!なんで?!」
「お前に殴られれば、怒りで理性を取り戻せる気がする!」
「怒りで理性を取り戻すってなに?!嫌っすよ!」
「ごちゃごちゃ言わずに殴れ!」
鬼気迫る表情で詰め寄ってくるスティーブンさんだったが、クラウスさんに肩を押さえられ「落ち着きたまえ、スティーブン。なにがあった」と言葉で理性を取り戻す方法を試みる。
促されるままソファーに座りギルベルトさんのコーヒーを飲んで、ようやく会話可能レベルまでスティーブンさんは落ち着いた。
「それで、アーティアさんとの電話でなにが?」
「理性なくすくらい、ヤバいこと言われたんすか?」
ツェッドさんと俺の質問に、たっぷり間を置いてから「笑ったらただじゃおかないぞ」と前置きをし、話始めた。
「予想通り、アーティアは最初こそ『別にー。なにも困ってないけど』と言っていた」
「あぁ、最初のあのやり取りっすね。で?」
「お前らが煽るから追撃したらだな……」
『やだなぁ、寂しくないわけないじゃん。せっかく会えたから、もっと話せるかなってこっちは期待してたんだから。けど、それ言って気をつかったり、時間作ってくれなんて言うほど子供じゃないもん。世界の為にがんばってるわけなんだし。私の方は気にしないで、お仕事がんばってね』
「そんなことを言われて、俺が一ヶ月くらい君を連れてバカンスに行きたいと思わないわけないだろ!」
ローテーブルを叩き主張されるのろけに、「これ、どこまで付き合えば?」となってしまった。
相変わらずの従妹可愛いムーヴである。
「従妹が可愛いからなんて理由で、世界を蔑ろにするなんてあってはならない……!ならないんだが……!」
苦悩しながらソファーに倒れ込むスティーブンさんに、クラウスさんが「聞いてくれ、スティーブン」と世界の命運を語るかのような口振りで話しかける。
「一ヶ月、君がいなくなられるのは困る。しかし、君が愛する人と数日過ごす程度の時間は我々が君に変わることは可能だ」
「クラウス……それはつまり……」
「休みたまえ、スティーブン。そして、いますぐ会いに行くのだ」
「すまない、クラウス……!一週間休ませてもらう……!」
すまないと言っている割には機敏な身のこなしで帰って行くスティーブンさんの後ろ姿からは、浮き足だっているのが見てとれた。
嬉しそうだなぁ。