criminal
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久しぶりのアランなしの休日に浮き足だって街を歩き回っていたら、路地裏から「なぁ、嬢ちゃん?いいだろ?その高そうな財布くれれよ」と、テンプレートなカツアゲの声が聞こえてきた。
路地裏を覗けば、図体のでかい人間たちしか見えないが、確かに「うっさいわねぇ~!」という女の子の声がする。
見て見ぬふりも気分が悪く、「そこまでにしなさいよ」と声をかければ暴漢共が振り向き、卑下た笑みを浮かべ近付いてきた。
「なんだい、お姉ちゃん。正義のヒーロー気取りか?」
「それとも、その可愛いお口でご奉仕してくれるお誘いかな?」
あまり会話したくないから、歯でも叩き折れば黙るかしら?と思っていのだが、まばたきひとつの間に目の前で暴漢がカプレーゼになった。
返り血を浴びないように後退すれば、ポニーテールにゴシック調のドレスを身にまとった少女が「ちょ~うざいんですけど~!」と憤っていた。
「偏執王アリギュラ……」
死体を間に挟み、アリギュラは私を指差し「あ~!氷の優男のヒヨコだ~!」と嬉しそうに言う。
ヒヨコ?!
たしかにいつもアランの後ろにくっついて動いていたが、ヒヨコだなんて……。
死体を避けて私の側に駆け寄り、「なぁにぃ?アタシのこと、助けようとしてくれたの~?」と、ニヤニヤしながら聞いてくるので「ま、まあ」と苦笑いをしながら肯定する。
「その必要はなさそうだったみたいね」
「あったりまえでしょ~!アタシを誰だと思ってるわけ~?」
「偏執王アリギュラよね」
「そうよぉ。これくらい、ちょちょいのちょいなんだから~!」
そうだろうな、と足元のカプレーゼになってしまった死体を口角を引きつらせながら、チラ見する。
まさか、この街でアリギュラからカツアゲしようとするバカがいるとは思わなかったのだから、仕方がない話だろう。
「けど、やっぱり女の子が絡まれてるのは見過ごせないから、貴方だと知っても声をかけていたかも」
その素敵なドレスが汚れるの、見たくないもの。
そう言うと、アリギュラはにたぁ、と笑い「なにそれぇ?王子様みたい~!」とはしゃぎ始めた。
「でもぉ、アタシそういう趣味はないのよね~」
「私も同性はなぁ……」
「あぁ~!そうだ!いまから恋ばなしなぁい?」
飛躍的に明後日の方向に飛んでいった、提案という名の強制恋ばなに冷や汗が止まらない。
アリギュラと休日を共にするなんて、平穏で自由な今日という貴重な休日がなくなるも同義。
なんとか回避せねば、と「私にも予定があるから……」と言い訳をして逃げようとしたが、「予定ってなによ~!アタシとの恋ばなより大切な予定なんてあるわけ~?」と、面倒な女みたいに詰め寄ってくる。
「言ってみなさいよ~!」
「ないです!ないから、その物騒な兵器向けないで!」
暴漢をカプレーゼにした兵器を向けられたら、予定があってもないと言うしかないじゃない!
私の回答に満足そうに笑みを浮かべ、「ならぁ、ついてきなさぁい!」と、アリギュラが私の手を引いて連れて行ったのは、超がつくほどの高級ホテルのラウンジ。
目の前に並べられた高そうなアフタヌーンティーに、「こんな場所で恋ばなか」と神妙な顔になる。
「それでぇ?あるんでしょ、恋ばなぁ!氷の優男との~!」
「どこから話せばいいの?」
諦めてマカロンをつまみながら聞けば、「最初からに決まってるじゃなぁい!」と言われ、長丁場を覚悟した。
「最初からってなると、五歳の時からになるけど」
「なにそれ~!どんな関係なわけ~?」
「どんなって、従兄よ。昔から外面のいい完璧人間で、最初は本当に気にくわなかったわ」
「いいわね、いいわね~!最悪の出会いからの愛~!それから、どうやって愛が芽生えたの~!」
前のめりで話の続きを促してくるので、古い恥ずかしい記憶を引っ張りだす。
「えっと……そうね……。一緒に寝た時にあったかかったからかしら……」
「どういうこと?」
「子供の時、祖父母の家に夏休みの時だけ泊まりに行っていたのだけど、ゲストルームのベッドがひとつしかなくて、一緒に寝てたのよ」
誰かと一緒に寝たことなんてなくて、広い部屋は暖かい毛布にくるまっても寒くて仕方がなかった。
夜は気持ちが弱くなるから嫌いだったけど、夏の夜はアランが隣にいて暖かくて、不安な時は「大丈夫だよ」と言って抱き締めてくれた。
「それが嬉しかったのよね」
「それで好きになったわけ~?」
「チョロすぎて笑えるでしょ?」
「いいんじゃなぁい?アタシは好きよ~!そういう夏だけの恋みたいなの~!」
はしゃぐアリギュラに「ありがとう」と言えば、「もっとあるんでしょ~?」と寝物語の続きを急かしてくる子供のようにねだられ、アリギュラ好みそうな思い出話をしたり、アリギュラの狂気の恋愛話なんかに花を咲かせていたら、あっという間に夕方になっていた。
「そろそろ帰るわね」
「え~!なんでよ~!もっと聞かせなさいよ~!」
「夕食はアランと一緒にとる約束をしてるの」
「なら……仕方ないわね~」
まだ話足らず不満そうなアリギュラに、「また話しましょう」と言ったら、きょとんとした顔をしたが、すぐににやっ、と笑い「その時は、買い物にも付き合いなさいよ~!」と新たな要望を追加された。
「あんたに似合うドレス、見繕ってあげるんだから~!」
「それは楽しみ。じゃあ、またねアリギュラ」
「またね~!」
手を振るアリギュラに手を振り返し、ホテルから出てケータイを確認すれば、アランから「いま、どこにいるかな?夕食は何が食べたい?」と連絡が来ていた。
アリギュラと甘酸っぱい初恋の話をしてしまった所為か、少し気恥ずかしくむず痒い気持ちになりながら「今日はトルティリャが食べたい気分」と返信したら、「お祖母ちゃんの手料理を思い出したのかな?」と小バカにしたような返事が来た。
「本当に可愛げのない男」
そういう所も、なんだかんだで好きなわけなのだが。
惚れた弱味というやつか。
「そうよ。だから、いいお店に案内してほしいわ」と送信すれば、すぐに「了解。君好みの店に連れていくよ」と返ってきた。
追記されていた待ち合わせ場所へ向かえば、すでにアランが待っていて「今日は早かったね」と嫌味を述べた。
「いつもだと、どこかで寄り道して遅れるのに」
「寄り道じゃないわよ。この街で弱者が絡まれずにいる方が難しいわよ」
「どの口で自分を弱者と言っているんだい」
そう言い、人の下唇を触る指に噛みつこうとしたが、さっ、とかわされた。
「休日はどうだった?」
「予定外のことはあったけど、楽しく過ごせたわ」
「そうか。あとで聞かせてくれ」
そう言い、私の手を取り店までエスコートする姿は、女の扱いになれている感じがして少し複雑な気持ちになった。
私の他にも、こうしてエスコートをするんだろうな、と思うとやはり少し独占欲が疼き嫉妬してしまう。
路地裏を覗けば、図体のでかい人間たちしか見えないが、確かに「うっさいわねぇ~!」という女の子の声がする。
見て見ぬふりも気分が悪く、「そこまでにしなさいよ」と声をかければ暴漢共が振り向き、卑下た笑みを浮かべ近付いてきた。
「なんだい、お姉ちゃん。正義のヒーロー気取りか?」
「それとも、その可愛いお口でご奉仕してくれるお誘いかな?」
あまり会話したくないから、歯でも叩き折れば黙るかしら?と思っていのだが、まばたきひとつの間に目の前で暴漢がカプレーゼになった。
返り血を浴びないように後退すれば、ポニーテールにゴシック調のドレスを身にまとった少女が「ちょ~うざいんですけど~!」と憤っていた。
「偏執王アリギュラ……」
死体を間に挟み、アリギュラは私を指差し「あ~!氷の優男のヒヨコだ~!」と嬉しそうに言う。
ヒヨコ?!
たしかにいつもアランの後ろにくっついて動いていたが、ヒヨコだなんて……。
死体を避けて私の側に駆け寄り、「なぁにぃ?アタシのこと、助けようとしてくれたの~?」と、ニヤニヤしながら聞いてくるので「ま、まあ」と苦笑いをしながら肯定する。
「その必要はなさそうだったみたいね」
「あったりまえでしょ~!アタシを誰だと思ってるわけ~?」
「偏執王アリギュラよね」
「そうよぉ。これくらい、ちょちょいのちょいなんだから~!」
そうだろうな、と足元のカプレーゼになってしまった死体を口角を引きつらせながら、チラ見する。
まさか、この街でアリギュラからカツアゲしようとするバカがいるとは思わなかったのだから、仕方がない話だろう。
「けど、やっぱり女の子が絡まれてるのは見過ごせないから、貴方だと知っても声をかけていたかも」
その素敵なドレスが汚れるの、見たくないもの。
そう言うと、アリギュラはにたぁ、と笑い「なにそれぇ?王子様みたい~!」とはしゃぎ始めた。
「でもぉ、アタシそういう趣味はないのよね~」
「私も同性はなぁ……」
「あぁ~!そうだ!いまから恋ばなしなぁい?」
飛躍的に明後日の方向に飛んでいった、提案という名の強制恋ばなに冷や汗が止まらない。
アリギュラと休日を共にするなんて、平穏で自由な今日という貴重な休日がなくなるも同義。
なんとか回避せねば、と「私にも予定があるから……」と言い訳をして逃げようとしたが、「予定ってなによ~!アタシとの恋ばなより大切な予定なんてあるわけ~?」と、面倒な女みたいに詰め寄ってくる。
「言ってみなさいよ~!」
「ないです!ないから、その物騒な兵器向けないで!」
暴漢をカプレーゼにした兵器を向けられたら、予定があってもないと言うしかないじゃない!
私の回答に満足そうに笑みを浮かべ、「ならぁ、ついてきなさぁい!」と、アリギュラが私の手を引いて連れて行ったのは、超がつくほどの高級ホテルのラウンジ。
目の前に並べられた高そうなアフタヌーンティーに、「こんな場所で恋ばなか」と神妙な顔になる。
「それでぇ?あるんでしょ、恋ばなぁ!氷の優男との~!」
「どこから話せばいいの?」
諦めてマカロンをつまみながら聞けば、「最初からに決まってるじゃなぁい!」と言われ、長丁場を覚悟した。
「最初からってなると、五歳の時からになるけど」
「なにそれ~!どんな関係なわけ~?」
「どんなって、従兄よ。昔から外面のいい完璧人間で、最初は本当に気にくわなかったわ」
「いいわね、いいわね~!最悪の出会いからの愛~!それから、どうやって愛が芽生えたの~!」
前のめりで話の続きを促してくるので、古い恥ずかしい記憶を引っ張りだす。
「えっと……そうね……。一緒に寝た時にあったかかったからかしら……」
「どういうこと?」
「子供の時、祖父母の家に夏休みの時だけ泊まりに行っていたのだけど、ゲストルームのベッドがひとつしかなくて、一緒に寝てたのよ」
誰かと一緒に寝たことなんてなくて、広い部屋は暖かい毛布にくるまっても寒くて仕方がなかった。
夜は気持ちが弱くなるから嫌いだったけど、夏の夜はアランが隣にいて暖かくて、不安な時は「大丈夫だよ」と言って抱き締めてくれた。
「それが嬉しかったのよね」
「それで好きになったわけ~?」
「チョロすぎて笑えるでしょ?」
「いいんじゃなぁい?アタシは好きよ~!そういう夏だけの恋みたいなの~!」
はしゃぐアリギュラに「ありがとう」と言えば、「もっとあるんでしょ~?」と寝物語の続きを急かしてくる子供のようにねだられ、アリギュラ好みそうな思い出話をしたり、アリギュラの狂気の恋愛話なんかに花を咲かせていたら、あっという間に夕方になっていた。
「そろそろ帰るわね」
「え~!なんでよ~!もっと聞かせなさいよ~!」
「夕食はアランと一緒にとる約束をしてるの」
「なら……仕方ないわね~」
まだ話足らず不満そうなアリギュラに、「また話しましょう」と言ったら、きょとんとした顔をしたが、すぐににやっ、と笑い「その時は、買い物にも付き合いなさいよ~!」と新たな要望を追加された。
「あんたに似合うドレス、見繕ってあげるんだから~!」
「それは楽しみ。じゃあ、またねアリギュラ」
「またね~!」
手を振るアリギュラに手を振り返し、ホテルから出てケータイを確認すれば、アランから「いま、どこにいるかな?夕食は何が食べたい?」と連絡が来ていた。
アリギュラと甘酸っぱい初恋の話をしてしまった所為か、少し気恥ずかしくむず痒い気持ちになりながら「今日はトルティリャが食べたい気分」と返信したら、「お祖母ちゃんの手料理を思い出したのかな?」と小バカにしたような返事が来た。
「本当に可愛げのない男」
そういう所も、なんだかんだで好きなわけなのだが。
惚れた弱味というやつか。
「そうよ。だから、いいお店に案内してほしいわ」と送信すれば、すぐに「了解。君好みの店に連れていくよ」と返ってきた。
追記されていた待ち合わせ場所へ向かえば、すでにアランが待っていて「今日は早かったね」と嫌味を述べた。
「いつもだと、どこかで寄り道して遅れるのに」
「寄り道じゃないわよ。この街で弱者が絡まれずにいる方が難しいわよ」
「どの口で自分を弱者と言っているんだい」
そう言い、人の下唇を触る指に噛みつこうとしたが、さっ、とかわされた。
「休日はどうだった?」
「予定外のことはあったけど、楽しく過ごせたわ」
「そうか。あとで聞かせてくれ」
そう言い、私の手を取り店までエスコートする姿は、女の扱いになれている感じがして少し複雑な気持ちになった。
私の他にも、こうしてエスコートをするんだろうな、と思うとやはり少し独占欲が疼き嫉妬してしまう。