criminal
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「アーティアさんの歓迎会するっすよ!」
なんだかんだとバタバタして有耶無耶になりかけていたアーティアの歓迎会の詳細チラシを、レオが朝から配っていた。
最後にと、アーティアにチラシをわたし「楽しみにしててくださいね」とレオが言えば、アーティアは嬉しそうに表情を緩め「はい」と返事をした。
あ、少年ずるい。とは思うものの、アーティアが喜んでいるのに水をさすのはやめよう。
あとで顰蹙を買いそうだし。
「すみません、レオナルドさん。せっかく面倒な条件で探してもらっていたのに」
「大丈夫っすよ。見つけるのには苦労しなかったですし、ノンアルコール縛りをアルコールありに変更しただけですから」
「アルコールのことまで気にかけてくれてたんですか?!そんな、気にせず皆さんだけでも飲んでくれたらよかったのに……」
申し訳なさそうにするアーティアに、レオは「いや、酒はいると未成年とか関係なく、飲ませようとしてくる連中がいるんで。店が南極になるのは勘弁っす」と言う。
「うちのアデリーペンギンがご迷惑を……」
「アーティアー。僕はアデリーペンギンでもないし、迷惑はかけてないぞー」
俺の抗議など無視して「楽しみにしてますね」と言うアーティアに、「そもそも、君。アルコール飲めるのか?」と聞けば「さあ?」と一言。
「いままで子供でしたし、飲んだことはないですから」
「ふーん。じゃあ、子供舌のアーティアに大人の味を覚えさせるチャンスってことか」
「大人の味じゃなくていいので、料理にあうお酒を教えてほしいです」
爛々と目を輝かせ、メニューを指差して「これにはなにが合いますか?」と頻りに聞いてくるから、肩透かしを食らった気分だ。
花より団子、俺への嫌味より食い気。
ちょっと悲しいよ、アーティア。
「ふふっ、パーティーが楽しみだなんて初めてです」
誕生日が待ちきれない子供のように興奮するアーティアに、そういえば、彼女が体験してきたパーティーはどれも退屈な物だったということを思い出した。
俺たちがするような飲んで騒いでというパーティーではなく、政治的意味合いのパーティー。
彼女に相談され、何度か一緒に参加したことはあるがつまらない以外の感想がなかったな。
「アーティアさんは、パーティーに出席した経験があるんですね」
ツェッドの質問に、「目立たないように立っていただけですが」とアーティアが答えれば、「お前が目立たないとか無理だろ」とザップからツッコミが入った。
その通りで、年々愛らしくなるアーティアが目立たないなんてことはなく、男連中に囲まれて困るとアーティアから相談を受け、彼女の両親を丸め込んで虫除け役を買ったものだ。
基本的に、俺とアーティアの組み合わせは割って入る余地を感じさせないようにしているので、遠巻きに見てくるだけで話しかけてくる者はいなかった。
まあ、うっかり離れると俺は女性に、アーティアは男に囲まれるので、アーティアは必死に俺から離れないようにくっついていて可愛らしかったな。
「歓迎会ってどんなことするんですか?」
「そりゃ、食べたり飲んだり踊ってお喋りして、て感じだな」
「踊り……」
ダンスと聞いて嫌な顔をするアーティアの手をとり「社交ダンスじゃないさ」と言いながら、即興のダンスを一緒に踊れば「こういうのなのね!」と楽しそうに乗ってきた。
相当楽しみなのか、今日は1日浮かれていたし最近増やした戦闘任務のキレがいつもよりよかった。
家に帰ってからも、チラシをずっと眺めて鼻唄を歌うほどに。
「楽しそうだね、アーティア」
「とっても楽しいわ。こっちに来てよかった。知らないことを沢山知れるんだもの」
「外聞を広げることはいいけど、あまり遠くに行かないでくれよ。寂しくなるから」
俺がそういうと、先のセカンドキスの一件以来あまり近付こうとしていなかったのに、二人掛けのソファーに座る俺の隣に座り寄りかかって来た。
「どうしたんだ」
「別に。アランの隣がやっぱり落ち着くだけ。それに、寂しいんでしょ」
「そういう可愛いことを言うと、悪いことをしたくなりそうだな」
「したらロウ警部補のところに駆け込むわ」
「それは困るけど、俺はずっとお預けくらっているんだが、いつになったらゴーと言ってくれるのかな」
俺が本気で夜の相手してほしい時はしてくれるんだろ?と耳元で囁けば、小馬鹿にした表情で「スティーブン・アラン・スターフェイズともあろう人が、小娘の戯れ言を本気にしたの?」と聞いてくるが、八割くらい期待していたんだけどな。
「ご助言通り、今後はそういう発言はやめるわよ」
「残念ではあるが、君こそ本気じゃないならそうしてくれ」
「はーい」
子供みたいな返事をしたアーティアの丸い頭を撫で、そうだ、と思い付く。
「ワイン、飲んでみるかい?」
秘蔵の美味しいワインを隠してあるんだ、と提案すれば、思案してから「飲むわ」と覚悟を決めた顔で乗ってきた。
そんな真剣な顔をするような提案をしたつもりはないんだが。
「師匠に言われたわ。初めてのお酒は、信頼できる身内と飲みなさいって」
「あぁ、最初は酔うとなにをするかわからないからね。けど、そんなに俺を信頼していいのか?俺は君が酔っていようと、誘いには乗るよ」
「馬鹿ね!私がそんな酔い方するわけないじゃない!」
酔ったこともないのに、よくまあ、そんな大口が叩けるなと感心する。
「なら、そうなった時は覚悟してくれよ」
「好きにすればいいわ。アランが酔わない体質だって、知ってるんだから。つまり、私も酔わない体質よ」
「……そうだな」
俺は確かに酔わない体質ではあるが、体質以外にもいままで飲んで来た量がまずもって違うし、彼女の父親は酔いやすいということを忘れているようだ。
だが、まあ、言質はとったし事後に文句を言われることはなくなった。
「じゃあ、楽しいワインパーティーをしようか」
「えぇ!」
翌朝、珍しくアーティアと一緒に事務所にいなかった俺にレオが「アーティアさんはどうしたんですか?」と聞いてきたので、「二日酔いと腰痛と筋肉痛で休みだ」と答えれば、ザップが「ヤッたんすか?」とストレートに聞き、レオとツェッドが「えっ」と犯罪者を見る目で見てきた。
「酔う前に本人から了承得てるんだ。合法だろ」
「へぇ、どうでしたか?」
「あんた、物怖じしねぇな?!」
「やはり、愛情ある女性とするのは気持ちがいいよ」
ザップが「なるほどねぇ」と悪い顔をするので、「俺がいないところで一滴でもアーティアに酒を飲ませたら殺すからな」と釘を刺せば、滝のように冷や汗をかき「わかってますよ」と言う。
ならよろしい。
なんだかんだとバタバタして有耶無耶になりかけていたアーティアの歓迎会の詳細チラシを、レオが朝から配っていた。
最後にと、アーティアにチラシをわたし「楽しみにしててくださいね」とレオが言えば、アーティアは嬉しそうに表情を緩め「はい」と返事をした。
あ、少年ずるい。とは思うものの、アーティアが喜んでいるのに水をさすのはやめよう。
あとで顰蹙を買いそうだし。
「すみません、レオナルドさん。せっかく面倒な条件で探してもらっていたのに」
「大丈夫っすよ。見つけるのには苦労しなかったですし、ノンアルコール縛りをアルコールありに変更しただけですから」
「アルコールのことまで気にかけてくれてたんですか?!そんな、気にせず皆さんだけでも飲んでくれたらよかったのに……」
申し訳なさそうにするアーティアに、レオは「いや、酒はいると未成年とか関係なく、飲ませようとしてくる連中がいるんで。店が南極になるのは勘弁っす」と言う。
「うちのアデリーペンギンがご迷惑を……」
「アーティアー。僕はアデリーペンギンでもないし、迷惑はかけてないぞー」
俺の抗議など無視して「楽しみにしてますね」と言うアーティアに、「そもそも、君。アルコール飲めるのか?」と聞けば「さあ?」と一言。
「いままで子供でしたし、飲んだことはないですから」
「ふーん。じゃあ、子供舌のアーティアに大人の味を覚えさせるチャンスってことか」
「大人の味じゃなくていいので、料理にあうお酒を教えてほしいです」
爛々と目を輝かせ、メニューを指差して「これにはなにが合いますか?」と頻りに聞いてくるから、肩透かしを食らった気分だ。
花より団子、俺への嫌味より食い気。
ちょっと悲しいよ、アーティア。
「ふふっ、パーティーが楽しみだなんて初めてです」
誕生日が待ちきれない子供のように興奮するアーティアに、そういえば、彼女が体験してきたパーティーはどれも退屈な物だったということを思い出した。
俺たちがするような飲んで騒いでというパーティーではなく、政治的意味合いのパーティー。
彼女に相談され、何度か一緒に参加したことはあるがつまらない以外の感想がなかったな。
「アーティアさんは、パーティーに出席した経験があるんですね」
ツェッドの質問に、「目立たないように立っていただけですが」とアーティアが答えれば、「お前が目立たないとか無理だろ」とザップからツッコミが入った。
その通りで、年々愛らしくなるアーティアが目立たないなんてことはなく、男連中に囲まれて困るとアーティアから相談を受け、彼女の両親を丸め込んで虫除け役を買ったものだ。
基本的に、俺とアーティアの組み合わせは割って入る余地を感じさせないようにしているので、遠巻きに見てくるだけで話しかけてくる者はいなかった。
まあ、うっかり離れると俺は女性に、アーティアは男に囲まれるので、アーティアは必死に俺から離れないようにくっついていて可愛らしかったな。
「歓迎会ってどんなことするんですか?」
「そりゃ、食べたり飲んだり踊ってお喋りして、て感じだな」
「踊り……」
ダンスと聞いて嫌な顔をするアーティアの手をとり「社交ダンスじゃないさ」と言いながら、即興のダンスを一緒に踊れば「こういうのなのね!」と楽しそうに乗ってきた。
相当楽しみなのか、今日は1日浮かれていたし最近増やした戦闘任務のキレがいつもよりよかった。
家に帰ってからも、チラシをずっと眺めて鼻唄を歌うほどに。
「楽しそうだね、アーティア」
「とっても楽しいわ。こっちに来てよかった。知らないことを沢山知れるんだもの」
「外聞を広げることはいいけど、あまり遠くに行かないでくれよ。寂しくなるから」
俺がそういうと、先のセカンドキスの一件以来あまり近付こうとしていなかったのに、二人掛けのソファーに座る俺の隣に座り寄りかかって来た。
「どうしたんだ」
「別に。アランの隣がやっぱり落ち着くだけ。それに、寂しいんでしょ」
「そういう可愛いことを言うと、悪いことをしたくなりそうだな」
「したらロウ警部補のところに駆け込むわ」
「それは困るけど、俺はずっとお預けくらっているんだが、いつになったらゴーと言ってくれるのかな」
俺が本気で夜の相手してほしい時はしてくれるんだろ?と耳元で囁けば、小馬鹿にした表情で「スティーブン・アラン・スターフェイズともあろう人が、小娘の戯れ言を本気にしたの?」と聞いてくるが、八割くらい期待していたんだけどな。
「ご助言通り、今後はそういう発言はやめるわよ」
「残念ではあるが、君こそ本気じゃないならそうしてくれ」
「はーい」
子供みたいな返事をしたアーティアの丸い頭を撫で、そうだ、と思い付く。
「ワイン、飲んでみるかい?」
秘蔵の美味しいワインを隠してあるんだ、と提案すれば、思案してから「飲むわ」と覚悟を決めた顔で乗ってきた。
そんな真剣な顔をするような提案をしたつもりはないんだが。
「師匠に言われたわ。初めてのお酒は、信頼できる身内と飲みなさいって」
「あぁ、最初は酔うとなにをするかわからないからね。けど、そんなに俺を信頼していいのか?俺は君が酔っていようと、誘いには乗るよ」
「馬鹿ね!私がそんな酔い方するわけないじゃない!」
酔ったこともないのに、よくまあ、そんな大口が叩けるなと感心する。
「なら、そうなった時は覚悟してくれよ」
「好きにすればいいわ。アランが酔わない体質だって、知ってるんだから。つまり、私も酔わない体質よ」
「……そうだな」
俺は確かに酔わない体質ではあるが、体質以外にもいままで飲んで来た量がまずもって違うし、彼女の父親は酔いやすいということを忘れているようだ。
だが、まあ、言質はとったし事後に文句を言われることはなくなった。
「じゃあ、楽しいワインパーティーをしようか」
「えぇ!」
翌朝、珍しくアーティアと一緒に事務所にいなかった俺にレオが「アーティアさんはどうしたんですか?」と聞いてきたので、「二日酔いと腰痛と筋肉痛で休みだ」と答えれば、ザップが「ヤッたんすか?」とストレートに聞き、レオとツェッドが「えっ」と犯罪者を見る目で見てきた。
「酔う前に本人から了承得てるんだ。合法だろ」
「へぇ、どうでしたか?」
「あんた、物怖じしねぇな?!」
「やはり、愛情ある女性とするのは気持ちがいいよ」
ザップが「なるほどねぇ」と悪い顔をするので、「俺がいないところで一滴でもアーティアに酒を飲ませたら殺すからな」と釘を刺せば、滝のように冷や汗をかき「わかってますよ」と言う。
ならよろしい。