criminal
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私を本人だと認めたアランの手を引き、街へと繰り出すことに成功した。
ザップさんたちいつもの三人組と、事態を面白がったK・Kさん、小さいアランをもっと見ていたいチェインさんが後方から万が一の為の護衛としてついて来ているが、私も気を引きしめていこう。
アランは敵が多いから……。
「凄いな……」
街を見て、感嘆の声をあげ立ち止まるアランの手を引いて歩きだそうとしたら、逆に引っ張り返され「アーティア!」と軽く怒られた。
「大丈夫よ、アランお兄ちゃん。私、ちゃんとここで生活してるんだから」
「それはわかってるよ。俺が言いたいのは、手を引く役目は俺だってことだ」
むすっ、とした表情で子供みたいな主張をされ、可愛いと眩しいという感情で心臓が握りつぶされそうだ。
だから苦手なんだ、この時期のアランは。
「わかったわ、アランお兄ちゃん。じゃあ、この通りを案内するから、絶対に手を離さないでね」
「当たり前だろ、絶対に離さないよ」
そう言って、自然な流れで手にキスをされ悲鳴をあげそうになった。
助けて!心臓がもたない!
「ずいぶんと純になったんだね、大人のアーティアは」
「え、どうして?」
「だって俺の記憶する限りじゃ、この程度いつも『上手ね、アランお兄ちゃんは』て言って相手にもしてくれなかったじゃないか」
「相手にしてなかったわけじゃなくて、本当にアランお兄ちゃんはどの女の人にも言ってるんだって思っていたのよ」
私の告白に、アランは心外だと言わんばかりに眼を見開き驚いて見せた。
いや、あれだけ幼少期から女の子たちに愛想を振り撒いていた男の言葉をどれもこれも信じられるわけないでしょ。
「それと純になったわけじゃなくて、元のアランお兄ちゃんで慣れてるから、いまのアランお兄ちゃんだと緊張しちゃうのよ」
「大人の俺は、君にこんなことしないのか?」
「するわ。するけど、一夜限りの火遊びタイプの男と理想の王子様からされるのじゃ、反応は変わってくるじゃない……」
元のアランは、確実に手を出してはいけない類いの火遊びだ。
火遊びのつもりで手を出して大炎上する相手を尻目にいなくなる男からの甘い言葉に、一喜一憂するなんて馬鹿らしい。
刺されたり修羅場になる不手際はないだろうが、たまにアランの身が心配になる。
やれやれ、と首を振っていたら軽く手が引かれたのでアランの方を向けば、顔を青くして「それは、君にはもう俺に気持ちがないってことか……?」と聞かれた。
「へ?」
「君はもう俺のことを愛してないのか?大人の俺に弄ばれて、嫌気でもさしたのか?」
「落ち着いて、アランお兄ちゃん!大丈夫よ、あなたは今だって私のことを愛してくれているし、私も愛しているわ!」
大通りで修羅場のようなやり取りを始めた所為で、変な衆目を集めてしまった。
人目を避ける為に、人気の少ない公園へとアランを引っ張っていき、ベンチでジュースを飲みながら「落ち着いた?」と聞いても「まったく」とのこと。
なんでよ。
「この俺が、アーティアに火遊びの男なんて思われているんだぞ?落ち着けるわけないじゃないか」
顔面真っ青で訴えかけられ、軽率にいつものノリで物を言い過ぎたなと反省した。
いつものアランなら、「酷い言われようだ!」と軽く流してくれるから、つい、うっかり。
「その……火遊びタイプって言っても、ちゃんとアランが私には本気の愛情を向けてくれているのはわかっているし、私もちゃんとアランのことを愛しているわ」
言っていることが、完全に私をなだめすかすアランと同じで血の繋がりを感じる。
必死に理解を得ようとする私に、アランは「なら、どうして君は指輪をしていないんだ?」と私の手を指すが、どうしてと聞かれても恋人同士ではないからとしか言いようがない。
「おかしいじゃないか!俺も君もお互いに好きなのに、夫婦どころか恋人じゃない?!それでどう信じろって言うんだ!」
「ア、アランお兄ちゃん……落ち着いて……」
「はっ……!まさか、まさかとは思うが、俺の浮気が原因で別れたとか……?」
「違うわよ」
「だよな!俺が、アーティアがいるのに浮気なんてしないよな!」
必死に「そりゃそうだ!」と頷いているアランに、「まあ、仕事で女は抱いてるけどね」とはさすがに言いにくい。
言ったらいま以上に騒がしくなりそうだし、黙っていよう。
「だって、俺はずっと夢見ていたんだ。君と一緒になる日を」
ジュースを持つ私の手を掴み詰め寄ってくるアランに、思わず「あれ、本気だったの?」と言いそうになった。
飲み込んだけど。
いつぞや言われた、ハネムーンやら結婚生活を楽しみにしていたという言葉があまりにもさらっ、としていたのでジョークなのかと思っていた。
「アーティアは、そう思ってくれていなかったのか?」
「……思ってた。けど、あなたの立場を考えたら、一緒にはなれないの」
「どういう……」
「私たちがしている仕事は、一般人には秘密でとても危険なの。そして、あなたはもっと秘密で危険な場所にいる。その場所にいる限り、あなたはいつでも私の前から消える準備をしていることくらい、私にはわかっているの。だから私はせめて、あなたのその準備が無駄にならないようにしたい」
「俺が君の前から消える……?そんなわけないさ、ずっと一緒にいるよ」
泣き出しそうなアランに罪悪感がわくが、私には曖昧に笑い返すことしかできない。
恐らく私たちは、長く一緒にいることはできないから。
「そ……そもそも、どうして君がそんな危険な仕事をしているんだい?もっと安全で普通な仕事があるだろ?ほら、昔から花屋に憧れていたじゃないか。そっちの方が、君にあっているよ。だから……」
「ダメよ。この場所が、いまあなたに一番近くて寄り添える場所だから。それに、あなたが戦っているときに後ろで指咥えて見ていたくなんてない。あなたが戦うなら、私も戦うわ」
そう強くはねつければ、一瞬呆然とはしたがすぐに表情を引き締め、「強くなってしまったんだね、アーティア」とアランは言った。
なって“しまった”とはどういう意味か。
「ずっと、俺が手を引いて守っていくんだと思っていたのにな……」
「私はいまだってあなたの背中を追いかけてるわ、アラン」
「そうなのかい?嬉しいな。けど、強い目の君も素敵だね。また、惚れ直したよ」
「ありがとう、私は相変わらずだわ。アラン、リングだけが私たちの繋がりじゃないと思うの。あなたが愛してくれている限り、私もその愛に応え続けるわ」
「じゃあ、君の愛は一生俺が独り占めだな。……愛してるよ、アーティア。永遠に」
「私も愛しているわ、アラン」
なんだか結婚式みたいね、と言う前にアランは、長めのキスを私にして「これが俺たちの結婚式だ」と照れくさそうに言うから、顔が真っ赤になってしまった。
顔を赤くしてしどろもどろの私に、「こっちは俺の方がまだリードできるかな」と悪い笑みを浮かべて見せる。
「ほら、アーティア。街の案内が途中だぞ、早く行こう。君が好きなお店を案内してくれ」
「ちょっと待ってちょうだい、アラン。感情の整理がまだなのよ」
「ははっ、ウブだなアーティアは。初めてだったかい?」
からかい口調で問われるが、悔しいから絶対に「そうよ」なんて教えてやらないんだから!
アランの術は数日解けず、私はその間ずっとアランのセクシーでキュートな言動に振り回され続けるはめになった。
ザップさんたちいつもの三人組と、事態を面白がったK・Kさん、小さいアランをもっと見ていたいチェインさんが後方から万が一の為の護衛としてついて来ているが、私も気を引きしめていこう。
アランは敵が多いから……。
「凄いな……」
街を見て、感嘆の声をあげ立ち止まるアランの手を引いて歩きだそうとしたら、逆に引っ張り返され「アーティア!」と軽く怒られた。
「大丈夫よ、アランお兄ちゃん。私、ちゃんとここで生活してるんだから」
「それはわかってるよ。俺が言いたいのは、手を引く役目は俺だってことだ」
むすっ、とした表情で子供みたいな主張をされ、可愛いと眩しいという感情で心臓が握りつぶされそうだ。
だから苦手なんだ、この時期のアランは。
「わかったわ、アランお兄ちゃん。じゃあ、この通りを案内するから、絶対に手を離さないでね」
「当たり前だろ、絶対に離さないよ」
そう言って、自然な流れで手にキスをされ悲鳴をあげそうになった。
助けて!心臓がもたない!
「ずいぶんと純になったんだね、大人のアーティアは」
「え、どうして?」
「だって俺の記憶する限りじゃ、この程度いつも『上手ね、アランお兄ちゃんは』て言って相手にもしてくれなかったじゃないか」
「相手にしてなかったわけじゃなくて、本当にアランお兄ちゃんはどの女の人にも言ってるんだって思っていたのよ」
私の告白に、アランは心外だと言わんばかりに眼を見開き驚いて見せた。
いや、あれだけ幼少期から女の子たちに愛想を振り撒いていた男の言葉をどれもこれも信じられるわけないでしょ。
「それと純になったわけじゃなくて、元のアランお兄ちゃんで慣れてるから、いまのアランお兄ちゃんだと緊張しちゃうのよ」
「大人の俺は、君にこんなことしないのか?」
「するわ。するけど、一夜限りの火遊びタイプの男と理想の王子様からされるのじゃ、反応は変わってくるじゃない……」
元のアランは、確実に手を出してはいけない類いの火遊びだ。
火遊びのつもりで手を出して大炎上する相手を尻目にいなくなる男からの甘い言葉に、一喜一憂するなんて馬鹿らしい。
刺されたり修羅場になる不手際はないだろうが、たまにアランの身が心配になる。
やれやれ、と首を振っていたら軽く手が引かれたのでアランの方を向けば、顔を青くして「それは、君にはもう俺に気持ちがないってことか……?」と聞かれた。
「へ?」
「君はもう俺のことを愛してないのか?大人の俺に弄ばれて、嫌気でもさしたのか?」
「落ち着いて、アランお兄ちゃん!大丈夫よ、あなたは今だって私のことを愛してくれているし、私も愛しているわ!」
大通りで修羅場のようなやり取りを始めた所為で、変な衆目を集めてしまった。
人目を避ける為に、人気の少ない公園へとアランを引っ張っていき、ベンチでジュースを飲みながら「落ち着いた?」と聞いても「まったく」とのこと。
なんでよ。
「この俺が、アーティアに火遊びの男なんて思われているんだぞ?落ち着けるわけないじゃないか」
顔面真っ青で訴えかけられ、軽率にいつものノリで物を言い過ぎたなと反省した。
いつものアランなら、「酷い言われようだ!」と軽く流してくれるから、つい、うっかり。
「その……火遊びタイプって言っても、ちゃんとアランが私には本気の愛情を向けてくれているのはわかっているし、私もちゃんとアランのことを愛しているわ」
言っていることが、完全に私をなだめすかすアランと同じで血の繋がりを感じる。
必死に理解を得ようとする私に、アランは「なら、どうして君は指輪をしていないんだ?」と私の手を指すが、どうしてと聞かれても恋人同士ではないからとしか言いようがない。
「おかしいじゃないか!俺も君もお互いに好きなのに、夫婦どころか恋人じゃない?!それでどう信じろって言うんだ!」
「ア、アランお兄ちゃん……落ち着いて……」
「はっ……!まさか、まさかとは思うが、俺の浮気が原因で別れたとか……?」
「違うわよ」
「だよな!俺が、アーティアがいるのに浮気なんてしないよな!」
必死に「そりゃそうだ!」と頷いているアランに、「まあ、仕事で女は抱いてるけどね」とはさすがに言いにくい。
言ったらいま以上に騒がしくなりそうだし、黙っていよう。
「だって、俺はずっと夢見ていたんだ。君と一緒になる日を」
ジュースを持つ私の手を掴み詰め寄ってくるアランに、思わず「あれ、本気だったの?」と言いそうになった。
飲み込んだけど。
いつぞや言われた、ハネムーンやら結婚生活を楽しみにしていたという言葉があまりにもさらっ、としていたのでジョークなのかと思っていた。
「アーティアは、そう思ってくれていなかったのか?」
「……思ってた。けど、あなたの立場を考えたら、一緒にはなれないの」
「どういう……」
「私たちがしている仕事は、一般人には秘密でとても危険なの。そして、あなたはもっと秘密で危険な場所にいる。その場所にいる限り、あなたはいつでも私の前から消える準備をしていることくらい、私にはわかっているの。だから私はせめて、あなたのその準備が無駄にならないようにしたい」
「俺が君の前から消える……?そんなわけないさ、ずっと一緒にいるよ」
泣き出しそうなアランに罪悪感がわくが、私には曖昧に笑い返すことしかできない。
恐らく私たちは、長く一緒にいることはできないから。
「そ……そもそも、どうして君がそんな危険な仕事をしているんだい?もっと安全で普通な仕事があるだろ?ほら、昔から花屋に憧れていたじゃないか。そっちの方が、君にあっているよ。だから……」
「ダメよ。この場所が、いまあなたに一番近くて寄り添える場所だから。それに、あなたが戦っているときに後ろで指咥えて見ていたくなんてない。あなたが戦うなら、私も戦うわ」
そう強くはねつければ、一瞬呆然とはしたがすぐに表情を引き締め、「強くなってしまったんだね、アーティア」とアランは言った。
なって“しまった”とはどういう意味か。
「ずっと、俺が手を引いて守っていくんだと思っていたのにな……」
「私はいまだってあなたの背中を追いかけてるわ、アラン」
「そうなのかい?嬉しいな。けど、強い目の君も素敵だね。また、惚れ直したよ」
「ありがとう、私は相変わらずだわ。アラン、リングだけが私たちの繋がりじゃないと思うの。あなたが愛してくれている限り、私もその愛に応え続けるわ」
「じゃあ、君の愛は一生俺が独り占めだな。……愛してるよ、アーティア。永遠に」
「私も愛しているわ、アラン」
なんだか結婚式みたいね、と言う前にアランは、長めのキスを私にして「これが俺たちの結婚式だ」と照れくさそうに言うから、顔が真っ赤になってしまった。
顔を赤くしてしどろもどろの私に、「こっちは俺の方がまだリードできるかな」と悪い笑みを浮かべて見せる。
「ほら、アーティア。街の案内が途中だぞ、早く行こう。君が好きなお店を案内してくれ」
「ちょっと待ってちょうだい、アラン。感情の整理がまだなのよ」
「ははっ、ウブだなアーティアは。初めてだったかい?」
からかい口調で問われるが、悔しいから絶対に「そうよ」なんて教えてやらないんだから!
アランの術は数日解けず、私はその間ずっとアランのセクシーでキュートな言動に振り回され続けるはめになった。