criminal
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アーティアの帰りが遅いというだけで、酷く苛立ちを覚える。
更に言えば、メッセージも電話も無視されているのが尚苛立つ。
K・Kに「まるで束縛DVの旦那みたいね」と揶揄されたとしても、会える距離、触れあえる距離にいるなら一分一秒でもいてほしい。
束縛している自覚はあるし、それをアーティアが不満に思っているのも知っている。
こちらに来てから、彼女とはしょっちゅう口論になっている。
それでお互いが嫌いになるという事はない……少なくとも俺はないが、やはりよくない兆候ではあると思う。
まあ、アーティアは猫を被っている時からしれっと悪態をつく事があったから、本来はああいう性格だったのかも知れないが。
出掛けてから三時間ほど経っている。
足を探しに出たからと言って、遅すぎるのでは。
落ち着かない俺に、クラウスが「探しに行こうか」と提案してくれたが、そう簡単にここを離れるわけには行かない。
ダメ元でザップたちに連絡がつかないか聞いたら、「いますけど」と返ってきて思わず真顔になった。
『パトリックの旦那のとこで、なんか靴真剣に見てるっすよ』
「そうか。暫くかかりそうか?」
『おーい、チビー。まだかかりそうか?』
『スターフェイズさんなら、「首洗って待ってろ、うるさいアデリーペンギンが」て言っておいてください』
『だそうですよ』
相変わらず悪い口に「わかったと、そこのペンギンの雛に伝えておけ」と言えば、電話の向こうからなにやら怒声が聞こえた気がしたが無視して通話を切った。
さて、何をする気かは知らないが何かしら打開策を閃いた様だし、俺もそれを叩き潰す準備をしないとな。
暫くして、パトリックの所から帰って来たアーティアが自信満々に「足の問題を解決しましたよ!」と言いながら入ってきたので、「なら出掛けよう」とクラウスに少し事務所を頼んで、困惑するアーティアを連れてきたのは俺が個人的に所有する倉庫。
「え、なに。拷問でもされるの」
「俺が君にそんな酷い事するわけないだろ。今からするのは、鬼ごっこだよ」
合点がいかないアーティアに「二時間、俺から逃げきれたら、その打開策を飲もう」と言えば、「そういう事か」と表情をひきつらせたが、まだ条件はあるぞ。
「勿論、ただの鬼ごっこじゃない事くらいはわかるよな?俺は血凍道を使って本気で捕まえにかかる」
「大人げない……。それは、私も血瘴術を使ってもいいのよね?」
「ご自由に」
「上等じゃない。ロットバルトの鼻をあかしてやるわよ」
「ジークフリートの間違いじゃないか?夢みがちなオデットの呪いを解いてあげるんだから……な!」
開始の合図もなく絶対零度の地平を繰り出すも、わかっていたという余裕の笑みで後ろへと滑るように後退していった。
どういう原理だと足下を見れば、ローラーブレードのような物が見えた。
なるほど、それなら機動力はカバーできるな。
「だが、そのブレードがなくなったらペンギンの雛に戻るってことを忘れるなよ!」
体力消耗を狙って煽ってみるが、本人も体力は無駄にできないとわかっているのか、表情を消して無言で俺から距離をとっていく。
行く手行く手を阻むように凍らせるが器用に避けられ、俺の方へと向かうようにしても血瘴術を使って妨害される。
やはり一筋縄ではいかないか、と少し焦るがアーティアの方も疲れが見えはじめている。
壁をつたい絶対零度の盾を避けた瞬間、その壁を凍らすが弾みをつけて壁から跳び回避された。
だが、空中でこれは避けられないだろ。
「絶対零度の槍!」
「あっ!」
確実にブレードは砕け、バランスを崩し落下してきたアーティアを抱き止め時間を確認すれば、一時間五十分は逃げ回られていたらしい。
「俺の勝ちだな、アーティア」
「あと……少しだった……のに……」
行きも絶え絶えに、悔しそうにするアーティアに「大人しく解呪するかい?」と尋ねれば、「いーやー」と首を横に振る。
「そんなに成長痛が怖いのかい?」
持ってきていた水をわたし、それを飲みながら「それもあるけど……」と言い淀むと言うことは、また些細な理由なんだろうなと感づいた。
「あるけど、なんだ?」
「その……成長して、前の方がよかったなとか、思ってたのと違うって思われるのが嫌だなって……」
「誰に」
「……アランに」
「俺が?!なんで!」
「そうでしょ!昔はふわふわした『将来の夢はアランのお姫様』とか、ウケ狙いで言うような子だったのに、これよ!その時点で、ガッカリされたに決まってるわ!でも、もう自分に嘘はつきたくないから、せめて見た目だけでも維持したいじゃない!こっちに来てから、アランとは喧嘩ばかりだもの……。このまま見た目まで変わったら……嫌われるわ……」
泣きそうな顔をされ、お互い口論になる事や嫌われているのではと気にしていたんだな、と思うと俺たちは本当によく似ている。
「大丈夫だよ、嫌いになんてならいさ。現に、俺はいまのアーティアも大好きだ」
「本当に?」
「あぁ、本当さ。口喧嘩できるくらい、君が昔より俺を信用して心を開いてくれてると、俺は思っているよ。昔は不満に思っても、少ししか嫌味なんて言わなかっただろ」
「昔の私はそこまでアランに不満がなかったもの。あなたの隣とおじいちゃんたちの家が、唯一安心できる場所だったわ」
「その言い方だと、いまの俺に不満があるみたいじゃないか」
「そりゃ、あれだけ束縛されれば不満もあるわよ」
「仕方がないだろ。いまの君は昔みたいに、俺にべったりしていてくれないんだから」
昔は俺の側に必ずいたのに、いまは色んな場所にすぐ行ってしまうんだから気が気じゃない!と文句を言えば、「あの時は、アランの側しか居場所がなかったんだもの」と当時を思い出したのか、悲しそうな顔をさせてしまった。
「そうだったな、すまない。けど、本当に俺は君の姿が変わっても、アーティア・レストシャーナである限り愛してるよ」
「ありがとう、アラン」
「だから、安心して解呪してくれ」
「それは、本当にもう少し心の準備をさせて」
更に言えば、メッセージも電話も無視されているのが尚苛立つ。
K・Kに「まるで束縛DVの旦那みたいね」と揶揄されたとしても、会える距離、触れあえる距離にいるなら一分一秒でもいてほしい。
束縛している自覚はあるし、それをアーティアが不満に思っているのも知っている。
こちらに来てから、彼女とはしょっちゅう口論になっている。
それでお互いが嫌いになるという事はない……少なくとも俺はないが、やはりよくない兆候ではあると思う。
まあ、アーティアは猫を被っている時からしれっと悪態をつく事があったから、本来はああいう性格だったのかも知れないが。
出掛けてから三時間ほど経っている。
足を探しに出たからと言って、遅すぎるのでは。
落ち着かない俺に、クラウスが「探しに行こうか」と提案してくれたが、そう簡単にここを離れるわけには行かない。
ダメ元でザップたちに連絡がつかないか聞いたら、「いますけど」と返ってきて思わず真顔になった。
『パトリックの旦那のとこで、なんか靴真剣に見てるっすよ』
「そうか。暫くかかりそうか?」
『おーい、チビー。まだかかりそうか?』
『スターフェイズさんなら、「首洗って待ってろ、うるさいアデリーペンギンが」て言っておいてください』
『だそうですよ』
相変わらず悪い口に「わかったと、そこのペンギンの雛に伝えておけ」と言えば、電話の向こうからなにやら怒声が聞こえた気がしたが無視して通話を切った。
さて、何をする気かは知らないが何かしら打開策を閃いた様だし、俺もそれを叩き潰す準備をしないとな。
暫くして、パトリックの所から帰って来たアーティアが自信満々に「足の問題を解決しましたよ!」と言いながら入ってきたので、「なら出掛けよう」とクラウスに少し事務所を頼んで、困惑するアーティアを連れてきたのは俺が個人的に所有する倉庫。
「え、なに。拷問でもされるの」
「俺が君にそんな酷い事するわけないだろ。今からするのは、鬼ごっこだよ」
合点がいかないアーティアに「二時間、俺から逃げきれたら、その打開策を飲もう」と言えば、「そういう事か」と表情をひきつらせたが、まだ条件はあるぞ。
「勿論、ただの鬼ごっこじゃない事くらいはわかるよな?俺は血凍道を使って本気で捕まえにかかる」
「大人げない……。それは、私も血瘴術を使ってもいいのよね?」
「ご自由に」
「上等じゃない。ロットバルトの鼻をあかしてやるわよ」
「ジークフリートの間違いじゃないか?夢みがちなオデットの呪いを解いてあげるんだから……な!」
開始の合図もなく絶対零度の地平を繰り出すも、わかっていたという余裕の笑みで後ろへと滑るように後退していった。
どういう原理だと足下を見れば、ローラーブレードのような物が見えた。
なるほど、それなら機動力はカバーできるな。
「だが、そのブレードがなくなったらペンギンの雛に戻るってことを忘れるなよ!」
体力消耗を狙って煽ってみるが、本人も体力は無駄にできないとわかっているのか、表情を消して無言で俺から距離をとっていく。
行く手行く手を阻むように凍らせるが器用に避けられ、俺の方へと向かうようにしても血瘴術を使って妨害される。
やはり一筋縄ではいかないか、と少し焦るがアーティアの方も疲れが見えはじめている。
壁をつたい絶対零度の盾を避けた瞬間、その壁を凍らすが弾みをつけて壁から跳び回避された。
だが、空中でこれは避けられないだろ。
「絶対零度の槍!」
「あっ!」
確実にブレードは砕け、バランスを崩し落下してきたアーティアを抱き止め時間を確認すれば、一時間五十分は逃げ回られていたらしい。
「俺の勝ちだな、アーティア」
「あと……少しだった……のに……」
行きも絶え絶えに、悔しそうにするアーティアに「大人しく解呪するかい?」と尋ねれば、「いーやー」と首を横に振る。
「そんなに成長痛が怖いのかい?」
持ってきていた水をわたし、それを飲みながら「それもあるけど……」と言い淀むと言うことは、また些細な理由なんだろうなと感づいた。
「あるけど、なんだ?」
「その……成長して、前の方がよかったなとか、思ってたのと違うって思われるのが嫌だなって……」
「誰に」
「……アランに」
「俺が?!なんで!」
「そうでしょ!昔はふわふわした『将来の夢はアランのお姫様』とか、ウケ狙いで言うような子だったのに、これよ!その時点で、ガッカリされたに決まってるわ!でも、もう自分に嘘はつきたくないから、せめて見た目だけでも維持したいじゃない!こっちに来てから、アランとは喧嘩ばかりだもの……。このまま見た目まで変わったら……嫌われるわ……」
泣きそうな顔をされ、お互い口論になる事や嫌われているのではと気にしていたんだな、と思うと俺たちは本当によく似ている。
「大丈夫だよ、嫌いになんてならいさ。現に、俺はいまのアーティアも大好きだ」
「本当に?」
「あぁ、本当さ。口喧嘩できるくらい、君が昔より俺を信用して心を開いてくれてると、俺は思っているよ。昔は不満に思っても、少ししか嫌味なんて言わなかっただろ」
「昔の私はそこまでアランに不満がなかったもの。あなたの隣とおじいちゃんたちの家が、唯一安心できる場所だったわ」
「その言い方だと、いまの俺に不満があるみたいじゃないか」
「そりゃ、あれだけ束縛されれば不満もあるわよ」
「仕方がないだろ。いまの君は昔みたいに、俺にべったりしていてくれないんだから」
昔は俺の側に必ずいたのに、いまは色んな場所にすぐ行ってしまうんだから気が気じゃない!と文句を言えば、「あの時は、アランの側しか居場所がなかったんだもの」と当時を思い出したのか、悲しそうな顔をさせてしまった。
「そうだったな、すまない。けど、本当に俺は君の姿が変わっても、アーティア・レストシャーナである限り愛してるよ」
「ありがとう、アラン」
「だから、安心して解呪してくれ」
「それは、本当にもう少し心の準備をさせて」