criminal
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「歓迎会、ですか?」
おうむ返しをした私に、レオナルドさんは「そうっす!」と力強く肯定した。
「そんな、お気遣いなく。私のなりでは、入れるお店は少ないでしょうし」
「そこは幹事の腕の見せ所です!食べられない物ありますか?」
「そうですね。ザップさんに嫌がらせで連れて行かれたゲテモノや血生臭いお店は八割方受け付けたので、大体は大丈夫だと思います」
私の申告にザップさんは顔を青くして逃げ出そうとしたが、「ザァーップ。ちょっと話そうか」とアランに呼び出しをくらい壁際に追い込まれていた。
カワイソウニー。
「じゃあ、逆に好きな物は?」
「ポジョ・アル・チリンドロンが好きですね」
「ぽじょ……?」
「スペイン料理ですよ。祖母がよく作ってくれたんです」
「スペイン料理っすね!任せといてください!楽しみにしててくださいね!行きましょう、ツェッドさん!」
そう言って、バタバタと出ていったレオナルドさんとツェッドさん。
若々しくていいな、と微笑ましく思っていたらザップさんを絞め叩きだしたアランが「変なもの食べさせられなかったか?」と心配そうに聞いてきた。
「大丈夫ですよ、スターフェイズさん。そんな柔な人間ではないですから」
「そういう問題じゃないが……。今度、ちゃんとした美味しい店に連れていくよ」
「お気遣いなく」
美味しい店には行きたいけれど、別に気を遣われてまで連れていってほしいほどでもない。
話は終わり、とハーブティーを飲もうとしたが、アランがじっ、と見つめてくるので私もなんだか目をそらせなくて無駄に見つめあってしまった。
「……なんですか?」
しびれを切らし尋ねれば、「アーティアはそこからもう成長しないんだよな」と聞かれたので、「厳密には違います」と否定する。
「師匠にかけられたこの呪いがかかっている間は成長しません」
「つまり、呪いが解ければ成長が始まると」
「少し違いますね。いままで押し止めていた成長分が一気にくるので、一気に大人サイズです」
まあ、私はやりませんけど。と言えば、アランは不思議そうに「どうしてだい?」とまた聞いてきた。
馬鹿にされるの嫌だなぁ、とは思ったが答えないと延々とグリズリー並みの執念深さで聞いてくるので、嫌々だが「成長痛が……怖いから……」と答えれば暫しの間を置き「成長痛」と反芻された。
馬鹿にされている、と思って顔が熱くなったが、染々と「あれは……辛いよな……」と言うアランの顔や声色からは馬鹿にした色ではなく、二度と思い出したくない過去を思い出している暗い色が感じられた。
「そんなに痛いんですか……」
「痛い。僕はあまりの痛みに、街の不良グループをいくつか潰して回るほどに荒れたな」
「うわぁ……」
「クラウスとギルベルトさんも経験あるんじゃないか?」
そう投げかけられ、クラウスさんは「あれに耐えるのは至難の技だ……」と言いながら静かに胃を押さえ、ギルベルトさんも「私もずいぶん昔に鎮痛剤のお世話になりました」と笑って言った。
こんな、痛みなんて蚊に噛まれた程度みたいな三人が揃いも揃って苦渋の表情するなんて、成長痛ってそんなに痛いの……。
「アーティアはうちの家系寄りだから、きっと身長も高いだろうね。その痛みが一気にきたら、確実に気絶と覚醒を繰り返すことだろう」
「私、ずっとこのサイズでいいです……」
「僕としては、できれば成長してほしいんだけどなぁ」
「じゃあ、なんでそんな無駄に恐怖煽ったんですか?」
「なんでって……怯えた顔が見たかったから」
しれっ、と狂った理由を述べられ、本当にこいつの愛情表現ねじ曲がってるし、とち狂ってるなと思う。
そのうち刺されるんじゃないかな、という一抹の不安が過る。
「スターフェイズさんの性癖はどこで歪んだんでしょうね……」
「歪ませたのはアーティアだぜ」
「冤罪ですね」
「いいや、君のすべてが僕を狂わせた。だから、君の一生を持ってその責任を負ってくれ」
「途中までいい台詞だったのに、やっぱり狂ってるんですよね……」
「どうも」
心のこもっていない返事に、なにを言ってもアランの性癖の歪みは治せないと早々に諦めて、「スターフェイズさんは、どうして私に成長してほしいんですか?」と問えば、「君はどうしてだと思う?」と質問返しされた。
うわ、面倒くさっ。
仕方なく考え、「入らないから」と指で丸を作り舌を入れ答えたら容赦なく分厚いファイルの背で殴られた。
「そういう意味合いで体が成長してくれるのは大変喜ばしい。いまの体じゃあ、君の腹が破れるからね。けどな、アーティア。僕の前だけなら好きなだけその手合いのジョークはしてもいいさ。だが、クラウスの前でそういうことをするのはやめろ……」
くそ過保護者による制裁を受けたので、思い切り噛んだ舌を労りつつ素直に謝った。
じゃないと、次は角がきそうだ。
「まったく……。僕が君に身体的成長を望んでいるのは、戦闘面での能力向上の為。体が小さければ敏捷性はあるが、その分体力も筋力も劣る。そもそも、子供の血液量じゃ血瘴術も乱発できないだろ」
「ま、まぁ……。と言いますか、スターフェイズさん。本当にちゃんと、私を戦闘員として見てくれていたんですね」
「当たり前だろ!君をこのまま僕のアシスタントで終わらせるわけないじゃないか!勿体ない!」
「じゃあ、そのうちアシスタント卒業!」
「は、ない」
まさかの卒業なし発言に、またもや私とアランの間に冷たい空気が走り抜ける。
今回は家とは違いクラウスさんもいるから殴り合いとはならないだろうが、それ以外はするぞ私は。
「どういうことでしょうか、ミスター・スターフェイズ。ご説明いただけますか」
「アシスタントで終わらせる気はないが、アシスタントを辞めさせる気もないだけだが。そこも、身体的成長を望む理由だ。脳が大きくなれば、事務処理能力も上がる」
「アシスタントもさせて、戦闘もさせるだなんてずいぶんとこき使いますね。過労死させる気ですか?」
嫌味のつもりだったのだが、アランは真顔で「僕が過労死どころか倒れてすらいないんだから、大丈夫だろ」という、どこから引きずり出したのかわからない理屈を宣う。
大丈夫かしら、この人……。
「どうして、スターフェイズさんが大丈夫なら私も大丈夫って理屈が通ると思ってるんですか……」
「そりゃ、僕の従妹で僕とよく似た負けず嫌いな努力家な君だからだよ」
アランの率直な褒め言葉には免疫があまりない為、完全に理論破綻を起こしているのにも関わらず浮かれて「それもそうですね」と言いそうになったが、落ち着いて私。
ここでYesと言ったら、成長痛&過労死コースよ。
「嫌ですよ。私は戦闘員として来たんです。範疇外の仕事はしません」
「おや?できないのかい?」
「そうは言っていません」
どうも、アランに能力面で煽られると反射的に噛みついてしまう癖がある。
しまったな、と顔をしかめる私を逃がさないと言わんばかりに、「だろう?アーティアは僕を支える優秀万能なレディだ。できないわけないよな?」と畳み掛けてくる。
「ぐっ……」
「どうなんだい、優秀なアーティア?」
「や……やれますけど……」
「よーし!じゃあ、解呪しよう!」
「嫌です」
意気揚々とするアランに間髪入れずに拒否したら、またもやブリザードが吹き荒れた。
できる、できないならできるが、だからやるかどうかは別問題の話だ。
「そもそも、今の状態でも業務に支障はないと思いますが?」
私の言葉に、アランはコーヒーを一口含み言いにくそうに「君のよちよち走りでは、現場へ着く頃には仕事は終わっている」と言われて、さすがの私もプライドが傷ついた。
「よ……よちよち走り……」
「あぁ、でも君が僕に抱っこされてもいいって言うんだったら大歓迎さ!」
「嫌です!」
「ならどうするんだい?足の問題すら解決しないなら、君はずっと僕のアシスタントだ」
「わかりましたよ!解決して見せます!」
「そいつは楽しみだな!どんなキテレツな妙案を持ってるのか楽しみにしてるよ!」
ハーブティーを飲み干し、鼻で嗤う勢いのアランに背を向けエレベーターに向かえば、「どこに行くんだ、アーティア!」と声をかけられたので「足を買いに行くんですよ!あと、食事です!」と怒鳴り閉ボタンを連打した。
おうむ返しをした私に、レオナルドさんは「そうっす!」と力強く肯定した。
「そんな、お気遣いなく。私のなりでは、入れるお店は少ないでしょうし」
「そこは幹事の腕の見せ所です!食べられない物ありますか?」
「そうですね。ザップさんに嫌がらせで連れて行かれたゲテモノや血生臭いお店は八割方受け付けたので、大体は大丈夫だと思います」
私の申告にザップさんは顔を青くして逃げ出そうとしたが、「ザァーップ。ちょっと話そうか」とアランに呼び出しをくらい壁際に追い込まれていた。
カワイソウニー。
「じゃあ、逆に好きな物は?」
「ポジョ・アル・チリンドロンが好きですね」
「ぽじょ……?」
「スペイン料理ですよ。祖母がよく作ってくれたんです」
「スペイン料理っすね!任せといてください!楽しみにしててくださいね!行きましょう、ツェッドさん!」
そう言って、バタバタと出ていったレオナルドさんとツェッドさん。
若々しくていいな、と微笑ましく思っていたらザップさんを絞め叩きだしたアランが「変なもの食べさせられなかったか?」と心配そうに聞いてきた。
「大丈夫ですよ、スターフェイズさん。そんな柔な人間ではないですから」
「そういう問題じゃないが……。今度、ちゃんとした美味しい店に連れていくよ」
「お気遣いなく」
美味しい店には行きたいけれど、別に気を遣われてまで連れていってほしいほどでもない。
話は終わり、とハーブティーを飲もうとしたが、アランがじっ、と見つめてくるので私もなんだか目をそらせなくて無駄に見つめあってしまった。
「……なんですか?」
しびれを切らし尋ねれば、「アーティアはそこからもう成長しないんだよな」と聞かれたので、「厳密には違います」と否定する。
「師匠にかけられたこの呪いがかかっている間は成長しません」
「つまり、呪いが解ければ成長が始まると」
「少し違いますね。いままで押し止めていた成長分が一気にくるので、一気に大人サイズです」
まあ、私はやりませんけど。と言えば、アランは不思議そうに「どうしてだい?」とまた聞いてきた。
馬鹿にされるの嫌だなぁ、とは思ったが答えないと延々とグリズリー並みの執念深さで聞いてくるので、嫌々だが「成長痛が……怖いから……」と答えれば暫しの間を置き「成長痛」と反芻された。
馬鹿にされている、と思って顔が熱くなったが、染々と「あれは……辛いよな……」と言うアランの顔や声色からは馬鹿にした色ではなく、二度と思い出したくない過去を思い出している暗い色が感じられた。
「そんなに痛いんですか……」
「痛い。僕はあまりの痛みに、街の不良グループをいくつか潰して回るほどに荒れたな」
「うわぁ……」
「クラウスとギルベルトさんも経験あるんじゃないか?」
そう投げかけられ、クラウスさんは「あれに耐えるのは至難の技だ……」と言いながら静かに胃を押さえ、ギルベルトさんも「私もずいぶん昔に鎮痛剤のお世話になりました」と笑って言った。
こんな、痛みなんて蚊に噛まれた程度みたいな三人が揃いも揃って苦渋の表情するなんて、成長痛ってそんなに痛いの……。
「アーティアはうちの家系寄りだから、きっと身長も高いだろうね。その痛みが一気にきたら、確実に気絶と覚醒を繰り返すことだろう」
「私、ずっとこのサイズでいいです……」
「僕としては、できれば成長してほしいんだけどなぁ」
「じゃあ、なんでそんな無駄に恐怖煽ったんですか?」
「なんでって……怯えた顔が見たかったから」
しれっ、と狂った理由を述べられ、本当にこいつの愛情表現ねじ曲がってるし、とち狂ってるなと思う。
そのうち刺されるんじゃないかな、という一抹の不安が過る。
「スターフェイズさんの性癖はどこで歪んだんでしょうね……」
「歪ませたのはアーティアだぜ」
「冤罪ですね」
「いいや、君のすべてが僕を狂わせた。だから、君の一生を持ってその責任を負ってくれ」
「途中までいい台詞だったのに、やっぱり狂ってるんですよね……」
「どうも」
心のこもっていない返事に、なにを言ってもアランの性癖の歪みは治せないと早々に諦めて、「スターフェイズさんは、どうして私に成長してほしいんですか?」と問えば、「君はどうしてだと思う?」と質問返しされた。
うわ、面倒くさっ。
仕方なく考え、「入らないから」と指で丸を作り舌を入れ答えたら容赦なく分厚いファイルの背で殴られた。
「そういう意味合いで体が成長してくれるのは大変喜ばしい。いまの体じゃあ、君の腹が破れるからね。けどな、アーティア。僕の前だけなら好きなだけその手合いのジョークはしてもいいさ。だが、クラウスの前でそういうことをするのはやめろ……」
くそ過保護者による制裁を受けたので、思い切り噛んだ舌を労りつつ素直に謝った。
じゃないと、次は角がきそうだ。
「まったく……。僕が君に身体的成長を望んでいるのは、戦闘面での能力向上の為。体が小さければ敏捷性はあるが、その分体力も筋力も劣る。そもそも、子供の血液量じゃ血瘴術も乱発できないだろ」
「ま、まぁ……。と言いますか、スターフェイズさん。本当にちゃんと、私を戦闘員として見てくれていたんですね」
「当たり前だろ!君をこのまま僕のアシスタントで終わらせるわけないじゃないか!勿体ない!」
「じゃあ、そのうちアシスタント卒業!」
「は、ない」
まさかの卒業なし発言に、またもや私とアランの間に冷たい空気が走り抜ける。
今回は家とは違いクラウスさんもいるから殴り合いとはならないだろうが、それ以外はするぞ私は。
「どういうことでしょうか、ミスター・スターフェイズ。ご説明いただけますか」
「アシスタントで終わらせる気はないが、アシスタントを辞めさせる気もないだけだが。そこも、身体的成長を望む理由だ。脳が大きくなれば、事務処理能力も上がる」
「アシスタントもさせて、戦闘もさせるだなんてずいぶんとこき使いますね。過労死させる気ですか?」
嫌味のつもりだったのだが、アランは真顔で「僕が過労死どころか倒れてすらいないんだから、大丈夫だろ」という、どこから引きずり出したのかわからない理屈を宣う。
大丈夫かしら、この人……。
「どうして、スターフェイズさんが大丈夫なら私も大丈夫って理屈が通ると思ってるんですか……」
「そりゃ、僕の従妹で僕とよく似た負けず嫌いな努力家な君だからだよ」
アランの率直な褒め言葉には免疫があまりない為、完全に理論破綻を起こしているのにも関わらず浮かれて「それもそうですね」と言いそうになったが、落ち着いて私。
ここでYesと言ったら、成長痛&過労死コースよ。
「嫌ですよ。私は戦闘員として来たんです。範疇外の仕事はしません」
「おや?できないのかい?」
「そうは言っていません」
どうも、アランに能力面で煽られると反射的に噛みついてしまう癖がある。
しまったな、と顔をしかめる私を逃がさないと言わんばかりに、「だろう?アーティアは僕を支える優秀万能なレディだ。できないわけないよな?」と畳み掛けてくる。
「ぐっ……」
「どうなんだい、優秀なアーティア?」
「や……やれますけど……」
「よーし!じゃあ、解呪しよう!」
「嫌です」
意気揚々とするアランに間髪入れずに拒否したら、またもやブリザードが吹き荒れた。
できる、できないならできるが、だからやるかどうかは別問題の話だ。
「そもそも、今の状態でも業務に支障はないと思いますが?」
私の言葉に、アランはコーヒーを一口含み言いにくそうに「君のよちよち走りでは、現場へ着く頃には仕事は終わっている」と言われて、さすがの私もプライドが傷ついた。
「よ……よちよち走り……」
「あぁ、でも君が僕に抱っこされてもいいって言うんだったら大歓迎さ!」
「嫌です!」
「ならどうするんだい?足の問題すら解決しないなら、君はずっと僕のアシスタントだ」
「わかりましたよ!解決して見せます!」
「そいつは楽しみだな!どんなキテレツな妙案を持ってるのか楽しみにしてるよ!」
ハーブティーを飲み干し、鼻で嗤う勢いのアランに背を向けエレベーターに向かえば、「どこに行くんだ、アーティア!」と声をかけられたので「足を買いに行くんですよ!あと、食事です!」と怒鳴り閉ボタンを連打した。