criminal
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HLでは比較的落ち着いたカフェへアーティアを連れていき、コーヒーとココアを注文しようとしたら、「コーヒーくらい飲める」と言いココアをカフェモカに変更していて、やはりまだ子供だと思ってしまう。
「それで、話をしたいんだがまずはフードをとりなさい。顔も見えないんじゃ、味気ないだろ」
それっぽい理由ではあるが、フードの下の顔を見るまでは本当にアーティアかどうかもわからない。
レオナルドから幻術や擬態の類いではないと連絡は来ているが、自分で確認、と言っても俺の知っているアーティアは十歳の頃のものだから、十数年経過したアーティアを見分けられるかは若干の不安はあるけれども確認はしたい。
嫌がるアーティアに、「いい大人が、屋内でそんなマナー違反はよくないぞ」と窘めれば、「笑わないでよ」と前置きしてからフードをとった姿は一見して十代の少女だった。
「……アーティア。今年でいくつだっけ」
「二十九だよ……」
恥ずかしそうにする少女の話を聞けば、彼女の師である『幼草の魔女』花音薔薇兜(カノンバラット)の「肉体は若い時期を維持するべし」という思想のもと、アンチエイジングという名の肉体老化阻止の術式をかけられたらしい。
二十九でその見た目が嫌で、写真も送らなかったし人目に触れないように顔を隠していたらしい。
「年相応に見た目も変わりたいよ」
「そうかい?僕は愛らしくて好きだけどね」
大人っぽく綺麗になった姿も見てみたいけど、いまも十分、綺麗だし愛らしくて素敵だよ。
率直な意見を述べたつもりだったのだが、アーティアは苦々しい顔で「すーぐ、そういうことを言う」と文句を垂れた。
「さすが伊達男」
「思ったから言ったのに、酷い言われようだな。ところで、アーティア。いつ血界の眷属用の戦闘術を身に付けたんだい?」
本題に入ると、アーティアは運ばれてきたカフェモカに口をつけ、「十一の時に、両親が師匠に預けた」となんでもないことのように話す。
「パパとママが、師匠の占いにがっつりはまっちゃって、師匠の『娘を弟子に差し出さないと会社が潰れる』ての本気にして、ぽーんと差し出しちゃったんだよね。本人たちは、占い師の弟子だと思ってるみたいだけど」
やんなっちゃう、とぐったりした表情をするアーティアだが、俺としても頭を抱えたい事態だ。
彼女の両親はもとから信心深い性格ではあったが、まさかそんな理由で知らないとは言え、娘を血界の眷属用戦闘術の弟子にしてしまうとは。
幼い頃の「アランお兄ちゃん」と言って、ヨチヨチうしろをついて来ていたアーティアを思い出しては泣きそうになる。
「とにかく、ダメなものはダメだ。危険だから、すぐにでも家に帰りなさい」
「なっ!ちゃんと習得したわよ!さっきの戦闘見てたでしょ!」
「そういう問題じゃなくてだな、ライブラの仕事はキミが思っている以上に危険だからーー」
「承知の上よ!アランお兄ちゃんの手助けができるって聞いて、必死で修行したんだから!」
見た目も相まって、可愛い従妹が自分の為に頑張ってくれた事実に、雇わないという決意が揺らぎそうになったが、可愛いからこそ反対するのだ。
「それに、身辺調査が終わっていない人間をライブラに入れるわけにはいかない」
このアーティアが偽物である可能性もまだ捨てきれていないのだから。
「なら、身辺調査が終わったら入れてよ!入れてくれるまで、絶対に帰らないし!」
そう言い捨て立ち去ろうとするので、「わかった!わかったから、待て!」とか細い腕をつかみ無理矢理にでも引き止める。
ここで別れたら、今度こそ会えなくなる。
端から見たら十代女子と三十路おっさんの事案的修羅場ゆえか、周囲の視線が痛い。
席につかせ、「とりあえず、身辺調査はさせてくれ。決まりなんだ」と説得を試みる。
「手紙に名前も写真もなくて、調べようがなかったんだ。だから、これから調べる。了承してくれるか?」
「秘密結社だしね。こっちの師匠が悪いわけだし、全然構わないよ」
「ありがとう。それに伴い、暫くは僕の家で過ごしてほしい。外には出ずに」
追加の条件に、アーティアは信じられないと言った顔で「絶対に嫌よ!」と拒否した。
まぁ、そう言うと思ったよ。
「アーティア、ワガママはよしてくれ。外に出て見失いでもしたら、こちらとしてはなにもサポートができない。それに、ライブラの人間を割けるほど余裕もないんだ」
わかってくれるね?と諭せば、「……わかったわよ」と渋々了承をとりつけられた。
「ただ、泊まるならホテルに泊まる。こんな外見でもお互い大人の男女なわけなんだし。そこら辺は距離感保つべきじゃない?」
「僕はそのつもりはなかったけど、アーティアが男女の仲になりたいなら喜んで受け入れるよ」
からかったつもりだったのだが、アーティアは「ないよ、別に」とスッパリ否定した。
それはそれで悲しいな……。
「アランお兄ちゃんモテそうだし。変に女の影をちらつかせないであげようっていう、妹分の優しい心遣いよ」
「そりゃ、どうも。じゃあ、その心遣いに甘えて本音を言おうかな」
「どうぞ」
「せっかく再会できたんだ。少しでも長くいたい」
嘘もなにもない心からの甘えに、アーティアは顔を赤くして「ずるい」と文句を言う。
さっきのセクシャルな話にはまったく反応しなかったのに、こういう純な物言いには弱いらしい。
昔からそうだった。
俺が口説くようなことを言っても「アランお兄ちゃんは褒めるのが上手ね」と笑って返すのに、「好きだよ」の一言には顔を赤くしていた。
変わらない部分に、胸が熱くなるのを感じた。
ヴェデッドには、今日は早めに帰ってもらうよう、連絡を入れておいた。
「それで、話をしたいんだがまずはフードをとりなさい。顔も見えないんじゃ、味気ないだろ」
それっぽい理由ではあるが、フードの下の顔を見るまでは本当にアーティアかどうかもわからない。
レオナルドから幻術や擬態の類いではないと連絡は来ているが、自分で確認、と言っても俺の知っているアーティアは十歳の頃のものだから、十数年経過したアーティアを見分けられるかは若干の不安はあるけれども確認はしたい。
嫌がるアーティアに、「いい大人が、屋内でそんなマナー違反はよくないぞ」と窘めれば、「笑わないでよ」と前置きしてからフードをとった姿は一見して十代の少女だった。
「……アーティア。今年でいくつだっけ」
「二十九だよ……」
恥ずかしそうにする少女の話を聞けば、彼女の師である『幼草の魔女』花音薔薇兜(カノンバラット)の「肉体は若い時期を維持するべし」という思想のもと、アンチエイジングという名の肉体老化阻止の術式をかけられたらしい。
二十九でその見た目が嫌で、写真も送らなかったし人目に触れないように顔を隠していたらしい。
「年相応に見た目も変わりたいよ」
「そうかい?僕は愛らしくて好きだけどね」
大人っぽく綺麗になった姿も見てみたいけど、いまも十分、綺麗だし愛らしくて素敵だよ。
率直な意見を述べたつもりだったのだが、アーティアは苦々しい顔で「すーぐ、そういうことを言う」と文句を垂れた。
「さすが伊達男」
「思ったから言ったのに、酷い言われようだな。ところで、アーティア。いつ血界の眷属用の戦闘術を身に付けたんだい?」
本題に入ると、アーティアは運ばれてきたカフェモカに口をつけ、「十一の時に、両親が師匠に預けた」となんでもないことのように話す。
「パパとママが、師匠の占いにがっつりはまっちゃって、師匠の『娘を弟子に差し出さないと会社が潰れる』ての本気にして、ぽーんと差し出しちゃったんだよね。本人たちは、占い師の弟子だと思ってるみたいだけど」
やんなっちゃう、とぐったりした表情をするアーティアだが、俺としても頭を抱えたい事態だ。
彼女の両親はもとから信心深い性格ではあったが、まさかそんな理由で知らないとは言え、娘を血界の眷属用戦闘術の弟子にしてしまうとは。
幼い頃の「アランお兄ちゃん」と言って、ヨチヨチうしろをついて来ていたアーティアを思い出しては泣きそうになる。
「とにかく、ダメなものはダメだ。危険だから、すぐにでも家に帰りなさい」
「なっ!ちゃんと習得したわよ!さっきの戦闘見てたでしょ!」
「そういう問題じゃなくてだな、ライブラの仕事はキミが思っている以上に危険だからーー」
「承知の上よ!アランお兄ちゃんの手助けができるって聞いて、必死で修行したんだから!」
見た目も相まって、可愛い従妹が自分の為に頑張ってくれた事実に、雇わないという決意が揺らぎそうになったが、可愛いからこそ反対するのだ。
「それに、身辺調査が終わっていない人間をライブラに入れるわけにはいかない」
このアーティアが偽物である可能性もまだ捨てきれていないのだから。
「なら、身辺調査が終わったら入れてよ!入れてくれるまで、絶対に帰らないし!」
そう言い捨て立ち去ろうとするので、「わかった!わかったから、待て!」とか細い腕をつかみ無理矢理にでも引き止める。
ここで別れたら、今度こそ会えなくなる。
端から見たら十代女子と三十路おっさんの事案的修羅場ゆえか、周囲の視線が痛い。
席につかせ、「とりあえず、身辺調査はさせてくれ。決まりなんだ」と説得を試みる。
「手紙に名前も写真もなくて、調べようがなかったんだ。だから、これから調べる。了承してくれるか?」
「秘密結社だしね。こっちの師匠が悪いわけだし、全然構わないよ」
「ありがとう。それに伴い、暫くは僕の家で過ごしてほしい。外には出ずに」
追加の条件に、アーティアは信じられないと言った顔で「絶対に嫌よ!」と拒否した。
まぁ、そう言うと思ったよ。
「アーティア、ワガママはよしてくれ。外に出て見失いでもしたら、こちらとしてはなにもサポートができない。それに、ライブラの人間を割けるほど余裕もないんだ」
わかってくれるね?と諭せば、「……わかったわよ」と渋々了承をとりつけられた。
「ただ、泊まるならホテルに泊まる。こんな外見でもお互い大人の男女なわけなんだし。そこら辺は距離感保つべきじゃない?」
「僕はそのつもりはなかったけど、アーティアが男女の仲になりたいなら喜んで受け入れるよ」
からかったつもりだったのだが、アーティアは「ないよ、別に」とスッパリ否定した。
それはそれで悲しいな……。
「アランお兄ちゃんモテそうだし。変に女の影をちらつかせないであげようっていう、妹分の優しい心遣いよ」
「そりゃ、どうも。じゃあ、その心遣いに甘えて本音を言おうかな」
「どうぞ」
「せっかく再会できたんだ。少しでも長くいたい」
嘘もなにもない心からの甘えに、アーティアは顔を赤くして「ずるい」と文句を言う。
さっきのセクシャルな話にはまったく反応しなかったのに、こういう純な物言いには弱いらしい。
昔からそうだった。
俺が口説くようなことを言っても「アランお兄ちゃんは褒めるのが上手ね」と笑って返すのに、「好きだよ」の一言には顔を赤くしていた。
変わらない部分に、胸が熱くなるのを感じた。
ヴェデッドには、今日は早めに帰ってもらうよう、連絡を入れておいた。