criminal
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無事に犯人も捕まり、警察の厳戒令も解いて一件落着。
帰宅してもいいと言われたので、アランを置いてさっさと帰ろうとしたら、そのアランに腕を捕まれ引き止められた。
え、なに?
「またどこで男に引っかかるかわからないからな。今日は俺と一緒に帰るんだ」
あまりにもあまりな理由で、思わず機嫌の悪い猫のような顔をしてしまった。
「酷い物言いね。何度も言うけど、私はあなたの物じゃないわ。勘違いしないで、アラン」
私の苛立ち上乗せした刺々しい言葉に、アランはすっ、と表情を消し「君は俺の物だろ、アーティア?」と問いかけのはずなのに、「はい」しか聞く気のない雰囲気。
怒っているアランは怖くないけど、自分の思い通りにしようと暴論振りかざす時は怖いなと思う。
いやいや、怯むな私。
「パートナーでもない相手を自分の物だなんて、最低よ」
「……確かに、君にその気がないのは理解しているが、俺のパートナーにならなくても君は俺の物だろ?」
「いや、あの、アラン……。私の話、聞いてる?」
「アーティアこそ、俺がYes or Noの話をしていないことくらいわかるよな……?」
極寒のブリザードみたいな顔をして問いつめてくるアランに完全に及び腰になってしまい、誰か、誰か助けてくれ!と視線を送るが、ザップさんたちは視線をそらした。
裏切り者!と、ならば他の人たちはと視線を送るが、チェインさんは羨ましそうにしてるし、クラウスさんとギルベルトさんは微笑ましいと言わんばかりの顔。
これ、そんな楽しい状況じゃないんですけども!
「もうやだ、この独占欲が服着た真性サディスト!K・Kさんのおうち行くー!」
「こらこら、K・Kが迷惑するだろ」
「アランに嫌気がさしたら、いつでもいらっしゃいって言ってたもんー!」
「ダメだ。今日は警部補とご飯したんだから、俺とも一緒にご飯するんだ」
そう言って遂には抱っこされて、遺憾の意。
ジタバタする私を完全に抱き込み押さえ付け、「お前たち、早く帰れ。事務所が閉められないだろ」と声かけを始めた。
いつもならだらだらいるザップさんもレオナルドさんもそそくさと帰っていき、チェインさんも名残惜しそうに帰っていった。
あー!やだやだ!帰らないで!
「スティーブン、あとは我々がしておく。君は早めに帰って、食事を楽しみたまえ」
「本当かい?なら、よろしく頼むよ!」
嬉々として私を抱えて事務所から出るアランにげんなりし、もたれかかりながら「本当に意味がわからないわ」と文句をこぼす。
「私がいったいいつ、あなたの物になったのよ」
「君が俺のお姫様になると言った日からかな」
「だいぶ昔だし、そもそもそれ、ウケがいいから言っただけよ」
「だとしても、君はもう俺のお姫様だから。諦めるんだな」
「嫌よ。お姫様なんて、柄じゃないわ」
「口の悪いお姫様も好きだよ」
ああ言えばこう言う。
のらりくらりとかわされ、ちょっとどころではない苛立ち。
「アランが私を自分の物だって言ったら、私だってアランは私の物よって言わないといけないじゃない。あなたの悲しい一人相撲に付き合いたくはないわ」
「言っていいじゃないか。将来の夢は俺のお嫁さんだと豪語していた時みたいに、俺に執着してくれ」
「そういうのは、仕事とは言え女抱いて帰ってくる度、私に刺される覚悟をしてから言ってほしいわ」
私の言葉に、アランは意外そうに「アーティアも嫉妬するのか」と市中引き回しにしてやりたいことを言い出す。
「この、色濃くあなたの家系の血を継いでいる私がしないと思っているなら、驚きね。……私だって、人並みには嫉妬するわ」
「君が俺に独占欲を見せたことないから、意外だな」
「残念ながら、パートナーでもない相手に独占欲丸出しにするようなはしたないことはしないわ」
遠回しにお前のことだよ、と言ったつもりだったのだが、アランはどこ吹く風で「嫉妬するアーティアかぁ、見てみたいな」と楽しそうに言うのみ。
果てしなくメンタルが強い。
「私は一生涯アランの伴侶になる気はないから、一生見られないわよ」
「酷いじゃないか。俺たち両思いで将来を誓いあった仲だってのに。愛を誓ったあの日から、俺は君とのハネムーンや結婚生活を何度夢見たか」
「子供の頃の約束じゃない」
「いつ約束しても、俺は同じ夢を見ただろうね」
「愛が重すぎて溺れてしまいそうだわ」
「なぁ、なんで嫌なんだい。俺が女性を抱かなければ、考えは違ったのか?」
そんな絶対ありえない例え話に呆れながら、「変わらないわ」と答えればアランは不満そうに唸った。
「アランの仕事はわかっているつもりだもの。私情で邪魔をしたくないわ。それに、あなたの未練や足枷にはなりたくないの。あなたにとって、邪魔でしょ。パートナーなんて」
私の言葉にアランは少し黙り、「そんなことないよ」と否定するが嘘だろうということくらいは理解してしまえる。
「いまだって俺はこんなにも君に執着してるじゃないか。君が俺を独占したいと思ったところで、関係はたいして変わらないだろ」
「大違いよ、アラン。あなただけが私の手を掴んでいれば、あなたが離したとき私は引き留められないわ。まだ、他人である私が口出しなんてできないって、いい聞かせられる。私まであなたの手を掴んだら、私は泣くわ、喚くわ、すがりつくわ。行かないでとみっともなく引き止めるわ。それが、あなたが犠牲にならなければいけないことであっても。ずっと一緒にいるんだと、ワガママを言うわ」
静かに黙って聞いているアランに、「あなたの決意に水も差したくもないし、邪魔になりたくないの。あなたを愛してるから。あなたが一緒に踏み外させてくれないなら、私はあなたの手をとらないわ」と告げれば「理解と深い愛情で泣いてしまいそうだよ、アーティア」と悲しそうな声で言った。
泣きたいのは私だわ。
一緒に堕ちてくれと言ってくれないのね。
あなたが昔のように「おいで」と手を差しのべてくれたら、踏み出せなかった足を踏み出して一緒に堕ちていけるのに。
本当に酷い人。
「アーティア。帰ったら、話をしよう。今日はなんだか、君と楽しい話がしたい気分だ。HLに来てから見たものや感じたもの、昔話なんかもいいし、どんな修行をしたとか、学生時代の話もしたいな」
「いいわね。寝るまで聞かせてあげるわ」
「そりゃ困ったな、明日寝不足にならない自信がないや」
私たちはその夜、たくさん他愛ない話をして一緒に眠った。
同じ思いを持っているのに、結ぶことができない悲しみに泣き出してしまわないよう。
愛しているという感情が発露されない苦しみから目をそらすように。
帰宅してもいいと言われたので、アランを置いてさっさと帰ろうとしたら、そのアランに腕を捕まれ引き止められた。
え、なに?
「またどこで男に引っかかるかわからないからな。今日は俺と一緒に帰るんだ」
あまりにもあまりな理由で、思わず機嫌の悪い猫のような顔をしてしまった。
「酷い物言いね。何度も言うけど、私はあなたの物じゃないわ。勘違いしないで、アラン」
私の苛立ち上乗せした刺々しい言葉に、アランはすっ、と表情を消し「君は俺の物だろ、アーティア?」と問いかけのはずなのに、「はい」しか聞く気のない雰囲気。
怒っているアランは怖くないけど、自分の思い通りにしようと暴論振りかざす時は怖いなと思う。
いやいや、怯むな私。
「パートナーでもない相手を自分の物だなんて、最低よ」
「……確かに、君にその気がないのは理解しているが、俺のパートナーにならなくても君は俺の物だろ?」
「いや、あの、アラン……。私の話、聞いてる?」
「アーティアこそ、俺がYes or Noの話をしていないことくらいわかるよな……?」
極寒のブリザードみたいな顔をして問いつめてくるアランに完全に及び腰になってしまい、誰か、誰か助けてくれ!と視線を送るが、ザップさんたちは視線をそらした。
裏切り者!と、ならば他の人たちはと視線を送るが、チェインさんは羨ましそうにしてるし、クラウスさんとギルベルトさんは微笑ましいと言わんばかりの顔。
これ、そんな楽しい状況じゃないんですけども!
「もうやだ、この独占欲が服着た真性サディスト!K・Kさんのおうち行くー!」
「こらこら、K・Kが迷惑するだろ」
「アランに嫌気がさしたら、いつでもいらっしゃいって言ってたもんー!」
「ダメだ。今日は警部補とご飯したんだから、俺とも一緒にご飯するんだ」
そう言って遂には抱っこされて、遺憾の意。
ジタバタする私を完全に抱き込み押さえ付け、「お前たち、早く帰れ。事務所が閉められないだろ」と声かけを始めた。
いつもならだらだらいるザップさんもレオナルドさんもそそくさと帰っていき、チェインさんも名残惜しそうに帰っていった。
あー!やだやだ!帰らないで!
「スティーブン、あとは我々がしておく。君は早めに帰って、食事を楽しみたまえ」
「本当かい?なら、よろしく頼むよ!」
嬉々として私を抱えて事務所から出るアランにげんなりし、もたれかかりながら「本当に意味がわからないわ」と文句をこぼす。
「私がいったいいつ、あなたの物になったのよ」
「君が俺のお姫様になると言った日からかな」
「だいぶ昔だし、そもそもそれ、ウケがいいから言っただけよ」
「だとしても、君はもう俺のお姫様だから。諦めるんだな」
「嫌よ。お姫様なんて、柄じゃないわ」
「口の悪いお姫様も好きだよ」
ああ言えばこう言う。
のらりくらりとかわされ、ちょっとどころではない苛立ち。
「アランが私を自分の物だって言ったら、私だってアランは私の物よって言わないといけないじゃない。あなたの悲しい一人相撲に付き合いたくはないわ」
「言っていいじゃないか。将来の夢は俺のお嫁さんだと豪語していた時みたいに、俺に執着してくれ」
「そういうのは、仕事とは言え女抱いて帰ってくる度、私に刺される覚悟をしてから言ってほしいわ」
私の言葉に、アランは意外そうに「アーティアも嫉妬するのか」と市中引き回しにしてやりたいことを言い出す。
「この、色濃くあなたの家系の血を継いでいる私がしないと思っているなら、驚きね。……私だって、人並みには嫉妬するわ」
「君が俺に独占欲を見せたことないから、意外だな」
「残念ながら、パートナーでもない相手に独占欲丸出しにするようなはしたないことはしないわ」
遠回しにお前のことだよ、と言ったつもりだったのだが、アランはどこ吹く風で「嫉妬するアーティアかぁ、見てみたいな」と楽しそうに言うのみ。
果てしなくメンタルが強い。
「私は一生涯アランの伴侶になる気はないから、一生見られないわよ」
「酷いじゃないか。俺たち両思いで将来を誓いあった仲だってのに。愛を誓ったあの日から、俺は君とのハネムーンや結婚生活を何度夢見たか」
「子供の頃の約束じゃない」
「いつ約束しても、俺は同じ夢を見ただろうね」
「愛が重すぎて溺れてしまいそうだわ」
「なぁ、なんで嫌なんだい。俺が女性を抱かなければ、考えは違ったのか?」
そんな絶対ありえない例え話に呆れながら、「変わらないわ」と答えればアランは不満そうに唸った。
「アランの仕事はわかっているつもりだもの。私情で邪魔をしたくないわ。それに、あなたの未練や足枷にはなりたくないの。あなたにとって、邪魔でしょ。パートナーなんて」
私の言葉にアランは少し黙り、「そんなことないよ」と否定するが嘘だろうということくらいは理解してしまえる。
「いまだって俺はこんなにも君に執着してるじゃないか。君が俺を独占したいと思ったところで、関係はたいして変わらないだろ」
「大違いよ、アラン。あなただけが私の手を掴んでいれば、あなたが離したとき私は引き留められないわ。まだ、他人である私が口出しなんてできないって、いい聞かせられる。私まであなたの手を掴んだら、私は泣くわ、喚くわ、すがりつくわ。行かないでとみっともなく引き止めるわ。それが、あなたが犠牲にならなければいけないことであっても。ずっと一緒にいるんだと、ワガママを言うわ」
静かに黙って聞いているアランに、「あなたの決意に水も差したくもないし、邪魔になりたくないの。あなたを愛してるから。あなたが一緒に踏み外させてくれないなら、私はあなたの手をとらないわ」と告げれば「理解と深い愛情で泣いてしまいそうだよ、アーティア」と悲しそうな声で言った。
泣きたいのは私だわ。
一緒に堕ちてくれと言ってくれないのね。
あなたが昔のように「おいで」と手を差しのべてくれたら、踏み出せなかった足を踏み出して一緒に堕ちていけるのに。
本当に酷い人。
「アーティア。帰ったら、話をしよう。今日はなんだか、君と楽しい話がしたい気分だ。HLに来てから見たものや感じたもの、昔話なんかもいいし、どんな修行をしたとか、学生時代の話もしたいな」
「いいわね。寝るまで聞かせてあげるわ」
「そりゃ困ったな、明日寝不足にならない自信がないや」
私たちはその夜、たくさん他愛ない話をして一緒に眠った。
同じ思いを持っているのに、結ぶことができない悲しみに泣き出してしまわないよう。
愛しているという感情が発露されない苦しみから目をそらすように。