criminal
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ギルベルトさんがだしてくれたハーブティーを飲みながら、ガリガリと寄せられた報告をまとめて容疑者を絞っていたら、修羅場のアランと同じ顔をしていると言われた。
事実、情報量が多すぎるし複数の容疑者を同時平行で足取りを追わねばならず、脳ミソがオーバーヒート寸前だから下手に話しかけられたらキレる自信がある。
たぶん、そういう顔をしているんだと思う。
「お……わり……」
漸く一人に絞り込み床に倒れ伏す私だったが、アランに「待て待て待て!まだ力尽きるな!」と抱き起こされた。
なによ、やることやったんだから休ませてよ。と文句を言う気力もない。
お願い休ませて……。
「頼む、アーティア!あと一息がんばってくれ!」
「容疑者なら……机の上に……資料まとめてある……」
「書類が混ざりすぎて探すのに時間がかかるだろ!あと、殴り書き過ぎて読めないから説明してから倒れてくれ!」
鬼かよ……、と思うが朦朧とした意識で書かれた文字は確かに私以外読めやしないだろう。
気力を振り絞り、要らない資料を机から落とし必要な資料を並べて息も絶え絶えに説明を始める。
「容疑者……ルナカ・マデリーン……。失踪場所や、遺棄現場で何度か目撃されてい……。事件より数週間前に……父親を殴り意識不明にしていま……。恐らくこれが第一の試練の見立て……。ルナカは少女ですが……性同一性障害で……強さへの拘りが強……。一番最近目撃された……条件が合致している場所がこ……」
そこまで話して意識が飛んだ。
遠くの方でアランが呼んでいたが、伝えることは伝えたからあとは頼んだ……。
夢の中での私は、相変わらずアランの駒使いをしているが、それでも楽しそうにしている。
夢というのは、自身の願望が現れると聞くけれども、そういうことなのかも知れない。
どんな形でも、アランの力になれていることを望んでいるはずなのだ。
それを喜べない現状の不満がこの夢だろう。
ふと気がつけば、そこは夏休みを過ごした祖父母の家。
少女趣味な服を着た私は、リビングのソファーで幼いアランに膝枕をされていた。
『なんだか幸せそうだったね、アーティア』
優しく微笑みかけ、私の頭を撫でるアラン。
夢の中で夢を見るなんて、私はどれだけ現実から目をそらしたいのか。
『夢……夢ならいいかしら……』
『なにが?』
『ごめんなさい……アランお兄ちゃん……。私、上手にできなかったわ……』
私の懺悔に不思議そうにアランは、「なにか失敗したのかい?」と聞く。
『そうよ、失敗したわ。いつまでも理由をつけてあなたから逃げ回っていたツケが回ってきたの。こんなことなら、もっと早くあなたに会いに来ればよかった……』
後悔と悲しみで、ごめんなさい、ごめんなさい、と泣きながら謝る私に、アランは変わらない優しい声で「大丈夫だよ、アーティア」と言う。
『俺が全部なんとかするから』
『ごめんなさい、ごめんなさい。アランお兄ちゃん』
『君はなにも悪くないよ』
甘い言葉に甘えたくなったが、これは夢だ。早く覚めろと頭の片隅で現実の私が意識を引き戻す。
目を開ければ、涙で滲んでいるがそれでも楽しそうに私を見下ろしているアランの顔が視界の大半を閉めていた。
「どうしたんだい、プリンセス。随分と苦しそうだったね」
そう言い、親指の腹で私の目元の涙を拭う手を抱き締め「アラン……お兄ちゃん……」と甘えたように呼べば、「まだ夢見心地かい」と愉快そうに言われて、漸くいまが現実だと理解はしたが感情の制御が追いつかない。
ぼろぼろと涙は止まらず、「お願い、落ち着くまでこうしてて」とお願いすれば、嫌な顔ひとつせず「構わないよ」と黙って側にいてくれるアラン。
「好きよ……好きよ、アランお兄ちゃん……」
譫言のように繰り返し呟く私に、アランは何度も「俺も愛してるよ、アーティア」と返してくれた。
暫くそうしていれば、やっと落ち着き「ありがとう、アラン」とお礼を言えば至極残念そうな顔で「どういたしまして」と返された。
「なんで、そんなに残念そうなのよ」
「あんなに可愛く甘えられたら、残念にも思うさ。それに、レアな君の泣き顔をもう少し見ていたかった」
「アラン、私の泣き顔好きよね」
「惚れた原因だからなぁ、仕方ないさ」
そこはせめて、「君の表情すべてが愛しいよ」くらい言ってほしいわね。
言ったら舌打ちしてただろうけど。
泣き顔で惚れるという真性のサディスト……。
まあ、薄々勘づいてはいたが。
「スーツ汚しちゃって、ごめんなさい」
「いいさ。丁度、クリーニングにだそうと思っていたから」
「そう、ならよかったわ。ところで、そろそろ起き上がらせてもらえないかしら」
さっきから、起き上がろうとする度に額を押さえられて妨害されているのだ。
額に貼られているであろう冷却シートが潰れる感触が不快だ。
「いいじゃないか。もう少し、横になっていれば」
「大丈夫よ。もう、だいぶ楽になったわ」
だから起き上がらせろ、と頭をあげようとするが、この体勢は意外と力が入りにくく軽く押さえつけられただけでも身動きがとれない。
「アランが膝枕するのが好きなのはしってるけど、自分の脚が屈強な固さになっていることを自覚してほしいわ!」
「足腰が資本だからね」
「聞いてないわよ、そんなこと!太股が厚く固くて寝心地最悪なのよ!」
「熱く硬いだなんて、はしたないぞ」
「おっさんか!」
下ネタの程度がザップさんレベルよ!と思ってはたと気が付いたが、いやに静かね。
アラン以外の気配がしないなと思い、「他の人たちは?」と尋ねれば「みんな出払ってるよ」と教えてくれた。
「クラウスとギルベルトさんに、気絶した君をお願いしようかとおもったんだけどね。クラウスに側にいるよう言われたから、お言葉に甘えさせてもらったんだ」
善意が完全に裏目だわ、ミスター・クラウス。
こんな真性サディストに弱っている私を任せるなんて、どうかしてるわ。
変なスイッチを入れないように静かにしておこうと抵抗するのを止めた私に、アランがおもむろに「なぁ、アーティア。俺がどうして膝枕が好きか、知ってるかい?」と聞いてきた。
「顔がよく見えるからとかかしら」
「それもあるけど、このアングルって君を捩じ伏せて支配してる感じがして好きなんだよね」
うっとりした笑みを浮かべるアラン。
既にヤバいスイッチを入れていた事実に、背筋に冷や汗をかいた。
これ以上、まずいことにならないよう発言にも気を付けよう。
いま、変な気を起こされたら誰も助けてくれない。
みんな、早く戻ってきて。
事実、情報量が多すぎるし複数の容疑者を同時平行で足取りを追わねばならず、脳ミソがオーバーヒート寸前だから下手に話しかけられたらキレる自信がある。
たぶん、そういう顔をしているんだと思う。
「お……わり……」
漸く一人に絞り込み床に倒れ伏す私だったが、アランに「待て待て待て!まだ力尽きるな!」と抱き起こされた。
なによ、やることやったんだから休ませてよ。と文句を言う気力もない。
お願い休ませて……。
「頼む、アーティア!あと一息がんばってくれ!」
「容疑者なら……机の上に……資料まとめてある……」
「書類が混ざりすぎて探すのに時間がかかるだろ!あと、殴り書き過ぎて読めないから説明してから倒れてくれ!」
鬼かよ……、と思うが朦朧とした意識で書かれた文字は確かに私以外読めやしないだろう。
気力を振り絞り、要らない資料を机から落とし必要な資料を並べて息も絶え絶えに説明を始める。
「容疑者……ルナカ・マデリーン……。失踪場所や、遺棄現場で何度か目撃されてい……。事件より数週間前に……父親を殴り意識不明にしていま……。恐らくこれが第一の試練の見立て……。ルナカは少女ですが……性同一性障害で……強さへの拘りが強……。一番最近目撃された……条件が合致している場所がこ……」
そこまで話して意識が飛んだ。
遠くの方でアランが呼んでいたが、伝えることは伝えたからあとは頼んだ……。
夢の中での私は、相変わらずアランの駒使いをしているが、それでも楽しそうにしている。
夢というのは、自身の願望が現れると聞くけれども、そういうことなのかも知れない。
どんな形でも、アランの力になれていることを望んでいるはずなのだ。
それを喜べない現状の不満がこの夢だろう。
ふと気がつけば、そこは夏休みを過ごした祖父母の家。
少女趣味な服を着た私は、リビングのソファーで幼いアランに膝枕をされていた。
『なんだか幸せそうだったね、アーティア』
優しく微笑みかけ、私の頭を撫でるアラン。
夢の中で夢を見るなんて、私はどれだけ現実から目をそらしたいのか。
『夢……夢ならいいかしら……』
『なにが?』
『ごめんなさい……アランお兄ちゃん……。私、上手にできなかったわ……』
私の懺悔に不思議そうにアランは、「なにか失敗したのかい?」と聞く。
『そうよ、失敗したわ。いつまでも理由をつけてあなたから逃げ回っていたツケが回ってきたの。こんなことなら、もっと早くあなたに会いに来ればよかった……』
後悔と悲しみで、ごめんなさい、ごめんなさい、と泣きながら謝る私に、アランは変わらない優しい声で「大丈夫だよ、アーティア」と言う。
『俺が全部なんとかするから』
『ごめんなさい、ごめんなさい。アランお兄ちゃん』
『君はなにも悪くないよ』
甘い言葉に甘えたくなったが、これは夢だ。早く覚めろと頭の片隅で現実の私が意識を引き戻す。
目を開ければ、涙で滲んでいるがそれでも楽しそうに私を見下ろしているアランの顔が視界の大半を閉めていた。
「どうしたんだい、プリンセス。随分と苦しそうだったね」
そう言い、親指の腹で私の目元の涙を拭う手を抱き締め「アラン……お兄ちゃん……」と甘えたように呼べば、「まだ夢見心地かい」と愉快そうに言われて、漸くいまが現実だと理解はしたが感情の制御が追いつかない。
ぼろぼろと涙は止まらず、「お願い、落ち着くまでこうしてて」とお願いすれば、嫌な顔ひとつせず「構わないよ」と黙って側にいてくれるアラン。
「好きよ……好きよ、アランお兄ちゃん……」
譫言のように繰り返し呟く私に、アランは何度も「俺も愛してるよ、アーティア」と返してくれた。
暫くそうしていれば、やっと落ち着き「ありがとう、アラン」とお礼を言えば至極残念そうな顔で「どういたしまして」と返された。
「なんで、そんなに残念そうなのよ」
「あんなに可愛く甘えられたら、残念にも思うさ。それに、レアな君の泣き顔をもう少し見ていたかった」
「アラン、私の泣き顔好きよね」
「惚れた原因だからなぁ、仕方ないさ」
そこはせめて、「君の表情すべてが愛しいよ」くらい言ってほしいわね。
言ったら舌打ちしてただろうけど。
泣き顔で惚れるという真性のサディスト……。
まあ、薄々勘づいてはいたが。
「スーツ汚しちゃって、ごめんなさい」
「いいさ。丁度、クリーニングにだそうと思っていたから」
「そう、ならよかったわ。ところで、そろそろ起き上がらせてもらえないかしら」
さっきから、起き上がろうとする度に額を押さえられて妨害されているのだ。
額に貼られているであろう冷却シートが潰れる感触が不快だ。
「いいじゃないか。もう少し、横になっていれば」
「大丈夫よ。もう、だいぶ楽になったわ」
だから起き上がらせろ、と頭をあげようとするが、この体勢は意外と力が入りにくく軽く押さえつけられただけでも身動きがとれない。
「アランが膝枕するのが好きなのはしってるけど、自分の脚が屈強な固さになっていることを自覚してほしいわ!」
「足腰が資本だからね」
「聞いてないわよ、そんなこと!太股が厚く固くて寝心地最悪なのよ!」
「熱く硬いだなんて、はしたないぞ」
「おっさんか!」
下ネタの程度がザップさんレベルよ!と思ってはたと気が付いたが、いやに静かね。
アラン以外の気配がしないなと思い、「他の人たちは?」と尋ねれば「みんな出払ってるよ」と教えてくれた。
「クラウスとギルベルトさんに、気絶した君をお願いしようかとおもったんだけどね。クラウスに側にいるよう言われたから、お言葉に甘えさせてもらったんだ」
善意が完全に裏目だわ、ミスター・クラウス。
こんな真性サディストに弱っている私を任せるなんて、どうかしてるわ。
変なスイッチを入れないように静かにしておこうと抵抗するのを止めた私に、アランがおもむろに「なぁ、アーティア。俺がどうして膝枕が好きか、知ってるかい?」と聞いてきた。
「顔がよく見えるからとかかしら」
「それもあるけど、このアングルって君を捩じ伏せて支配してる感じがして好きなんだよね」
うっとりした笑みを浮かべるアラン。
既にヤバいスイッチを入れていた事実に、背筋に冷や汗をかいた。
これ以上、まずいことにならないよう発言にも気を付けよう。
いま、変な気を起こされたら誰も助けてくれない。
みんな、早く戻ってきて。