criminal
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「まったく!すぐに帰ってくると思ったら、まさかロウ警部補と食事してるなんて!」
「警部補とはたまたま会って、暴徒鎮圧に協力したからご飯奢ってもらったんです。なにひとつ不自然な点はないはずですが」
私を小脇に抱えイライラとするアランに弁解するも、納得いかないようで「なんで、よりにもよってロウ警部補なんだ」と尚も文句が続く。
なんで、と言われても偶然としか言いようがなく。
人がせっせとプロファイリングしている間も、ずっと厳しい視線を向けてくるし。
なによ、ちゃんと言われた仕事はしてるわよ。
「おい、チビ番頭」
「なんでみんなして、私の呼称をスターフェイズさんに紐付けるんですか」
「似てるからしかたねえだろ。修羅場じゃねえのに、スティーブンさん殺気だたせるなよ」
「ただ食事に行っただけですよ。私に非はあまりないと思いますが」
「そりゃ、お前。自分の女が自分以外の男と出掛けたらキレんだろ」
ザップさんの言葉に、ツェッドさんが呆れ返って「それ、あなたが言いますか?」と言い喧嘩になりそうだったが、その前に私が鼻で嗤ってしまい、二人はピタリと喧嘩を中断した。
「それが事実だとしたら、私はスターフェイズさんの女ではないですし、食事も仕事が理由ですし、そもそもテメーも女抱いて情報とってきてんだろ、どうせ。ど突き回すぞ、クソ木炭トーテムポールが……て感じですね!そんなことはないでしょうが!」
明るく元気な私の言葉に、「アーティア!僕の心を傷つけていないで、作業してくれ!」とアランが悲痛な声をだすので、「終わってますよ」とアランの側に資料と犯行現場をマッピングしたホワイトボードを集めると、わらわらとライブラのメンバーが集まってきた。
アランが私の報告を聞いて指示をだすのかと思ったが、「じゃあ、報告を」と投げられた。
咳払いをひとつ。
「ではまず被害者ですが、関係性は特にいまのところないかと思われます。性別、種族、年齢に共通点はなく、全員が非力であるということが共通しています。複数人が同時にいなくなっていないことや、一人一人犯行が行われているところを見るに単独犯です」
「つまり、犯人は連れ去る腕力がそこまでないってこと?」
チェインさんの質問を、「必ずしもそうとは限りません」と否定する。
「この犯人は秩序型です。非力である、ということが犯人の中で条件として組み込まれている可能性があります」
「なんで秩序型なんだよ」
「いや、犯行見ればわかるじゃないですか。全員、毒殺後に全身を毒漬けにされ遺棄。その場所も一定区域に密集している。秩序型の典型ですよ」
親切丁寧にツェッドさんが説明してるのに、きいた本人であるザップさんは興味なさそうに「ふーん」と耳をほじっている。
興味ないなら聞かなければ喧嘩にもならないのに……。
「毒殺なら、やっぱり非力なやつがやってそうっすね」
「そうなんですが、こちらの死体が遺棄されたマップをご覧ください」
マップには十六の丸が書かれており、私は上の丸を七つずつ、下を十ずつ繋ぐ。
それを見てもピンとくる人は少なかったが、クラウスさんだけは「うみへび座か」とわかってくれた。
「当たりです。で、うみへび座は十八の星からなっているので、あと二つをざっくり書くと……」
ペンの色を変えて丸を二つ書き加えると、レオナルドさんとツェッドさん以外がさっ、と顔色を変えた。
「えー、皆さんお察しの通り、このうみへび座の心臓にあたる場所が問題なんですが」
「ダメだダメだダメだ!ベヨ・ゴルルア・アベル封印地はダメだ!あそこは常時清められて、やっとポイズンドラゴンを封印してるんだぞ!そこに、毒漬け死体なんて放り込んだら一発で復活するじゃないか!あんな面倒な案件はごめんだ!」
あのアランがこんなに取り乱し、約二名を除くメンバーが頭を抱えているのだから、相当面倒くさい案件だったのだろう。
まあ、あの堕落王フェムトが作り出したモンスターってだけで、滅茶苦茶面倒くさいってのは伝わってくる。
「スターフェイズさんの仰る通り、犯人の目当てはポイズンドラゴンの復活。これが、ただの死体であれば偶然と思えるのですが、わざわざ毒殺を選んでいるので十中八九当たっていると思われます。うみへび座はヘラクレスの十二の試練の二番目に登場するヒュドラが星座になりました。ヒュドラは猛毒を使ったとされております」
「犯人はなぜそんなことを企てたのか、すでにわかっているの。ミス・レストシャーナ」
「仮説としては、ポイズンドラゴンをヒュドラに見立てた信仰。または、ヒュドラを復活させ自身で倒しヘラクレス、英雄になるという願望があるかと思います。どちらにしろ、最終的な目標はベヨ・ゴルルア・アベル封印地です」
「ヒュドラ信仰者か、英雄願望者だな」
アランの問いかけに、被害者の行動範囲や失踪場所から犯人のいそうな場所を報告すれば、手早く各員に聞き込み場所を指示されていくが、いつもの様に私はお留守番コース。
これからどうしよう、仕事なくなったし暇だな、と思っていたら「アーティアは、各自からの報告を受けたらまとめろ!」と一番面倒くさい仕事を任された。
各々出払い、ギルベルトさんとクラウスさんと私だけが残り、私はテーブルに筆記用具などを集めていつでも報告をまとめられるようにしていたら、ホワイトボードを眺めていたクラウスさんが「素晴らしい」とこぼした。
「短時間でここまで調べあげ、仮説、推測できるとは」
「はぁ、この程度は当たり前かと」
「いいや、このスピードは誇るべきだ。ミス・レストシャーナ。スティーブンが君を自慢していたのも納得だ」
「そんな、本当に大したことでは……」
「謙遜することはない。君が来てからというもの、スティーブンの負担は大幅に軽減されている。なによりも、彼が気を抜いてくれる瞬間が増えたことが私は喜ばしい」
「そうですか?」
「あぁ。ミス・レストシャーナ。改めて、ライブラへようこそ。私は君が来てくれたことに感謝したい」
差し出された大きな手に戸惑いはしたが、なんとか笑顔を作り「こちらこそ、ありがとうございます。ミスター・クラウス」と握り返したら、その荒々しい見た目とは反する優しい手つきで握り返された。
「ですが、歓待してくださるなら、そんな堅苦しい呼び方はやめてください。気軽にアーティアとお呼びください」
「む、そうか。友人の恋人なので、失礼かと思い」
「はっはー!さっきも言いましたが、私はスターフェイズさんの恋人じゃないんですよねー!」
だーれだ、そんな嘘を吹聴してるのは!
お前だろ、スティーブン・アラン・スターフェイズ!
「警部補とはたまたま会って、暴徒鎮圧に協力したからご飯奢ってもらったんです。なにひとつ不自然な点はないはずですが」
私を小脇に抱えイライラとするアランに弁解するも、納得いかないようで「なんで、よりにもよってロウ警部補なんだ」と尚も文句が続く。
なんで、と言われても偶然としか言いようがなく。
人がせっせとプロファイリングしている間も、ずっと厳しい視線を向けてくるし。
なによ、ちゃんと言われた仕事はしてるわよ。
「おい、チビ番頭」
「なんでみんなして、私の呼称をスターフェイズさんに紐付けるんですか」
「似てるからしかたねえだろ。修羅場じゃねえのに、スティーブンさん殺気だたせるなよ」
「ただ食事に行っただけですよ。私に非はあまりないと思いますが」
「そりゃ、お前。自分の女が自分以外の男と出掛けたらキレんだろ」
ザップさんの言葉に、ツェッドさんが呆れ返って「それ、あなたが言いますか?」と言い喧嘩になりそうだったが、その前に私が鼻で嗤ってしまい、二人はピタリと喧嘩を中断した。
「それが事実だとしたら、私はスターフェイズさんの女ではないですし、食事も仕事が理由ですし、そもそもテメーも女抱いて情報とってきてんだろ、どうせ。ど突き回すぞ、クソ木炭トーテムポールが……て感じですね!そんなことはないでしょうが!」
明るく元気な私の言葉に、「アーティア!僕の心を傷つけていないで、作業してくれ!」とアランが悲痛な声をだすので、「終わってますよ」とアランの側に資料と犯行現場をマッピングしたホワイトボードを集めると、わらわらとライブラのメンバーが集まってきた。
アランが私の報告を聞いて指示をだすのかと思ったが、「じゃあ、報告を」と投げられた。
咳払いをひとつ。
「ではまず被害者ですが、関係性は特にいまのところないかと思われます。性別、種族、年齢に共通点はなく、全員が非力であるということが共通しています。複数人が同時にいなくなっていないことや、一人一人犯行が行われているところを見るに単独犯です」
「つまり、犯人は連れ去る腕力がそこまでないってこと?」
チェインさんの質問を、「必ずしもそうとは限りません」と否定する。
「この犯人は秩序型です。非力である、ということが犯人の中で条件として組み込まれている可能性があります」
「なんで秩序型なんだよ」
「いや、犯行見ればわかるじゃないですか。全員、毒殺後に全身を毒漬けにされ遺棄。その場所も一定区域に密集している。秩序型の典型ですよ」
親切丁寧にツェッドさんが説明してるのに、きいた本人であるザップさんは興味なさそうに「ふーん」と耳をほじっている。
興味ないなら聞かなければ喧嘩にもならないのに……。
「毒殺なら、やっぱり非力なやつがやってそうっすね」
「そうなんですが、こちらの死体が遺棄されたマップをご覧ください」
マップには十六の丸が書かれており、私は上の丸を七つずつ、下を十ずつ繋ぐ。
それを見てもピンとくる人は少なかったが、クラウスさんだけは「うみへび座か」とわかってくれた。
「当たりです。で、うみへび座は十八の星からなっているので、あと二つをざっくり書くと……」
ペンの色を変えて丸を二つ書き加えると、レオナルドさんとツェッドさん以外がさっ、と顔色を変えた。
「えー、皆さんお察しの通り、このうみへび座の心臓にあたる場所が問題なんですが」
「ダメだダメだダメだ!ベヨ・ゴルルア・アベル封印地はダメだ!あそこは常時清められて、やっとポイズンドラゴンを封印してるんだぞ!そこに、毒漬け死体なんて放り込んだら一発で復活するじゃないか!あんな面倒な案件はごめんだ!」
あのアランがこんなに取り乱し、約二名を除くメンバーが頭を抱えているのだから、相当面倒くさい案件だったのだろう。
まあ、あの堕落王フェムトが作り出したモンスターってだけで、滅茶苦茶面倒くさいってのは伝わってくる。
「スターフェイズさんの仰る通り、犯人の目当てはポイズンドラゴンの復活。これが、ただの死体であれば偶然と思えるのですが、わざわざ毒殺を選んでいるので十中八九当たっていると思われます。うみへび座はヘラクレスの十二の試練の二番目に登場するヒュドラが星座になりました。ヒュドラは猛毒を使ったとされております」
「犯人はなぜそんなことを企てたのか、すでにわかっているの。ミス・レストシャーナ」
「仮説としては、ポイズンドラゴンをヒュドラに見立てた信仰。または、ヒュドラを復活させ自身で倒しヘラクレス、英雄になるという願望があるかと思います。どちらにしろ、最終的な目標はベヨ・ゴルルア・アベル封印地です」
「ヒュドラ信仰者か、英雄願望者だな」
アランの問いかけに、被害者の行動範囲や失踪場所から犯人のいそうな場所を報告すれば、手早く各員に聞き込み場所を指示されていくが、いつもの様に私はお留守番コース。
これからどうしよう、仕事なくなったし暇だな、と思っていたら「アーティアは、各自からの報告を受けたらまとめろ!」と一番面倒くさい仕事を任された。
各々出払い、ギルベルトさんとクラウスさんと私だけが残り、私はテーブルに筆記用具などを集めていつでも報告をまとめられるようにしていたら、ホワイトボードを眺めていたクラウスさんが「素晴らしい」とこぼした。
「短時間でここまで調べあげ、仮説、推測できるとは」
「はぁ、この程度は当たり前かと」
「いいや、このスピードは誇るべきだ。ミス・レストシャーナ。スティーブンが君を自慢していたのも納得だ」
「そんな、本当に大したことでは……」
「謙遜することはない。君が来てからというもの、スティーブンの負担は大幅に軽減されている。なによりも、彼が気を抜いてくれる瞬間が増えたことが私は喜ばしい」
「そうですか?」
「あぁ。ミス・レストシャーナ。改めて、ライブラへようこそ。私は君が来てくれたことに感謝したい」
差し出された大きな手に戸惑いはしたが、なんとか笑顔を作り「こちらこそ、ありがとうございます。ミスター・クラウス」と握り返したら、その荒々しい見た目とは反する優しい手つきで握り返された。
「ですが、歓待してくださるなら、そんな堅苦しい呼び方はやめてください。気軽にアーティアとお呼びください」
「む、そうか。友人の恋人なので、失礼かと思い」
「はっはー!さっきも言いましたが、私はスターフェイズさんの恋人じゃないんですよねー!」
だーれだ、そんな嘘を吹聴してるのは!
お前だろ、スティーブン・アラン・スターフェイズ!