criminal
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ようやく私の調査も終わり、本日からライブラ正式雇用となった。
それにしても、一ヶ月と言っていたのに半月で申請が通ったのはどうして?と素直な疑問を投げ掛ければ「俺の従妹だからかな」と言われて、なんか嫌だ。
「ほら俺の従妹なら、下手に俺に楯突いたらどうなるか弁えてるだろ」
「すごい説得力だ」
「実際、君に不審な点はなかった。安心して、うちで馬車馬のように働いてくれ」
朝からジョークが真っ黒い。
アランに連れられやって来たライブラのオフィスでは何人かが既におり、「ここにいる者にだけでも紹介するから、集まってくれ」とアランが手を叩けばぞろぞろと集まってきた。
ラインヘルツの坊っちゃん、美人の女の子、色の黒い男、普通な男の子、魚人、包帯を巻いた男。
男の子以外は、戦い慣れした人間特有の気配がする。
飲まれてはいけない、と背筋を伸ばし「はじめまして、アーティア・レストシャーナと申します」と挨拶をした。
「微力ながらお手伝いできるよう満身して参りますので、ご鞭撻のほどよろしくお願いします」
「うぉ……すげぇな……。作り笑顔が番頭そっくりだ……」
「スティーブンさんの隠し子って言われても頷いちゃいそうです」
「ちょっと二人とも!初対面の人に不躾ですよ!」
魚人の彼に注意されるも色黒の彼と男の子は「えー」という態度をとっていたのに、アランが「お前たち……」と言っただけで「すみませんでした!」と謝罪する姿に、容易に上下関係が見てとれる。
「安心してください。スターフェイズさんは、隠し子を作るほど間抜けではありませんから」
「アーティア、僕は別にそこは心配してない」
「おや、そうなんですか?失礼致しました。それで、私はこれからなにをすれば?」
「とりあえずHL歩き回って土地勘を身に付けてくれ。あそこの暇人三人を一緒に行かせるから、困ったら聞きなさい」
暇人三人と言われたうちの色黒の彼と男の子がなにやらブーブー言っていたが、アランの一睨みで黙らされた。
暇人三人改め、ザップさん、レオナルドさん、ツェッドさんに連れられHLを回っていたが、なんと言うか……。
「ぐちゃぐちゃですね……」
案内されたいくつ目かの彼らのサボり場所でティーブレイクをして感想を述べれば、ザップさんが「こんなの序の序の序の口だぜ。先っちょすら入っちゃいねえよ」と、言われた。
これで序の序の序の口とは、恐ろしい街だ。
「そういえばアーティアさんとスティーブンさん、なんだか他人行儀でしたよね。普段のスティーブンさんの反応だけ見てると、すっげー仲良しっぽかったですけど」
「仲は悪くないですよ。でも、仕事ですから。身内同士のノリはすべきじゃないとお互いに思っていますので」
「はー、ザップさんよりしっかりしてる」
「おぅ、どういう意味だ陰毛」
「女の子の前でそういうのやめろよ!」
喧嘩を始めた二人を放置して、一番落ち着きがありそうなツェッドさんに「もし可能なら、このあと不動産屋に行かせてもらえませんか?」と頼めば、首を傾げ「構いませんが、なぜ?」と聞かれた。
「ライブラに入れましたし、スターフェイズさんの家にいつまでもお世話になれませんから」
というのは建前で、アランの家にいつまでもいると変な噂が立ったり、女に闇討ちされるのが嫌なだけだ。
顔がいい男は本当に厄介だということは、アランと過ごした幼少期で実感している。
「だから、お願いします」
「まあ、ここなら子供の姿でも借りられると思いますけど……。大丈夫ですか?」
「自分の身ぐらい、守りますよ」
「いや、そうじゃなくて……」
不安そうにするツェッドさんを押して押して押しまくって、不動産屋に案内してもらい、安めの物件をセレクトして詳細を印刷してもらってからオフィスに持ち帰って吟味していたら、ミスター過保護が現れた。
「全部却下だ!」
まとめて捨てられた物件たちを、引きつりそうになる顔面を押さえ「理由をお聞きしても……?」と一応、一応だが聞けば「危険だからだ!以上!」と舐めた理由を述べごみ袋の口を縛られ、さすがの私も堪忍袋の緒が切れた。
「ふざけないでよ!私が自分の身も守れない子供だとでも思ってるわけ?!」
「子供だとは思っていないし、ある程度は守れるとは思う。しかし、君はまだHLに来て間もない。どういう危険があるかも判断がつかないだろ」
「じゃあ、眼以外は一般人のレオナルドさんはどうなるのよ!彼の方が保護すべき対象でしょ!」
「レオナルドはHLで長く一人で生活し、生き残ってきた。処世術を知っている。問題はないさ」
ああ言ったらこう言うの水掛け論が続き、オフィスは殺意の氷点下。
「アラン、あなただって私が本当に脳ミソゆるふわ花畑ハチミツ漬けな馬鹿女でないことくらいわかってるでしょ。自分の責任は自分でとるわよ」
「知ってるさ。僕と同類の人間なのは知っているが、どうも危機感はゆるふわ花畑ハチミツ漬けなようだね。HLを舐めていると早死にするぞ」
「あら、沸点の低い仕事馬鹿と同類だなんて勘弁してほしいわね」
「沸点の低さは君に言われたくないなぁ」
「ふふっ、どうだか……」
ノーモーションでクラウスさんに腐蝕の小刀を投げつける。
軌道を外してあるので当たりはしないし、クラウスさんなら当たりはしないだろう。
それはアランも理解しているだろうが、それでも止めるのがスティーブン・アラン・スターフェイズである。
血凍道でしっかりと腐蝕の小刀を氷漬けにし、先程までの人間味ある顔から一変、怒りを圧し殺した獣の顔になる。
「ほら、怒った」
馬鹿にするように言えば、「少しおふざけが過ぎるぞ、アーティア……」と低い声。
やーね、怖い、こわい。
「頭を冷やしてやらないといけないようだな」
「そのお堅い頭、溶かしてほしいのかしら?」
一触即発の空気を制したのは、まぁ、当たり前だが、この場にいて唯一アランを止められるクラウスさんだった。
「やめないか、君たち!仲間同士で傷つけあうなど!」
「やだなぁ、クラウス。こんなのはただの兄妹喧嘩の範疇さ」
「そうですよ、クラウスさん。ザップさんとレオナルドさんだって、喧嘩してますが仲がいいじゃないですか」
アランと私の言い分に、クラウスさんは「た、たしかに……」と納得しかけたのに外野のレオナルドさんが「いやいやいや!そんな可愛い範疇じゃないっすからね?!」と突っ込みをいれた。
「つか、あんたらいま、確実に殺し合いしようとしてたじゃないっすか。巻き込まねぇでくださいよ」
「クラウスさんの言う通りです。こんな無益な争いはやめましょう」
「そうっすよ!」
止めに入るツェッドさんとレオナルドさんにはわからないだろう。
二十代後半になってまで、母親でもない男からあれはするな、これはするな、それは危険だからだダメだと言われ、つい昨日まではアランの同行なしでは外出も許されない生活。
「監視下と抑圧の家畜生活からやっと解放されるんだから、私だって一人の大人として一人暮らししたいわよ!」
「あー、そらきついわな……」
「スティーブンさん……」
私の主張に同意したのはザップさんとレオナルドさん。
ツェッドさんとクラウスさんはまだ、「心配なんですよ」という気持ちがあるのか賛同はえられず。
せめて、クラウスさんの賛同を得られれば、アランの説得は容易になるがどうすれば。と悩んだのに、なぜかアランが心的ダメージを負って蹲っていた。
「なんでよ」
「自分の愛情が家畜生活と言われた俺の気持ちがわかるか、アーティア」
ママか、あんたは。
なんとか立て直したアランは、覇気のない声で「わかった、これからは口煩く行動を制限はしないと約束する」と言ったので、言質がとれた!と喜び「じゃあ、一人暮らししてもいいのね!」と言ったら「それはダメだ」とスタート地点へ戻る。
「なんでよ!制限しないんでしょ!」
「しないが、一人暮らしはダメだ」
「へー!そこまで言うなら、大層な理由があるんでしょうね!」
「俺はアーティアと一緒に生活するのが夢だったんだ!」
「私情じゃねーか!」
「そうだ!」
二度目の殺し合いが始まる前に、クラウスさんの一喝でその場は収まったが帰宅後に延長戦かな、これは。
それにしても、一ヶ月と言っていたのに半月で申請が通ったのはどうして?と素直な疑問を投げ掛ければ「俺の従妹だからかな」と言われて、なんか嫌だ。
「ほら俺の従妹なら、下手に俺に楯突いたらどうなるか弁えてるだろ」
「すごい説得力だ」
「実際、君に不審な点はなかった。安心して、うちで馬車馬のように働いてくれ」
朝からジョークが真っ黒い。
アランに連れられやって来たライブラのオフィスでは何人かが既におり、「ここにいる者にだけでも紹介するから、集まってくれ」とアランが手を叩けばぞろぞろと集まってきた。
ラインヘルツの坊っちゃん、美人の女の子、色の黒い男、普通な男の子、魚人、包帯を巻いた男。
男の子以外は、戦い慣れした人間特有の気配がする。
飲まれてはいけない、と背筋を伸ばし「はじめまして、アーティア・レストシャーナと申します」と挨拶をした。
「微力ながらお手伝いできるよう満身して参りますので、ご鞭撻のほどよろしくお願いします」
「うぉ……すげぇな……。作り笑顔が番頭そっくりだ……」
「スティーブンさんの隠し子って言われても頷いちゃいそうです」
「ちょっと二人とも!初対面の人に不躾ですよ!」
魚人の彼に注意されるも色黒の彼と男の子は「えー」という態度をとっていたのに、アランが「お前たち……」と言っただけで「すみませんでした!」と謝罪する姿に、容易に上下関係が見てとれる。
「安心してください。スターフェイズさんは、隠し子を作るほど間抜けではありませんから」
「アーティア、僕は別にそこは心配してない」
「おや、そうなんですか?失礼致しました。それで、私はこれからなにをすれば?」
「とりあえずHL歩き回って土地勘を身に付けてくれ。あそこの暇人三人を一緒に行かせるから、困ったら聞きなさい」
暇人三人と言われたうちの色黒の彼と男の子がなにやらブーブー言っていたが、アランの一睨みで黙らされた。
暇人三人改め、ザップさん、レオナルドさん、ツェッドさんに連れられHLを回っていたが、なんと言うか……。
「ぐちゃぐちゃですね……」
案内されたいくつ目かの彼らのサボり場所でティーブレイクをして感想を述べれば、ザップさんが「こんなの序の序の序の口だぜ。先っちょすら入っちゃいねえよ」と、言われた。
これで序の序の序の口とは、恐ろしい街だ。
「そういえばアーティアさんとスティーブンさん、なんだか他人行儀でしたよね。普段のスティーブンさんの反応だけ見てると、すっげー仲良しっぽかったですけど」
「仲は悪くないですよ。でも、仕事ですから。身内同士のノリはすべきじゃないとお互いに思っていますので」
「はー、ザップさんよりしっかりしてる」
「おぅ、どういう意味だ陰毛」
「女の子の前でそういうのやめろよ!」
喧嘩を始めた二人を放置して、一番落ち着きがありそうなツェッドさんに「もし可能なら、このあと不動産屋に行かせてもらえませんか?」と頼めば、首を傾げ「構いませんが、なぜ?」と聞かれた。
「ライブラに入れましたし、スターフェイズさんの家にいつまでもお世話になれませんから」
というのは建前で、アランの家にいつまでもいると変な噂が立ったり、女に闇討ちされるのが嫌なだけだ。
顔がいい男は本当に厄介だということは、アランと過ごした幼少期で実感している。
「だから、お願いします」
「まあ、ここなら子供の姿でも借りられると思いますけど……。大丈夫ですか?」
「自分の身ぐらい、守りますよ」
「いや、そうじゃなくて……」
不安そうにするツェッドさんを押して押して押しまくって、不動産屋に案内してもらい、安めの物件をセレクトして詳細を印刷してもらってからオフィスに持ち帰って吟味していたら、ミスター過保護が現れた。
「全部却下だ!」
まとめて捨てられた物件たちを、引きつりそうになる顔面を押さえ「理由をお聞きしても……?」と一応、一応だが聞けば「危険だからだ!以上!」と舐めた理由を述べごみ袋の口を縛られ、さすがの私も堪忍袋の緒が切れた。
「ふざけないでよ!私が自分の身も守れない子供だとでも思ってるわけ?!」
「子供だとは思っていないし、ある程度は守れるとは思う。しかし、君はまだHLに来て間もない。どういう危険があるかも判断がつかないだろ」
「じゃあ、眼以外は一般人のレオナルドさんはどうなるのよ!彼の方が保護すべき対象でしょ!」
「レオナルドはHLで長く一人で生活し、生き残ってきた。処世術を知っている。問題はないさ」
ああ言ったらこう言うの水掛け論が続き、オフィスは殺意の氷点下。
「アラン、あなただって私が本当に脳ミソゆるふわ花畑ハチミツ漬けな馬鹿女でないことくらいわかってるでしょ。自分の責任は自分でとるわよ」
「知ってるさ。僕と同類の人間なのは知っているが、どうも危機感はゆるふわ花畑ハチミツ漬けなようだね。HLを舐めていると早死にするぞ」
「あら、沸点の低い仕事馬鹿と同類だなんて勘弁してほしいわね」
「沸点の低さは君に言われたくないなぁ」
「ふふっ、どうだか……」
ノーモーションでクラウスさんに腐蝕の小刀を投げつける。
軌道を外してあるので当たりはしないし、クラウスさんなら当たりはしないだろう。
それはアランも理解しているだろうが、それでも止めるのがスティーブン・アラン・スターフェイズである。
血凍道でしっかりと腐蝕の小刀を氷漬けにし、先程までの人間味ある顔から一変、怒りを圧し殺した獣の顔になる。
「ほら、怒った」
馬鹿にするように言えば、「少しおふざけが過ぎるぞ、アーティア……」と低い声。
やーね、怖い、こわい。
「頭を冷やしてやらないといけないようだな」
「そのお堅い頭、溶かしてほしいのかしら?」
一触即発の空気を制したのは、まぁ、当たり前だが、この場にいて唯一アランを止められるクラウスさんだった。
「やめないか、君たち!仲間同士で傷つけあうなど!」
「やだなぁ、クラウス。こんなのはただの兄妹喧嘩の範疇さ」
「そうですよ、クラウスさん。ザップさんとレオナルドさんだって、喧嘩してますが仲がいいじゃないですか」
アランと私の言い分に、クラウスさんは「た、たしかに……」と納得しかけたのに外野のレオナルドさんが「いやいやいや!そんな可愛い範疇じゃないっすからね?!」と突っ込みをいれた。
「つか、あんたらいま、確実に殺し合いしようとしてたじゃないっすか。巻き込まねぇでくださいよ」
「クラウスさんの言う通りです。こんな無益な争いはやめましょう」
「そうっすよ!」
止めに入るツェッドさんとレオナルドさんにはわからないだろう。
二十代後半になってまで、母親でもない男からあれはするな、これはするな、それは危険だからだダメだと言われ、つい昨日まではアランの同行なしでは外出も許されない生活。
「監視下と抑圧の家畜生活からやっと解放されるんだから、私だって一人の大人として一人暮らししたいわよ!」
「あー、そらきついわな……」
「スティーブンさん……」
私の主張に同意したのはザップさんとレオナルドさん。
ツェッドさんとクラウスさんはまだ、「心配なんですよ」という気持ちがあるのか賛同はえられず。
せめて、クラウスさんの賛同を得られれば、アランの説得は容易になるがどうすれば。と悩んだのに、なぜかアランが心的ダメージを負って蹲っていた。
「なんでよ」
「自分の愛情が家畜生活と言われた俺の気持ちがわかるか、アーティア」
ママか、あんたは。
なんとか立て直したアランは、覇気のない声で「わかった、これからは口煩く行動を制限はしないと約束する」と言ったので、言質がとれた!と喜び「じゃあ、一人暮らししてもいいのね!」と言ったら「それはダメだ」とスタート地点へ戻る。
「なんでよ!制限しないんでしょ!」
「しないが、一人暮らしはダメだ」
「へー!そこまで言うなら、大層な理由があるんでしょうね!」
「俺はアーティアと一緒に生活するのが夢だったんだ!」
「私情じゃねーか!」
「そうだ!」
二度目の殺し合いが始まる前に、クラウスさんの一喝でその場は収まったが帰宅後に延長戦かな、これは。