criminal
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
先程アランがお店を聞いていた男性はライブラのリーダーであり、ラインヘルツのお坊ちゃんだと説明を受けた。
なるほど、確かに威厳ある佇まいだとは思った。
そして、お坊ちゃんの推薦だけあってここのハーブティーは上質な味がして、とても……その……美味しい……。
語彙力が乏しくなるほどに。
価格的に頻繁に飲みに来たり茶葉を買ったりはできないが、なにかしらのご褒美として来店するにはいいかも知れない。
意図せず良いお店を知れて頬が緩んでいたのか、「喜んでもらえてよかった」とアランが柔らかい笑みを浮かべて言った。
「えぇ、とても美味しいわ」
「それはよかった。こっちに来てからずっと、どうも張りつめたような空気をだしていたから気にはなっていたんだよ」
「気になっていたにしては、随分と放って置かれていた気がするわね」
「すまない」
私の嫌味に、八の字に凛々しい眉さげ謝るアランに「嘘よ、気にしてないわ」と言えば、「意地悪だな」と返されたがアランにだけは言われたくないわね。
意地悪のミルフィーユみたいな男のくせに。
ハーブティーを飲み、HLに来てからの自分を思い返し「……私、そんな空気だしてた?」と尋ねればアランは考える素振りも見せず「してた」と即答。
「君は元から俺の前だと猫を被って背伸びしているところがあったし、その成りだから尚更なのかなとも思ったけど、どうもそれとは感じが違う。なにか別の理由で緊張していたのかな?」
「そう……そうね……。緊張はしていたのかも知れないわ。やせ我慢とも言うのかしら。こんな場所だし……アランに会うのも怖かったから……」
「アーティアは昔からゴーストとか苦手だったからなぁ。だとしても、俺を怖がるなんてどういうことだい?」
口元の笑みだけ残し睨み付けてくるとは器用なことをしなさる。
あまり怒らせると面倒なのよね、この人。
そんなわけないとは思うけど、自分が怖い男だと自覚がないのかしら。
とは思うが言ったら絶対になにかしらの報復をされるので黙っておくのが吉。
「あなたが怖いと言うより、未熟なままで会うのが怖かったの」
「未熟なままでもいいじゃないか。昔みたいに、手取り足取りなんでも教えてあげるさ」
「それが嫌なのよ」
あと、いまのアランが言うといやらしい意味合いにとれるわ。
「いつまでもアランに頼りきりは嫌なの」
「俺はいつまでも頼ってほしいよ」
「子供扱いはやめてほしいわ。それに、自分が立てた誓いを破りたくないの」
「俺が頼ってもいいと思えるくらい優秀万能なレディになるんだっけ?」
「よく覚えてるわね。随分と昔の話だって言うのに」
「……覚えてるに決まってるさ」
子供の無邪気な夢語り、忘れてしまえと思われるかも知れないが、それでも私はアランに追い付きたい気持ちで必死なのだ。
そうしないと、この人は一人で先へ先へ、深く深く戻れない所まで行ってしまい、最後は彼が守ると決めたものの為に露と消えてしまうだろう。
その時、自分が同じ道に踏み出せなかったことを後悔したくない。
アランの為に成長するなんて言っているが、他でもない私の為、私が後悔しない為の誓いで、アランの為なんてのは耳障りのいい建前だ。
「見苦しいったらないわ」
「なにがだい?」
「なんでもないわ。私はね、大切な人に立てた誓いを守らないなんて不誠実なことはしたくないの」
「その“大切な人”てのは、神様かい?それとも俺だって自惚れていいのかな?」
「好きにすればいいわ。でも、そうね。アランには嘘も裏切りもしたくないってのは言っておくわね」
少しぬるくなったカップを持つ手が、少し震える。
「教会の教えかい」
「私が神様なんて信じてないのはあなたが一番よく知ってるくせに」
「世界には神様なんていないって秘密を教えてくれたのは君だったね」
「教えなくても知ってたでしょ」
「馬鹿言わないでくれ。俺は敬虔なクリスチャンだったんだぜ?びっくりして心臓が裏返るかと思ったよ」
敬虔なクリスチャンなんて、どの口が言っているのかと笑ってしまう。
「じゃあ、私が世界の秘密を教えてしまったから、敬虔なクリスチャンのあなたが十字架を踏むようになってしまったのね。ごめんなさい?」
「おいおい、そうじゃないことくらい君も知ってるだろ」
「なら、あなたも私があなたに嘘と裏切りをしたくないのが教会の教えなんかじゃないことはわかるでしょ」
「そうだねぇ。聖書を鼻で嗤う子だってのは知ってたかなぁ」
「そんなことしないわよぉ。紙飛行機にはしたけど」
もっと酷いじゃないか、と言いながら豪快に笑うアランと一緒に笑いながら、「そうね。聖書なんて信じるくらいなら、アランを神様として崇めるわ」と更に冗談を続ければ、柄じゃないと笑い飛ばされた。
「そうね、あなたは神様というより魔王って感じよね」
「失敬だな。じゃあ、その魔王の力になろうとしてる君は、魔王の補佐官かな」
「そんな大した者ではありませんが、上手く使ってくださる、魔王様?」
「誰に言ってるんだい。誰よりも君を使える自信しかないね」
「言うわねぇ、親愛なる魔王様。うまーく使ってちょうだいね」
「任せとけ。裏切ろうなんて思う暇もなくこき使ってやるよ」
「ふふ、怖い。けど、裏切った時はとびっきりの罰をお願いね」
「いや、俺は基本的に君のことは許すから安心してくれていいよ」
そんな生半可に優しい人間じゃないくせに。
本当に口が上手いわぁ。
なるほど、確かに威厳ある佇まいだとは思った。
そして、お坊ちゃんの推薦だけあってここのハーブティーは上質な味がして、とても……その……美味しい……。
語彙力が乏しくなるほどに。
価格的に頻繁に飲みに来たり茶葉を買ったりはできないが、なにかしらのご褒美として来店するにはいいかも知れない。
意図せず良いお店を知れて頬が緩んでいたのか、「喜んでもらえてよかった」とアランが柔らかい笑みを浮かべて言った。
「えぇ、とても美味しいわ」
「それはよかった。こっちに来てからずっと、どうも張りつめたような空気をだしていたから気にはなっていたんだよ」
「気になっていたにしては、随分と放って置かれていた気がするわね」
「すまない」
私の嫌味に、八の字に凛々しい眉さげ謝るアランに「嘘よ、気にしてないわ」と言えば、「意地悪だな」と返されたがアランにだけは言われたくないわね。
意地悪のミルフィーユみたいな男のくせに。
ハーブティーを飲み、HLに来てからの自分を思い返し「……私、そんな空気だしてた?」と尋ねればアランは考える素振りも見せず「してた」と即答。
「君は元から俺の前だと猫を被って背伸びしているところがあったし、その成りだから尚更なのかなとも思ったけど、どうもそれとは感じが違う。なにか別の理由で緊張していたのかな?」
「そう……そうね……。緊張はしていたのかも知れないわ。やせ我慢とも言うのかしら。こんな場所だし……アランに会うのも怖かったから……」
「アーティアは昔からゴーストとか苦手だったからなぁ。だとしても、俺を怖がるなんてどういうことだい?」
口元の笑みだけ残し睨み付けてくるとは器用なことをしなさる。
あまり怒らせると面倒なのよね、この人。
そんなわけないとは思うけど、自分が怖い男だと自覚がないのかしら。
とは思うが言ったら絶対になにかしらの報復をされるので黙っておくのが吉。
「あなたが怖いと言うより、未熟なままで会うのが怖かったの」
「未熟なままでもいいじゃないか。昔みたいに、手取り足取りなんでも教えてあげるさ」
「それが嫌なのよ」
あと、いまのアランが言うといやらしい意味合いにとれるわ。
「いつまでもアランに頼りきりは嫌なの」
「俺はいつまでも頼ってほしいよ」
「子供扱いはやめてほしいわ。それに、自分が立てた誓いを破りたくないの」
「俺が頼ってもいいと思えるくらい優秀万能なレディになるんだっけ?」
「よく覚えてるわね。随分と昔の話だって言うのに」
「……覚えてるに決まってるさ」
子供の無邪気な夢語り、忘れてしまえと思われるかも知れないが、それでも私はアランに追い付きたい気持ちで必死なのだ。
そうしないと、この人は一人で先へ先へ、深く深く戻れない所まで行ってしまい、最後は彼が守ると決めたものの為に露と消えてしまうだろう。
その時、自分が同じ道に踏み出せなかったことを後悔したくない。
アランの為に成長するなんて言っているが、他でもない私の為、私が後悔しない為の誓いで、アランの為なんてのは耳障りのいい建前だ。
「見苦しいったらないわ」
「なにがだい?」
「なんでもないわ。私はね、大切な人に立てた誓いを守らないなんて不誠実なことはしたくないの」
「その“大切な人”てのは、神様かい?それとも俺だって自惚れていいのかな?」
「好きにすればいいわ。でも、そうね。アランには嘘も裏切りもしたくないってのは言っておくわね」
少しぬるくなったカップを持つ手が、少し震える。
「教会の教えかい」
「私が神様なんて信じてないのはあなたが一番よく知ってるくせに」
「世界には神様なんていないって秘密を教えてくれたのは君だったね」
「教えなくても知ってたでしょ」
「馬鹿言わないでくれ。俺は敬虔なクリスチャンだったんだぜ?びっくりして心臓が裏返るかと思ったよ」
敬虔なクリスチャンなんて、どの口が言っているのかと笑ってしまう。
「じゃあ、私が世界の秘密を教えてしまったから、敬虔なクリスチャンのあなたが十字架を踏むようになってしまったのね。ごめんなさい?」
「おいおい、そうじゃないことくらい君も知ってるだろ」
「なら、あなたも私があなたに嘘と裏切りをしたくないのが教会の教えなんかじゃないことはわかるでしょ」
「そうだねぇ。聖書を鼻で嗤う子だってのは知ってたかなぁ」
「そんなことしないわよぉ。紙飛行機にはしたけど」
もっと酷いじゃないか、と言いながら豪快に笑うアランと一緒に笑いながら、「そうね。聖書なんて信じるくらいなら、アランを神様として崇めるわ」と更に冗談を続ければ、柄じゃないと笑い飛ばされた。
「そうね、あなたは神様というより魔王って感じよね」
「失敬だな。じゃあ、その魔王の力になろうとしてる君は、魔王の補佐官かな」
「そんな大した者ではありませんが、上手く使ってくださる、魔王様?」
「誰に言ってるんだい。誰よりも君を使える自信しかないね」
「言うわねぇ、親愛なる魔王様。うまーく使ってちょうだいね」
「任せとけ。裏切ろうなんて思う暇もなくこき使ってやるよ」
「ふふ、怖い。けど、裏切った時はとびっきりの罰をお願いね」
「いや、俺は基本的に君のことは許すから安心してくれていいよ」
そんな生半可に優しい人間じゃないくせに。
本当に口が上手いわぁ。