はろうぃんリクエスト企画
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ハロウィンと言えば、俺様が仮装して幼馴染みの友よにお菓子をあげに行く行事なのだが、よく考えなくてもおかしいな。お菓子だけに。
普通、仮装して訪問した人間がお菓子をもらうもんじゃない?
なんで俺様がわたしてるの?
というわけで、今年は正式なハロウィンをする為にお邪魔することにした。
友よのことだから、俺様が与えてくれると高をくくってなにも用意していないだろう。
とびきりのイタズラしてやると、ニヤニヤしながらチャイムを鳴らすも応答なし。
何回やっても出てくる気配がないので、失礼とわかりつつも扉を開けたら玄関は赤黒く染まり生臭い臭気が満ち溢れていた。
その原因と思われる友よの腹からは腸と血液が溢れ、顔色は真っ白だった。
なんの冗談だ、ハロウィンだからってやり過ぎだろと説教してやりたいが、こんな無駄に手が込んだドッキリを友よがするか?
そういえば、最近誰かにつけられていると言っていた気が……。
「友よ!」
嫌な考えに駆られ、腸ぶちまけた友よに駆け寄れば、虫の息で「佐助くん……」と俺の名を呼んだ。
やめてくれ、お前のそんな弱い声なんて聞きたくない。
「待ってろ!いま、救急車呼ぶ!」
「いい……。やめて、佐助くん……。どうせ間に合わないわ……」
「そんなの……!」
そんなこと、俺がわからないわけないだろ……。
それでも救急車を呼ぼうとする俺に、友よに「お願い……少しでも……佐助くんと長く話したい……」と懇願され、死期を嫌でも悟りケータイを床に置き友よの手を握る。
「わかった。俺様はここにいるから」
「ありがとう、佐助くん……」
「うん。ねぇ、友よ。犯人の顔は見た?」
「ごめん……。仮装しててわからない……」
「そっか……。でも、俺様が絶対取っ捕まえてブタ箱にぶちこんでやるからね」
本当はブタ箱なんて生易しい場所にぶちこむ程度で終わらせる気は更々ないが、そんなことを言えば友よが不安がるだろう。
こんな嘘を吐くのはいつものことだ。
ありがとう、と微笑む友よ。
「礼なんていらない。だって、俺様は友よの頼れるカッコいいお兄ちゃんだからね」
茶化していつもの調子で言ったのだが、友よは「お兄ちゃん……」と悲しそうに繰り返した。
「私……佐助くんには……お兄ちゃんでいてほしくなかったな……」
「どういう……」
「佐助くんが好きだよ……男の子として……」
少しだけ強く握り返された手の冷たさが伝染するように、俺の体まで冷たい感覚に支配された。
喉が乾く、いまさら聞きたくない言葉が俺の思考能力を奪っていく。
「……俺も好きだよ、友よ」
「本当に……?」
「この期に及んで、嘘は吐かないよ」
「嬉しい……」
俺の言葉を疑うことすらせず喜ぶ友よに、多少の罪悪感を覚えた。
この俺が、嘘に対して罪悪感だなんて笑える。
死ぬ間際に両思いだなんて、もっと笑える。
いつの時代も、俺は伝えるのが遅い。
悲しみからか、冷静さを取り戻しそこでようやく「こいつなんでまだ死なないんだ?」と疑問に思った。
いや、死んでほしいわけじゃないんだけどさ。
普通、この量の出血でしかも腸ぶちまけていたらパニックになっていてもおかしくない。
パニックになっていないということは、すでにその域をでて死ぬ間際か、または元々出血などしていないか。
「……友よは俺になにか嘘吐いてない?」
「な、なにか?」
わかりやすく動揺しやがったな。
服の隙間から素早く脇に手を突っ込めば、ボールと保冷剤が出てきた。
ゆるく握っていた友よの手を目一杯握り「言うことは?」と笑顔で尋ねれば、「てへっ」と可愛く誤魔化そうとするがそうはいかないぞ。
「ちゃんと、最初から、説明しろ」
「あー、えっと、その……うしろ……」
言われるまま振り向けば、銀の長髪不審者が楽しそうに歪んだ笑みを浮かべ「ドッキリ大成功です」と、ご丁寧に看板をもって立っていた。
「なにやってんの、あんた」
いや、聞かないでもわかる。
この近所の奇人変人列伝上位の明智光秀がここにいて、友よがこんな馬鹿なドッキリやってるんだから主犯がこいつなのだろう。
聞いたが答えを聞く前に叩きだし鍵を閉め、もう一度、友よに向き直ってやっと違和感を感じた。
普段ある靴も玄関マットもなく、壁や靴箱など掃除が大変な場所には一滴も血がついていない。
俺様の説教待機で、作り物の腸を横に置き正座する友よに「とりあえず先に話は聞くね」と言えば、許されたと勘違いして顔を輝かせたが「許した訳じゃないからな」と釘をさせば、また萎れた。
「で?なにがどうなってこうなったの?」
「その、ハロウィンをね、しようと思って……」
要領を得ない話をまとめると、友よも俺様同様通年の俺様たちのハロウィンのあり方に疑問を抱き、正当なハロウィンをしようとしたらしい。
ただ、普通にやってはインパクトが足りない気がするので悩んでいたところ、あの変人に「私に任せてください」と唆されたらしい。
あの変人、胡散臭いくせに口先で丸め込むのが上手いからな……。
そこから、明智と一緒にせっせと超リアルな腸と如何に俺様の鼻を誤魔化せる血を再現するか試行錯誤したらしい。
「そういうインパクトいらない」
「ゴメンナサイ」
「本当に焦ったんだからな……」
「佐助くんでも焦る時あるんだね」
「当たり前だろ。俺様だって人間なんだから」
前前前世ならまだしも、いまは普通の人間だ。
幼馴染みが無惨な姿で死にかけてたら焦るさ。
「ねぇ、友よ。あれもイタズラのひとつだったの?」
「あれ、とは?」
「俺様が好きっての。本当なのか、それとも嘘なのか」
俺様の問いに、友よは少し考えてから「佐助くんは?」と質問で返してきた。
「私のこと好きなの?」
「質問に質問で返してほしくないんだけど」
「佐助くんの返事しだいでルート分岐があります」
「なにそれ」
「どうなの、佐助くん?」
詰め寄る友よの顔は、人をからかって楽しんでる時の俺様と同じ顔をしていた。
あーあ、変なとこ似ちゃって。
「俺様は、お前が死にそうだったら嘘でも本当でも好きって言うよ」
「どっちなの?」
「どっちでも好きな方で」
「そうやってまた、煙に巻くんだから」
「そういう男だって知ってるだろ。それで、友よの答えは?」
「……嘘だよ」
「そう……」
慣れない嘘なんて吐くものじゃないとは思うが、問い詰めたところで語らないだろうし尋問もいまは趣味じゃない。
怒るつもりだったが、普段あまり見ない憂いを帯びた表情を見てはやる気がなくなる。
「……もういいよ。掃除しよ」
「お説教なし?」
「なし」
「やったー!」
「ねぇ、友よ。もし、嘘じゃないって言ったらどうしてたの」
「さぁ、どうだろうね」
にっこり笑う友よに「食えないやつ」と言えば、「お互い様」と返されてしまった。
否定できない。
普通、仮装して訪問した人間がお菓子をもらうもんじゃない?
なんで俺様がわたしてるの?
というわけで、今年は正式なハロウィンをする為にお邪魔することにした。
友よのことだから、俺様が与えてくれると高をくくってなにも用意していないだろう。
とびきりのイタズラしてやると、ニヤニヤしながらチャイムを鳴らすも応答なし。
何回やっても出てくる気配がないので、失礼とわかりつつも扉を開けたら玄関は赤黒く染まり生臭い臭気が満ち溢れていた。
その原因と思われる友よの腹からは腸と血液が溢れ、顔色は真っ白だった。
なんの冗談だ、ハロウィンだからってやり過ぎだろと説教してやりたいが、こんな無駄に手が込んだドッキリを友よがするか?
そういえば、最近誰かにつけられていると言っていた気が……。
「友よ!」
嫌な考えに駆られ、腸ぶちまけた友よに駆け寄れば、虫の息で「佐助くん……」と俺の名を呼んだ。
やめてくれ、お前のそんな弱い声なんて聞きたくない。
「待ってろ!いま、救急車呼ぶ!」
「いい……。やめて、佐助くん……。どうせ間に合わないわ……」
「そんなの……!」
そんなこと、俺がわからないわけないだろ……。
それでも救急車を呼ぼうとする俺に、友よに「お願い……少しでも……佐助くんと長く話したい……」と懇願され、死期を嫌でも悟りケータイを床に置き友よの手を握る。
「わかった。俺様はここにいるから」
「ありがとう、佐助くん……」
「うん。ねぇ、友よ。犯人の顔は見た?」
「ごめん……。仮装しててわからない……」
「そっか……。でも、俺様が絶対取っ捕まえてブタ箱にぶちこんでやるからね」
本当はブタ箱なんて生易しい場所にぶちこむ程度で終わらせる気は更々ないが、そんなことを言えば友よが不安がるだろう。
こんな嘘を吐くのはいつものことだ。
ありがとう、と微笑む友よ。
「礼なんていらない。だって、俺様は友よの頼れるカッコいいお兄ちゃんだからね」
茶化していつもの調子で言ったのだが、友よは「お兄ちゃん……」と悲しそうに繰り返した。
「私……佐助くんには……お兄ちゃんでいてほしくなかったな……」
「どういう……」
「佐助くんが好きだよ……男の子として……」
少しだけ強く握り返された手の冷たさが伝染するように、俺の体まで冷たい感覚に支配された。
喉が乾く、いまさら聞きたくない言葉が俺の思考能力を奪っていく。
「……俺も好きだよ、友よ」
「本当に……?」
「この期に及んで、嘘は吐かないよ」
「嬉しい……」
俺の言葉を疑うことすらせず喜ぶ友よに、多少の罪悪感を覚えた。
この俺が、嘘に対して罪悪感だなんて笑える。
死ぬ間際に両思いだなんて、もっと笑える。
いつの時代も、俺は伝えるのが遅い。
悲しみからか、冷静さを取り戻しそこでようやく「こいつなんでまだ死なないんだ?」と疑問に思った。
いや、死んでほしいわけじゃないんだけどさ。
普通、この量の出血でしかも腸ぶちまけていたらパニックになっていてもおかしくない。
パニックになっていないということは、すでにその域をでて死ぬ間際か、または元々出血などしていないか。
「……友よは俺になにか嘘吐いてない?」
「な、なにか?」
わかりやすく動揺しやがったな。
服の隙間から素早く脇に手を突っ込めば、ボールと保冷剤が出てきた。
ゆるく握っていた友よの手を目一杯握り「言うことは?」と笑顔で尋ねれば、「てへっ」と可愛く誤魔化そうとするがそうはいかないぞ。
「ちゃんと、最初から、説明しろ」
「あー、えっと、その……うしろ……」
言われるまま振り向けば、銀の長髪不審者が楽しそうに歪んだ笑みを浮かべ「ドッキリ大成功です」と、ご丁寧に看板をもって立っていた。
「なにやってんの、あんた」
いや、聞かないでもわかる。
この近所の奇人変人列伝上位の明智光秀がここにいて、友よがこんな馬鹿なドッキリやってるんだから主犯がこいつなのだろう。
聞いたが答えを聞く前に叩きだし鍵を閉め、もう一度、友よに向き直ってやっと違和感を感じた。
普段ある靴も玄関マットもなく、壁や靴箱など掃除が大変な場所には一滴も血がついていない。
俺様の説教待機で、作り物の腸を横に置き正座する友よに「とりあえず先に話は聞くね」と言えば、許されたと勘違いして顔を輝かせたが「許した訳じゃないからな」と釘をさせば、また萎れた。
「で?なにがどうなってこうなったの?」
「その、ハロウィンをね、しようと思って……」
要領を得ない話をまとめると、友よも俺様同様通年の俺様たちのハロウィンのあり方に疑問を抱き、正当なハロウィンをしようとしたらしい。
ただ、普通にやってはインパクトが足りない気がするので悩んでいたところ、あの変人に「私に任せてください」と唆されたらしい。
あの変人、胡散臭いくせに口先で丸め込むのが上手いからな……。
そこから、明智と一緒にせっせと超リアルな腸と如何に俺様の鼻を誤魔化せる血を再現するか試行錯誤したらしい。
「そういうインパクトいらない」
「ゴメンナサイ」
「本当に焦ったんだからな……」
「佐助くんでも焦る時あるんだね」
「当たり前だろ。俺様だって人間なんだから」
前前前世ならまだしも、いまは普通の人間だ。
幼馴染みが無惨な姿で死にかけてたら焦るさ。
「ねぇ、友よ。あれもイタズラのひとつだったの?」
「あれ、とは?」
「俺様が好きっての。本当なのか、それとも嘘なのか」
俺様の問いに、友よは少し考えてから「佐助くんは?」と質問で返してきた。
「私のこと好きなの?」
「質問に質問で返してほしくないんだけど」
「佐助くんの返事しだいでルート分岐があります」
「なにそれ」
「どうなの、佐助くん?」
詰め寄る友よの顔は、人をからかって楽しんでる時の俺様と同じ顔をしていた。
あーあ、変なとこ似ちゃって。
「俺様は、お前が死にそうだったら嘘でも本当でも好きって言うよ」
「どっちなの?」
「どっちでも好きな方で」
「そうやってまた、煙に巻くんだから」
「そういう男だって知ってるだろ。それで、友よの答えは?」
「……嘘だよ」
「そう……」
慣れない嘘なんて吐くものじゃないとは思うが、問い詰めたところで語らないだろうし尋問もいまは趣味じゃない。
怒るつもりだったが、普段あまり見ない憂いを帯びた表情を見てはやる気がなくなる。
「……もういいよ。掃除しよ」
「お説教なし?」
「なし」
「やったー!」
「ねぇ、友よ。もし、嘘じゃないって言ったらどうしてたの」
「さぁ、どうだろうね」
にっこり笑う友よに「食えないやつ」と言えば、「お互い様」と返されてしまった。
否定できない。