三番隊副隊長時代
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市丸隊長はすぐに仕事放棄をする。
大抵の事務仕事は私が代われるが、そうでない書類も勿論ある。
目を通しておいてくれないと困る書類が積もりに積もって山だ。
どうしよう、これ。と呆然とする私に、吉良が「あの、日葦副隊長……」と困ったように声をかけてきた。
「これ、隊長に確認していただかないといけない書類なんですが……」
「ああ……うん……。……ごめん、ちょっと探してくるから待ってて」
「わかりました」
外に出ると、かすかに市丸隊長の霊圧を感じ取れた。
普通ならば隊長クラスの隠されている霊圧を感じ取れるわけもない。
つまり、来いということだ。
ため息をつきながら霊圧の方へ向かうと、屋根の上で市丸隊長が寝転んでいた。
「隊長」
「んー?なにー?」
「なにじゃないですよ。仕事してください」
苦言を呈する私に、市丸隊長は手を伸ばし「起こして」と言うが、その手に応えたら引き寄せられて逃げられなくなるのは目に見えているので、応えない。
「秋露ー」
「自分で起きてください」
「ちぇー」
渋々起き上がるも、立ち上がる気配はない。
「帰りますよ」
「嫌」
「嫌、じゃないですよ。仕事してください」
「いーやー。したないー。してほしいんやったら、お願い聞いてほしいわ」
お願い?と嫌な予感がして眉をひそめると、「話くらい聞いてくれてもええやん」と拗ねられた。
市丸隊長のお願いが嫌なものじゃなかったことがないのだから、この対応は妥当だ。
「まあ……聞くだけなら……」
「ほんなら、耳貸して」
「嫌です」
「……」
満面の笑みで怒りを伝えてくるが、嫌なものは嫌だ。
なにをされるか、わかったもんじゃない。
警戒してちょっと距離を取ろうとしたら、素早い動きで足首を掴まれ思い切り引っ張られた。
「っで!」
「つーかまえた」
馬乗りになり、ご満悦な微笑みを浮かべる市丸隊長に、観念して「聞くだけ聞きますよ」と言えば、耳元で「夜、ボクの部屋においで」と言う。
さて、これはどういう意味か。
一夜の誘いなのか、はたまたただのお泊まりか。
なにかあるとは思えないが、なにかあったら面倒だしな……。
「わかりました」
「ほな、夜」
「仕事しなくていいです。じゃ、私は戻るのでどいてください」
胸板を押して抜け出そうとするが、動く気配がない。
脚の間に体が入っているから、身動きがとれないし。
どいてください、そう言おうと市丸隊長の顔を見たら、いつもの意地の悪い微笑みではなく悲しそうな顔をしていた。
「そんなに、嫌?」
「……嫌ですね。そういう誘いをされるのは、気分が悪いです」
「……ごめん」
「謝るなら退いてください」
今度は大人しく私の上からどいたので、服の汚れを払い帰ろうとしたら、市丸隊長も着いてきて「なあ、晩御飯はええやろ?」と誘ってくる。
「ただ食事するだけならいいですよ」
「ほんなら、いつもの居酒屋いこな」
「いいですけど、飲みませんよ。私」
「なんで?!」
「翌日に響くので」
「そうなったら、ボクが手厚く保護したるよ」
それが嫌だから飲まないんだよ、とは言わない。
なぜなら私は部下だし、ヘソを曲げられると本当に仕事をしなくなるから。
とりあえず、帰ってから期日が近いものを選り分けわたすと、普段サボっている理由がわからないほどの手際で、たまっていた仕事を片付けてくれた。
定時きっかりに終わると、「秋露、ご飯行こか」と浮き足立ちながら私の手をとり飲み屋街へと繰り出す。
適当に食事を頼み、先に出てきたお茶を飲む。
「それで、どうして飲みになんて誘ったんですか」
「ご飯しながら、お喋りしたかったからに決まっとるやん」
「特に話すこともないですが。強いて言うなら、仕事をしてくれない上司への不満でしょうか」
「えー?酷いわぁ……。霊術院いた頃は、仲良うしとったやん」
意味のわからないイタズラと煽りで私をぶちギレさせ、追いかけっこをしていたのが仲がいいと思ってるのか、こいつ。
「五番隊おった時も、ボクのこと探しにきてくれたん、秋露やったね」
それは、藍染隊長に「僕は隊長を探しにいくから、日葦くんはギンを頼むね」と言われていたからだ。
私が自主的に探しに行ったわけではない。
「なあ、秋露。いまは仕事ちゃうし、“ギン”て呼んでくれへん?敬語もやめてほしいんやけど」
「気がのったら」
「秋露のケチ」
正直、こうして『隊長と部下』の立場だからこそ、私は理性的に市丸隊長のイタズラやらワガママやらを受け流せている。
もし、無礼講となれば私はコイツに白雷百連発くらいしている。
市丸隊長が五番隊副隊長から三番隊隊長になるとき、こいつから解放されると安心したのに、その副隊長に私を指名してきたから荒れた。
普通なら三番隊の現副隊長がなるのが通りだが、その副隊長も辞められてしまった。
なら三席が繰り上がるのだが、なぜか私。
文句が出るのもさもありなん。
私だって、ならなくていいなら全力回避する。
まあ、結局はなってしまったが。
「秋露ー。なんで、ボクのこと避けるんー」
徳利片手に腕を回してくる市丸隊長に、内心「だるっ」と思いながら焼き鳥をつまむ。
「隊長、お開きにしましょう」
「嫌やー」
「じゃあ、私は帰ります」
「嫌やー」
絡み付いてくる隊長を押し返すが、力の差で剥がれない。
くそっ。
「秋露~」
「ぎゃー!」
なんの前触れもなく胸を鷲づかまれ、はしたなく悲鳴をあげてしまった。
いや、叫ぶはこんなん。
そして、斬魄刀を抜いても文句は言わせない。
「死ね馬鹿ギン!」
「ボクはここやで、秋露~!捕まえてみ~!まあ、無理やろうけど」
「待てや、こらー!」
大抵の事務仕事は私が代われるが、そうでない書類も勿論ある。
目を通しておいてくれないと困る書類が積もりに積もって山だ。
どうしよう、これ。と呆然とする私に、吉良が「あの、日葦副隊長……」と困ったように声をかけてきた。
「これ、隊長に確認していただかないといけない書類なんですが……」
「ああ……うん……。……ごめん、ちょっと探してくるから待ってて」
「わかりました」
外に出ると、かすかに市丸隊長の霊圧を感じ取れた。
普通ならば隊長クラスの隠されている霊圧を感じ取れるわけもない。
つまり、来いということだ。
ため息をつきながら霊圧の方へ向かうと、屋根の上で市丸隊長が寝転んでいた。
「隊長」
「んー?なにー?」
「なにじゃないですよ。仕事してください」
苦言を呈する私に、市丸隊長は手を伸ばし「起こして」と言うが、その手に応えたら引き寄せられて逃げられなくなるのは目に見えているので、応えない。
「秋露ー」
「自分で起きてください」
「ちぇー」
渋々起き上がるも、立ち上がる気配はない。
「帰りますよ」
「嫌」
「嫌、じゃないですよ。仕事してください」
「いーやー。したないー。してほしいんやったら、お願い聞いてほしいわ」
お願い?と嫌な予感がして眉をひそめると、「話くらい聞いてくれてもええやん」と拗ねられた。
市丸隊長のお願いが嫌なものじゃなかったことがないのだから、この対応は妥当だ。
「まあ……聞くだけなら……」
「ほんなら、耳貸して」
「嫌です」
「……」
満面の笑みで怒りを伝えてくるが、嫌なものは嫌だ。
なにをされるか、わかったもんじゃない。
警戒してちょっと距離を取ろうとしたら、素早い動きで足首を掴まれ思い切り引っ張られた。
「っで!」
「つーかまえた」
馬乗りになり、ご満悦な微笑みを浮かべる市丸隊長に、観念して「聞くだけ聞きますよ」と言えば、耳元で「夜、ボクの部屋においで」と言う。
さて、これはどういう意味か。
一夜の誘いなのか、はたまたただのお泊まりか。
なにかあるとは思えないが、なにかあったら面倒だしな……。
「わかりました」
「ほな、夜」
「仕事しなくていいです。じゃ、私は戻るのでどいてください」
胸板を押して抜け出そうとするが、動く気配がない。
脚の間に体が入っているから、身動きがとれないし。
どいてください、そう言おうと市丸隊長の顔を見たら、いつもの意地の悪い微笑みではなく悲しそうな顔をしていた。
「そんなに、嫌?」
「……嫌ですね。そういう誘いをされるのは、気分が悪いです」
「……ごめん」
「謝るなら退いてください」
今度は大人しく私の上からどいたので、服の汚れを払い帰ろうとしたら、市丸隊長も着いてきて「なあ、晩御飯はええやろ?」と誘ってくる。
「ただ食事するだけならいいですよ」
「ほんなら、いつもの居酒屋いこな」
「いいですけど、飲みませんよ。私」
「なんで?!」
「翌日に響くので」
「そうなったら、ボクが手厚く保護したるよ」
それが嫌だから飲まないんだよ、とは言わない。
なぜなら私は部下だし、ヘソを曲げられると本当に仕事をしなくなるから。
とりあえず、帰ってから期日が近いものを選り分けわたすと、普段サボっている理由がわからないほどの手際で、たまっていた仕事を片付けてくれた。
定時きっかりに終わると、「秋露、ご飯行こか」と浮き足立ちながら私の手をとり飲み屋街へと繰り出す。
適当に食事を頼み、先に出てきたお茶を飲む。
「それで、どうして飲みになんて誘ったんですか」
「ご飯しながら、お喋りしたかったからに決まっとるやん」
「特に話すこともないですが。強いて言うなら、仕事をしてくれない上司への不満でしょうか」
「えー?酷いわぁ……。霊術院いた頃は、仲良うしとったやん」
意味のわからないイタズラと煽りで私をぶちギレさせ、追いかけっこをしていたのが仲がいいと思ってるのか、こいつ。
「五番隊おった時も、ボクのこと探しにきてくれたん、秋露やったね」
それは、藍染隊長に「僕は隊長を探しにいくから、日葦くんはギンを頼むね」と言われていたからだ。
私が自主的に探しに行ったわけではない。
「なあ、秋露。いまは仕事ちゃうし、“ギン”て呼んでくれへん?敬語もやめてほしいんやけど」
「気がのったら」
「秋露のケチ」
正直、こうして『隊長と部下』の立場だからこそ、私は理性的に市丸隊長のイタズラやらワガママやらを受け流せている。
もし、無礼講となれば私はコイツに白雷百連発くらいしている。
市丸隊長が五番隊副隊長から三番隊隊長になるとき、こいつから解放されると安心したのに、その副隊長に私を指名してきたから荒れた。
普通なら三番隊の現副隊長がなるのが通りだが、その副隊長も辞められてしまった。
なら三席が繰り上がるのだが、なぜか私。
文句が出るのもさもありなん。
私だって、ならなくていいなら全力回避する。
まあ、結局はなってしまったが。
「秋露ー。なんで、ボクのこと避けるんー」
徳利片手に腕を回してくる市丸隊長に、内心「だるっ」と思いながら焼き鳥をつまむ。
「隊長、お開きにしましょう」
「嫌やー」
「じゃあ、私は帰ります」
「嫌やー」
絡み付いてくる隊長を押し返すが、力の差で剥がれない。
くそっ。
「秋露~」
「ぎゃー!」
なんの前触れもなく胸を鷲づかまれ、はしたなく悲鳴をあげてしまった。
いや、叫ぶはこんなん。
そして、斬魄刀を抜いても文句は言わせない。
「死ね馬鹿ギン!」
「ボクはここやで、秋露~!捕まえてみ~!まあ、無理やろうけど」
「待てや、こらー!」