部活禁止期間に入る前。
俺は財前君と謙也を連れ、深刻な悩みを相談した。

「デートって、どうやって誘えばええんや」

俺の悩みにたいして、謙也は軽く「どこそこ行こうや～、て誘えばええやん」と返す。
対する財前君は「典型的なモテへん男の回答っすわ」と謙也を揶揄った。
謙也は怒りながら財前君にチョップしようとするが、手首をグーパンチされて悶えとる。

「先ず、部長はそん人とどういう関係なんすか」
「どういうって……。学年ちゃうから、直接会わへんけどメールは偶にするからメル友……」
「はい、友達以下っすね。分かりました」

バッサリ切られる。
蔵ノ介に500のダメージ。
自分でもそう思っとったけど、他人から突き付けられるとこの現実は辛い。

「友達以下のくせに、いきなりデートとかがっつきすぎっすわ」
「はい……。財前先生、いい方法教えてくれや！」
「デートやなくて、普通に距離縮める所から始めればええんとちゃいます？」
「デート以外っちゅーと？」
「あるでしょうが。明日からテスト前期間っすよ？」
「……！お勉強会！」

弾かれるように答えれば、財前君が「当たりっすわ」と言った。
俺は直ぐ様、夕日さんにメールを送信すると、数分でOKのメールが届いた。

「よっしゃ！縮めたるで！距離！」

だが、その時の俺は、夕日さんがそこそこ頭がよくて、問題は自己解決してしまい全然距離は縮まらない事を知らなかった。