お憑かれwinter 1年目
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「なんや、気が抜けたらトイレ行きたなって来たわ……。お手洗い借りるな」
「どうぞ、どうぞ。出て、真っ直ぐ行って右に曲がって更に直線状に行った所にあります」
「おおきに」
鼻をすすりながら出て行った忍足先輩の背中を見送ると、光くんが「自分、謙也さんに霊感の事、話とったんやな」と言われた。
「話してないけど」
私の返答に、光くんは首を傾げ「ほなら、なんで謙也さんは知っとるん?」と不吉な発言をし、慄いた。
知ってる?忍足先輩が?
私の表情を見て、光くんが「ここに来る時に、謙也さんが言うとったで」と聞きたい様で聞きたくない話を始めた。
「一二三に霊感あるからって、あんなヤバそうなモン押し付けてしもうた……そないな事を言うとったで」
「いやいやいや、待って。なんで知ってるの。マジで。言ってないよ」
「なんちゅーか、あん人、鈍そうで鋭いとこあるからな。ヤバいモン肌で直接感じて、それをお前が引き受けたってなったら、気が付いたってのも納得できるわ」
忍足先輩の勘の鋭さを侮っていた自分のミスとは言え、先輩に知られてしまった事に内心酷く怯えている。
知られた、気味悪がられるかも知れない。
そんな恐怖が顔に出ていたのか、光くんがおもむろに背中をばしんっ!と力強く叩いた。
何事かと目を白黒させていたら、「謙也さんはそういう人とちゃう」と見透かされた様に否定をされる。
「謙也さんだけとちゃう。他の先輩らも、一二三に霊感あるって知っても、『ほんまか?!ごっつかっこええやん!』とか言うくらいやから、そない心配すんな。な?」
私の気を落ち着かせる様に、ゆっくり背中を撫でられ固まっていた体から力が抜けていく。
そう、だね……。
あの人たちなら、言いそう……。
ふっ、と詰めていた息を吐いた瞬間、「ひ、光―!」と情けない鼻声がしたと思えば、またもずびずび泣いている忍足先輩が、お茶の載ったお盆を持って入って来た。
「そない、俺たちの事を信じてくれてたんやな!」
「うっざ」
お盆を勉強机に置き、私の目の前に正座した忍足先輩は「夕日さん!」と馬鹿でかい声で私の名を呼んだ。
うっさ。
「光の言う通りやで!夕日さんに霊感あろうと、俺たちは気にしたりなんかせーへん!むしろ、俺は夕日さんに助けられっぱなしや!ほんまに、ありがとうな!」
ぎゅっ!と手を握られ、お礼を言われて、言葉に困った。
この能力で、誰かにありがたがられたのは初めてで。
「こういうのが嬉しいって言うんですね」
思わず、涙があふれてきた。
「どうぞ、どうぞ。出て、真っ直ぐ行って右に曲がって更に直線状に行った所にあります」
「おおきに」
鼻をすすりながら出て行った忍足先輩の背中を見送ると、光くんが「自分、謙也さんに霊感の事、話とったんやな」と言われた。
「話してないけど」
私の返答に、光くんは首を傾げ「ほなら、なんで謙也さんは知っとるん?」と不吉な発言をし、慄いた。
知ってる?忍足先輩が?
私の表情を見て、光くんが「ここに来る時に、謙也さんが言うとったで」と聞きたい様で聞きたくない話を始めた。
「一二三に霊感あるからって、あんなヤバそうなモン押し付けてしもうた……そないな事を言うとったで」
「いやいやいや、待って。なんで知ってるの。マジで。言ってないよ」
「なんちゅーか、あん人、鈍そうで鋭いとこあるからな。ヤバいモン肌で直接感じて、それをお前が引き受けたってなったら、気が付いたってのも納得できるわ」
忍足先輩の勘の鋭さを侮っていた自分のミスとは言え、先輩に知られてしまった事に内心酷く怯えている。
知られた、気味悪がられるかも知れない。
そんな恐怖が顔に出ていたのか、光くんがおもむろに背中をばしんっ!と力強く叩いた。
何事かと目を白黒させていたら、「謙也さんはそういう人とちゃう」と見透かされた様に否定をされる。
「謙也さんだけとちゃう。他の先輩らも、一二三に霊感あるって知っても、『ほんまか?!ごっつかっこええやん!』とか言うくらいやから、そない心配すんな。な?」
私の気を落ち着かせる様に、ゆっくり背中を撫でられ固まっていた体から力が抜けていく。
そう、だね……。
あの人たちなら、言いそう……。
ふっ、と詰めていた息を吐いた瞬間、「ひ、光―!」と情けない鼻声がしたと思えば、またもずびずび泣いている忍足先輩が、お茶の載ったお盆を持って入って来た。
「そない、俺たちの事を信じてくれてたんやな!」
「うっざ」
お盆を勉強机に置き、私の目の前に正座した忍足先輩は「夕日さん!」と馬鹿でかい声で私の名を呼んだ。
うっさ。
「光の言う通りやで!夕日さんに霊感あろうと、俺たちは気にしたりなんかせーへん!むしろ、俺は夕日さんに助けられっぱなしや!ほんまに、ありがとうな!」
ぎゅっ!と手を握られ、お礼を言われて、言葉に困った。
この能力で、誰かにありがたがられたのは初めてで。
「こういうのが嬉しいって言うんですね」
思わず、涙があふれてきた。