お憑かれwinter 1年目
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深夜三時。
草木も眠る丑三つ時。
普通ならばそんな時間には目が覚めないはずなのに、その日の私はばちりと目が覚めたのだ。
嫌な感覚が襲い、不安が体を渦巻く。
この感覚は、霊から与えられる悪意にさらされている時に感じる物。
けれども、直接私に向けられている物ではない。
だとすると、虫の知らせというやつかも知れない……。
心当たりがあるとすれば、引き寄せ体質の忍足先輩……。
慌ててケータイの通話画面を開き、忍足先輩に電話をかければノイズ混じりに切羽詰まった忍足先輩の声がした。
「先輩!大丈夫ですか!」
『夕日さ……!なんなん……こ……!』
「忍足先輩!今、どういう状況ですか!」
簡易とはいえ、お守りを持っているであろう忍足先輩の声が上手く聞こえないというのはそれなりの緊急事態。
途切れ途切れの音声を聞き取り、なんとか把握した状況は“ナニカ”が道を教えろと部屋の扉を叩いている。
私は忍足先輩に「扉の方に受話口を向けてください!」と口早に言う。
こちらには一切、その“ナニカ”の声も物音も聞こえない。
「四方寺の夕日一二三を尋ねろ!道を指し示す!」
二度、三度その言葉を繰り返すと、電話の向こうから「し、静かになった……」とはっきり忍足先輩の声が聞こえてきたので、一旦は安心する。
「先輩。これで、安心して眠ってください」
『あ、あの……!せやけど、夕日さんは?!夕日さんは大丈夫なん!』
「大丈夫ですよ。けど、たぶん明日は丸一日寝てると思うので、先生とか光くんに休む事を伝えて頂けると助かります」
『ど、どういう事なん?!ヤバい事になっとるんとちゃうの?!』
「大丈夫ですって。夜通し暗黒武術会するだけですから」
『ヤバいやつやん!』
などと、忍足先輩と小粋なトークをしているうちに、私の寝室の障子に人影が映る。
『道を……教えてください……』
「じゃあ、よろしくお願いしますね」
一方的に話を終わらせて通話を切り、人影に「どこに向かいたい」と問う。
さて、この霊がすんなりあの世へと向かってくれればいいのだが、私が感じた悪意の様子では一筋縄ではいかなそうだ。
だが、ここで簡単に返してまた、忍足先輩に危害をくわえるなどという事は私が許さない。
絶対に。
「冥府へ向かうがいい。その道は私が示そう」
やっと、大切だと思える人たちができたんだ……。
私が守れる範囲なら、私は絶対に守って見せる。なんて、かっこいい事を思えてしまうのは、ひとえに彼らの人徳というものなのだろう。
久しぶりに、夜更かししてみましょうか。
学生らしく。
草木も眠る丑三つ時。
普通ならばそんな時間には目が覚めないはずなのに、その日の私はばちりと目が覚めたのだ。
嫌な感覚が襲い、不安が体を渦巻く。
この感覚は、霊から与えられる悪意にさらされている時に感じる物。
けれども、直接私に向けられている物ではない。
だとすると、虫の知らせというやつかも知れない……。
心当たりがあるとすれば、引き寄せ体質の忍足先輩……。
慌ててケータイの通話画面を開き、忍足先輩に電話をかければノイズ混じりに切羽詰まった忍足先輩の声がした。
「先輩!大丈夫ですか!」
『夕日さ……!なんなん……こ……!』
「忍足先輩!今、どういう状況ですか!」
簡易とはいえ、お守りを持っているであろう忍足先輩の声が上手く聞こえないというのはそれなりの緊急事態。
途切れ途切れの音声を聞き取り、なんとか把握した状況は“ナニカ”が道を教えろと部屋の扉を叩いている。
私は忍足先輩に「扉の方に受話口を向けてください!」と口早に言う。
こちらには一切、その“ナニカ”の声も物音も聞こえない。
「四方寺の夕日一二三を尋ねろ!道を指し示す!」
二度、三度その言葉を繰り返すと、電話の向こうから「し、静かになった……」とはっきり忍足先輩の声が聞こえてきたので、一旦は安心する。
「先輩。これで、安心して眠ってください」
『あ、あの……!せやけど、夕日さんは?!夕日さんは大丈夫なん!』
「大丈夫ですよ。けど、たぶん明日は丸一日寝てると思うので、先生とか光くんに休む事を伝えて頂けると助かります」
『ど、どういう事なん?!ヤバい事になっとるんとちゃうの?!』
「大丈夫ですって。夜通し暗黒武術会するだけですから」
『ヤバいやつやん!』
などと、忍足先輩と小粋なトークをしているうちに、私の寝室の障子に人影が映る。
『道を……教えてください……』
「じゃあ、よろしくお願いしますね」
一方的に話を終わらせて通話を切り、人影に「どこに向かいたい」と問う。
さて、この霊がすんなりあの世へと向かってくれればいいのだが、私が感じた悪意の様子では一筋縄ではいかなそうだ。
だが、ここで簡単に返してまた、忍足先輩に危害をくわえるなどという事は私が許さない。
絶対に。
「冥府へ向かうがいい。その道は私が示そう」
やっと、大切だと思える人たちができたんだ……。
私が守れる範囲なら、私は絶対に守って見せる。なんて、かっこいい事を思えてしまうのは、ひとえに彼らの人徳というものなのだろう。
久しぶりに、夜更かししてみましょうか。
学生らしく。