お憑かれwinter 1年目
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「買い物行くって言いましたけど、私普段あまり買い物しないので場所はお任せします」
「ほなら、ルクア大阪行って服買いに行くか!」
先程とは打って変わって元気になった一氏先輩に連れて来られた大型商業モール。
新幹線が通っている為か、人の往来が激しい。
はぐれたらやばいなぁ、と思いながら必死に慣れない人の波に逆らいながら一氏先輩を追っていると、ふと立ち止まってこちらを振り返った。
「自分、人混み慣れてへんやろ」
「はい、ここまでの人はちょっ……わっ!」
言い切る前に恰幅のいい男性と真正面からぶつかってしまい、体制を崩し倒れそうになった。
意味もなく手は空をかく。
「危な!」
肩を抱くように背中に一氏先輩の腕が回り、背中から倒れる事はなかった。
「あ、ありがとうございます」
「あのデブ、一言も謝らんと……。まあ、ええわ。大丈夫か?」
「そうですね。一氏先輩の意外と男らしい場面を見てしまって吃驚しています」
「助けてもらってそれか。はあ、しかしこのままやとまたすっころびかねんな。あー、せやけど、俺の手は小春と手を繋ぐ専用やし」
要らない情報を口にしながら、はぐれない方法を模索する一氏先輩に「じゃあ、手首でいいですよ」と言うと「それ、何か無理矢理連れまわしてるみたいちゃう?」と言われた。
「なら、腕組めばいいんじゃないですか」
「おう!ええなそれ!」
意外とあっさり承諾したな。
はた目から見たら滅茶苦茶目立つ選択だと思ったのだけれど。
さあ、こい!と腕を差し出された腕に自分の腕を絡めて密着する。
「ほなら、どっから行こか。大人綺麗目ならDRWCYSかMila Owen、クールに決めるんならBLENHEIM、FIGARO PARISでエレガントに纏めるんのもええな。Plageも捨てがたいな……」
「まったくわからないので、お任せで」
「ほな、まずはDRWCYS行こうか」
そう言って連れて来られた店はいかにもお高いといった雰囲気を醸し出していたし、近くにあった服の値段を見たら諭吉が二人ほどいなくなる額だった。
「ちょ、先輩。学生が買える服じゃないですよ」
「おう。買わんしな」
堂々と言ってのける、これが大阪の精神力……。
店員さんに「ごめんさない」と思いながら、一氏先輩にくっついて店内を回る。
一氏先輩は手早く服を選んで「これと、これ合わせて。あ、この小物組み合わせんのもええな」とぶつぶつ言いながら私に手渡してくる。
「おし、ほんならこれ試着して来い!」
「買わないのに?」
「こういうんは楽しむもんやで」
うーん、純粋な一氏先輩の瞳と店員さんの刺さる視線で板挟みにされる私、可哀想。
溜息を吐きながら、言われたとおりのコーディネートに大人しく着替える。
うわ、これ滅茶苦茶、肩とか背中が見えるんだけど。
嫌だな、これで出るの……、と思っていたら何の前触れもなく「着替えたか?」と言いながら一氏先輩がカーテンの隙間から顔を出した。
「一氏先輩、これで私が着替えていたらどうするんですか」
侮蔑の目で見るも、一氏先輩はケロッとした表情で「これだけ時間つこうて着替え取らんとかないやろ」と言った。
「似合ってるやん。流石、俺の見立て!」
「いや、でもこれ、肩とか背中出過ぎじゃないですか……?」
「何言うてんねん。自分、デコルテ綺麗なんやから出していかんと。写真撮るから、ちょお外出てこい」
「写真はまずいんじゃないんですか?お店の人の許可とりました?」
「取ったで。うちのブログに載せる言うたら即OKや」
ブログ?と聞くと、どうやら有名デザイナーをしている一氏先輩のお父さんがやっているブログに、偶に一氏先輩もコーディネート写真をあげているらしい。
「いつもはおかんが被写体やから、偶にはこういうんもええやろ。はい、ポーズとって」
ケータイを構える一氏先輩に急かされ、渋々それっぽいポーズをとる。
「ええ感じやで!ほな、次いこか!」
「えー」
私の不平が詰まった態度に「買い物付きあったる言うたん、お前やろ!」と言われてしまっては従うしかない。
言ってしまった事は守らねば。
試着室に戻っては写真を撮られるを繰り返し、それを四店舗もやっていたら日はだいぶ落ち、夕日が燦然と輝いていた。
「はぁ……。もう、二度と一氏先輩とは出かけたくない……」
「何や。つまらんかったか?」
その問いかけに、思考を巡らせ「楽しかったですよ」と言った。
「そうなん?」
「そう見えませんか?」
「にこりともせえへんから、キレとるんかと思っとった」
キレていると思いながら連れ回していたのか、この人。
メンタルが強いのか弱いのかわからないな……。
「楽しいんやったら、ちょっとくらい笑えや!」
何故か半ギレな一氏先輩に言われたので今の私にできうる限りの楽しい笑顔をしたら、一氏先輩が強く私の腕を掴んだ。
「どうしました?」
「いや、何や夕日の所為かへったクソな笑顔の所為か、お前が今にも消えそうな気がして……」
「詩人ですね。内容は凡人以下ですが」
「うっさいわ!……なあ、夕日。いなくならんよな?」
不安そうな声色で尋ねてくる一氏先輩に「その予定はないですね」と返せば、安心した表情で私の腕を離した。
「変な心配してもうたから腹減ったな!俺が何かおごったるから飯いくで!」
「はいはい」
「ほなら、ルクア大阪行って服買いに行くか!」
先程とは打って変わって元気になった一氏先輩に連れて来られた大型商業モール。
新幹線が通っている為か、人の往来が激しい。
はぐれたらやばいなぁ、と思いながら必死に慣れない人の波に逆らいながら一氏先輩を追っていると、ふと立ち止まってこちらを振り返った。
「自分、人混み慣れてへんやろ」
「はい、ここまでの人はちょっ……わっ!」
言い切る前に恰幅のいい男性と真正面からぶつかってしまい、体制を崩し倒れそうになった。
意味もなく手は空をかく。
「危な!」
肩を抱くように背中に一氏先輩の腕が回り、背中から倒れる事はなかった。
「あ、ありがとうございます」
「あのデブ、一言も謝らんと……。まあ、ええわ。大丈夫か?」
「そうですね。一氏先輩の意外と男らしい場面を見てしまって吃驚しています」
「助けてもらってそれか。はあ、しかしこのままやとまたすっころびかねんな。あー、せやけど、俺の手は小春と手を繋ぐ専用やし」
要らない情報を口にしながら、はぐれない方法を模索する一氏先輩に「じゃあ、手首でいいですよ」と言うと「それ、何か無理矢理連れまわしてるみたいちゃう?」と言われた。
「なら、腕組めばいいんじゃないですか」
「おう!ええなそれ!」
意外とあっさり承諾したな。
はた目から見たら滅茶苦茶目立つ選択だと思ったのだけれど。
さあ、こい!と腕を差し出された腕に自分の腕を絡めて密着する。
「ほなら、どっから行こか。大人綺麗目ならDRWCYSかMila Owen、クールに決めるんならBLENHEIM、FIGARO PARISでエレガントに纏めるんのもええな。Plageも捨てがたいな……」
「まったくわからないので、お任せで」
「ほな、まずはDRWCYS行こうか」
そう言って連れて来られた店はいかにもお高いといった雰囲気を醸し出していたし、近くにあった服の値段を見たら諭吉が二人ほどいなくなる額だった。
「ちょ、先輩。学生が買える服じゃないですよ」
「おう。買わんしな」
堂々と言ってのける、これが大阪の精神力……。
店員さんに「ごめんさない」と思いながら、一氏先輩にくっついて店内を回る。
一氏先輩は手早く服を選んで「これと、これ合わせて。あ、この小物組み合わせんのもええな」とぶつぶつ言いながら私に手渡してくる。
「おし、ほんならこれ試着して来い!」
「買わないのに?」
「こういうんは楽しむもんやで」
うーん、純粋な一氏先輩の瞳と店員さんの刺さる視線で板挟みにされる私、可哀想。
溜息を吐きながら、言われたとおりのコーディネートに大人しく着替える。
うわ、これ滅茶苦茶、肩とか背中が見えるんだけど。
嫌だな、これで出るの……、と思っていたら何の前触れもなく「着替えたか?」と言いながら一氏先輩がカーテンの隙間から顔を出した。
「一氏先輩、これで私が着替えていたらどうするんですか」
侮蔑の目で見るも、一氏先輩はケロッとした表情で「これだけ時間つこうて着替え取らんとかないやろ」と言った。
「似合ってるやん。流石、俺の見立て!」
「いや、でもこれ、肩とか背中出過ぎじゃないですか……?」
「何言うてんねん。自分、デコルテ綺麗なんやから出していかんと。写真撮るから、ちょお外出てこい」
「写真はまずいんじゃないんですか?お店の人の許可とりました?」
「取ったで。うちのブログに載せる言うたら即OKや」
ブログ?と聞くと、どうやら有名デザイナーをしている一氏先輩のお父さんがやっているブログに、偶に一氏先輩もコーディネート写真をあげているらしい。
「いつもはおかんが被写体やから、偶にはこういうんもええやろ。はい、ポーズとって」
ケータイを構える一氏先輩に急かされ、渋々それっぽいポーズをとる。
「ええ感じやで!ほな、次いこか!」
「えー」
私の不平が詰まった態度に「買い物付きあったる言うたん、お前やろ!」と言われてしまっては従うしかない。
言ってしまった事は守らねば。
試着室に戻っては写真を撮られるを繰り返し、それを四店舗もやっていたら日はだいぶ落ち、夕日が燦然と輝いていた。
「はぁ……。もう、二度と一氏先輩とは出かけたくない……」
「何や。つまらんかったか?」
その問いかけに、思考を巡らせ「楽しかったですよ」と言った。
「そうなん?」
「そう見えませんか?」
「にこりともせえへんから、キレとるんかと思っとった」
キレていると思いながら連れ回していたのか、この人。
メンタルが強いのか弱いのかわからないな……。
「楽しいんやったら、ちょっとくらい笑えや!」
何故か半ギレな一氏先輩に言われたので今の私にできうる限りの楽しい笑顔をしたら、一氏先輩が強く私の腕を掴んだ。
「どうしました?」
「いや、何や夕日の所為かへったクソな笑顔の所為か、お前が今にも消えそうな気がして……」
「詩人ですね。内容は凡人以下ですが」
「うっさいわ!……なあ、夕日。いなくならんよな?」
不安そうな声色で尋ねてくる一氏先輩に「その予定はないですね」と返せば、安心した表情で私の腕を離した。
「変な心配してもうたから腹減ったな!俺が何かおごったるから飯いくで!」
「はいはい」