お憑かれwinter 1年目
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「夕日ー!元気しとるかー?」
日曜日の正午過ぎ、お昼のお茶を楽しんでいると唐突にその人は現れた。
呪われたヘアバンドの持ち主、一氏先輩。
何しに来たんですか、と訝しみながら扉を半分だけ開いて聞くと「まあ、そう言わんとあげろや」と言いながら、無理矢理押し入ってきた。
伊達に運動部に所属しているだけあって、腕力は私より上だった。
致し方なく居間に通してお茶を持って行くと、険しい顔でケータイの画面を睨んでいた。
「他にご用事があるんでしたら、帰っても大丈夫ですよ?」
私が声をかけると、一氏先輩は慌ててケータイをしまい「用事あったら、わざわざ休みん日に夕日に会いにこおへんって!」とやや引っかかりを覚える返しをされた。
お茶を置くと「おおきに!」とにこにこと笑って言うものだから、何か、何か違和感が……。
「あなた、本当に一氏先輩ですか?」
「いきなり失礼なこと言うな、自分」
いや、だって、何だか元気溌剌というか、いつもより元気というか、違和感のある元気の良さだから……。
「変な元気の良さで気持ち悪いです」
「気持ち悪いって何やねん!これはな、空元気いうねん!」
「なるほど。じゃあ今、一氏先輩は空元気なんですね」
「せや!」
そんな自慢気に肯定されても、私にどうしろと言うんだこの人。
向かいに腰を下ろし、お茶を少し飲んで「何かありましたか?」と聞けば、空元気のまま「いやー!大した事やないんやけどな!」と話し始めた。
「今日、小春とのんびり家でラブロマンス映画でも見よう思って誘ったんやけど、家族で出かける言われてな。んで、しゃーないから謙也とゲームでもしよか思うたんやけど、従兄弟が来とるから無理や言われてな。白石にも声かけたんやけど、姉ちゃんと妹の荷物持ちになっとるらしくて、断られてしもうたんや。銀さんと小石川に一縷の望みをかけたんやけど二人とも用事あるらしくてな。最後の砦や思っとった光には素気無く断られて『一二三のところ行ったらええんとちゃいます。暇してますよ』言われたから来たんやけど……。俺、嫌われとるんかな……」
「突然のメンタル崩壊やめてください」
顔を覆って泣き出した一氏先輩の前にティッシュを置き、私をスケープゴートにした光君に「おのれ、許さん」と思いながら、ぐずぐず泣く一氏先輩に「日曜日ですし、みんな用事があるんですよ。光君以外は」とフォローをいれる。
「それにしても、みんなして用事あるとかタイミング揃いすぎやろ。光以外は。なあ、何かみんなでサプライズパーティーの準備しとるとかないん?俺の誕生日とか」
「一氏先輩、今日、誕生日なんですか?」
「いや、九月やけど」
じゃあ、何でその可能性を見出したのか。
「ほんまは何かあるんやろ?俺の足止めお願いされとるんやろ?正直に言うてみ?」
「ないですって、本当に。そもそも、足止めなら金色先輩の方が適任じゃないですか」
「せやな……」
しょんぼりする一氏先輩との間に、数分沈黙が流れる。
お茶をすする音と、時折混じる一氏先輩の鼻をすする音。
「はぁ……。気分転換に、買い物でも行きますか?」
致し方なくそう言うと、小さく「行く……」と返ってきた。
日曜日の正午過ぎ、お昼のお茶を楽しんでいると唐突にその人は現れた。
呪われたヘアバンドの持ち主、一氏先輩。
何しに来たんですか、と訝しみながら扉を半分だけ開いて聞くと「まあ、そう言わんとあげろや」と言いながら、無理矢理押し入ってきた。
伊達に運動部に所属しているだけあって、腕力は私より上だった。
致し方なく居間に通してお茶を持って行くと、険しい顔でケータイの画面を睨んでいた。
「他にご用事があるんでしたら、帰っても大丈夫ですよ?」
私が声をかけると、一氏先輩は慌ててケータイをしまい「用事あったら、わざわざ休みん日に夕日に会いにこおへんって!」とやや引っかかりを覚える返しをされた。
お茶を置くと「おおきに!」とにこにこと笑って言うものだから、何か、何か違和感が……。
「あなた、本当に一氏先輩ですか?」
「いきなり失礼なこと言うな、自分」
いや、だって、何だか元気溌剌というか、いつもより元気というか、違和感のある元気の良さだから……。
「変な元気の良さで気持ち悪いです」
「気持ち悪いって何やねん!これはな、空元気いうねん!」
「なるほど。じゃあ今、一氏先輩は空元気なんですね」
「せや!」
そんな自慢気に肯定されても、私にどうしろと言うんだこの人。
向かいに腰を下ろし、お茶を少し飲んで「何かありましたか?」と聞けば、空元気のまま「いやー!大した事やないんやけどな!」と話し始めた。
「今日、小春とのんびり家でラブロマンス映画でも見よう思って誘ったんやけど、家族で出かける言われてな。んで、しゃーないから謙也とゲームでもしよか思うたんやけど、従兄弟が来とるから無理や言われてな。白石にも声かけたんやけど、姉ちゃんと妹の荷物持ちになっとるらしくて、断られてしもうたんや。銀さんと小石川に一縷の望みをかけたんやけど二人とも用事あるらしくてな。最後の砦や思っとった光には素気無く断られて『一二三のところ行ったらええんとちゃいます。暇してますよ』言われたから来たんやけど……。俺、嫌われとるんかな……」
「突然のメンタル崩壊やめてください」
顔を覆って泣き出した一氏先輩の前にティッシュを置き、私をスケープゴートにした光君に「おのれ、許さん」と思いながら、ぐずぐず泣く一氏先輩に「日曜日ですし、みんな用事があるんですよ。光君以外は」とフォローをいれる。
「それにしても、みんなして用事あるとかタイミング揃いすぎやろ。光以外は。なあ、何かみんなでサプライズパーティーの準備しとるとかないん?俺の誕生日とか」
「一氏先輩、今日、誕生日なんですか?」
「いや、九月やけど」
じゃあ、何でその可能性を見出したのか。
「ほんまは何かあるんやろ?俺の足止めお願いされとるんやろ?正直に言うてみ?」
「ないですって、本当に。そもそも、足止めなら金色先輩の方が適任じゃないですか」
「せやな……」
しょんぼりする一氏先輩との間に、数分沈黙が流れる。
お茶をすする音と、時折混じる一氏先輩の鼻をすする音。
「はぁ……。気分転換に、買い物でも行きますか?」
致し方なくそう言うと、小さく「行く……」と返ってきた。