筋肉と天邪鬼
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たまには不破以外の人間とも話さないとなと思い、廊下で良家の男子達と当たり障りない会話をしていると、一人の男子が一枚の写真を出してきた。
その写真は、グラビアアイドルの画像に不破の顔をコラージュした物だった。
筋肉なしの不破は普通に可愛かった。
「この間、気紛れで作ったんですけど、良い出来じゃないですか?」
「あぁ……、うん。そうだね……」
肯定はするも、何かもやもやした気持ちが腹の底から競り上がってくる。
違う、こんなんじゃない。
そんな考えがあるのに、口から出るのはコラージュを面白くする様な言葉ばかり。
違う、違う、違う。
「けど、実際はあの筋肉ですしね。あれで水着で走って来られたら、萎えますよね」
「あの筋肉は正直ひくよなー!」
「正直、きっついわ」
「ははっ……」
否定はできない。けど、お前が不破の何を知って何を語って何を馬鹿にしているんだ。
もやもやがイライラに変わるも、俺の口から否定の言葉が出て来ない。
もしここで不破を擁護したら、俺にとって不破の存在が特別だと誤解されかねない。
他の連中からの評価が気になってしまい、只々、乾いた笑いしかでない。
「あ、ほら、猿飛様。噂をすれば」
笑いながら男子が指差した方向には、他の女子と談笑しながらこちらに歩いてくる不破。
不破はこちらに気が付くと、いつもの抜けた笑顔で手を振ってきた。
けれど俺は、あいつを庇ってやらなかった罪悪感から視線を逸らしてしまった。
心臓が気持ち悪いくらい鳴っている。
また、不破を傷つけたかもしれない。
不破はまた、あの少し困った顔をしているかも知れない。
それでも尚、俺と友達であろうとしてくれるのか。
不安と緊張からか、気分がどんどん悪くなってくる。
目の前がぐらぐらと揺れ出し吐きそうになっていると、視界に不破が飛び込んできた。
「猿飛くん、大丈夫?!」
心配そうな顔。
やめろ、そんな顔で見ないでくれ。
俺は自分の評価とあんたとで天秤にかけ、あんたを捨てたんだ。
そんな目で見られる資格なんてないんだ。
言葉を発そうにも、嗚呼しか出てきそうにない。
何とか絞りだした言葉は「あんたの顔は見たくない」だった。
不破が、困り顔じゃなくて、泣きそうな顔をしている……。
居てもたってもいられなくて、逃げ出す様に学校から飛び出し気が付いた時には自分のマンションについていた。
ダメだ、もうダメだ。
不破はもう、俺の元には戻って来ない。
何をそんなに怯えているのかわからない。
不破は、俺にとってそんな大きな存在ではないはず。
離れて行っても、痛くも痒くもないはず。
だと言うのに、何だこの恐怖感は……!
その日から、訳のわからない不安と、恐怖と、緊張に苛まれ続けた。
その写真は、グラビアアイドルの画像に不破の顔をコラージュした物だった。
筋肉なしの不破は普通に可愛かった。
「この間、気紛れで作ったんですけど、良い出来じゃないですか?」
「あぁ……、うん。そうだね……」
肯定はするも、何かもやもやした気持ちが腹の底から競り上がってくる。
違う、こんなんじゃない。
そんな考えがあるのに、口から出るのはコラージュを面白くする様な言葉ばかり。
違う、違う、違う。
「けど、実際はあの筋肉ですしね。あれで水着で走って来られたら、萎えますよね」
「あの筋肉は正直ひくよなー!」
「正直、きっついわ」
「ははっ……」
否定はできない。けど、お前が不破の何を知って何を語って何を馬鹿にしているんだ。
もやもやがイライラに変わるも、俺の口から否定の言葉が出て来ない。
もしここで不破を擁護したら、俺にとって不破の存在が特別だと誤解されかねない。
他の連中からの評価が気になってしまい、只々、乾いた笑いしかでない。
「あ、ほら、猿飛様。噂をすれば」
笑いながら男子が指差した方向には、他の女子と談笑しながらこちらに歩いてくる不破。
不破はこちらに気が付くと、いつもの抜けた笑顔で手を振ってきた。
けれど俺は、あいつを庇ってやらなかった罪悪感から視線を逸らしてしまった。
心臓が気持ち悪いくらい鳴っている。
また、不破を傷つけたかもしれない。
不破はまた、あの少し困った顔をしているかも知れない。
それでも尚、俺と友達であろうとしてくれるのか。
不安と緊張からか、気分がどんどん悪くなってくる。
目の前がぐらぐらと揺れ出し吐きそうになっていると、視界に不破が飛び込んできた。
「猿飛くん、大丈夫?!」
心配そうな顔。
やめろ、そんな顔で見ないでくれ。
俺は自分の評価とあんたとで天秤にかけ、あんたを捨てたんだ。
そんな目で見られる資格なんてないんだ。
言葉を発そうにも、嗚呼しか出てきそうにない。
何とか絞りだした言葉は「あんたの顔は見たくない」だった。
不破が、困り顔じゃなくて、泣きそうな顔をしている……。
居てもたってもいられなくて、逃げ出す様に学校から飛び出し気が付いた時には自分のマンションについていた。
ダメだ、もうダメだ。
不破はもう、俺の元には戻って来ない。
何をそんなに怯えているのかわからない。
不破は、俺にとってそんな大きな存在ではないはず。
離れて行っても、痛くも痒くもないはず。
だと言うのに、何だこの恐怖感は……!
その日から、訳のわからない不安と、恐怖と、緊張に苛まれ続けた。