筋肉と天邪鬼
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「まずはどこに参りましょうか!」
「見て見て!大食い大会がある!」
「ほぉ、面白そうじゃねぇか。こいつは出るしかねぇな」
「ならば、万全を期して腹は八分目にしましょうぞ!」
「そうだね!」
筋肉二人に挟まれながらマップを見る不破の姿は、さながら宇宙人捕獲の図だ。
というか、大食い大会に腹八分目で挑もうとする舐めた姿勢はどうかと思う。
きゃっきゃっと行く場所を相談していたが、通りかかったお化け屋敷を見た元親が「面白そうじゃねーか!肝試ししようぜ!」と言い出した。
屋台じゃねーのかよ。などとツッコミを入れる間もなく、真田の旦那も「肝試し!よいですな!」と乗ってしまう。
あーもー、しょうがないなぁ、と二人に続こうとしたが不破がいやに緊張した顔をして立ち止まっていた。
「どうしたの?」
声をかければ、はっ、とした表情で無理に笑顔を作り「ううん、なんでもない」と歩き出そうとするから、それを無理に止めて受付してる真田の旦那と元親に「俺様と不破はここで待ってるよ」と言うと、不破も含めた三人が驚愕した。
「何故だ、佐助!肝を試せるのだぞ!」
「俺様がこういうので素直に怖がれないの知ってるでしょ」
「不破もお化け屋敷行かねーのか?」
「え、あの」
「俺様一人でここで待ってるなんてやーだよ。てなわけで、不破は俺様と居残り組でーす」
はいはい、行ってらっしゃーい!と二人の背を押し送り出す。
出口側の壁に寄りかかり、よく聞こえる元親と旦那の雄叫びを聞きながら、「お化けとか苦手そうだもんな」と話題を振れば、苦笑いしながら「いや、そんなに苦手ではないんだ」と言われた。
「じゃあ、なんで入るの渋ったわけ?」
俺の追及に、不破は悩んでから「暗いのが……ちょっと……」と歯切れ悪く答える。
そんな繊細なキャラだったか?といぶかしむ俺に、不破はしどろもどろに、「前に……閉じ込められてから……ちょっと怖くて……」と言って、やっと合点がいった。
そうか。
あの出来事はこいつにこんなとこまで傷を追わせていたのか、と思ったら知らず知らずのうちに奥歯を噛み締めていた。
「ごめんね、私に気をつかわせちゃって」
「はぁ?なに言ってんの?俺がお前に気なんてつかうわけないでしょ。本当にこういうアトラクション楽しめない質なんだよ。不破が暗いのダメなんて知りもしなかったっての」
そう、俺は不破が俺の所為で暗闇に怯えているなんて露ほどにも考えていなかったのだ。
そんな自分が腹立たしい。
「……夜は、寝れてるの?」
「タイマーで消える間接照明買ったから大丈夫だよ」
「そう」
それは大丈夫と言えないのでは……。という気持ちが顔に出ていたのか、不破は「本当に大丈夫だって!」と言う。
「それにね、どんなにあの時の夢見ても猿飛くんが助けてくれるから」
てへへー、と悪気なく照れながら言う不破に、吐き気と自己嫌悪に襲われる。
涙目で口元を押さえる俺に、不破が話題を変えるように「真田くんたち、すごい叫んでるね」とお化け屋敷の方を見た。
いつものことで聞き流していたが、たしかに中から真田の旦那と元親の悲鳴とも怒号とも雄叫びをともわからない声がずっと響き渡っている。
聞こえる限りでは、びびって前に進めない元親に真田の旦那がびびってキレているようだ。
「怖いなら入らなきゃいいのに……」
「怖いもの見たさってあるじゃん」
「不破にもそういうのあるの?怖いけど見たいもの」
俺の質問に少し悩んでから「真顔の伊達くん」と一ミクロンも怖くないものを言った。
あいつの真顔なんて、眠いときにいくらでも見られるっての。
じゃあ、とまた考え出したが別にわざわざ捻り出さなくてもいいよ。
「あっ!静かな真田くん!」
「ひっ……!」
思わず出た短い悲鳴に、不破が「見たことあるの?」と興味津々に聞いてきたから、「あれは見ない方がいい」と首を振った。
「静かな真田の旦那は、かなりマジでブチギレてるから……」
「怒らせたの?」
「……まぁ」
あの時は本当に怖かったから二度と見たくないと言う俺に、不破は興味を深め「見てみたーい!」と言ってるが、やめろ。
お前に旦那がキレることは一生ないとは思うけど、やめろ。
「興味本意でつついていい藪じゃないから。あの独眼竜と徳川だって同じこと言うから」
「そこ二人も怒らせたことあるって事実にもビックリした」
なんとか興味津々が止まらない不破をステイさせていたら、旦那と元親が「取るに足らず!」「大したことなかったぜ!」とガクガクしながら出てきた。
どの口で言ってんだ。
「待たせたな、佐助」
「大丈夫だよー。雑談してただけだし」
「前から思ってたけど、お前らってなに話すんだ?共通の話題なさそうだけどよ」
「さっきはね、静かな真田くん見てみたいよねて話してた。止められたけど」
「旦那からも言ってやってよ。やめろ、てさ」
俺の頼みに、真田の旦那がすっ、と真顔になり「某はあまり女子を無闇に怯えさせたり泣かせたりはしたくありませぬ」と言っただけで、不破は「ひぇ」と引いたけどこんなのマジで全然比じゃないからね?!
「見て見て!大食い大会がある!」
「ほぉ、面白そうじゃねぇか。こいつは出るしかねぇな」
「ならば、万全を期して腹は八分目にしましょうぞ!」
「そうだね!」
筋肉二人に挟まれながらマップを見る不破の姿は、さながら宇宙人捕獲の図だ。
というか、大食い大会に腹八分目で挑もうとする舐めた姿勢はどうかと思う。
きゃっきゃっと行く場所を相談していたが、通りかかったお化け屋敷を見た元親が「面白そうじゃねーか!肝試ししようぜ!」と言い出した。
屋台じゃねーのかよ。などとツッコミを入れる間もなく、真田の旦那も「肝試し!よいですな!」と乗ってしまう。
あーもー、しょうがないなぁ、と二人に続こうとしたが不破がいやに緊張した顔をして立ち止まっていた。
「どうしたの?」
声をかければ、はっ、とした表情で無理に笑顔を作り「ううん、なんでもない」と歩き出そうとするから、それを無理に止めて受付してる真田の旦那と元親に「俺様と不破はここで待ってるよ」と言うと、不破も含めた三人が驚愕した。
「何故だ、佐助!肝を試せるのだぞ!」
「俺様がこういうので素直に怖がれないの知ってるでしょ」
「不破もお化け屋敷行かねーのか?」
「え、あの」
「俺様一人でここで待ってるなんてやーだよ。てなわけで、不破は俺様と居残り組でーす」
はいはい、行ってらっしゃーい!と二人の背を押し送り出す。
出口側の壁に寄りかかり、よく聞こえる元親と旦那の雄叫びを聞きながら、「お化けとか苦手そうだもんな」と話題を振れば、苦笑いしながら「いや、そんなに苦手ではないんだ」と言われた。
「じゃあ、なんで入るの渋ったわけ?」
俺の追及に、不破は悩んでから「暗いのが……ちょっと……」と歯切れ悪く答える。
そんな繊細なキャラだったか?といぶかしむ俺に、不破はしどろもどろに、「前に……閉じ込められてから……ちょっと怖くて……」と言って、やっと合点がいった。
そうか。
あの出来事はこいつにこんなとこまで傷を追わせていたのか、と思ったら知らず知らずのうちに奥歯を噛み締めていた。
「ごめんね、私に気をつかわせちゃって」
「はぁ?なに言ってんの?俺がお前に気なんてつかうわけないでしょ。本当にこういうアトラクション楽しめない質なんだよ。不破が暗いのダメなんて知りもしなかったっての」
そう、俺は不破が俺の所為で暗闇に怯えているなんて露ほどにも考えていなかったのだ。
そんな自分が腹立たしい。
「……夜は、寝れてるの?」
「タイマーで消える間接照明買ったから大丈夫だよ」
「そう」
それは大丈夫と言えないのでは……。という気持ちが顔に出ていたのか、不破は「本当に大丈夫だって!」と言う。
「それにね、どんなにあの時の夢見ても猿飛くんが助けてくれるから」
てへへー、と悪気なく照れながら言う不破に、吐き気と自己嫌悪に襲われる。
涙目で口元を押さえる俺に、不破が話題を変えるように「真田くんたち、すごい叫んでるね」とお化け屋敷の方を見た。
いつものことで聞き流していたが、たしかに中から真田の旦那と元親の悲鳴とも怒号とも雄叫びをともわからない声がずっと響き渡っている。
聞こえる限りでは、びびって前に進めない元親に真田の旦那がびびってキレているようだ。
「怖いなら入らなきゃいいのに……」
「怖いもの見たさってあるじゃん」
「不破にもそういうのあるの?怖いけど見たいもの」
俺の質問に少し悩んでから「真顔の伊達くん」と一ミクロンも怖くないものを言った。
あいつの真顔なんて、眠いときにいくらでも見られるっての。
じゃあ、とまた考え出したが別にわざわざ捻り出さなくてもいいよ。
「あっ!静かな真田くん!」
「ひっ……!」
思わず出た短い悲鳴に、不破が「見たことあるの?」と興味津々に聞いてきたから、「あれは見ない方がいい」と首を振った。
「静かな真田の旦那は、かなりマジでブチギレてるから……」
「怒らせたの?」
「……まぁ」
あの時は本当に怖かったから二度と見たくないと言う俺に、不破は興味を深め「見てみたーい!」と言ってるが、やめろ。
お前に旦那がキレることは一生ないとは思うけど、やめろ。
「興味本意でつついていい藪じゃないから。あの独眼竜と徳川だって同じこと言うから」
「そこ二人も怒らせたことあるって事実にもビックリした」
なんとか興味津々が止まらない不破をステイさせていたら、旦那と元親が「取るに足らず!」「大したことなかったぜ!」とガクガクしながら出てきた。
どの口で言ってんだ。
「待たせたな、佐助」
「大丈夫だよー。雑談してただけだし」
「前から思ってたけど、お前らってなに話すんだ?共通の話題なさそうだけどよ」
「さっきはね、静かな真田くん見てみたいよねて話してた。止められたけど」
「旦那からも言ってやってよ。やめろ、てさ」
俺の頼みに、真田の旦那がすっ、と真顔になり「某はあまり女子を無闇に怯えさせたり泣かせたりはしたくありませぬ」と言っただけで、不破は「ひぇ」と引いたけどこんなのマジで全然比じゃないからね?!
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