筋肉と天邪鬼
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翌日の休み時間、俺様の方からあの筋肉少女の元へ出向こうと思っていたが、俺様が動くより先に筋肉少女が来た。
「ナイス・ウェイトのきみー!」と、相変わらず変な呼称のままだ。
そういえば自己紹介してなかったなと思い、「俺様の名前は猿飛佐助だから」と言えば、「私は不破灯花!宜しくね、猿飛くん!」と、にこりと笑った。
こうして改めて見ても、やはり普通の女の子だ。
制服の下にあんな筋肉があるとは思えない。
「そういえば、不破さん。昨日言ってたお願いってなに?」
「そうそう!あのね、実は猿飛くんに私のトレーニングに付き合ってほしいの!」
「トレーニング?」
「そう!私、いっつも兄さんウェイトにしてスクワットとか腕立てやってるんだけど、過負荷なのか効率が悪いんだよね。でも!猿飛くんの重さは絶妙で、効率がよくなると思うの!だから、私のトレーニングの時のウェイトになってくれないかな!」
……ちょっと驚いて、なんて言えばいいのかわからない。
今まで、俺様の金や地位目当てで近付いてきた奴はいたが、体目的で近付かれるのは初めてだ。
不測の事態にぽかんとしていると、不破さんは苦笑いをしながら「て、いきなりそれはダメか」と言った。
「じゃあ、お友達からお願いします!」
不破さんは、右手を真っ直ぐ伸ばし頭を下げた。
この一部始終だけ見たら、告白の場面だ。
正直、何が悲しくて他人のトレーニングに協力しないといけないのか。
それに、この子と付き合ったところで何のメリットもない。
容姿は普通で、見るからに一般家庭の生徒。
それにどうせトレーニングがどうのも、俺様に近付くための理由付けだろ。
だから「何が欲しいの?」と聞くと、きょとんとした顔をしたので「何か欲しいから、俺様に近付いたんでしょ?」と言えば、「猿飛くんが欲しい」と笑った。
俺様の「どういう意味」と不破さんの「なーんちゃって」に被さるように「ちょっと、あなた!」と言う声が響き、俺様達の間に女の子数人が割って入ってきた。
「さっきから見ていれば、佐助様に失礼じゃなくて!」
「んー、何が失礼かよくわからないけど、貴女達は誰?」
「私達は、猿飛佐助様親衛隊ですわ!」
非公認だけどね。
彼女達は何かと俺様の付き合いや行動を制限したがるので、正直鬱陶しい。
だが、メンバーがそれなりの令嬢ばかりなので強く言えず、今のところ放置している。
「猿飛くん、親衛隊なんているんだー!凄いね!で、何が失礼なの?」
「佐助様は猿飛コーポレーションの跡取りでしてよ!それなのに、貴女の様な一般階級の方が話しかけるだなんて、失礼ですわ!佐助様と交流を持てるのは、私達のように一流の人間だけですわ!あまつさえ、佐助様に貴女のトレーニングに付き合えやら、友達になってくださいやらと、失礼な発言ばかりではありませんか!」
交流って言っても、上部だけの付き合いだけどね。
というか、何でそこまでお前らに制限されないといけないんだよ、とイライラしてきた。
これだけ言われたら、不破さんも面倒くさくなって逃げていくだろうと思っていたのに、不破さんは困り笑顔でこう言った。
「それって全部、猿飛くんの自由だよね。貴女達が決める事じゃないんじゃない?」
そのド直球な正論に、(非公認)親衛隊は顔を真っ赤にして怒鳴り始めた。
けど、そんな言葉など気にならない程に、不破さんの言葉が俺様の中で響きわたった。
『猿飛くんの自由だよね』
俺を縛る親父の「お前に自由はない」という言葉を真っ向から否定する言葉に、じわりと歓喜が湧き起こった。
椅子から立ち上がり、「いや、まあ、それが猿飛くんの方針なら、諦めるけどさ」と言っている、不破の意外にも滑らかな手を取り、(非公認)親衛隊についてくるなと言い、教室を出る。
手近な空き教室に入り、不破の手を離し適当な席に座る。
「えっと……。どうしたの、猿飛くん?」
不破の言葉を右から左に流し、自分自身に「俺にだって自由はある」と言い聞かせる。
「おーい」と俺の顔の前でひらひらさせている不破の手を掴み「いいよ。友達になってあげるよ、不破」と言うと、きょとんとした顔をしたあとに、「すっごい上から目線」とクスクス笑いながら言った。
「うん、宜しくね、猿飛くん」
これが、俺と不破の長い付き合いの始まりだった。
「ナイス・ウェイトのきみー!」と、相変わらず変な呼称のままだ。
そういえば自己紹介してなかったなと思い、「俺様の名前は猿飛佐助だから」と言えば、「私は不破灯花!宜しくね、猿飛くん!」と、にこりと笑った。
こうして改めて見ても、やはり普通の女の子だ。
制服の下にあんな筋肉があるとは思えない。
「そういえば、不破さん。昨日言ってたお願いってなに?」
「そうそう!あのね、実は猿飛くんに私のトレーニングに付き合ってほしいの!」
「トレーニング?」
「そう!私、いっつも兄さんウェイトにしてスクワットとか腕立てやってるんだけど、過負荷なのか効率が悪いんだよね。でも!猿飛くんの重さは絶妙で、効率がよくなると思うの!だから、私のトレーニングの時のウェイトになってくれないかな!」
……ちょっと驚いて、なんて言えばいいのかわからない。
今まで、俺様の金や地位目当てで近付いてきた奴はいたが、体目的で近付かれるのは初めてだ。
不測の事態にぽかんとしていると、不破さんは苦笑いをしながら「て、いきなりそれはダメか」と言った。
「じゃあ、お友達からお願いします!」
不破さんは、右手を真っ直ぐ伸ばし頭を下げた。
この一部始終だけ見たら、告白の場面だ。
正直、何が悲しくて他人のトレーニングに協力しないといけないのか。
それに、この子と付き合ったところで何のメリットもない。
容姿は普通で、見るからに一般家庭の生徒。
それにどうせトレーニングがどうのも、俺様に近付くための理由付けだろ。
だから「何が欲しいの?」と聞くと、きょとんとした顔をしたので「何か欲しいから、俺様に近付いたんでしょ?」と言えば、「猿飛くんが欲しい」と笑った。
俺様の「どういう意味」と不破さんの「なーんちゃって」に被さるように「ちょっと、あなた!」と言う声が響き、俺様達の間に女の子数人が割って入ってきた。
「さっきから見ていれば、佐助様に失礼じゃなくて!」
「んー、何が失礼かよくわからないけど、貴女達は誰?」
「私達は、猿飛佐助様親衛隊ですわ!」
非公認だけどね。
彼女達は何かと俺様の付き合いや行動を制限したがるので、正直鬱陶しい。
だが、メンバーがそれなりの令嬢ばかりなので強く言えず、今のところ放置している。
「猿飛くん、親衛隊なんているんだー!凄いね!で、何が失礼なの?」
「佐助様は猿飛コーポレーションの跡取りでしてよ!それなのに、貴女の様な一般階級の方が話しかけるだなんて、失礼ですわ!佐助様と交流を持てるのは、私達のように一流の人間だけですわ!あまつさえ、佐助様に貴女のトレーニングに付き合えやら、友達になってくださいやらと、失礼な発言ばかりではありませんか!」
交流って言っても、上部だけの付き合いだけどね。
というか、何でそこまでお前らに制限されないといけないんだよ、とイライラしてきた。
これだけ言われたら、不破さんも面倒くさくなって逃げていくだろうと思っていたのに、不破さんは困り笑顔でこう言った。
「それって全部、猿飛くんの自由だよね。貴女達が決める事じゃないんじゃない?」
そのド直球な正論に、(非公認)親衛隊は顔を真っ赤にして怒鳴り始めた。
けど、そんな言葉など気にならない程に、不破さんの言葉が俺様の中で響きわたった。
『猿飛くんの自由だよね』
俺を縛る親父の「お前に自由はない」という言葉を真っ向から否定する言葉に、じわりと歓喜が湧き起こった。
椅子から立ち上がり、「いや、まあ、それが猿飛くんの方針なら、諦めるけどさ」と言っている、不破の意外にも滑らかな手を取り、(非公認)親衛隊についてくるなと言い、教室を出る。
手近な空き教室に入り、不破の手を離し適当な席に座る。
「えっと……。どうしたの、猿飛くん?」
不破の言葉を右から左に流し、自分自身に「俺にだって自由はある」と言い聞かせる。
「おーい」と俺の顔の前でひらひらさせている不破の手を掴み「いいよ。友達になってあげるよ、不破」と言うと、きょとんとした顔をしたあとに、「すっごい上から目線」とクスクス笑いながら言った。
「うん、宜しくね、猿飛くん」
これが、俺と不破の長い付き合いの始まりだった。