筋肉と天邪鬼
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「旦那と二人で、何隠してるの」
帰り支度をしている所で、猿飛くんに呼び止められた。
ばれたのかと真田くんの方を向くと、申し訳なさそうに顔の前で手を合わせていた。
真田くんは素直な人だから隠し事はできないとは思ってたけど、思ってたより早くばれたな……。
私は「何でも無いよ」と笑ってみせるけど、猿飛くんはじっと私の顔を見ると「嘘」と言った。
「これでも、何百人も作り笑顔の奴は見てきた。あんたの表情が嘘だって言ってる」
……恐ろしいな、猿飛くんの観察眼は。
私はそれでも「本当に何でもないの」と笑って切り抜けようとしたが、猿飛くんは不機嫌そうに顔を歪めながら「旦那には話せて、俺には話せないのかよ」と言った。
違うと否定しても、猿飛くんは「違くないだろ」と低い声で否定し、鋭い目つきで睨んできた。
「暫く俺に話しかけるな」
そう言い捨て、猿飛くんは行ってしまった。
それを追うように、真田くんも教室を出て行く。
嫌われたくないから隠していたのに、それが原因で嫌われてしまった。
「何が、正解だったのかな……」
数年ぶりに流した涙を拭いながら、取り敢えず帰ろうと鞄を持ち直し教室を後にした。
*
最悪だ、本当にもうサイテーで最悪。
不破が俺に何の相談もしてくれないのもサイテーな気分だし、不破に嘘吐かれたのも最悪。
それよりも、感情に任せて不破にあんな事を言っちゃた自分が一番最悪。
不破は、無条件で俺の事を信用してくれてると思ってた。
そうじゃなかった。
あいつにだって、秘密にしたい事だってある。
言いたくない事だってある。
それは、分かってる。
でも、話してほしい。
もっと、俺の事を頼ってほしい。
考えれば考える程、暗い気持ちになっていく。
部活なんてやる気分にならず、道場の隅っこで体育座りをしていると独眼竜が「辛気くせえよ」と言ってきた。
「ごめん、独眼竜。今はちょっと、相手してあげられる気分じゃない」
「まるで、オレがアンタに相手してもらってるみたいな言い方は止めろ。何だ?あの、muscle girlとの喧嘩引きずってんのか?」
「そんなとこ。だから、放っておいて」
そう言ったのに、今度は真田の旦那が「佐助」と声をかけてきた。
もー、なに。
放っておいてってば。
「不破殿との約束を違える事にはなるが、それでお前達の友情に亀裂が入るのを俺は見ていられぬ。だから、言うぞ。不破殿は……イジメられている」
真田の旦那の発言に、一瞬固まるが直ぐに首謀者であろう連中に怒りを覚えた。
不破は毎朝誰よりも早く登校して、イジメの事実を隠蔽しているらしい。
理由は、イジメられている事が俺にばれたら俺が離れていくと思ったかららしい。
あんの、馬鹿!
そんな理由で俺に黙ってたのかよ!
イジメをしたやつにも、言わなかった不破にも、気が付いてやれなかった俺自身にも怒りが湧く。
「あの馬鹿と話しつけてくる!」
道着のまま、鞄を持って道場を飛び出す。
たぶん、あのまま家に帰ったはずだと不破の家に行くと、小母さんが「まだ帰ってないのよ」と言った。
「そう、なんですか?」
「そうなの。いつもなら、とっくに帰ってきてる筈なんだけどね」
嫌な予感がした。
急いでケータイで不破の位置情報を調べる。
前に、不破につけた首輪にはGPSを仕込んである。
その位置情報によると、県外の山中を示している。
ケータイに電話しても出ない……!
「小母さん!車出してください!」
早く、早く迎えに行ってやらないと……!
帰り支度をしている所で、猿飛くんに呼び止められた。
ばれたのかと真田くんの方を向くと、申し訳なさそうに顔の前で手を合わせていた。
真田くんは素直な人だから隠し事はできないとは思ってたけど、思ってたより早くばれたな……。
私は「何でも無いよ」と笑ってみせるけど、猿飛くんはじっと私の顔を見ると「嘘」と言った。
「これでも、何百人も作り笑顔の奴は見てきた。あんたの表情が嘘だって言ってる」
……恐ろしいな、猿飛くんの観察眼は。
私はそれでも「本当に何でもないの」と笑って切り抜けようとしたが、猿飛くんは不機嫌そうに顔を歪めながら「旦那には話せて、俺には話せないのかよ」と言った。
違うと否定しても、猿飛くんは「違くないだろ」と低い声で否定し、鋭い目つきで睨んできた。
「暫く俺に話しかけるな」
そう言い捨て、猿飛くんは行ってしまった。
それを追うように、真田くんも教室を出て行く。
嫌われたくないから隠していたのに、それが原因で嫌われてしまった。
「何が、正解だったのかな……」
数年ぶりに流した涙を拭いながら、取り敢えず帰ろうと鞄を持ち直し教室を後にした。
*
最悪だ、本当にもうサイテーで最悪。
不破が俺に何の相談もしてくれないのもサイテーな気分だし、不破に嘘吐かれたのも最悪。
それよりも、感情に任せて不破にあんな事を言っちゃた自分が一番最悪。
不破は、無条件で俺の事を信用してくれてると思ってた。
そうじゃなかった。
あいつにだって、秘密にしたい事だってある。
言いたくない事だってある。
それは、分かってる。
でも、話してほしい。
もっと、俺の事を頼ってほしい。
考えれば考える程、暗い気持ちになっていく。
部活なんてやる気分にならず、道場の隅っこで体育座りをしていると独眼竜が「辛気くせえよ」と言ってきた。
「ごめん、独眼竜。今はちょっと、相手してあげられる気分じゃない」
「まるで、オレがアンタに相手してもらってるみたいな言い方は止めろ。何だ?あの、muscle girlとの喧嘩引きずってんのか?」
「そんなとこ。だから、放っておいて」
そう言ったのに、今度は真田の旦那が「佐助」と声をかけてきた。
もー、なに。
放っておいてってば。
「不破殿との約束を違える事にはなるが、それでお前達の友情に亀裂が入るのを俺は見ていられぬ。だから、言うぞ。不破殿は……イジメられている」
真田の旦那の発言に、一瞬固まるが直ぐに首謀者であろう連中に怒りを覚えた。
不破は毎朝誰よりも早く登校して、イジメの事実を隠蔽しているらしい。
理由は、イジメられている事が俺にばれたら俺が離れていくと思ったかららしい。
あんの、馬鹿!
そんな理由で俺に黙ってたのかよ!
イジメをしたやつにも、言わなかった不破にも、気が付いてやれなかった俺自身にも怒りが湧く。
「あの馬鹿と話しつけてくる!」
道着のまま、鞄を持って道場を飛び出す。
たぶん、あのまま家に帰ったはずだと不破の家に行くと、小母さんが「まだ帰ってないのよ」と言った。
「そう、なんですか?」
「そうなの。いつもなら、とっくに帰ってきてる筈なんだけどね」
嫌な予感がした。
急いでケータイで不破の位置情報を調べる。
前に、不破につけた首輪にはGPSを仕込んである。
その位置情報によると、県外の山中を示している。
ケータイに電話しても出ない……!
「小母さん!車出してください!」
早く、早く迎えに行ってやらないと……!