「明日から休みだねー」

不破が何となしに発した言葉で、明日から冬休みが始まる事を思い出した。
口から「めんどくさ」と零れた本音を不破は聞き逃さずに「なんで？」と聞いてきた。
だって冬休みなんて、堅苦しいパーティーが目白押しじゃん。
ずっと気を遣わなきゃいけないし、笑顔も張り付けておかないといけないから凄い疲れる。
そんな愚痴を零すと、不破は「次元が違うわ」と言った。

「それで、さっきから猿飛くんチラチラ見られてるんだ」
「あんたのお陰で、今年は招待状を断るの楽で助かってるよ」

そう言うと、不破が難しそうな顔をした。
今度は俺から尋ねると、不破は「いや、何でもない」と首を振るが、明らかに何か言いたそうな顔をしている。
言うよう催促するが、頑なに首を振り続けるもんだから思いっきり不破の体で数少ない柔らかい部分である頬をつねりあげる。

「おら、言えよ」
「ふぁかっふぁよー。……いやさ、母さんがクリスマスに猿飛くん呼びなって。でも、無理そうだね」

残念だと、しょぼくれる不破。
あー、もう、止めろよ。
滅茶苦茶嬉しすぎて顔を覆って深呼吸しながら、親父に言われたクリスマスのパーティーをどうやって抜け出そうか考える。

「……いつまでやってる？」
「家族でやる物だから、普通に起きてる限りかな」

その言葉に「絶対に行くから待ってて」と返すと、不破はちょっと嬉しそうな顔で笑った。
絶対に行く。
だって、不破の家族と過ごすクリスマスの方が俺の心が戻ってくる気がするから。

(……プレゼント、何にしよう)

それを考えるだけで、楽しくなってくる。