君は死なず、されど
名前
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。
「痛みの共有……お前とはさぞ気持ち良いだろうよ」
笑う飛段の親指が、のど仏を撫でた。凸凹を上下する手つきはやけに優しく感じ、○○は密かに顔を見て、その表情の穏やかさにまるで恋人同士のようだと錯覚しかけた。
実際はそんな甘いシチュエーションでは全くないのだが。
「○○、オレはこの手でお前を殺したくてたまらねぇんだ。今この瞬間もな」
そして、○○の胸、丁度心臓の位置にワイヤーに繋がれた真っ赤な鎌が、ひたりとあてがわれる。
「…………」
刃先が妖しく光を反射する。この時、○○は飛段と初めて出会った日のやりとりを思い出していて、なんだか懐かしい気持ちに。
状況的には考えている場合ではないが、楽観的かつ○○の体質が心の余裕を生み出しているのかもしれない。
○○は小さく笑って鎌を掴み、それを自分の胸に深めに押し付ける。
「 ……私は、別にいいけど」
胸辺りの布が裂け、刃を持つ指からつぷりと赤い液体が溢れた。
「どうする?」
○○がそう聞く。
数秒間の沈黙の後、飛段は○○の瞳を見つめてから、
「ハァ、やめだやめ!」
ため息を吐き出しながら、後ろ首をガシガシかいた。
「第一、殺せねぇお前を手にかけたところでジャシン様には捧げらんねーし、戒律にも反する。
……殺せるモンなら殺してぇが、出来ねーもんは出来ねーしな」
やれやれと息を吐き出しながら、○○に掴まれた鎌を引き抜くと、いつも通り背中に収めた。
「そっか」
「……もったいねえな、おい」
「?私の血が?結構日常的に流血してるけど」
すると刃で切れて血がつたっている○○の手を掴んだ飛段は、その血を自らの舌にからめ、舐めとっていく。
「儀式でもする?」
「だから、お前じゃ儀式が成り立たねーんだよ!黙って見てろ」
血を舐めていく飛段。○○は言われた通り、黙ってその行為を眺めていた。
やがて血も止まり、手も本来のはだ色の皮膚が見える。 飛段の口が離れるのと同時に、気配で角都が換金所から出てこようとしていることに気がついた○○。
それを伝えるため、○○は一旦離れようとした。
「飛段、ちょ、」
しかし、気分が昂ったのか、○○の首元に顔を寄せる飛段。二人だけの空間がそれを加速させているのか、猫撫で声で○○の名を呼ぶ。
「……飛段、」
「ンだよ。角都はどうせちんたら金数えてんだろ」
○○の腰を抱きそう言う。
言葉を考えつつ、腕をわたわたさせている○○。
の、腹に、何かが巻き付つく。
「!」
「誰がちんたら金を数えてるって?」
「ゲッ!?角都の゙あ゙ーーッッ!!?」
「わぁ…………」
瞬く間に○○の腹に巻き付いた角都の地怨虞は体を引き寄せ、滑らかな動きで脇下へ抱えられ収まった。
その一方。
飛段は反対の地怨虞により伸びた腕で頭をそこそこ強めに引っ掴まれていた。
「帰るぞ」
ぱっと頭を離し、すぐにいつもの様子に戻った角都。脇に置かれた銀色のケースを○○を抱える反対側の手に持ちながら、歩を進める。
「はーい」
「へーい……」
あとに続くように、角都の脇下で素直な○○、それから横に並び歩きながら頭を押さえた飛段。各々返事を返し、三人は帰路につく。
そして、数秒後には何事もなかったかのように○○が再び口を開くのだった。
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「痛みの共有……お前とはさぞ気持ち良いだろうよ」
笑う飛段の親指が、のど仏を撫でた。凸凹を上下する手つきはやけに優しく感じ、○○は密かに顔を見て、その表情の穏やかさにまるで恋人同士のようだと錯覚しかけた。
実際はそんな甘いシチュエーションでは全くないのだが。
「○○、オレはこの手でお前を殺したくてたまらねぇんだ。今この瞬間もな」
そして、○○の胸、丁度心臓の位置にワイヤーに繋がれた真っ赤な鎌が、ひたりとあてがわれる。
「…………」
刃先が妖しく光を反射する。この時、○○は飛段と初めて出会った日のやりとりを思い出していて、なんだか懐かしい気持ちに。
状況的には考えている場合ではないが、楽観的かつ○○の体質が心の余裕を生み出しているのかもしれない。
○○は小さく笑って鎌を掴み、それを自分の胸に深めに押し付ける。
「 ……私は、別にいいけど」
胸辺りの布が裂け、刃を持つ指からつぷりと赤い液体が溢れた。
「どうする?」
○○がそう聞く。
数秒間の沈黙の後、飛段は○○の瞳を見つめてから、
「ハァ、やめだやめ!」
ため息を吐き出しながら、後ろ首をガシガシかいた。
「第一、殺せねぇお前を手にかけたところでジャシン様には捧げらんねーし、戒律にも反する。
……殺せるモンなら殺してぇが、出来ねーもんは出来ねーしな」
やれやれと息を吐き出しながら、○○に掴まれた鎌を引き抜くと、いつも通り背中に収めた。
「そっか」
「……もったいねえな、おい」
「?私の血が?結構日常的に流血してるけど」
すると刃で切れて血がつたっている○○の手を掴んだ飛段は、その血を自らの舌にからめ、舐めとっていく。
「儀式でもする?」
「だから、お前じゃ儀式が成り立たねーんだよ!黙って見てろ」
血を舐めていく飛段。○○は言われた通り、黙ってその行為を眺めていた。
やがて血も止まり、手も本来のはだ色の皮膚が見える。 飛段の口が離れるのと同時に、気配で角都が換金所から出てこようとしていることに気がついた○○。
それを伝えるため、○○は一旦離れようとした。
「飛段、ちょ、」
しかし、気分が昂ったのか、○○の首元に顔を寄せる飛段。二人だけの空間がそれを加速させているのか、猫撫で声で○○の名を呼ぶ。
「……飛段、」
「ンだよ。角都はどうせちんたら金数えてんだろ」
○○の腰を抱きそう言う。
言葉を考えつつ、腕をわたわたさせている○○。
の、腹に、何かが巻き付つく。
「!」
「誰がちんたら金を数えてるって?」
「ゲッ!?角都の゙あ゙ーーッッ!!?」
「わぁ…………」
瞬く間に○○の腹に巻き付いた角都の地怨虞は体を引き寄せ、滑らかな動きで脇下へ抱えられ収まった。
その一方。
飛段は反対の地怨虞により伸びた腕で頭をそこそこ強めに引っ掴まれていた。
「帰るぞ」
ぱっと頭を離し、すぐにいつもの様子に戻った角都。脇に置かれた銀色のケースを○○を抱える反対側の手に持ちながら、歩を進める。
「はーい」
「へーい……」
あとに続くように、角都の脇下で素直な○○、それから横に並び歩きながら頭を押さえた飛段。各々返事を返し、三人は帰路につく。
そして、数秒後には何事もなかったかのように○○が再び口を開くのだった。
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