君は死なず、されど
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「いやっほぉい!!
そーれどっかんどっかーん!!」
辺りに響くのは○○の笑い声。
それから逃げ惑う忍たち。
…………
時を少し遡る。
今日の任務はとある忍者の抹殺。珍しくお金儲け以外の任務を任された角都、飛段、そして○○の三人は出発。
そして間もなく標的を見つけた三人。
今回はさほど難易度が高くないのもあり、取り巻きを含む標的全ての始末を任された○○。
角都と飛段は後方にて傍観。
「ーーーー、」
(ーーーーなんだあいつは。武器も持たず)
(まさか、体術のみでこの人数をやるつもりか…………?)
○○を様々な武器を構え、見据える忍はざっと数十人。
対する○○が構えたのは、拳ひとつ。
「……」
「……」
数メートル後方で後ろ姿を眺めている角都と飛段。
二人とも手を出すつもりは無い、と言わんばかりに口も開かず、本当に手を出す様子は見られない。
……忍たちの注意は既に○○ではなく、後ろの二人へと向けられていたのだ。
そのことに気づいた飛段は眉を僅かにひそめた、が、大して気にしてもおらず、角都に至っては我関せず。
○○は○○でそれに気がついてか気づかずか、どちらとも捉えがたい顔をした。
(ーー、よし、)
誰かからの合図が掛かる。ーーーー先にしかけたのは、向こうだった。
あちら側に居た誰もが、数分後に倒れているのは○○だと、信じて疑わなかった。
……
そして現在。
「…………よし、」
(…………、なんだこれは、
なんだこれは?)
信じて疑わなかったからこそ、地に伏した瀕死の忍は、自身の目に映る光景を信じることができなかったのである。
辺りにはついさっきまで仲間だったモノが散らばっており、もはや誰が誰かと判別することすら叶わなかった。文字通りの、死屍累々である。
(こんな、はずでは、)
下顎呼吸か。
息が吸えない。忍は、自身の死がすぐそこまで来ていることを知ってしまった。
もう、他に仲間が生きているかどうかの確認すら出来ない。
「!」
(あ、)
忍が最期に見たのは、自身へ手を伸ばす○○の、
(何故、
何故、そんな顔をする)
ひどく、かなしそうな顔だった。
……
全てが終わりを告げた今。
死屍累々の中を佇む○○を見やり、今の今までだんまりだった二人が、ようやく体を動かしたのである。
「やーっと終わったか」
「毎度の事ながら悲惨な光景だな」
散らばる肉片を気にすることなく、角都は○○の元へ歩を進める。
「にしても血の匂いやら何やら色々混じってすっげぇ匂いだなこりゃ」
やや遠目からその光景をみる飛段は、鼻をつまんでそう言った。
「いつみても悪趣味だよ、ほんと」
「お前の儀式も大概だかな」
「あぁ!?そりゃどういう意味だ角都っ!!」
「そのままの意味だが?」
やいのやいのと言い合いをしながらも○○の前までやって来た角都は、塞ぎきっておらずややはみ出した臓器の一部を指さしながら、血に濡れた顔に袖を押し付けた。
「○○、お前も早くそれを仕舞え」
「はーい」
「……その臓器はこっちに入れろ」
つぷ、と音をたてながら、角都の指に導かれた臓器は本来の位置へと収まる。
「おなかすいた…………」
大人しく血を拭われていた○○は、先の戦闘でエネルギーをそれなりに消費したようで、ぐるぐるとお腹を鳴らし角都を見上げた。
何かを伝えるように、じ、と見つめる。
「帰りに茶屋にでも寄るか」
「!
やったー!!団子いっぱい食べる!!」
「おいおい、バテてるくせに見栄はんじゃねぇよ」
「はってない、お、っと、と。
…………へ、へへ」
疲労で体がふらつき、血の海とかしていた地面に倒れそうなすんでのところで、角都は○○のお腹を腕でキャッチ。上半身が宙を舞ったものの、○○はしぶーい目を向けられただけで事なきを得たのだ。
「……リーダーに報告するのは体力回復後で十分だ。まずは休め、いいな」
「は、はーい」
「角都ぅー。お前ほんっと○○に甘いよな」
「うるさい。黙って歩け飛段」
「へーへー」
(団子、団子、団子…………)
角都、飛段、その真ん中に○○。
外そうに袖を通し、額当てを結び直し、とうに事切れた忍を一瞥した○○は、傷のふさがったお腹を撫でその場を後にしたのだった。
……
そーれどっかんどっかーん!!」
辺りに響くのは○○の笑い声。
それから逃げ惑う忍たち。
…………
時を少し遡る。
今日の任務はとある忍者の抹殺。珍しくお金儲け以外の任務を任された角都、飛段、そして○○の三人は出発。
そして間もなく標的を見つけた三人。
今回はさほど難易度が高くないのもあり、取り巻きを含む標的全ての始末を任された○○。
角都と飛段は後方にて傍観。
「ーーーー、」
(ーーーーなんだあいつは。武器も持たず)
(まさか、体術のみでこの人数をやるつもりか…………?)
○○を様々な武器を構え、見据える忍はざっと数十人。
対する○○が構えたのは、拳ひとつ。
「……」
「……」
数メートル後方で後ろ姿を眺めている角都と飛段。
二人とも手を出すつもりは無い、と言わんばかりに口も開かず、本当に手を出す様子は見られない。
……忍たちの注意は既に○○ではなく、後ろの二人へと向けられていたのだ。
そのことに気づいた飛段は眉を僅かにひそめた、が、大して気にしてもおらず、角都に至っては我関せず。
○○は○○でそれに気がついてか気づかずか、どちらとも捉えがたい顔をした。
(ーー、よし、)
誰かからの合図が掛かる。ーーーー先にしかけたのは、向こうだった。
あちら側に居た誰もが、数分後に倒れているのは○○だと、信じて疑わなかった。
……
そして現在。
「…………よし、」
(…………、なんだこれは、
なんだこれは?)
信じて疑わなかったからこそ、地に伏した瀕死の忍は、自身の目に映る光景を信じることができなかったのである。
辺りにはついさっきまで仲間だったモノが散らばっており、もはや誰が誰かと判別することすら叶わなかった。文字通りの、死屍累々である。
(こんな、はずでは、)
下顎呼吸か。
息が吸えない。忍は、自身の死がすぐそこまで来ていることを知ってしまった。
もう、他に仲間が生きているかどうかの確認すら出来ない。
「!」
(あ、)
忍が最期に見たのは、自身へ手を伸ばす○○の、
(何故、
何故、そんな顔をする)
ひどく、かなしそうな顔だった。
……
全てが終わりを告げた今。
死屍累々の中を佇む○○を見やり、今の今までだんまりだった二人が、ようやく体を動かしたのである。
「やーっと終わったか」
「毎度の事ながら悲惨な光景だな」
散らばる肉片を気にすることなく、角都は○○の元へ歩を進める。
「にしても血の匂いやら何やら色々混じってすっげぇ匂いだなこりゃ」
やや遠目からその光景をみる飛段は、鼻をつまんでそう言った。
「いつみても悪趣味だよ、ほんと」
「お前の儀式も大概だかな」
「あぁ!?そりゃどういう意味だ角都っ!!」
「そのままの意味だが?」
やいのやいのと言い合いをしながらも○○の前までやって来た角都は、塞ぎきっておらずややはみ出した臓器の一部を指さしながら、血に濡れた顔に袖を押し付けた。
「○○、お前も早くそれを仕舞え」
「はーい」
「……その臓器はこっちに入れろ」
つぷ、と音をたてながら、角都の指に導かれた臓器は本来の位置へと収まる。
「おなかすいた…………」
大人しく血を拭われていた○○は、先の戦闘でエネルギーをそれなりに消費したようで、ぐるぐるとお腹を鳴らし角都を見上げた。
何かを伝えるように、じ、と見つめる。
「帰りに茶屋にでも寄るか」
「!
やったー!!団子いっぱい食べる!!」
「おいおい、バテてるくせに見栄はんじゃねぇよ」
「はってない、お、っと、と。
…………へ、へへ」
疲労で体がふらつき、血の海とかしていた地面に倒れそうなすんでのところで、角都は○○のお腹を腕でキャッチ。上半身が宙を舞ったものの、○○はしぶーい目を向けられただけで事なきを得たのだ。
「……リーダーに報告するのは体力回復後で十分だ。まずは休め、いいな」
「は、はーい」
「角都ぅー。お前ほんっと○○に甘いよな」
「うるさい。黙って歩け飛段」
「へーへー」
(団子、団子、団子…………)
角都、飛段、その真ん中に○○。
外そうに袖を通し、額当てを結び直し、とうに事切れた忍を一瞥した○○は、傷のふさがったお腹を撫でその場を後にしたのだった。
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