君は死なず、されど
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どれくらい時間が経ったのか。
いや、さほど経っていないのかもしれない。
広場にはざわざわと人の話し声。それは○○の指示に従いここに集まった人がいるという証。
「…………………………」
だというのに、それに反して○○の表情はあまりよろしくなかった。
「○○!」
「!」
「案外広くってな。時間かかっちまった」
そんな時。
○○の頭上から声が聴こえる。飛び降りてきたのはデイダラだった。
「まぁでも、オイラの手にかかれば楽勝だったぜ。うん。
ーーそれにしても、」
そう言いながらデイダラは広場周囲を見渡しながら、ある疑問を抱いた。
当然、○○にもその疑問がなんなのかをすぐに理解し、ややバツが悪そうに口を結ぶ。
「…………ほんとは皆ここに連れてきたかったんだけど、思ったより血気盛んな人が多くて……」
自嘲気味に笑う○○。
今○○が言った通り本来、○○の見立てでは全員とまではいかずとも八割程度は従うだろうと思っていた。……思っていた。
のだが、他の誰もが見てわかるように、○○の見立てはとにかく甘々だった。そんな想像通りに上手くいくはずもなく。
○○は申し訳なさそうに後ろ首へ手をやる。
「まさか三分の一しか来てくれないとは思ってなかったよ………」
横目でそれに該当する人たちを見ながら、○○はため息を吐き出した。
予定外の殺しをした上に、後々その死体処理をするのは○○たち当人。
憂鬱だった。
しかし、その憂鬱さは予想外の殺しをしたからでも、死体処理をするからでもない。○○が憂鬱なのは、その結果を報告した時の、サソリの反応。
金銭面に関しては、気にしていない。財布役を角都が担っているから多少のやらかしも許容されるだろうという謎の自信が○○にはあったからだ。
問題はさっきも言った通り、サソリである。
一緒に任務をしたことも片手で数えるほどしかなく、頻繁に話をしているわけでもない○○にとって、サソリはまさに未知と言っても大袈裟ではないであろう存在だった。
「ハァ、」
二度目のため息を吐く○○。
そんな陰鬱な雰囲気をまとう○○を見かねたのか、デイダラは口を開いた。
「«抵抗するなら殺せ»ってサソリの旦那も言ってたじゃねーか。なら別に気にする必要は無いだろ。うん」
「…………」
「まぁでも、もし旦那が何か言う様なら、そん時はオイラが中に入ってやるよ」
「……。ありがとう」
かなーり年下の暁最年少のデイダラに励まされ、複雑な気持ちになりながらも、その気遣いそのものはとても嬉しくなる。
なんとなく救われた気持ちになり、自然と笑みを浮かべる○○。
「やっぱりデイダラは優しいね!」
「っおい、」
そう言い、ぎゅ、とデイダラを抱きしめる○○。
普段行動を共にする角都、飛段とはそういったスキンシップは日常的に行っていた。○○にとってそれは当たり前且つごく自然な行動であるため、デイダラにも同じようにしたのだ。
しかし当然だが全員が全員、その限りではない。
ぎょっとしたデイダラはその場では何も言わなかったものの、手を離した○○にそっと問う。
「(…………)
なぁ、アイツらともこういうことやってんのか?」
「?
角都さんと飛段?してるけど、」
「(だろうな……)」
「?」
デイダラは頭を抱えた。
そして危惧した。コイツこのままだと絶対何かしらのトラブルに巻き込まれるのでは、と。
「いいか○○!よく聞け」
「えっ?うん」
言い聞かせるように肩を持つデイダラ。その気迫にたじろぎながらも、○○は頷く。
「そういうのは気の許せる奴だけにしとくんだな。うん」
同じ組織の人間として、被害を被る○○を見るのは気分が良くない。たとえそれが普段行動を共にしない者であろうと。
それはデイダラなりの気遣いである。
その言葉にぱちりと目を瞬かせる○○。
そして、
「デイダラもそうなんだけど、デイダラは違った?」
……などと言うものだから、ぬ゛、と言葉を詰まらせてしまったデイダラ。
「…………それなら、別にいいけどよ。うん」
ごほん、と咳払いをしつつ、やや照れくさそうにデイダラは返す。
なんだかんだと言いつつも、○○にそういう認識をされていたことが嬉しかったようだ。
「……随分と少ねェな」
「!」
「サソリの旦那か。そっちは済んだのかい」
「当然だ」
事を済ませたのか、外とうを引きずりながらやって来たサソリ。広場に目線を向けたまま、デイダラと会話をしている。
「○○」
何を言われるかとソワソワしていると、サソリはゆっくりとした動きで視線を○○の方へ。
「えーっと、」
身を縮まらせ、もにょもにょと口を動かしてどもる○○。脳内で同じ言葉が行ったり来たりしていてどうにもならなかった。
サソリはそんな挙動不審の○○の目の前へ、尾の先を突き付けてみせると、
「…………、何を勘違いしてるかは知らねぇが○○、今回の任務は別に«抵抗しない奴が少なかろうが»、最悪«誰も集まらなかろうが»問題は全く無ェからな」
……そう言って鼻先をつついたのだ。
「ええぇ…………先に教えてよそーいうのは……」
「まぁ結果オーライ、という奴だ。
……さて、オレたちの任務はこれで終わりだ。あとはオレの部下に任せる」
「なぁサソリの旦那。それならオイラに任せてくれてもよかったんじゃねぇのか。うん」
「少しでも修繕費を抑えるためだ。デイダラ、お前も角都に後からグチグチ言われたくねぇだろ」
「……(確かに)」
角都に言われる光景が容易に想像出来てしまったため、デイダラは黙るしか無かった。
そんな中、○○は心底不思議そうに首を捻る。
「角都さんってそんなに口うるさい?確かにお金にはきっちりしてるけど」
「……生憎、アイツが甘いのはお前だけなんだよ」
「!そっか……!!」
「…………」
「あいて、」
ぴたりと立ち止まると、あからさまにニンマリとご機嫌そうに頬を緩める○○。
おめでたいなと思いつつ、なんとなくムカつく感情が表に出てきたため、○○の頭を尾で軽く小突く。
「ちんたらするな。置いていくぞ」
「はーい」
すいすいと歩を進めるサソリの背中を、○○は相変わらず嬉しそうについて行く。
……まるで数十分前までその手を血に染めていたのが嘘みたいに、その顔はまっすぐだった。
。
いや、さほど経っていないのかもしれない。
広場にはざわざわと人の話し声。それは○○の指示に従いここに集まった人がいるという証。
「…………………………」
だというのに、それに反して○○の表情はあまりよろしくなかった。
「○○!」
「!」
「案外広くってな。時間かかっちまった」
そんな時。
○○の頭上から声が聴こえる。飛び降りてきたのはデイダラだった。
「まぁでも、オイラの手にかかれば楽勝だったぜ。うん。
ーーそれにしても、」
そう言いながらデイダラは広場周囲を見渡しながら、ある疑問を抱いた。
当然、○○にもその疑問がなんなのかをすぐに理解し、ややバツが悪そうに口を結ぶ。
「…………ほんとは皆ここに連れてきたかったんだけど、思ったより血気盛んな人が多くて……」
自嘲気味に笑う○○。
今○○が言った通り本来、○○の見立てでは全員とまではいかずとも八割程度は従うだろうと思っていた。……思っていた。
のだが、他の誰もが見てわかるように、○○の見立てはとにかく甘々だった。そんな想像通りに上手くいくはずもなく。
○○は申し訳なさそうに後ろ首へ手をやる。
「まさか三分の一しか来てくれないとは思ってなかったよ………」
横目でそれに該当する人たちを見ながら、○○はため息を吐き出した。
予定外の殺しをした上に、後々その死体処理をするのは○○たち当人。
憂鬱だった。
しかし、その憂鬱さは予想外の殺しをしたからでも、死体処理をするからでもない。○○が憂鬱なのは、その結果を報告した時の、サソリの反応。
金銭面に関しては、気にしていない。財布役を角都が担っているから多少のやらかしも許容されるだろうという謎の自信が○○にはあったからだ。
問題はさっきも言った通り、サソリである。
一緒に任務をしたことも片手で数えるほどしかなく、頻繁に話をしているわけでもない○○にとって、サソリはまさに未知と言っても大袈裟ではないであろう存在だった。
「ハァ、」
二度目のため息を吐く○○。
そんな陰鬱な雰囲気をまとう○○を見かねたのか、デイダラは口を開いた。
「«抵抗するなら殺せ»ってサソリの旦那も言ってたじゃねーか。なら別に気にする必要は無いだろ。うん」
「…………」
「まぁでも、もし旦那が何か言う様なら、そん時はオイラが中に入ってやるよ」
「……。ありがとう」
かなーり年下の暁最年少のデイダラに励まされ、複雑な気持ちになりながらも、その気遣いそのものはとても嬉しくなる。
なんとなく救われた気持ちになり、自然と笑みを浮かべる○○。
「やっぱりデイダラは優しいね!」
「っおい、」
そう言い、ぎゅ、とデイダラを抱きしめる○○。
普段行動を共にする角都、飛段とはそういったスキンシップは日常的に行っていた。○○にとってそれは当たり前且つごく自然な行動であるため、デイダラにも同じようにしたのだ。
しかし当然だが全員が全員、その限りではない。
ぎょっとしたデイダラはその場では何も言わなかったものの、手を離した○○にそっと問う。
「(…………)
なぁ、アイツらともこういうことやってんのか?」
「?
角都さんと飛段?してるけど、」
「(だろうな……)」
「?」
デイダラは頭を抱えた。
そして危惧した。コイツこのままだと絶対何かしらのトラブルに巻き込まれるのでは、と。
「いいか○○!よく聞け」
「えっ?うん」
言い聞かせるように肩を持つデイダラ。その気迫にたじろぎながらも、○○は頷く。
「そういうのは気の許せる奴だけにしとくんだな。うん」
同じ組織の人間として、被害を被る○○を見るのは気分が良くない。たとえそれが普段行動を共にしない者であろうと。
それはデイダラなりの気遣いである。
その言葉にぱちりと目を瞬かせる○○。
そして、
「デイダラもそうなんだけど、デイダラは違った?」
……などと言うものだから、ぬ゛、と言葉を詰まらせてしまったデイダラ。
「…………それなら、別にいいけどよ。うん」
ごほん、と咳払いをしつつ、やや照れくさそうにデイダラは返す。
なんだかんだと言いつつも、○○にそういう認識をされていたことが嬉しかったようだ。
「……随分と少ねェな」
「!」
「サソリの旦那か。そっちは済んだのかい」
「当然だ」
事を済ませたのか、外とうを引きずりながらやって来たサソリ。広場に目線を向けたまま、デイダラと会話をしている。
「○○」
何を言われるかとソワソワしていると、サソリはゆっくりとした動きで視線を○○の方へ。
「えーっと、」
身を縮まらせ、もにょもにょと口を動かしてどもる○○。脳内で同じ言葉が行ったり来たりしていてどうにもならなかった。
サソリはそんな挙動不審の○○の目の前へ、尾の先を突き付けてみせると、
「…………、何を勘違いしてるかは知らねぇが○○、今回の任務は別に«抵抗しない奴が少なかろうが»、最悪«誰も集まらなかろうが»問題は全く無ェからな」
……そう言って鼻先をつついたのだ。
「ええぇ…………先に教えてよそーいうのは……」
「まぁ結果オーライ、という奴だ。
……さて、オレたちの任務はこれで終わりだ。あとはオレの部下に任せる」
「なぁサソリの旦那。それならオイラに任せてくれてもよかったんじゃねぇのか。うん」
「少しでも修繕費を抑えるためだ。デイダラ、お前も角都に後からグチグチ言われたくねぇだろ」
「……(確かに)」
角都に言われる光景が容易に想像出来てしまったため、デイダラは黙るしか無かった。
そんな中、○○は心底不思議そうに首を捻る。
「角都さんってそんなに口うるさい?確かにお金にはきっちりしてるけど」
「……生憎、アイツが甘いのはお前だけなんだよ」
「!そっか……!!」
「…………」
「あいて、」
ぴたりと立ち止まると、あからさまにニンマリとご機嫌そうに頬を緩める○○。
おめでたいなと思いつつ、なんとなくムカつく感情が表に出てきたため、○○の頭を尾で軽く小突く。
「ちんたらするな。置いていくぞ」
「はーい」
すいすいと歩を進めるサソリの背中を、○○は相変わらず嬉しそうについて行く。
……まるで数十分前までその手を血に染めていたのが嘘みたいに、その顔はまっすぐだった。
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