序章〜子供時代編
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ゆっくり目を開けると、白い天井、白い壁。
薄暗く、シンと静まり返った部屋の中で置き時計のカチカチという音が一定のリズムを刻んでいた。
(なんか、デジャブ…)
この世界で目覚めた日の事を思い出した。ここが病院であることを清潔なアルコールの匂いが、私に教えてくれる。
時刻を見ようとゆっくりと体を起こすと、腕や足に包帯が巻かれているのに気が付いた。
そんな、大袈裟な。怪我なんてしたかな。そう思い、腕に繋がれた細いチューブの先を目で辿れば、点滴があった。
トク、トク、と透明な液体がチューブの中を滴り落ちている。
その隣にはよくわからない機械。この世界の科学は、元にいた世界では考えられない程最先端だったりする機械があるので、一見しただけでは何に使うのかは分からなかった。
(…もしかして私、結構危なかったのかな)
カーテンの隙間からうっすらと差し込む光が柔らかい。
まだ夢を見ているかのような心地だった。でも頭はしっかりとクリアで、あの湖で感じた頭痛や吐き気を感じることもない。いたって普通だ。
伝説のポケモン、アグノムについて思案する。
アグノム:意思ポケモン
意思の神と呼ばれ、 湖の底で眠り続け世界のバランスをとっている。
あらゆる困難に立ち向かう強い心を人々に与えたと言われるポケモン。
アグノムが飛び回ったことで、人々に何かをするための決意というものが生まれた。
ユクシー、エムリット、アグノムは同じタマゴから生まれたと考えられている。
湖の底で眠っているが、魂が抜け出し水面を飛び回ると言われ………ん?
…なんだろう。すごいスラスラ出てくる。まるで本をそのまま読んでるかの如く出てくる。
先日、神話の本を読んだからだろうか。この体に生まれてから、子供の記憶力ってさすがだなあと思っていた事はある。
『今のうちにいろいろ本を読んでおいた方がいいだろう。覚えられるうちにたくさん知識を吸収しておこう』
そう思って図書館へと通っていたわけだけれど。
(いつもこんなにスラスラ…出てきたっけ)
ふ、とベッドサイドを見ると花が飾られていた。
その横には、マスキッパのぬいぐるみストラップが置き時計にもたれ掛かるようにしてちょこんと座っていた。
いつもカバンにつけているお気に入りのストラップ。何故こんなところにあるんだろう。
そっと手に取るとフワリとした柔らかな手触り。なんだか心が和んだ。
-----------------------------
「かくかく!!心配したのよ!!…よかった…よかった」
「うっ、うぐっ…お母さん、ぐるじい、ぐるじ」
「お、お母さま!娘さんは目覚めたばかりですので!気持ちはわかりますが!!」
しばらくベッドの上でゴロゴロと誰かが来るのを待っていたが、お腹が空いているという事を思い出してからの私の行動は早かった。
ナースコールという存在を完全に失念していた私は点滴をカラカラと引きながらナースステーションに”起きた”旨を伝えに行くと、そこにいたナースは驚き、そのまま迅速に慌ただしく事が運ばれていった。
早朝から医者による簡単な検査や受け答えが終わり、特に問題はないと判断された為か。
少々物足りない味付けの病院食を食べ終え少しした頃、病室のスライドドアが開けられたと同時に涙声の母が私を盛大に抱きしめた。
父は後ろでほっとしたような、何やら複雑な顔で私を見つめ、一言「…おはようかくかく」と私の頭をそうっと撫でた。
「…お父さん、お母さん…ごめんなさい心配かけて」
「うん、本当に本当に心配したわ…。全然帰ってこないんだもの。お母さん町中を探したのよ」
「…ごめんなさいお母さん」
「もう…生きた心地がしなかったわ…かくかくは三日も寝てたのよ?」
「ええっ!?三日!?」
あの森での出来事から、私はまるまる72時間以上寝たきりだったらしい。そりゃあ腹も減るわけだ。
ルリリはどうしたのかと母に問えば、自宅で留守番をしているとの事。私の寝たきりの姿を見て相当ショックだったらしくあまりご飯を食べないらしい。家に帰ったら思いっきり抱きしめてあげたい。うわ、考えたらすでに泣きそう。早く会いたい…。
私を助けてくれた金髪のお兄さんは「クロツグ」という名前で、フタバタウン出身のトレーナーだと父から説明された。
最後まで私を気にしてくれたらしいが、ナギサシティを越えて昨日すでに旅立ったとのこと。自分の口からお礼を言いたかっただけに残念だ。
私がリッシ湖にいたことも、あのガキ大将を追って森に入ったことも、伝説のポケモンに会ったことも。全部父母に知られていた。心配ばかりかける娘で本当に申し訳ない。
心配といえばガキ大将たち。彼らは無事にナギサへ戻る事ができたようで、駆け込んだポケモンセンターで片っ端から助けを求めたらしい。あの子たちもそれなりに必死に考えてくれたんだなあと感慨深い思いだ。学校生活に戻ったらもう少し仲良くできるだろうか。
(オーバとデンジどうしてるかな。本当は今日一緒に釣りする約束だったんだよなあ…すっぽかしちゃったな)
薄暗く、シンと静まり返った部屋の中で置き時計のカチカチという音が一定のリズムを刻んでいた。
(なんか、デジャブ…)
この世界で目覚めた日の事を思い出した。ここが病院であることを清潔なアルコールの匂いが、私に教えてくれる。
時刻を見ようとゆっくりと体を起こすと、腕や足に包帯が巻かれているのに気が付いた。
そんな、大袈裟な。怪我なんてしたかな。そう思い、腕に繋がれた細いチューブの先を目で辿れば、点滴があった。
トク、トク、と透明な液体がチューブの中を滴り落ちている。
その隣にはよくわからない機械。この世界の科学は、元にいた世界では考えられない程最先端だったりする機械があるので、一見しただけでは何に使うのかは分からなかった。
(…もしかして私、結構危なかったのかな)
カーテンの隙間からうっすらと差し込む光が柔らかい。
まだ夢を見ているかのような心地だった。でも頭はしっかりとクリアで、あの湖で感じた頭痛や吐き気を感じることもない。いたって普通だ。
伝説のポケモン、アグノムについて思案する。
アグノム:意思ポケモン
意思の神と呼ばれ、 湖の底で眠り続け世界のバランスをとっている。
あらゆる困難に立ち向かう強い心を人々に与えたと言われるポケモン。
アグノムが飛び回ったことで、人々に何かをするための決意というものが生まれた。
ユクシー、エムリット、アグノムは同じタマゴから生まれたと考えられている。
湖の底で眠っているが、魂が抜け出し水面を飛び回ると言われ………ん?
…なんだろう。すごいスラスラ出てくる。まるで本をそのまま読んでるかの如く出てくる。
先日、神話の本を読んだからだろうか。この体に生まれてから、子供の記憶力ってさすがだなあと思っていた事はある。
『今のうちにいろいろ本を読んでおいた方がいいだろう。覚えられるうちにたくさん知識を吸収しておこう』
そう思って図書館へと通っていたわけだけれど。
(いつもこんなにスラスラ…出てきたっけ)
ふ、とベッドサイドを見ると花が飾られていた。
その横には、マスキッパのぬいぐるみストラップが置き時計にもたれ掛かるようにしてちょこんと座っていた。
いつもカバンにつけているお気に入りのストラップ。何故こんなところにあるんだろう。
そっと手に取るとフワリとした柔らかな手触り。なんだか心が和んだ。
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「かくかく!!心配したのよ!!…よかった…よかった」
「うっ、うぐっ…お母さん、ぐるじい、ぐるじ」
「お、お母さま!娘さんは目覚めたばかりですので!気持ちはわかりますが!!」
しばらくベッドの上でゴロゴロと誰かが来るのを待っていたが、お腹が空いているという事を思い出してからの私の行動は早かった。
ナースコールという存在を完全に失念していた私は点滴をカラカラと引きながらナースステーションに”起きた”旨を伝えに行くと、そこにいたナースは驚き、そのまま迅速に慌ただしく事が運ばれていった。
早朝から医者による簡単な検査や受け答えが終わり、特に問題はないと判断された為か。
少々物足りない味付けの病院食を食べ終え少しした頃、病室のスライドドアが開けられたと同時に涙声の母が私を盛大に抱きしめた。
父は後ろでほっとしたような、何やら複雑な顔で私を見つめ、一言「…おはようかくかく」と私の頭をそうっと撫でた。
「…お父さん、お母さん…ごめんなさい心配かけて」
「うん、本当に本当に心配したわ…。全然帰ってこないんだもの。お母さん町中を探したのよ」
「…ごめんなさいお母さん」
「もう…生きた心地がしなかったわ…かくかくは三日も寝てたのよ?」
「ええっ!?三日!?」
あの森での出来事から、私はまるまる72時間以上寝たきりだったらしい。そりゃあ腹も減るわけだ。
ルリリはどうしたのかと母に問えば、自宅で留守番をしているとの事。私の寝たきりの姿を見て相当ショックだったらしくあまりご飯を食べないらしい。家に帰ったら思いっきり抱きしめてあげたい。うわ、考えたらすでに泣きそう。早く会いたい…。
私を助けてくれた金髪のお兄さんは「クロツグ」という名前で、フタバタウン出身のトレーナーだと父から説明された。
最後まで私を気にしてくれたらしいが、ナギサシティを越えて昨日すでに旅立ったとのこと。自分の口からお礼を言いたかっただけに残念だ。
私がリッシ湖にいたことも、あのガキ大将を追って森に入ったことも、伝説のポケモンに会ったことも。全部父母に知られていた。心配ばかりかける娘で本当に申し訳ない。
心配といえばガキ大将たち。彼らは無事にナギサへ戻る事ができたようで、駆け込んだポケモンセンターで片っ端から助けを求めたらしい。あの子たちもそれなりに必死に考えてくれたんだなあと感慨深い思いだ。学校生活に戻ったらもう少し仲良くできるだろうか。
(オーバとデンジどうしてるかな。本当は今日一緒に釣りする約束だったんだよなあ…すっぽかしちゃったな)
眠り姫はかく考える