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「ナットレイ!ジャイロボール!」
「避けてチラチーノ!いけ!めざましビンタ!」
「アアアアアア!!!ウッソーーーー!!??」
「…ナットレイ戦闘不能!勝者、ラムセス&かくかく!!」
バトルサブウェイに併設している地下練習場。
ジャッキーを審判に、わいとキャメロン組VSラムセスとかくかく組でマルチバトルが行われた。
話がある言うてたと違うんかい。
まずはバトルしよう、って言葉に大いに頷いたわいらも大概バトル好きやけど。
で、結果は見ての通り。
(・・・ブランクてなんやねん!)
ハイタッチするかくかくとラムセス。こいつら昔から妙に気があうというか、二人してえげつない技使うから組むと嫌やねん。
離れてた歳月を感じさせないくらい息が合ってて、笑えるぐらいやったわ。白熱した面白いバトルやった。
「キャメロンのナットレイもごっつい堅いのになあ」
「可愛イケド俺ニハ悪魔ニ見エル。アノ速サハドウ考エテモ俺ガ知ッテルチラチーノジャナイヨ!!」
「ふっふっふ…伊達に臨月の合間をぬって厳選したチラチーノじゃないわよ」
「アホちゃうか自分」
「馬鹿なのさ?」
「何考エテンノ?」
「え、酷くない?そんな言う?」
理解してくれると思ったのに!というような顔でこちらを向くかくかく。
赤ん坊が腹にいる時くらい安静にしとけバトル廃人。
そんなんだから『地獄』とかあだ名つくんやぞ。そういうとこやぞ自分。
「だって産婦人科の先生が『多少の運動は必要ですよ』って言うからお散歩がてらに?」
「絶対に『多少』の域を超えてると思うのさ」
「こういうの嫁にしたらあかんでジャッキー」
「いや、え・・・はあ」
わいに急に話を振られたジャッキーは苦笑いしながら曖昧な声で言葉を濁すだけやった。何かすまん。
かくかくはかくかくで「やだ褒めないでほしいわクラウド〜」と言っている。褒めてないわ。
見渡すといつの間にかギャラリーが増えていて、壁際には我らがサブウェイマスターの白い方がこちらの様子を伺っていた。
バトル用トレインは一般路線と違い、始発は9時から、最終は20時までと決まっている。ライモンにある一般的なレジャー施設の営業時間とそう変わらんのは救いやな。一般路線と完全に分けておかないとこっちの身がもたない。
乗客の連勝が続けばその分残業も増えるが、バトル好きにはたまらない仕事や。
その他にもトレーニングや書類仕事に加えて、通常の鉄道員として宿直室に寝泊まりして帰宅が朝、なんていう事もある。まあ生活リズムがバラバラで、激務といえば激務だ。その分手当はええけど。
今日はすでにバトル業務を終えたらしいクダリはこちらに向かって手を振っている。でもまだコートを着ているという事は仕事が残っているんやろな。お疲れさん。
「かくかく!ぼくも久しぶりにバトルしたーい。ダブルしようよ!」
「また今度ね〜。クダリどうせ書類仕事抜けて見に来たんでしょ。ノボリに怒られるよ」
「確かにそうなんだけどさ〜。だって書類有りすぎて飽きちゃったんだ」
「ダメだって。それにそろそろ娘がぐずってそうだし帰らなきゃ。今日は3人ともありがとね。久しぶりに思いっきりバトルできて楽しかった」
うーん、と背伸びをしているかくかくに「あ、そっかー。お母さん大変!お疲れ様!」と少々残念そうにクダリは声をかけた。
こんなにバトル廃人でもオカンて務まるもんなんやな。幼稚園に預けとるって言ってたけど旦那が迎えに行ってるんやろか。
かくかくの旦那は爽やかな好青年という風貌の男で、わいもトレインで何度もバトルしたけど、なかなかバトルのスジは良かった。
どくタイプやドラゴンタイプを良く使っていた印象がある。
かくかくが会社を辞めた後は自然とその男もトレインで見かけることがなくなったが、あれぐらいガッツのあるトレーナーにもっと挑戦して貰いたいもんや。
あのバトル廃人かくかくを嫁にしたので社内で好き勝手に『勇者』だの『物好き』だのとあだ名がついていた。
「かくかく先生、帰る前にちょっと質問なんだけど」
「はいクダリくん、どうかしましたか?」
解散ムードとなった室内練習場でクダリが控えめに手をあげた。
バトルは私服へ着替えた後で行ったので後は帰るのみだ。各々すでに荷物を手にしている。
「今までのかくかくだったらよっぽど気に入らないと手持ちに入れるようなタイプのポケモンじゃない気がするんだけど、どうして今回はチラチーノなの?」
「ソレ思ッタ〜。負ケタ俺ガ言ウノモアレダケド正直バトル向キジャナイッテイウカ」
「確かにそうやな・・・かくかくは好きなポケモンよりもトレインで勝てるポケモンを選んでた冷酷な女やのにな」
「いや、でもこうげきとすばやさの種族値はチラチーノもイイ線いってると思うのさ。耐久は紙だけどさ」
「・・・ポケモン保護団体が聞いたらヒヒダルマのごとく怒りそうなセリフの応酬ですね」
お前かて厳選しとるやろが。夜な夜な中央改札でぐるぐるぐるぐる孵化作業しとるの知ってるんやぞ。というのは皆思ってる事なのでジャッキーには言わないでおいた。
バトル施設はその性質から一部のポケモン保護団体から嫌われているのは有名な話で。
『過剰な激しいバトルへ疑問視!』だの『NO!厳選!』などの標語を掲げてデモされた事もある。
何もわいらもポケモンが憎くてバトルしてる訳やないっちゅうねん。よっぽどお前らより手間暇かけて接してるわ。勝手な事言うなボケが。くらいは思ったことあるけど。
どんな事にもアンチは湧くもんやから、いちいち対応してたら身がもたない。
「冷酷だの、耐久紙だの、ぼろくそ言いやがって・・・後で見てなさいよ?この雑誌のアンケート1位だったの」
そう言ってかくかくはバッグから『月刊 わくわくイッシュクラブ 〜我が子がはじめて触れるポケモン〜』と表紙に書いてある雑誌を取り出した。バトル狂の独身男性がまかり間違っても本屋で手に取らない雑誌だ。
「見て。この雑誌『実際にお子さんに聞きました!子供が喜ぶポケモンランキング Theベスト20!』っていうの定期的にやってるんだけど、娘がお腹にいる時の1位がチラーミィだったのね。実際生まれてからチラーミィの尻尾の動きとか毛のフワフワ感が娘にバカウケでさ。反応すごいんだわ」
「ああ〜それでかくかく姉さんどうせ育てるなら厳選しちゃおうって思ったんだ。で、育ててチラチーノに進化させた、と」
「そうよ。それにチラチーノが分泌する油って手荒れにすごい良いの知ってた?主婦に超優しくない?」
「打算的なのさ」
「無駄がないと言って欲しいわね」
そう言って得意げな顔をするかくかく。何をそんな『やり繰り上手の主婦です』みたいな顔してんねん。
確かに無駄がないっちゃ、ないけど!
「ソウイエバ『話ガアル』ッテ言ッテタケドイイノ?」
「うーん・・・今日はもういいかな。大した事ないからまた今度でいいよ」
「ソウ?」
キャメロンの言葉に笑って、「じゃあね!お先に失礼しまーす」と足早に去っていった。
当時の7㎝ハイヒールから安定感のあるパンプスになったかくかくは階段をあがってすぐに見えなくなった。
「・・・大した事ないって言われてもこっちは気になるのさ」
「話ガシタイッテ誘ウ時、大体悩ミカ愚痴ダカラネ」
「しかも割とでかい悩みな」
(どんだけお前と付き合いあると思ってんねん。お見通しやアホ)
「避けてチラチーノ!いけ!めざましビンタ!」
「アアアアアア!!!ウッソーーーー!!??」
「…ナットレイ戦闘不能!勝者、ラムセス&かくかく!!」
バトルサブウェイに併設している地下練習場。
ジャッキーを審判に、わいとキャメロン組VSラムセスとかくかく組でマルチバトルが行われた。
話がある言うてたと違うんかい。
まずはバトルしよう、って言葉に大いに頷いたわいらも大概バトル好きやけど。
で、結果は見ての通り。
(・・・ブランクてなんやねん!)
ハイタッチするかくかくとラムセス。こいつら昔から妙に気があうというか、二人してえげつない技使うから組むと嫌やねん。
離れてた歳月を感じさせないくらい息が合ってて、笑えるぐらいやったわ。白熱した面白いバトルやった。
「キャメロンのナットレイもごっつい堅いのになあ」
「可愛イケド俺ニハ悪魔ニ見エル。アノ速サハドウ考エテモ俺ガ知ッテルチラチーノジャナイヨ!!」
「ふっふっふ…伊達に臨月の合間をぬって厳選したチラチーノじゃないわよ」
「アホちゃうか自分」
「馬鹿なのさ?」
「何考エテンノ?」
「え、酷くない?そんな言う?」
理解してくれると思ったのに!というような顔でこちらを向くかくかく。
赤ん坊が腹にいる時くらい安静にしとけバトル廃人。
そんなんだから『地獄』とかあだ名つくんやぞ。そういうとこやぞ自分。
「だって産婦人科の先生が『多少の運動は必要ですよ』って言うからお散歩がてらに?」
「絶対に『多少』の域を超えてると思うのさ」
「こういうの嫁にしたらあかんでジャッキー」
「いや、え・・・はあ」
わいに急に話を振られたジャッキーは苦笑いしながら曖昧な声で言葉を濁すだけやった。何かすまん。
かくかくはかくかくで「やだ褒めないでほしいわクラウド〜」と言っている。褒めてないわ。
見渡すといつの間にかギャラリーが増えていて、壁際には我らがサブウェイマスターの白い方がこちらの様子を伺っていた。
バトル用トレインは一般路線と違い、始発は9時から、最終は20時までと決まっている。ライモンにある一般的なレジャー施設の営業時間とそう変わらんのは救いやな。一般路線と完全に分けておかないとこっちの身がもたない。
乗客の連勝が続けばその分残業も増えるが、バトル好きにはたまらない仕事や。
その他にもトレーニングや書類仕事に加えて、通常の鉄道員として宿直室に寝泊まりして帰宅が朝、なんていう事もある。まあ生活リズムがバラバラで、激務といえば激務だ。その分手当はええけど。
今日はすでにバトル業務を終えたらしいクダリはこちらに向かって手を振っている。でもまだコートを着ているという事は仕事が残っているんやろな。お疲れさん。
「かくかく!ぼくも久しぶりにバトルしたーい。ダブルしようよ!」
「また今度ね〜。クダリどうせ書類仕事抜けて見に来たんでしょ。ノボリに怒られるよ」
「確かにそうなんだけどさ〜。だって書類有りすぎて飽きちゃったんだ」
「ダメだって。それにそろそろ娘がぐずってそうだし帰らなきゃ。今日は3人ともありがとね。久しぶりに思いっきりバトルできて楽しかった」
うーん、と背伸びをしているかくかくに「あ、そっかー。お母さん大変!お疲れ様!」と少々残念そうにクダリは声をかけた。
こんなにバトル廃人でもオカンて務まるもんなんやな。幼稚園に預けとるって言ってたけど旦那が迎えに行ってるんやろか。
かくかくの旦那は爽やかな好青年という風貌の男で、わいもトレインで何度もバトルしたけど、なかなかバトルのスジは良かった。
どくタイプやドラゴンタイプを良く使っていた印象がある。
かくかくが会社を辞めた後は自然とその男もトレインで見かけることがなくなったが、あれぐらいガッツのあるトレーナーにもっと挑戦して貰いたいもんや。
あのバトル廃人かくかくを嫁にしたので社内で好き勝手に『勇者』だの『物好き』だのとあだ名がついていた。
「かくかく先生、帰る前にちょっと質問なんだけど」
「はいクダリくん、どうかしましたか?」
解散ムードとなった室内練習場でクダリが控えめに手をあげた。
バトルは私服へ着替えた後で行ったので後は帰るのみだ。各々すでに荷物を手にしている。
「今までのかくかくだったらよっぽど気に入らないと手持ちに入れるようなタイプのポケモンじゃない気がするんだけど、どうして今回はチラチーノなの?」
「ソレ思ッタ〜。負ケタ俺ガ言ウノモアレダケド正直バトル向キジャナイッテイウカ」
「確かにそうやな・・・かくかくは好きなポケモンよりもトレインで勝てるポケモンを選んでた冷酷な女やのにな」
「いや、でもこうげきとすばやさの種族値はチラチーノもイイ線いってると思うのさ。耐久は紙だけどさ」
「・・・ポケモン保護団体が聞いたらヒヒダルマのごとく怒りそうなセリフの応酬ですね」
お前かて厳選しとるやろが。夜な夜な中央改札でぐるぐるぐるぐる孵化作業しとるの知ってるんやぞ。というのは皆思ってる事なのでジャッキーには言わないでおいた。
バトル施設はその性質から一部のポケモン保護団体から嫌われているのは有名な話で。
『過剰な激しいバトルへ疑問視!』だの『NO!厳選!』などの標語を掲げてデモされた事もある。
何もわいらもポケモンが憎くてバトルしてる訳やないっちゅうねん。よっぽどお前らより手間暇かけて接してるわ。勝手な事言うなボケが。くらいは思ったことあるけど。
どんな事にもアンチは湧くもんやから、いちいち対応してたら身がもたない。
「冷酷だの、耐久紙だの、ぼろくそ言いやがって・・・後で見てなさいよ?この雑誌のアンケート1位だったの」
そう言ってかくかくはバッグから『月刊 わくわくイッシュクラブ 〜我が子がはじめて触れるポケモン〜』と表紙に書いてある雑誌を取り出した。バトル狂の独身男性がまかり間違っても本屋で手に取らない雑誌だ。
「見て。この雑誌『実際にお子さんに聞きました!子供が喜ぶポケモンランキング Theベスト20!』っていうの定期的にやってるんだけど、娘がお腹にいる時の1位がチラーミィだったのね。実際生まれてからチラーミィの尻尾の動きとか毛のフワフワ感が娘にバカウケでさ。反応すごいんだわ」
「ああ〜それでかくかく姉さんどうせ育てるなら厳選しちゃおうって思ったんだ。で、育ててチラチーノに進化させた、と」
「そうよ。それにチラチーノが分泌する油って手荒れにすごい良いの知ってた?主婦に超優しくない?」
「打算的なのさ」
「無駄がないと言って欲しいわね」
そう言って得意げな顔をするかくかく。何をそんな『やり繰り上手の主婦です』みたいな顔してんねん。
確かに無駄がないっちゃ、ないけど!
「ソウイエバ『話ガアル』ッテ言ッテタケドイイノ?」
「うーん・・・今日はもういいかな。大した事ないからまた今度でいいよ」
「ソウ?」
キャメロンの言葉に笑って、「じゃあね!お先に失礼しまーす」と足早に去っていった。
当時の7㎝ハイヒールから安定感のあるパンプスになったかくかくは階段をあがってすぐに見えなくなった。
「・・・大した事ないって言われてもこっちは気になるのさ」
「話ガシタイッテ誘ウ時、大体悩ミカ愚痴ダカラネ」
「しかも割とでかい悩みな」
武士は相身互い
(どんだけお前と付き合いあると思ってんねん。お見通しやアホ)