序章〜子供時代編
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「あ〜…やっと終わった」
「おつかれ〜」
現在午後3時18分。みんなで解いている宿題が終わったらおやつタイムにしようと思っていたから丁度いい頃合いだ。そもそもの宿題量はそんなに多いわけじゃないんだけど、みんなで顔を付き合わせて一緒にやるのは楽しい。
正直、日記や観察等の毎日コツコツやるタイプの宿題の方が億劫だ。デンジくんは「朝顔…?…やばい忘れてた」と言っていたのでおそらく観察日記は殆ど白いと思われる。
きっと朝顔はご家族がお水をあげて元気に育っていることでしょう。そう思いたい。
オーバくんはというと庭先に植え替えてグリーンカーテンみたいになっているらしい。じいちゃんと一緒にしたと言ってたので意外とそういうところマメである。
現在母は買い物に出かけていていないので、我が家のリビングは今日はすっかり3人の城。
夏用にジョウト地方から通販したという丸型のマットとテーブルはイグサで編んだ茣蓙と卓袱台にそっくりで、田舎のおばあちゃんの家を思い出させて懐かしい気持ちにさせる。
3部屋分ぶち抜きのリビングダイニングには大きな窓があり、庭がよく見える。白い雲が今日も気持ちよく浮かび、ヒマワリが元気よく太陽を浴びて笑っていた。
…今、本当に笑ってるヒマワリが横切って行った気がするんだけど…。
どうやら三軒先の家のキマワリがまたうちの庭に迷い込んだようだ。あとで家に戻してあげよう。
「…ねえ、二人ともおやつ食べる?」
「マジで?食う食う!」
「オーバ、お前遠慮ないな。…いいのか?」
「いいよ。いっぱい作ったから遠慮しないで食べてって」
私は立ち上がり、キッチンで冷ましていた焼き菓子を皿に盛る。飲み物はお茶でいいかな。
冷蔵庫で冷やしておいた水出しのアイスティーをガラスのコップに入れると中にいれた氷がカラカラと鳴った。
オーバくんとデンジくんもそれに続きキッチンへとやってくる。お手伝いありがとう。
「なあ。作った、ってこれかくかくが作ったのか?すげえな」
「別にすごくないよ。混ぜて焼くだけだもん。オーバくん料理とかしないの?」
「するように見えるか?こいつが」
「俺だって卵ぐらいは割れるわ!」
「それは料理って言わねえと思う」
「デンジだってどうせ似たようなもんだろ」
「……」
デンジくんの目が泳いでいる。まあ普通はそんなもんだろう。下手すると卵すら割れない子もいそうだから卵割れるだけマシじゃないかな。
最近私はお菓子を作る事にハマっていて、今日は乾燥させたオレンの実とゴマを加えたスコーン。
ポケモンも食べられるように甘さ控えめなのでかなり素朴な味付けだ。
「ルーちゃん!おやつだよ!出ておいで!」
「ヒコザル出てこーい!」
「来いコリンク」
「ルッリ!」
「ヒコッ!」
「キュウ!」
お馴染みの3匹が現れたリビングは見た目にも騒がしい。スコーンを乗せたお皿をヒコザルに手渡すと、頷いてお手伝いしてくれた。みんな美味しそうに食べてくれている。良かった。
「私たちはね、味足りないと思うからジャムあるよ。あと生クリームも」
ひょいひょい、と瓶に詰めたヒメリの実のジャムと、タッパーに入れて固めに冷やしておいた生クリームを冷蔵庫から出してそれぞれのお皿に盛っていくと二人がその様子をキラキラした目で見ていた。
お?お?どうしたどうした。そんな目で。
「なんか…かくかくの家の冷蔵庫ってお店屋さんみてえ」
「わかる。何でも出てくるな」
「お店屋さんて…」
表現が子供っぽくて非常に可愛い。思わず笑ったら、なんだよー!ってオーバくんにちょっと怒られた。ごめんごめん。だって余りにも二人とも年相応の顔してたから。
いただきます、と3人で合唱して食べたスコーンは自分でも大満足だった。うーん、わたし天才。
いっそお菓子の作り方をレポートにして夏休みの自由研究にしちゃおうかな。これぞ一石二鳥。いや、一石二ポッポ。
元の世界でもお菓子を作るのは結構好きだっただけに、気分転換にも丁度いい。食べ物に関してはこの世界でも活かせる事が多いので気持ち的にも随分助かっている。もちろん、自分が食べたいだけっていうのもあるけど。
「もしかしてこのジャムも手作りか?前に母さんが似たようなの鍋で煮てた」
「うん。庭でいっぱい木の実とれたから。デンジくん家も庭にヒメリ植わってたもんね。これ炭酸で割ってジュースみたいにしても美味しいよ」
「へ〜、美味そうだな。母さんに言ってみる」
「かき氷にかけてもいいし」
「…そういえばオーバの家にあったよな、かき氷機。あのゼニガメのやつ」
「ある!今度俺の家でかき氷作ろうぜ」
「えー!やるやる〜!!楽しみだな〜!!」
子供らしい夏の予定が決まっていくのは楽しい。この時間がこれからもずーっと続くといいのになあ。
とりとめのない話と、ポケモンの鳴き声。風で揺れた風鈴、溶けた氷の音。
私たちは、夏色に染まっていくばかり。
「おつかれ〜」
現在午後3時18分。みんなで解いている宿題が終わったらおやつタイムにしようと思っていたから丁度いい頃合いだ。そもそもの宿題量はそんなに多いわけじゃないんだけど、みんなで顔を付き合わせて一緒にやるのは楽しい。
正直、日記や観察等の毎日コツコツやるタイプの宿題の方が億劫だ。デンジくんは「朝顔…?…やばい忘れてた」と言っていたのでおそらく観察日記は殆ど白いと思われる。
きっと朝顔はご家族がお水をあげて元気に育っていることでしょう。そう思いたい。
オーバくんはというと庭先に植え替えてグリーンカーテンみたいになっているらしい。じいちゃんと一緒にしたと言ってたので意外とそういうところマメである。
現在母は買い物に出かけていていないので、我が家のリビングは今日はすっかり3人の城。
夏用にジョウト地方から通販したという丸型のマットとテーブルはイグサで編んだ茣蓙と卓袱台にそっくりで、田舎のおばあちゃんの家を思い出させて懐かしい気持ちにさせる。
3部屋分ぶち抜きのリビングダイニングには大きな窓があり、庭がよく見える。白い雲が今日も気持ちよく浮かび、ヒマワリが元気よく太陽を浴びて笑っていた。
…今、本当に笑ってるヒマワリが横切って行った気がするんだけど…。
どうやら三軒先の家のキマワリがまたうちの庭に迷い込んだようだ。あとで家に戻してあげよう。
「…ねえ、二人ともおやつ食べる?」
「マジで?食う食う!」
「オーバ、お前遠慮ないな。…いいのか?」
「いいよ。いっぱい作ったから遠慮しないで食べてって」
私は立ち上がり、キッチンで冷ましていた焼き菓子を皿に盛る。飲み物はお茶でいいかな。
冷蔵庫で冷やしておいた水出しのアイスティーをガラスのコップに入れると中にいれた氷がカラカラと鳴った。
オーバくんとデンジくんもそれに続きキッチンへとやってくる。お手伝いありがとう。
「なあ。作った、ってこれかくかくが作ったのか?すげえな」
「別にすごくないよ。混ぜて焼くだけだもん。オーバくん料理とかしないの?」
「するように見えるか?こいつが」
「俺だって卵ぐらいは割れるわ!」
「それは料理って言わねえと思う」
「デンジだってどうせ似たようなもんだろ」
「……」
デンジくんの目が泳いでいる。まあ普通はそんなもんだろう。下手すると卵すら割れない子もいそうだから卵割れるだけマシじゃないかな。
最近私はお菓子を作る事にハマっていて、今日は乾燥させたオレンの実とゴマを加えたスコーン。
ポケモンも食べられるように甘さ控えめなのでかなり素朴な味付けだ。
「ルーちゃん!おやつだよ!出ておいで!」
「ヒコザル出てこーい!」
「来いコリンク」
「ルッリ!」
「ヒコッ!」
「キュウ!」
お馴染みの3匹が現れたリビングは見た目にも騒がしい。スコーンを乗せたお皿をヒコザルに手渡すと、頷いてお手伝いしてくれた。みんな美味しそうに食べてくれている。良かった。
「私たちはね、味足りないと思うからジャムあるよ。あと生クリームも」
ひょいひょい、と瓶に詰めたヒメリの実のジャムと、タッパーに入れて固めに冷やしておいた生クリームを冷蔵庫から出してそれぞれのお皿に盛っていくと二人がその様子をキラキラした目で見ていた。
お?お?どうしたどうした。そんな目で。
「なんか…かくかくの家の冷蔵庫ってお店屋さんみてえ」
「わかる。何でも出てくるな」
「お店屋さんて…」
表現が子供っぽくて非常に可愛い。思わず笑ったら、なんだよー!ってオーバくんにちょっと怒られた。ごめんごめん。だって余りにも二人とも年相応の顔してたから。
いただきます、と3人で合唱して食べたスコーンは自分でも大満足だった。うーん、わたし天才。
いっそお菓子の作り方をレポートにして夏休みの自由研究にしちゃおうかな。これぞ一石二鳥。いや、一石二ポッポ。
元の世界でもお菓子を作るのは結構好きだっただけに、気分転換にも丁度いい。食べ物に関してはこの世界でも活かせる事が多いので気持ち的にも随分助かっている。もちろん、自分が食べたいだけっていうのもあるけど。
「もしかしてこのジャムも手作りか?前に母さんが似たようなの鍋で煮てた」
「うん。庭でいっぱい木の実とれたから。デンジくん家も庭にヒメリ植わってたもんね。これ炭酸で割ってジュースみたいにしても美味しいよ」
「へ〜、美味そうだな。母さんに言ってみる」
「かき氷にかけてもいいし」
「…そういえばオーバの家にあったよな、かき氷機。あのゼニガメのやつ」
「ある!今度俺の家でかき氷作ろうぜ」
「えー!やるやる〜!!楽しみだな〜!!」
子供らしい夏の予定が決まっていくのは楽しい。この時間がこれからもずーっと続くといいのになあ。
とりとめのない話と、ポケモンの鳴き声。風で揺れた風鈴、溶けた氷の音。
私たちは、夏色に染まっていくばかり。
夏休みは地球で一番のイベントなんだ!