序章〜子供時代編
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「この間の決着つけようぜデンジ!」
「望むところだオーバ!かくかく、審判頼む」
「はい、デンジ先生」
「かっけーとこ見せてやるぜ!ちゃんと見てろよかくかく!」
「はい、オーバ先生」
今日はそういう日らしい。
暑さ対策で被っていた帽子を深く被り直し、私はルリリと一緒に浜辺に体育座りの完全見学モード。
ルリリは自分の尻尾で砂をタンタン叩いて謎の音頭をとっている。今日も私のパートナーは可愛い。
おはようございます。シンオウ地方ナギサシティは今日もいい天気です。
珍しく早起きのデンジくんVS我らがオーバ先生のポケモンバトルが、今始まりました。
審判兼実況はわたくし、元日本出身、現在ナギサ在住のかくかくが全てセルフでお送りいたしまーす。
今、まさに一触即発。おーっと、オーバ選手はヒコザル。デンジ選手はコリンクをお互い場に出しました。
安定ですねー、はい。
夏休みに入ってからそれぞれ10勝10敗、お互い一歩も譲らない展開を繰り広げております。
さて今日はどちらが勝つんでしょうか。
「ヒコザル!」
「コリンク!」
「「『にらみつける』!」」
初手は二人とも『にらみつける』。お互い防御が下がりますねー。
やはり相手に一歩でも有利な展開に持って行きたいですから、変化技は上手く使っていきたいところです。
「ヒコザル!」
「コリンク!」
「「もう一度、『にらみつける』だ!」」
睨み合いが続きます。二人ともどんだけ睨みつけてるんでしょうかねー。今日は慎重な試合運びのようです。
「『スパーク』だ!コリンク!」
「ギリギリでかわせ!!『みだれひっかき』!」
先に動いたのはデンジ選手のコリンク。ヒコザルより素早いですね。オーバ選手はデンジ選手のコリンクに毎度先手を取られがちです。
スパークの電気が若干ヒコザルの腕にかすりつつも、おー!ヒコザルの攻撃がラッシュラッシュ!
ヒコザルはコリンクよりも素早さで若干劣るものの、攻撃ではオーバ選手に分があります。ここからデンジ選手、どう出るのか。
「コリンク!耐えながら『じゅうでん』!」
「そのまま押せヒコザル!『かえんぐるま』!」
勢いそのままに回転しながらのほのお技!これは痛い〜!
でもコリンク耐えてますね。
解説のかくかくさん。なぜ防御が下がってるのにコリンクは耐えられたんでしょうか。
はい!ズバリ、コリンクの特性:いかく によりヒコザルの攻撃力は元々下がっちゃうんですねえ。
なるほど。そうなるとヒコザルはちょっと物理技を使うのは厳しくなりますか。
そこは腕の見せどころですね。
さて!コリンク、体毛が逆立ってます、これは充電が完了した模様。
すぐさま距離を開けるコリンク、指示に備えている!
充電した後は、でんきタイプの技の威力はなんと2倍です!
「今だ『10まんボルト』!」
「受けてたて!『かえんほうしゃ』!」
ふぇ!?
10まんボルトにかえんほうしゃ!?
ちょっと、それ二人ともいつ覚えさせたの!?
この間までそんな威力の強い技2匹とも覚えてなかったじゃん!
わざマシン!?わざマシンだよね!!?
しかも、威力2倍!?
え、やばいんじゃないの。
猛烈な電気の光がコリンクから放出され、ヒコザルへと一直線に向かっていく。
それと同時に放たれたかえんほうしゃ。今までの火の粉とかそういうレベルの炎ではない。
それが空中で激突したと思った、
瞬間、
「えええええええええ?!?!!??オーバ!!!?!?デンジ!?!」
2人と2匹はそれは綺麗に吹っ飛んだ。
浜辺に落ちていた海藻と流木が私の元へ驚異的な速さで飛んでくるぐらいの爆風が起き、ものの見事に2人と2匹は数メートル吹っ飛んだ。
私の隣にいたルーちゃんも煽りを受けてひっくり返ったが、目の前の光景はそんな悠長な感じではない。
ちょっと待って!待って待って待って、ちょっとーー!!!
思わず悲鳴のような声にもならない頓狂な声をあげながら私は二人の元へ駆け寄った。
爆風をモロに食らった二人と二匹は浜辺でひっくり返ってそれぞれ動かない。
「オーバ!?デンジ!?大丈夫?生きてる!?」
「………おー…」
「お…おーば…」
「…………ああ… 」
「でんじ………」
二人の声が聞こえた瞬間、がっくりと力が抜けてその場にへにゃへにゃ座り込む。
生きてたーー…。生きててくれないと困るけど、生きてたーーー…。
動けない二人に変わってヒコザルとコリンクの顔を覗き込むと二匹は目を回して伸びていた。
なんかもう腰が抜けて私も立てない。
余波で吹っ飛んだらしいモンスターボールを四つん這いで這って回収し、二匹を何とかそれぞれボールに戻した。
どうしよう、ポケモン二匹は見た感じ大丈夫みたいだけど…二人がどこか当たりが悪かったりしたら…。
オーバとデンジは先ほどと変わらず中空を見つめたままボーッと放心している。
もしもの事があったら、私…。
とりあえず大人の人を呼ぼうと、そう思った時、
「………っなんだ、今の…すっげえの…」
「飛んだぞ俺たち」
「……あっはっはっは…見たかよかくかく…!ふふ、はは…」
「…くっ…ふは…さっきの、すげえ…最高に痺れた…!」
「「ポケモンってすごいな!!!」」
一拍遅れてそれはそれは楽しそうに、二人は倒れたままに急に腹を抱えてケタケタ笑い始めた。
しかも大爆笑。
興奮とか飛んで怖かったとか、無事だった安堵とかそういうのが混じって一周回って面白くなったらしい。
そしてそれを見ていたら、無性に、
腹が立った。
「笑い事じゃないでしょ!!?」
「かくかく?」
「びっくりした!ばか!!」
気がついたら、涙がぽたぽた溢れていた。
両方の目から大粒の涙がどんどん、どんどん出てくる。
口をぽかーんと開けたまま、私の顔を見つめている二人の顔がどんどんぼやけていった。
「オーバのばか…!デンジのばかぁ…!」
「ご、ごめん…かくかく、いって!な、殴んなって!」
「ばかばかばかばか!なにあれ!なにあのこわいの!なんであんなわざ…いつから…」
「それは…その、びっくりさせてやろうと思って…秘密で…」
「…俺も……オーバに勝ちたくて…父さんの勝手に借りて…使った」
「ばか…こわかった…心配した…よかった…生きてた、よかった…」
「…ごめんかくかく…」
「あんな事になるとは思わなくて…」
「ふたりとも…しんじゃったかとおもったあ……っ…どうしようかと、おもった…」
それから先の詳細は、二人が困り果てるまで泣きまくったのでよく覚えてない。
『子供が浜で倒れてる』と救急に近隣住民から119番され、不審な爆発音の通報を受けたジュンサーさんからは怒られ、それぞれ3人の家まで連絡が行き、親が呼ばれ。
そして頭にはそれぞれたんこぶが出来た。
「望むところだオーバ!かくかく、審判頼む」
「はい、デンジ先生」
「かっけーとこ見せてやるぜ!ちゃんと見てろよかくかく!」
「はい、オーバ先生」
今日はそういう日らしい。
暑さ対策で被っていた帽子を深く被り直し、私はルリリと一緒に浜辺に体育座りの完全見学モード。
ルリリは自分の尻尾で砂をタンタン叩いて謎の音頭をとっている。今日も私のパートナーは可愛い。
おはようございます。シンオウ地方ナギサシティは今日もいい天気です。
珍しく早起きのデンジくんVS我らがオーバ先生のポケモンバトルが、今始まりました。
審判兼実況はわたくし、元日本出身、現在ナギサ在住のかくかくが全てセルフでお送りいたしまーす。
今、まさに一触即発。おーっと、オーバ選手はヒコザル。デンジ選手はコリンクをお互い場に出しました。
安定ですねー、はい。
夏休みに入ってからそれぞれ10勝10敗、お互い一歩も譲らない展開を繰り広げております。
さて今日はどちらが勝つんでしょうか。
「ヒコザル!」
「コリンク!」
「「『にらみつける』!」」
初手は二人とも『にらみつける』。お互い防御が下がりますねー。
やはり相手に一歩でも有利な展開に持って行きたいですから、変化技は上手く使っていきたいところです。
「ヒコザル!」
「コリンク!」
「「もう一度、『にらみつける』だ!」」
睨み合いが続きます。二人ともどんだけ睨みつけてるんでしょうかねー。今日は慎重な試合運びのようです。
「『スパーク』だ!コリンク!」
「ギリギリでかわせ!!『みだれひっかき』!」
先に動いたのはデンジ選手のコリンク。ヒコザルより素早いですね。オーバ選手はデンジ選手のコリンクに毎度先手を取られがちです。
スパークの電気が若干ヒコザルの腕にかすりつつも、おー!ヒコザルの攻撃がラッシュラッシュ!
ヒコザルはコリンクよりも素早さで若干劣るものの、攻撃ではオーバ選手に分があります。ここからデンジ選手、どう出るのか。
「コリンク!耐えながら『じゅうでん』!」
「そのまま押せヒコザル!『かえんぐるま』!」
勢いそのままに回転しながらのほのお技!これは痛い〜!
でもコリンク耐えてますね。
解説のかくかくさん。なぜ防御が下がってるのにコリンクは耐えられたんでしょうか。
はい!ズバリ、コリンクの特性:いかく によりヒコザルの攻撃力は元々下がっちゃうんですねえ。
なるほど。そうなるとヒコザルはちょっと物理技を使うのは厳しくなりますか。
そこは腕の見せどころですね。
さて!コリンク、体毛が逆立ってます、これは充電が完了した模様。
すぐさま距離を開けるコリンク、指示に備えている!
充電した後は、でんきタイプの技の威力はなんと2倍です!
「今だ『10まんボルト』!」
「受けてたて!『かえんほうしゃ』!」
ふぇ!?
10まんボルトにかえんほうしゃ!?
ちょっと、それ二人ともいつ覚えさせたの!?
この間までそんな威力の強い技2匹とも覚えてなかったじゃん!
わざマシン!?わざマシンだよね!!?
しかも、威力2倍!?
え、やばいんじゃないの。
猛烈な電気の光がコリンクから放出され、ヒコザルへと一直線に向かっていく。
それと同時に放たれたかえんほうしゃ。今までの火の粉とかそういうレベルの炎ではない。
それが空中で激突したと思った、
瞬間、
「えええええええええ?!?!!??オーバ!!!?!?デンジ!?!」
2人と2匹はそれは綺麗に吹っ飛んだ。
浜辺に落ちていた海藻と流木が私の元へ驚異的な速さで飛んでくるぐらいの爆風が起き、ものの見事に2人と2匹は数メートル吹っ飛んだ。
私の隣にいたルーちゃんも煽りを受けてひっくり返ったが、目の前の光景はそんな悠長な感じではない。
ちょっと待って!待って待って待って、ちょっとーー!!!
思わず悲鳴のような声にもならない頓狂な声をあげながら私は二人の元へ駆け寄った。
爆風をモロに食らった二人と二匹は浜辺でひっくり返ってそれぞれ動かない。
「オーバ!?デンジ!?大丈夫?生きてる!?」
「………おー…」
「お…おーば…」
「…………ああ… 」
「でんじ………」
二人の声が聞こえた瞬間、がっくりと力が抜けてその場にへにゃへにゃ座り込む。
生きてたーー…。生きててくれないと困るけど、生きてたーーー…。
動けない二人に変わってヒコザルとコリンクの顔を覗き込むと二匹は目を回して伸びていた。
なんかもう腰が抜けて私も立てない。
余波で吹っ飛んだらしいモンスターボールを四つん這いで這って回収し、二匹を何とかそれぞれボールに戻した。
どうしよう、ポケモン二匹は見た感じ大丈夫みたいだけど…二人がどこか当たりが悪かったりしたら…。
オーバとデンジは先ほどと変わらず中空を見つめたままボーッと放心している。
もしもの事があったら、私…。
とりあえず大人の人を呼ぼうと、そう思った時、
「………っなんだ、今の…すっげえの…」
「飛んだぞ俺たち」
「……あっはっはっは…見たかよかくかく…!ふふ、はは…」
「…くっ…ふは…さっきの、すげえ…最高に痺れた…!」
「「ポケモンってすごいな!!!」」
一拍遅れてそれはそれは楽しそうに、二人は倒れたままに急に腹を抱えてケタケタ笑い始めた。
しかも大爆笑。
興奮とか飛んで怖かったとか、無事だった安堵とかそういうのが混じって一周回って面白くなったらしい。
そしてそれを見ていたら、無性に、
腹が立った。
「笑い事じゃないでしょ!!?」
「かくかく?」
「びっくりした!ばか!!」
気がついたら、涙がぽたぽた溢れていた。
両方の目から大粒の涙がどんどん、どんどん出てくる。
口をぽかーんと開けたまま、私の顔を見つめている二人の顔がどんどんぼやけていった。
「オーバのばか…!デンジのばかぁ…!」
「ご、ごめん…かくかく、いって!な、殴んなって!」
「ばかばかばかばか!なにあれ!なにあのこわいの!なんであんなわざ…いつから…」
「それは…その、びっくりさせてやろうと思って…秘密で…」
「…俺も……オーバに勝ちたくて…父さんの勝手に借りて…使った」
「ばか…こわかった…心配した…よかった…生きてた、よかった…」
「…ごめんかくかく…」
「あんな事になるとは思わなくて…」
「ふたりとも…しんじゃったかとおもったあ……っ…どうしようかと、おもった…」
それから先の詳細は、二人が困り果てるまで泣きまくったのでよく覚えてない。
『子供が浜で倒れてる』と救急に近隣住民から119番され、不審な爆発音の通報を受けたジュンサーさんからは怒られ、それぞれ3人の家まで連絡が行き、親が呼ばれ。
そして頭にはそれぞれたんこぶが出来た。