第二章<日常編>
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山盛りの団子の匂いに誘われるように、一年は組の乱太郎、きり丸、しんべヱが食堂にやってきた。
しんべヱは机の上に広げられた団子の数に涎を垂らす。
「餡子にみたらしにゴマにヨモギに・・・うわぁ~キビ団子もある~・・・おいしそう~・・・」
「どうしたんですか?こんなにたくさんのお団子・・・」
「乱太郎。ちょっと考えれば分かることだ」
「あ、七松小平太先輩」
「こんにちは~」
きり丸がその空間の甘すぎる匂いにどことなく渋い顔をしながらほへとの横に立っている人間を示唆した。
そこには女装の格好そのままに得意げな顔をする七松小平太が立っている。
「先輩のお土産ですか?」「すごーい!」と乱太郎としんべヱの言葉に「まあな」と七松小平太は快活に答えていた。
そして目が合う。
ニコニコ笑っているようで、その瞳の奥では何か違うことを語ってるようにきり丸は感じた。
何だかわからないが酷く挑発的な、『どうだ?』と言わんばかりの目をしているような気がするのだ。
「・・・何すか?七松先輩」
「いや?何も」
きり丸は何となく(本当に勘なのだが)、嫌な予感がした。
ある種この手の勘というものは当たるというのが常と言うものだ。
きり丸は小平太からの視線を外して、隣にいるほへとの顔色を伺った。そこには少々困ったように眉を八の字に笑うほへとが椅子に腰掛けていた。
「いらっしゃい。いいタイミングで来ましたね」
「しんべヱが『食堂から大量のお団子の匂いがする』って言うもんだから来てみたら、これですもん」
「吃驚しました」
しんべヱの犬並みの嗅覚に驚くことは置いておいて、今は団子を目の前にして涎を垂らしながら目を輝かせているしんべヱが先である。
学園が誇る食いしん坊に「どうぞ」とほへとが言うと、「食べていいんですかぁ~!?」とその言葉を待ってましたと言わんばかりのしんべヱの言葉が返ってきた。早速しんべヱはみたらし団子に手をつけ始める。
「乱太郎くんも、きり丸くんも食べてくださいな。あ、おばちゃんも折角だから一緒に食べましょう。いいですよね?小平太くん」
「え?おう」
「あら、悪いわねえ。じゃあアタシもご相伴に預かろうかね」
「私お茶淹れますね。小平太くんもどうぞ座ってください」
てきぱきとお茶の準備をするほへと。
慣れたものですぐ人数分のお茶が机の上に並んだ。
しんべヱは嬉々としてお団子を食べ続けている。
「しんべヱ食べすぎだよ!ほへとさんの分なくなっちゃうでしょ!」
「あ、そっかぁ。ごめんなさい」
「気にしないで。たくさん食べていいのよ。・・・嗚呼、でもちょっと待って貰おうかな」
そう言ってほへとは別の皿に全種類の団子を数本ずつ分け始めた。
「それどうするんですか?」
「ん?お世話になってる人にお裾分けしようかと思って」
先生方でしょ・・・、事務員のおばちゃんでしょ、小松田くんと・・・あとくノ一教室のみんな。
そう言ってにっこりと微笑んだ。
「そっかあ。そうですよね私達だけで食べるの何だか勿体無い気がします」
「うん。こんなに美味しいんだから皆で食べないと損だよね!」
七松先輩!ありがとうございまーす!!
その三人の合唱に、何か思い描いていた結果と違う・・・。と小平太は思った。
包みの上を見ればすでに随分と数が減っている上に、「そうだ。一年生全員にあげたらどうかしら」なんて、ほへとは言っている。
どちらかといえばほへとにこそたくさん食べて欲しいのだが、ほへと自身は未だ一口しか食べていない。
「ほへとちゃん、あのさ・・・」
「…小平太くん」
言いかけた言葉に被って、ほへとが小平太に向き直った。
「こんなにたくさんのお団子、ありがとうございます。とってもおいしかったです。みんなも喜ぶだろうし、私も嬉しいです。文次郎くん達にもよろしく言っておいてくださいね」
・・・・・・・・・
かわいい・・・・・・。
途端、小平太の中で何かが飛んだ。
「ほへとちゃん」
「えっ!?ちょ、わっ!!」
瞬間、ほへとは小平太に抱きしめられた。いや、抱きかかえられた。
そしてその場で360度回転。その力でもって振り回されたほへとは堪ったもんじゃない。
足が地面から遠い。ほへとの視界はぐらぐらと揺れる。
胃の中の団子が上下左右に揺すられているような気がする。
「こ、小平太くん・・・!おおお下ろしてください!めが、めが・・・い・・・目が、胃が回って・・・ぅぁっ」
「ははっ!すまん。やっぱり私、ほへとちゃんのこと好きだなあ」
「は、はい?」
「よし!このまま先生方のとこお団子お裾分けにいくか!!」
小平太はほへとを片手に残りの団子を全部引っ掴んで「いけいけどんどん!」と勢いそのままに食堂を出て行ってしまった。
「・・・・・・行っちゃった」
「・・・・・・先輩、女装のままだったね・・・」
「ほへとちゃん大丈夫かしらねえ・・・」
「・・・・・・・・・」
後には甘い団子の香りと、ポカンとした顔の三人が残された。
(・・・・・・七松先輩か・・・。盲点だったぜ・・・)
きり丸だけが一人二人が消えていった戸口を見て渋い顔をした。
しんべヱは机の上に広げられた団子の数に涎を垂らす。
「餡子にみたらしにゴマにヨモギに・・・うわぁ~キビ団子もある~・・・おいしそう~・・・」
「どうしたんですか?こんなにたくさんのお団子・・・」
「乱太郎。ちょっと考えれば分かることだ」
「あ、七松小平太先輩」
「こんにちは~」
きり丸がその空間の甘すぎる匂いにどことなく渋い顔をしながらほへとの横に立っている人間を示唆した。
そこには女装の格好そのままに得意げな顔をする七松小平太が立っている。
「先輩のお土産ですか?」「すごーい!」と乱太郎としんべヱの言葉に「まあな」と七松小平太は快活に答えていた。
そして目が合う。
ニコニコ笑っているようで、その瞳の奥では何か違うことを語ってるようにきり丸は感じた。
何だかわからないが酷く挑発的な、『どうだ?』と言わんばかりの目をしているような気がするのだ。
「・・・何すか?七松先輩」
「いや?何も」
きり丸は何となく(本当に勘なのだが)、嫌な予感がした。
ある種この手の勘というものは当たるというのが常と言うものだ。
きり丸は小平太からの視線を外して、隣にいるほへとの顔色を伺った。そこには少々困ったように眉を八の字に笑うほへとが椅子に腰掛けていた。
「いらっしゃい。いいタイミングで来ましたね」
「しんべヱが『食堂から大量のお団子の匂いがする』って言うもんだから来てみたら、これですもん」
「吃驚しました」
しんべヱの犬並みの嗅覚に驚くことは置いておいて、今は団子を目の前にして涎を垂らしながら目を輝かせているしんべヱが先である。
学園が誇る食いしん坊に「どうぞ」とほへとが言うと、「食べていいんですかぁ~!?」とその言葉を待ってましたと言わんばかりのしんべヱの言葉が返ってきた。早速しんべヱはみたらし団子に手をつけ始める。
「乱太郎くんも、きり丸くんも食べてくださいな。あ、おばちゃんも折角だから一緒に食べましょう。いいですよね?小平太くん」
「え?おう」
「あら、悪いわねえ。じゃあアタシもご相伴に預かろうかね」
「私お茶淹れますね。小平太くんもどうぞ座ってください」
てきぱきとお茶の準備をするほへと。
慣れたものですぐ人数分のお茶が机の上に並んだ。
しんべヱは嬉々としてお団子を食べ続けている。
「しんべヱ食べすぎだよ!ほへとさんの分なくなっちゃうでしょ!」
「あ、そっかぁ。ごめんなさい」
「気にしないで。たくさん食べていいのよ。・・・嗚呼、でもちょっと待って貰おうかな」
そう言ってほへとは別の皿に全種類の団子を数本ずつ分け始めた。
「それどうするんですか?」
「ん?お世話になってる人にお裾分けしようかと思って」
先生方でしょ・・・、事務員のおばちゃんでしょ、小松田くんと・・・あとくノ一教室のみんな。
そう言ってにっこりと微笑んだ。
「そっかあ。そうですよね私達だけで食べるの何だか勿体無い気がします」
「うん。こんなに美味しいんだから皆で食べないと損だよね!」
七松先輩!ありがとうございまーす!!
その三人の合唱に、何か思い描いていた結果と違う・・・。と小平太は思った。
包みの上を見ればすでに随分と数が減っている上に、「そうだ。一年生全員にあげたらどうかしら」なんて、ほへとは言っている。
どちらかといえばほへとにこそたくさん食べて欲しいのだが、ほへと自身は未だ一口しか食べていない。
「ほへとちゃん、あのさ・・・」
「…小平太くん」
言いかけた言葉に被って、ほへとが小平太に向き直った。
「こんなにたくさんのお団子、ありがとうございます。とってもおいしかったです。みんなも喜ぶだろうし、私も嬉しいです。文次郎くん達にもよろしく言っておいてくださいね」
・・・・・・・・・
かわいい・・・・・・。
途端、小平太の中で何かが飛んだ。
「ほへとちゃん」
「えっ!?ちょ、わっ!!」
瞬間、ほへとは小平太に抱きしめられた。いや、抱きかかえられた。
そしてその場で360度回転。その力でもって振り回されたほへとは堪ったもんじゃない。
足が地面から遠い。ほへとの視界はぐらぐらと揺れる。
胃の中の団子が上下左右に揺すられているような気がする。
「こ、小平太くん・・・!おおお下ろしてください!めが、めが・・・い・・・目が、胃が回って・・・ぅぁっ」
「ははっ!すまん。やっぱり私、ほへとちゃんのこと好きだなあ」
「は、はい?」
「よし!このまま先生方のとこお団子お裾分けにいくか!!」
小平太はほへとを片手に残りの団子を全部引っ掴んで「いけいけどんどん!」と勢いそのままに食堂を出て行ってしまった。
「・・・・・・行っちゃった」
「・・・・・・先輩、女装のままだったね・・・」
「ほへとちゃん大丈夫かしらねえ・・・」
「・・・・・・・・・」
後には甘い団子の香りと、ポカンとした顔の三人が残された。
(・・・・・・七松先輩か・・・。盲点だったぜ・・・)
きり丸だけが一人二人が消えていった戸口を見て渋い顔をした。