第一章<出会い編>
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『ぅあっ…!』
生暖かい飛沫。
自分の手にあるもの。目の前に転がってる意味。
反転する世界。
兄上・・・。死んだら全て終わるのかな。
忌まわしい記憶も。刻まれた傷も。忘れることのできない過去も。
何もかも、砕けてしまえばいいのに。
***
「…っ!」
目を開けた瞬間、身体に痛みが走った。
覚醒した意識がまたどこかに引っ張られそうになる。
「っうぁ…」
傷を庇うように私はよじる。
歯を食いしばって耐える。身を裂くような鋭い痛み。
生きてることの証明でもある痛みに多少の失望感と喜びを感じる自分がいた。
「駄目です!体起こさないで!」
襖が開くと同時に声がして、素早い動きで男の子が私の肩に両手を添える。
この人が自分を助けてくれたのだろうか・・・。
痛みと驚きで咽こんだ私の背中を男の子がさする。
口の中は血の味がした。
「ほら言わんこっちゃない!さ、早く横になってください」
言われるがままに身体を布団に預ける。
怪我人である自分の体は重く、酷い倦怠感でいっぱいだった。
枕元にいる男の子と目が合う。
「大丈夫です。ここは安全な場所ですから」
男の子はにっこりと微笑む。癖のある茶色い髪がふわふわと揺れた。
見知らぬ場所、見知らぬ部屋。この男の子のこともわからない。
いろいろ聞きたいことがほへとにはあったが、何も喋る気が起きなかった。 口を開いても、荒い息しか出てこない。ただその笑顔に幾分か救われる気持ちだった。
「もう少し経ったら痛み止めが効いてくるでしょう。そうしたら少しはましになると思います」
男の子の言葉に少し安心する。
ああ、優しい笑顔だなあ。
あまりの痛みに目じりからこぼれた涙が布団に染み込んでいく。
「僕は善法寺伊作といいます。この学園で保健委員長をやっているんです。しばらく貴女の世話を申し付かってます」
学園。
どうやらここは私が探していた場所らしい。
ここは・・・ここなら・・・。
あれこれ考えているうちにまた暴力的な痛みが襲ってきて、ほへとの意識はまた闇に消えた。
生暖かい飛沫。
自分の手にあるもの。目の前に転がってる意味。
反転する世界。
兄上・・・。死んだら全て終わるのかな。
忌まわしい記憶も。刻まれた傷も。忘れることのできない過去も。
何もかも、砕けてしまえばいいのに。
***
「…っ!」
目を開けた瞬間、身体に痛みが走った。
覚醒した意識がまたどこかに引っ張られそうになる。
「っうぁ…」
傷を庇うように私はよじる。
歯を食いしばって耐える。身を裂くような鋭い痛み。
生きてることの証明でもある痛みに多少の失望感と喜びを感じる自分がいた。
「駄目です!体起こさないで!」
襖が開くと同時に声がして、素早い動きで男の子が私の肩に両手を添える。
この人が自分を助けてくれたのだろうか・・・。
痛みと驚きで咽こんだ私の背中を男の子がさする。
口の中は血の味がした。
「ほら言わんこっちゃない!さ、早く横になってください」
言われるがままに身体を布団に預ける。
怪我人である自分の体は重く、酷い倦怠感でいっぱいだった。
枕元にいる男の子と目が合う。
「大丈夫です。ここは安全な場所ですから」
男の子はにっこりと微笑む。癖のある茶色い髪がふわふわと揺れた。
見知らぬ場所、見知らぬ部屋。この男の子のこともわからない。
いろいろ聞きたいことがほへとにはあったが、何も喋る気が起きなかった。 口を開いても、荒い息しか出てこない。ただその笑顔に幾分か救われる気持ちだった。
「もう少し経ったら痛み止めが効いてくるでしょう。そうしたら少しはましになると思います」
男の子の言葉に少し安心する。
ああ、優しい笑顔だなあ。
あまりの痛みに目じりからこぼれた涙が布団に染み込んでいく。
「僕は善法寺伊作といいます。この学園で保健委員長をやっているんです。しばらく貴女の世話を申し付かってます」
学園。
どうやらここは私が探していた場所らしい。
ここは・・・ここなら・・・。
あれこれ考えているうちにまた暴力的な痛みが襲ってきて、ほへとの意識はまた闇に消えた。