第一章<出会い編>
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「はい。今日で五日ですね。・・・全く。今度あんなことあったら・・・」
「もう二度としないと約束いたしますから伊作くん・・・。本当に反省してます」
「どうでしょうかねえ。…まあ、良しとしましょう」
そう、この日を待っていた。
楽しいといえばとても楽しい日々だった。しかし何と騒がしい毎日であったか。
ほへとは久々の自由を謳歌した。
といってもそう大層な自由というわけではないが。
15
『一体何を考えてるんですか貴女は!!心配したんですよ!わかっているんですか!自分の体をもっと労わってください!!足が悪化したらどうするんです!!それから小平太!!僕にほへとさんを探すって言ったくせに合図も何もよこさないでそのまま山に怪我人を連れていくなんてどういう神経してるんだい!?全く信じられない!山は冷えるんだよ!?ただでさえ彼女は怪我人なのに風邪まで引いたらどうするんだ!大体見つけたらまずは知らせるのが・・・』
ちょうど皆の夕飯が終わった頃合に小平太とほへとは学園へ戻ってきた。
そして忍術学園保健委員会委員長、善法寺伊作に怒涛のような説教を受けたのは言うまでも無い。
『いいですか?ほへとさんは食堂で何か暖かいものを貰って、薬飲んだらすぐに休んでください。食堂のおばちゃんにはもう言ってあります。乱太郎、伏木蔵!ほへとさんを食堂までお連れして!』
『『は、はいっ!!』』
『それから小平太は罰として夕飯抜き』
『ええええええええええ!!??それはないだろ伊作!!私凄い腹へって・・・』
『夕飯時に帰ってこなかったお前が悪い』
そうして図書室拉致逃亡事件(三郎がそう名付けた)から五日。
ほへとは保健委員会総動員による監視の目から逃れられない生活を送った。
許可無しでは部屋から出られず、出ても側には必ず誰かが付き添う始末。授業中でさえも学園が誇る忍犬ヘムヘムが部屋にやってくるという徹底振り。
一年は組の皆や、五年生の雷蔵、三郎、六年の小平太、長治が代わる代わるやってきてはほへとの話し相手になってくれた。山本シナ先生がくノたまを連れて部屋まで遊びに来てくれたこともとても嬉しかった。
もちろん保健委員会の皆とも多少なりとも近しくなったような気がする。
保健委員会の皆に改めてほへとが紹介されたとき、小平太との一連の話を聞いた全員より「信じられない!」「絶対安静です!」などと口々に言われてしまった。
みんな良い子供達ばかりで(たまに元気すぎるけれど)悲しいことを考える暇がないくらいに騒がしい毎日だった。朝から晩までいろいろな人間と共に過ごし、そして聞き教わった。
ほへとはこの生活に不満を漏らすことなく過ごしていたが、夜中に障子を開けた瞬間に鳴る子が鳴ったのには閉口した。
駆けつけた伊作に『厠くらい一人で行かせてください…後生ですから』と言ったのも記憶に新しい。
しかしもう今日でその生活も終わりなのだ。
五日間の間、養生したお陰でほへとの体も足もすこぶる元気になった。もう松葉杖無しでも普通に歩ける。人間とは逞しい。
「こんにちは」
「あらほへとちゃんいらっしゃい」
ほへとが自由になったその身で食堂に行けば、恰幅のいい声でおばちゃんが出迎えてくれた。
「今日は保健委員の子連れてないのね」
「はい今日で最終日ですので。・・・無事に開放されました。足も見ての通りです」
「そう。良かったわねえ。口には出さなかったけど見てて大変そうだと思ってたのよ」
「あはは・・・」
おばちゃんと他愛のない話をしながら椅子に座る。
おばちゃんとは、乱太郎と伏木蔵に連れて行かれたあの時から目をかけてもらっている。
「そうだ。ほへとちゃん今暇かい?」
「はい。手は空いておりますが」
調度いいわ。と言った後、少し申し訳なさそうな声でおばちゃんが言った。
「悪いんだけど、ちょっと夕飯の準備手伝ってくれない?当番の子が来るまででいいから」
「もちろんですわ」
そうほへとが笑顔で返すと、助かるわ。と言って包丁を渡された。
***
「大したもんねえ」
「いえ。おばちゃんには全然叶いませんよ」
ほへとは慣れた手つきで大根をかつら剥きしていく。
今日の煮物は大根と厚揚げの煮物。
剥き終えた大根をそのままの流れで一口大に切り、厚揚げは熱湯をさっとかけて油抜きをする。
ほへとの手際の良さにおばちゃんも感心した。
「料理に慣れてないとこうはいかないわ。こりゃ当番の子が来るまでに全部終わってしまうかもしれないねえ」
嬉しそうな顔のおばちゃん。
ほへとは村にいた頃から養母と共にずっと家事一切全てをやってきた。
炊事、洗濯、掃除。もちろん農作業や針仕事、馬や牛の世話、頼まれれば村の子供の世話もした。
小さな村であったから村人同士助け合うことは常であった。ほへとは村内にいる他の娘と同じように働き者の娘として通っていた。
「村に誰かいい人はいなかったのかい?」
おばちゃんが味噌汁をかき回しながら優しい声で問う。おばちゃんももちろんほへとがここに来た経緯は知っている。
ほへとは少し逡巡したあと、静かに首を振った。
「残念ながら。私も、そろそろ・・・と思ってはいたんですけど・・・」
相手がいなきゃどうしようもないですよね。
と乾燥した椎茸を水で戻しながらほへとは苦笑いした。
ほへとほどの器量で恋人がいないというのはなかなか珍しい話だとは思ったが、食堂の主はこれ以上詮索をしないそれはそれで良かったと思った。
恋仲の二人が離れ離れとなるのは、ときに親と離れることよりも辛く思うこともあるだろう。
「でも貴女はまだ若いんだし。きっといい人が見つかるわよ。そうだ、土井先生なんてどう?」
「土井先生ですか?あの一年は組の担任の?」
「そう。あの土井先生。ただ練り物だけは苦手なんだけど。あれがなけりゃねえ。私も怒らずに済むのにねえ」
聞けば土井半助は齢25になりながら未だ身を固めていないという。
あの人は子供の面倒もいいし、顔だって悪くないのに。それも珍しいなあ、とほへとは思った。
「そうですねえ。・・・嫌いではありませんがこればかりは、その」
「あらあら、満更でもないのねえ。これは土井先生に春が来たかしら」
「もう。からかわないで下さいよおばちゃんたら」
そう言って笑いあう2人。
まるで本当の母と娘の様だった。
たしかに土井半助は好きだ。人柄も良さそうで生徒にも好かれている、とても良い先生だと思う。
だからといって、ほへとが土井半助に対する恋愛感情は皆無で。
それを抜きにしても、そうほいほいと嫁にいくような心持ちではなかった。
「土井先生って、ちょっとうちの兄に似てます」
「ああ正成くん?そういえばそうねえ。ちょっと面差しが似てる気がするわ」
「おばちゃん、兄を知ってるんですか?」
ほへとが弾けるようにおばちゃんに顔を向けると、「私もここに来て長いからねえ」と懐かしい声で言った。
「いい子だったわねえ。好き嫌いもないし、ここの手伝いもよくしてくれたし。・・・そうそう、たしかハスが好きだったわよねえ」
「・・・はい」
「懐かしいわあ正成くん。・・・本当に残念だねえ」
おばちゃんの口から兄のことが語られる。ほへとはおばちゃんを介して昔の兄を見た。
レンコン料理は兄の好物。
そういえば1番最初に覚えた料理ものレンコンの煮物だったような気がする。
「ごめんなさいね。なんだかしんみりさせちゃって」
「いいえ。おばちゃんの話聞けて嬉しいです」
そう言って笑うほへと。
その顔は兄の死を多少なりとも受け止めた笑顔。
未だ寂しい思いはあるものの、少しずつ死という壁を乗り越えているほへと。その凛と立つ一輪の花のような姿に、おばちゃんも破顔した。
正成くん。
あなたの自慢の妹さんは元気よ。健気で親切で、あなたが嬉しそうに自慢していたのも頷けるわ。
本当に気立てが良くていい娘さんだよ。
・・・それだけに本当に残念だねえ。あたしゃいつか二人で学園に遊びに来てくれるのを楽しみにしてたのにねえ。
『俺実はおばちゃんのこと、勝手に母ちゃんだって思ってるんだ』
『なんだい急に』
『俺って母親の味とか知らないからさ。母親の味って言ったらおばちゃんの味になるんだよ。だからおばちゃんのこと、学園にいる間だけでも母ちゃんだって思ってていいかな?』
『水臭いこと言うんじゃないよ。この学園の生徒はみんなあたしの子供みたいなもんだよ。だから卒業したってアンタはあたしの息子だよ』
『そっか。じゃあ俺の妹の母ちゃんにもなってくれる?』
『妹さんがいるの?』
『うん。六つ離れてるんだけど。俺の自慢の妹なんだ』
『じゃあいつか学園に連れておいで。母ちゃんのご飯食べさせてあげるから』
『!・・・うん。絶対連れて来る!』
正成くんが学園を卒業して、あれから十年あまり。早いねえ時が経つのは。
こんな形になってしまったけど。ほへとちゃんに会えたこと。本当にあたしは嬉しいよ。
正成くん。ほへとちゃんのことは母ちゃんに任せて、安心して成仏するんだよ。
おばちゃんは母の眼差しでほへとの横顔を見ながらにっこりと微笑んだ。
「もう二度としないと約束いたしますから伊作くん・・・。本当に反省してます」
「どうでしょうかねえ。…まあ、良しとしましょう」
そう、この日を待っていた。
楽しいといえばとても楽しい日々だった。しかし何と騒がしい毎日であったか。
ほへとは久々の自由を謳歌した。
といってもそう大層な自由というわけではないが。
15
『一体何を考えてるんですか貴女は!!心配したんですよ!わかっているんですか!自分の体をもっと労わってください!!足が悪化したらどうするんです!!それから小平太!!僕にほへとさんを探すって言ったくせに合図も何もよこさないでそのまま山に怪我人を連れていくなんてどういう神経してるんだい!?全く信じられない!山は冷えるんだよ!?ただでさえ彼女は怪我人なのに風邪まで引いたらどうするんだ!大体見つけたらまずは知らせるのが・・・』
ちょうど皆の夕飯が終わった頃合に小平太とほへとは学園へ戻ってきた。
そして忍術学園保健委員会委員長、善法寺伊作に怒涛のような説教を受けたのは言うまでも無い。
『いいですか?ほへとさんは食堂で何か暖かいものを貰って、薬飲んだらすぐに休んでください。食堂のおばちゃんにはもう言ってあります。乱太郎、伏木蔵!ほへとさんを食堂までお連れして!』
『『は、はいっ!!』』
『それから小平太は罰として夕飯抜き』
『ええええええええええ!!??それはないだろ伊作!!私凄い腹へって・・・』
『夕飯時に帰ってこなかったお前が悪い』
そうして図書室拉致逃亡事件(三郎がそう名付けた)から五日。
ほへとは保健委員会総動員による監視の目から逃れられない生活を送った。
許可無しでは部屋から出られず、出ても側には必ず誰かが付き添う始末。授業中でさえも学園が誇る忍犬ヘムヘムが部屋にやってくるという徹底振り。
一年は組の皆や、五年生の雷蔵、三郎、六年の小平太、長治が代わる代わるやってきてはほへとの話し相手になってくれた。山本シナ先生がくノたまを連れて部屋まで遊びに来てくれたこともとても嬉しかった。
もちろん保健委員会の皆とも多少なりとも近しくなったような気がする。
保健委員会の皆に改めてほへとが紹介されたとき、小平太との一連の話を聞いた全員より「信じられない!」「絶対安静です!」などと口々に言われてしまった。
みんな良い子供達ばかりで(たまに元気すぎるけれど)悲しいことを考える暇がないくらいに騒がしい毎日だった。朝から晩までいろいろな人間と共に過ごし、そして聞き教わった。
ほへとはこの生活に不満を漏らすことなく過ごしていたが、夜中に障子を開けた瞬間に鳴る子が鳴ったのには閉口した。
駆けつけた伊作に『厠くらい一人で行かせてください…後生ですから』と言ったのも記憶に新しい。
しかしもう今日でその生活も終わりなのだ。
五日間の間、養生したお陰でほへとの体も足もすこぶる元気になった。もう松葉杖無しでも普通に歩ける。人間とは逞しい。
「こんにちは」
「あらほへとちゃんいらっしゃい」
ほへとが自由になったその身で食堂に行けば、恰幅のいい声でおばちゃんが出迎えてくれた。
「今日は保健委員の子連れてないのね」
「はい今日で最終日ですので。・・・無事に開放されました。足も見ての通りです」
「そう。良かったわねえ。口には出さなかったけど見てて大変そうだと思ってたのよ」
「あはは・・・」
おばちゃんと他愛のない話をしながら椅子に座る。
おばちゃんとは、乱太郎と伏木蔵に連れて行かれたあの時から目をかけてもらっている。
「そうだ。ほへとちゃん今暇かい?」
「はい。手は空いておりますが」
調度いいわ。と言った後、少し申し訳なさそうな声でおばちゃんが言った。
「悪いんだけど、ちょっと夕飯の準備手伝ってくれない?当番の子が来るまででいいから」
「もちろんですわ」
そうほへとが笑顔で返すと、助かるわ。と言って包丁を渡された。
***
「大したもんねえ」
「いえ。おばちゃんには全然叶いませんよ」
ほへとは慣れた手つきで大根をかつら剥きしていく。
今日の煮物は大根と厚揚げの煮物。
剥き終えた大根をそのままの流れで一口大に切り、厚揚げは熱湯をさっとかけて油抜きをする。
ほへとの手際の良さにおばちゃんも感心した。
「料理に慣れてないとこうはいかないわ。こりゃ当番の子が来るまでに全部終わってしまうかもしれないねえ」
嬉しそうな顔のおばちゃん。
ほへとは村にいた頃から養母と共にずっと家事一切全てをやってきた。
炊事、洗濯、掃除。もちろん農作業や針仕事、馬や牛の世話、頼まれれば村の子供の世話もした。
小さな村であったから村人同士助け合うことは常であった。ほへとは村内にいる他の娘と同じように働き者の娘として通っていた。
「村に誰かいい人はいなかったのかい?」
おばちゃんが味噌汁をかき回しながら優しい声で問う。おばちゃんももちろんほへとがここに来た経緯は知っている。
ほへとは少し逡巡したあと、静かに首を振った。
「残念ながら。私も、そろそろ・・・と思ってはいたんですけど・・・」
相手がいなきゃどうしようもないですよね。
と乾燥した椎茸を水で戻しながらほへとは苦笑いした。
ほへとほどの器量で恋人がいないというのはなかなか珍しい話だとは思ったが、食堂の主はこれ以上詮索をしないそれはそれで良かったと思った。
恋仲の二人が離れ離れとなるのは、ときに親と離れることよりも辛く思うこともあるだろう。
「でも貴女はまだ若いんだし。きっといい人が見つかるわよ。そうだ、土井先生なんてどう?」
「土井先生ですか?あの一年は組の担任の?」
「そう。あの土井先生。ただ練り物だけは苦手なんだけど。あれがなけりゃねえ。私も怒らずに済むのにねえ」
聞けば土井半助は齢25になりながら未だ身を固めていないという。
あの人は子供の面倒もいいし、顔だって悪くないのに。それも珍しいなあ、とほへとは思った。
「そうですねえ。・・・嫌いではありませんがこればかりは、その」
「あらあら、満更でもないのねえ。これは土井先生に春が来たかしら」
「もう。からかわないで下さいよおばちゃんたら」
そう言って笑いあう2人。
まるで本当の母と娘の様だった。
たしかに土井半助は好きだ。人柄も良さそうで生徒にも好かれている、とても良い先生だと思う。
だからといって、ほへとが土井半助に対する恋愛感情は皆無で。
それを抜きにしても、そうほいほいと嫁にいくような心持ちではなかった。
「土井先生って、ちょっとうちの兄に似てます」
「ああ正成くん?そういえばそうねえ。ちょっと面差しが似てる気がするわ」
「おばちゃん、兄を知ってるんですか?」
ほへとが弾けるようにおばちゃんに顔を向けると、「私もここに来て長いからねえ」と懐かしい声で言った。
「いい子だったわねえ。好き嫌いもないし、ここの手伝いもよくしてくれたし。・・・そうそう、たしかハスが好きだったわよねえ」
「・・・はい」
「懐かしいわあ正成くん。・・・本当に残念だねえ」
おばちゃんの口から兄のことが語られる。ほへとはおばちゃんを介して昔の兄を見た。
レンコン料理は兄の好物。
そういえば1番最初に覚えた料理ものレンコンの煮物だったような気がする。
「ごめんなさいね。なんだかしんみりさせちゃって」
「いいえ。おばちゃんの話聞けて嬉しいです」
そう言って笑うほへと。
その顔は兄の死を多少なりとも受け止めた笑顔。
未だ寂しい思いはあるものの、少しずつ死という壁を乗り越えているほへと。その凛と立つ一輪の花のような姿に、おばちゃんも破顔した。
正成くん。
あなたの自慢の妹さんは元気よ。健気で親切で、あなたが嬉しそうに自慢していたのも頷けるわ。
本当に気立てが良くていい娘さんだよ。
・・・それだけに本当に残念だねえ。あたしゃいつか二人で学園に遊びに来てくれるのを楽しみにしてたのにねえ。
『俺実はおばちゃんのこと、勝手に母ちゃんだって思ってるんだ』
『なんだい急に』
『俺って母親の味とか知らないからさ。母親の味って言ったらおばちゃんの味になるんだよ。だからおばちゃんのこと、学園にいる間だけでも母ちゃんだって思ってていいかな?』
『水臭いこと言うんじゃないよ。この学園の生徒はみんなあたしの子供みたいなもんだよ。だから卒業したってアンタはあたしの息子だよ』
『そっか。じゃあ俺の妹の母ちゃんにもなってくれる?』
『妹さんがいるの?』
『うん。六つ離れてるんだけど。俺の自慢の妹なんだ』
『じゃあいつか学園に連れておいで。母ちゃんのご飯食べさせてあげるから』
『!・・・うん。絶対連れて来る!』
正成くんが学園を卒業して、あれから十年あまり。早いねえ時が経つのは。
こんな形になってしまったけど。ほへとちゃんに会えたこと。本当にあたしは嬉しいよ。
正成くん。ほへとちゃんのことは母ちゃんに任せて、安心して成仏するんだよ。
おばちゃんは母の眼差しでほへとの横顔を見ながらにっこりと微笑んだ。