つらつら椿
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はあ、嫌だ。もう嫌だ。
帰りたい。家に帰りたい。
会いたくないよぅ・・・。
「大丈夫ですかい?随分顔色悪いですよ?腹でも痛いとか?」
「・・・いえ。大丈夫です。馬を進めてください」
「そんな消え入りそうな声で言われましてもねえ・・・。大丈夫ってんならいいんですけど・・・」
一緒に学園まで行くことになった店の奉公人の一人に、物凄く心配そうな顔で話しかけられた。ごめんなさいね。私はすこぶる元気です。
ただ、ちょっと。
物凄ーく気乗りがしないだけで。
02:地獄の門ってこんな感じかしら
「・・・ここが、忍術学園・・・・・・」
ここが、忍者の巣窟・・・。ここが、お仙ちゃんがいる所・・・。
そう考えると目の前の門が、途端に地獄の入り口のように見えた。
・・・これ「忍術学園」って書いてあるけど「地獄街道」とかの間違いだったらどうしよう。
積荷の紅や白粉は差し詰め死に化粧用と言ったところか。(あながち間違いではない)
軽く深呼吸をして震える手で門戸を叩けば、中から人の良さそうな顔をした人が出てきた。少し、安堵する。
「えと、こんにちは紅屋のいろはに屋で・・・」
「あれ?立花くんお帰り。おかしいなあ・・・外出の届けは出てなかったはずだけど・・・」
自身の持つ出門表と私の顔を交互に見ながら「あれー?」とか「ん?」を連呼する『事務』と大きく書かれた忍者装束(っていうんだっけ)に身を包んだ人。
・・・そんなに私と見間違えるほどに似てますか立花くんは・・・。
実を言うと私は今のお仙ちゃんの顔を知らない。
お仙ちゃんが忍術学園に入学してから、最後に会ったのはお仙ちゃんが確か二年生のときだ。
今が六年生ということは、ゆうに四年前となる。
それからどう考えても彼が成長していないはずはないのに、目の前の事務員(推定)は男と女の区別もつかないのだろうか。
それともお仙ちゃんは私の四年前の記憶のままの姿でいるというのか。
そんなはずないだろう。
私は、これも仕事・・・。深く考えたら負けよ・・・。と自身に念じて喋りかけた。
「先に文を出していたと思うのですが、紅屋のいろはに屋です。ご注文の品をお届けに来ました」
「え?紅屋さん?あれ?本当の女の人だ!・・・うわ、ごめんなさい。てっきりうちの六年生だと思っちゃいました。いやあ、すいません」
「いえ。お仙ちゃ、いや仙蔵くんとは親戚なものですから」
「ああ、どうりで。よく似てらっしゃいますねえ。紅屋さんが来るのは聞いてますよ。どうぞお入りください。あ、サインだけお願いします」
ぽわーんとした笑顔の事務員には悪気はないんだろう。
というか『本当の女の人』とはどういうことだ。私は女に見えませんか。
半ば泣きそうな心持ちで地獄の門、もとい忍術学園の門をくぐる。
一歩一歩進むごとに体が重く感じた。なんだか息も苦しい。病は気からなんていうけど。ここまで健康を拒否できるもんなんだろうか。
とりあえず帰りたい。速攻荷物だけ置いて帰りたい。
でも、一応店の代表としてここにやってきたわけで、作法委員長の受領印がないと店には帰れないのだ。それに母からの文も一緒に預かってきた。
きちんと会って渡せということなのだろうが、はっきり言って迷惑極まりなかった。
荷物は事務員に任せていいかもしれないが、手紙は直接本人に渡さないといけないだろう。
何せご丁寧にも私がお使いに行くのだと前もって知らせてあるのだから。(やっぱり薄情だと思うわ)
私は不本意ながら学園の中を一人進むことにした。
帰りたい。家に帰りたい。
会いたくないよぅ・・・。
「大丈夫ですかい?随分顔色悪いですよ?腹でも痛いとか?」
「・・・いえ。大丈夫です。馬を進めてください」
「そんな消え入りそうな声で言われましてもねえ・・・。大丈夫ってんならいいんですけど・・・」
一緒に学園まで行くことになった店の奉公人の一人に、物凄く心配そうな顔で話しかけられた。ごめんなさいね。私はすこぶる元気です。
ただ、ちょっと。
物凄ーく気乗りがしないだけで。
02:地獄の門ってこんな感じかしら
「・・・ここが、忍術学園・・・・・・」
ここが、忍者の巣窟・・・。ここが、お仙ちゃんがいる所・・・。
そう考えると目の前の門が、途端に地獄の入り口のように見えた。
・・・これ「忍術学園」って書いてあるけど「地獄街道」とかの間違いだったらどうしよう。
積荷の紅や白粉は差し詰め死に化粧用と言ったところか。(あながち間違いではない)
軽く深呼吸をして震える手で門戸を叩けば、中から人の良さそうな顔をした人が出てきた。少し、安堵する。
「えと、こんにちは紅屋のいろはに屋で・・・」
「あれ?立花くんお帰り。おかしいなあ・・・外出の届けは出てなかったはずだけど・・・」
自身の持つ出門表と私の顔を交互に見ながら「あれー?」とか「ん?」を連呼する『事務』と大きく書かれた忍者装束(っていうんだっけ)に身を包んだ人。
・・・そんなに私と見間違えるほどに似てますか立花くんは・・・。
実を言うと私は今のお仙ちゃんの顔を知らない。
お仙ちゃんが忍術学園に入学してから、最後に会ったのはお仙ちゃんが確か二年生のときだ。
今が六年生ということは、ゆうに四年前となる。
それからどう考えても彼が成長していないはずはないのに、目の前の事務員(推定)は男と女の区別もつかないのだろうか。
それともお仙ちゃんは私の四年前の記憶のままの姿でいるというのか。
そんなはずないだろう。
私は、これも仕事・・・。深く考えたら負けよ・・・。と自身に念じて喋りかけた。
「先に文を出していたと思うのですが、紅屋のいろはに屋です。ご注文の品をお届けに来ました」
「え?紅屋さん?あれ?本当の女の人だ!・・・うわ、ごめんなさい。てっきりうちの六年生だと思っちゃいました。いやあ、すいません」
「いえ。お仙ちゃ、いや仙蔵くんとは親戚なものですから」
「ああ、どうりで。よく似てらっしゃいますねえ。紅屋さんが来るのは聞いてますよ。どうぞお入りください。あ、サインだけお願いします」
ぽわーんとした笑顔の事務員には悪気はないんだろう。
というか『本当の女の人』とはどういうことだ。私は女に見えませんか。
半ば泣きそうな心持ちで地獄の門、もとい忍術学園の門をくぐる。
一歩一歩進むごとに体が重く感じた。なんだか息も苦しい。病は気からなんていうけど。ここまで健康を拒否できるもんなんだろうか。
とりあえず帰りたい。速攻荷物だけ置いて帰りたい。
でも、一応店の代表としてここにやってきたわけで、作法委員長の受領印がないと店には帰れないのだ。それに母からの文も一緒に預かってきた。
きちんと会って渡せということなのだろうが、はっきり言って迷惑極まりなかった。
荷物は事務員に任せていいかもしれないが、手紙は直接本人に渡さないといけないだろう。
何せご丁寧にも私がお使いに行くのだと前もって知らせてあるのだから。(やっぱり薄情だと思うわ)
私は不本意ながら学園の中を一人進むことにした。