時計の針よ進み続けて
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時間が止まって欲しいとか
永遠にこの時間が続いたら良いとか
そう願いたくなることもなくはないけど
それ以上のたくさんのものを、もっともっと欲しいって思う。
あんたを抱きしめた感触。頬に触れた柔らかさ。
髪の温もりと、ほんのりと香った甘い匂い。
いくらきつく抱きしめても、どっか足んない俺の何か。
時計の針よ進み続けて
甘い「またね」を永遠に食べ続けるために、俺はあんたとの時間を生きる。
絶対にまた会えるように。ずっと一緒にいられるように。
そんな俺たちが永遠の愛を誓い合う日は、そう遠くはないと思ってる。
あの卒業式からもうすぐ2年。
「……じゃあ、またね。学校とお仕事頑張って」
「ん、あんたもね。こっち終わったら連絡する」
朝の玄関先。
俺の部屋で一晩過ごして、それぞれの予定に出かけるために靴を履く。
ドアを開けようとした後ろ姿を見て、名残惜しさが込み上げる。
「待って」って声かけて、振り返るより先に俺からハグをした。
ちょっと強めに、耳元に息がかかるくらい顔をうずめた。
「…実くん?」
「なんか、さ」
「うん」
「全然飽きねーの。不思議と。あんたとこうしてる時間」
力を込めて、ぎゅーっとしてみた。
俺の、言葉にならない何かが滲んで欲しかった。
「…ふふ、もっと一緒にいたいね?」
「…うん。もう俺、すでにさみしい」
小さく頷く。気持ちが伝わる。
自分でもびっくりする。どんどん、自分の世界が変わり続けてるのがわかる。
あんたに出会ってから、色も匂いも感触も、全てがリアルで鮮やかなんだよ。
目がチカチカするような解像度高い映像よりも
SNSで映える派手な絵面も越えて、いつだってあんたのことがはっきりと俺の心にすぐ浮かぶ。
あんたの後ろ姿も笑顔も、何もかもがオレの心の栄養になって
どんな俺でも生かしてくれる。
灰色だったあの世界は、今はどの世界よりも鮮明で綺麗になった。
あんたがくれる全てのお陰で。
「……ねぇ。昨日の続き、する?」
昨日の夜、全部曝け出して触れ合ったくせに、子供みたいに甘えてみる。
思い出すと恥ずかしくなるけど、じれったいくらい全部覚えてんの。
俺の腕の中でびくっとして、まんざらでもない感じで黙る。
このドキドキする沈黙が、堪らなくスキ。
「…だめ?」
「だ…だめじゃない、けど、ダメです」
「あれ?…どっち?」
わざと耳元で話してみた。息がかかって、耳にかけてる髪が揺れる。
甘い匂いがした。俺があげた香水の匂い。
「俺、1限は遅れても平気だけど?」
真面目な彼女の結論はわかってるに、妙にいじめたくなって困る。
少しだけ余裕持って出る朝だから出来る、ちょっとしたおふざけ。
「……もう!」
「…ははっ、ごめん」
「実くん、レベル上げすぎ」
俺の腕を解いて、オレに向き合う。
見上げる顔がやっぱりカワイイ、って思うのは日常茶飯事。
「高校生のときよりドキドキさせるの上手になってる。ズルい」
「ズルくない。あんたがやって欲しそうなこと、わかってきただけ」
「嬉しくない?」って、首傾げて聞いてみたら、
ちーさい声で「…嬉しいです」って拗ねて言った。
少し顔が赤くて、…あーやば。何もかもがカワイイ。
「……ん、ならよし」
「もう…遅刻しちゃうよ」
「だな。そろそろ行こう」
玄関のドアを開けた。朝日が差して少し眩しい。
先に出た彼女は、火照る顔を冷やすように両手で顔を煽ぐ仕草をした。
入ってくる冬の風は、乾いてるのに爽やかだ。気持ちまで軽くしてくれる。
俺はちらりと後ろを振り返って、つい1時間ほど前まで2人でいたベッドを見つめる。
高校卒業したばっかの頃、「ここに住んじゃえば」なんて言ったけど、さすがにこれじゃ狭すぎるよな。
サイトで物件探してみよっかな。1LDK…いや、仕事部屋とか考えたら2LDKは欲しいところ。
春入居だったら空きも出やすそうだし。
来年の春に専門を卒業する。その先のことをふと考える。
それは全部、あんたとずっと一緒にいる方法。
今までと同じように、2人で笑顔でいられるように。
――高校最後のクリスマス。
甦った中学の記憶と、この街に来た理由を想った。
ただあのとき、アガるって情熱だけで来たこの街で出会った人と
あのときは思いもしなかった景色と感情が
今じゃ、俺の人生の中心になってる。
好きなものを素直にスキと言えて
むしろそれらは一緒にいるほどブラッシュアップされていって
また新しい世界が見える。
そんな人を、人生のパートナーっていうんだと思う。
そんな風に考えたら、俺のこの、ちょい女々しい気持ちもかっこつくかな。
時計の針を止めてとか
一瞬の時間に対して、”永遠にこの時間が続いて欲しい”とか
願う人もいるみたいだけど。
オレは世界で一番好きな人と、どんどん変わっていく色んな季節を感じてみたい。
画面越しの遠い景色は十分見て来たから。
暗い部屋で目に刺さるような明かりだけが頼りの日々は、
もう、今の俺にはいらないみたいだ。
あんたが泣くことなく笑顔が溢れる日々を俺が創っていくからさ、
どれだけの季節が過ぎても俺の隣にいてよ。
絶対楽しい。ね、絶対に、飽きさせないから。
***
Don't Stop the Clocks
King l Gnu
永遠にこの時間が続いたら良いとか
そう願いたくなることもなくはないけど
それ以上のたくさんのものを、もっともっと欲しいって思う。
あんたを抱きしめた感触。頬に触れた柔らかさ。
髪の温もりと、ほんのりと香った甘い匂い。
いくらきつく抱きしめても、どっか足んない俺の何か。
時計の針よ進み続けて
甘い「またね」を永遠に食べ続けるために、俺はあんたとの時間を生きる。
絶対にまた会えるように。ずっと一緒にいられるように。
そんな俺たちが永遠の愛を誓い合う日は、そう遠くはないと思ってる。
あの卒業式からもうすぐ2年。
「……じゃあ、またね。学校とお仕事頑張って」
「ん、あんたもね。こっち終わったら連絡する」
朝の玄関先。
俺の部屋で一晩過ごして、それぞれの予定に出かけるために靴を履く。
ドアを開けようとした後ろ姿を見て、名残惜しさが込み上げる。
「待って」って声かけて、振り返るより先に俺からハグをした。
ちょっと強めに、耳元に息がかかるくらい顔をうずめた。
「…実くん?」
「なんか、さ」
「うん」
「全然飽きねーの。不思議と。あんたとこうしてる時間」
力を込めて、ぎゅーっとしてみた。
俺の、言葉にならない何かが滲んで欲しかった。
「…ふふ、もっと一緒にいたいね?」
「…うん。もう俺、すでにさみしい」
小さく頷く。気持ちが伝わる。
自分でもびっくりする。どんどん、自分の世界が変わり続けてるのがわかる。
あんたに出会ってから、色も匂いも感触も、全てがリアルで鮮やかなんだよ。
目がチカチカするような解像度高い映像よりも
SNSで映える派手な絵面も越えて、いつだってあんたのことがはっきりと俺の心にすぐ浮かぶ。
あんたの後ろ姿も笑顔も、何もかもがオレの心の栄養になって
どんな俺でも生かしてくれる。
灰色だったあの世界は、今はどの世界よりも鮮明で綺麗になった。
あんたがくれる全てのお陰で。
「……ねぇ。昨日の続き、する?」
昨日の夜、全部曝け出して触れ合ったくせに、子供みたいに甘えてみる。
思い出すと恥ずかしくなるけど、じれったいくらい全部覚えてんの。
俺の腕の中でびくっとして、まんざらでもない感じで黙る。
このドキドキする沈黙が、堪らなくスキ。
「…だめ?」
「だ…だめじゃない、けど、ダメです」
「あれ?…どっち?」
わざと耳元で話してみた。息がかかって、耳にかけてる髪が揺れる。
甘い匂いがした。俺があげた香水の匂い。
「俺、1限は遅れても平気だけど?」
真面目な彼女の結論はわかってるに、妙にいじめたくなって困る。
少しだけ余裕持って出る朝だから出来る、ちょっとしたおふざけ。
「……もう!」
「…ははっ、ごめん」
「実くん、レベル上げすぎ」
俺の腕を解いて、オレに向き合う。
見上げる顔がやっぱりカワイイ、って思うのは日常茶飯事。
「高校生のときよりドキドキさせるの上手になってる。ズルい」
「ズルくない。あんたがやって欲しそうなこと、わかってきただけ」
「嬉しくない?」って、首傾げて聞いてみたら、
ちーさい声で「…嬉しいです」って拗ねて言った。
少し顔が赤くて、…あーやば。何もかもがカワイイ。
「……ん、ならよし」
「もう…遅刻しちゃうよ」
「だな。そろそろ行こう」
玄関のドアを開けた。朝日が差して少し眩しい。
先に出た彼女は、火照る顔を冷やすように両手で顔を煽ぐ仕草をした。
入ってくる冬の風は、乾いてるのに爽やかだ。気持ちまで軽くしてくれる。
俺はちらりと後ろを振り返って、つい1時間ほど前まで2人でいたベッドを見つめる。
高校卒業したばっかの頃、「ここに住んじゃえば」なんて言ったけど、さすがにこれじゃ狭すぎるよな。
サイトで物件探してみよっかな。1LDK…いや、仕事部屋とか考えたら2LDKは欲しいところ。
春入居だったら空きも出やすそうだし。
来年の春に専門を卒業する。その先のことをふと考える。
それは全部、あんたとずっと一緒にいる方法。
今までと同じように、2人で笑顔でいられるように。
――高校最後のクリスマス。
甦った中学の記憶と、この街に来た理由を想った。
ただあのとき、アガるって情熱だけで来たこの街で出会った人と
あのときは思いもしなかった景色と感情が
今じゃ、俺の人生の中心になってる。
好きなものを素直にスキと言えて
むしろそれらは一緒にいるほどブラッシュアップされていって
また新しい世界が見える。
そんな人を、人生のパートナーっていうんだと思う。
そんな風に考えたら、俺のこの、ちょい女々しい気持ちもかっこつくかな。
時計の針を止めてとか
一瞬の時間に対して、”永遠にこの時間が続いて欲しい”とか
願う人もいるみたいだけど。
オレは世界で一番好きな人と、どんどん変わっていく色んな季節を感じてみたい。
画面越しの遠い景色は十分見て来たから。
暗い部屋で目に刺さるような明かりだけが頼りの日々は、
もう、今の俺にはいらないみたいだ。
あんたが泣くことなく笑顔が溢れる日々を俺が創っていくからさ、
どれだけの季節が過ぎても俺の隣にいてよ。
絶対楽しい。ね、絶対に、飽きさせないから。
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Don't Stop the Clocks
King l Gnu
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