おもちゃ箱
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一瞬、彼の輪郭がぼやけて空との境が曖昧になる。あ、消えちゃう。空気に攫われる前に彼の手を咄嗟に掴んだ。
「……なに?どうしたの?」
「なんでも、ない」
言えなかった。君が煙のようにフッと消えるんじゃないかって心配だなんて。ここは現実世界、ありえない話だ。異世界じゃあるまいし。
腕を掴んだまま俯いた私を振り払うでもなく、彼は軽く屈むと顔を覗き込んできた。
「何か不安になることがあった?」
「本当になんでもないんだってば」
「俺じゃ力になれないこと?」
「……」
彼の目は真っ直ぐで、どこまでも優しい。でもその優しさが今の私には毒だった。彼は優しい、お人好しの範疇を越えていると思う。そういうと彼は「誰にでも優しい訳じゃないよ」って照れくさそうに前髪を触るけど。
彼の優しさに甘えるだけではいけない。何もかも頼りきりじゃない、守られるだけじゃなくて私は隣を歩きたい。でも、彼に見つめられると自分の弱さを見透かされているようで。それが時に苦しくなる。彼の近くは居心地がいいのに、気付いたら茨に囲まれている。薔薇の花のような人。
あぁ、なんでこんな人が私なんかに気持ちを向けてくれるのか。もしかしたらずっと私の勘違いなのかもしれない。こうして一緒にいるのも、私が都合よく解釈した幻覚なのかも。だからこうした度々目の前から消えようとするんだ。
「ただ……蓮くんがずっと私だけを見ているといいなって、思っただけだよ」
「……そんなの、もうとっくに君しか見てないよ」
破顔する彼は本当に美しかった。でも彼は知らない、私は君のこと縛り付けて、魂まで縛って、輪廻転生しても私だけを好きになって、一緒に永遠になってほしいとまで思っているのに。
それで構わない、知らなくていいんだこんな醜い感情、憎悪にも近い燻った熱は。勘違いしたまま私が君を想って過ごすだけ。
「……なに?どうしたの?」
「なんでも、ない」
言えなかった。君が煙のようにフッと消えるんじゃないかって心配だなんて。ここは現実世界、ありえない話だ。異世界じゃあるまいし。
腕を掴んだまま俯いた私を振り払うでもなく、彼は軽く屈むと顔を覗き込んできた。
「何か不安になることがあった?」
「本当になんでもないんだってば」
「俺じゃ力になれないこと?」
「……」
彼の目は真っ直ぐで、どこまでも優しい。でもその優しさが今の私には毒だった。彼は優しい、お人好しの範疇を越えていると思う。そういうと彼は「誰にでも優しい訳じゃないよ」って照れくさそうに前髪を触るけど。
彼の優しさに甘えるだけではいけない。何もかも頼りきりじゃない、守られるだけじゃなくて私は隣を歩きたい。でも、彼に見つめられると自分の弱さを見透かされているようで。それが時に苦しくなる。彼の近くは居心地がいいのに、気付いたら茨に囲まれている。薔薇の花のような人。
あぁ、なんでこんな人が私なんかに気持ちを向けてくれるのか。もしかしたらずっと私の勘違いなのかもしれない。こうして一緒にいるのも、私が都合よく解釈した幻覚なのかも。だからこうした度々目の前から消えようとするんだ。
「ただ……蓮くんがずっと私だけを見ているといいなって、思っただけだよ」
「……そんなの、もうとっくに君しか見てないよ」
破顔する彼は本当に美しかった。でも彼は知らない、私は君のこと縛り付けて、魂まで縛って、輪廻転生しても私だけを好きになって、一緒に永遠になってほしいとまで思っているのに。
それで構わない、知らなくていいんだこんな醜い感情、憎悪にも近い燻った熱は。勘違いしたまま私が君を想って過ごすだけ。
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