◇一応あるメインストーリー◇



「だいじょばん」


「――――あれ? 財前、アレ、ミトさんちゃうの?」

「ホンマや、ミトやん。アイツも買い物か?」

「謙也さんならまだしも、小石川先輩までアイツのこと気にすんのやめてもらえます?」

「いや……財前の友達聞いたらなあ……つい声かけた方がええやろかとか思うてしもて」

「オトンか! っとと、あ、」

「げ」

今はっきり「げ」って言うたな、ミト。
謙也さんの突っ込みの声が大きかったのだろうか、不意に気になったらしいミトはこちらを振り向く。
いや、でも相手に部長がおらんからかもしれん、そこまで嫌そうな顔はしておらず。
どちらかと言えば「またお前らか」とでも言いたそうな呆れ顔でこちらを見ていた。
その様子が気になったらしい、謙也さんはミトの方へと向かってズンズン移動していく。

「何や『げ』って。今日白石おらへんやろ」

「本屋ででかい声出す人に会うたらそら『げ』も出ますよ」

「ミトさん、ホンマすいません、うちのが色々と迷惑おかけして」

「え、こ、小石川せんぱ……! いやオトンですか。元はと言えばこの人が悪いだけなんで」

「お前本当先輩相手に容赦ないわ……ついでに言うと財前もおるで」

「いらん紹介せんとって下さい……めんどいのに見つかった……」

「いや、謙也さんよりだいぶマシやろ」

「それもそうか」

「お前ら二人ともホンマ生意気っちゅー話や……仮にも先輩やぞ……」

「まあまあ、そんだけ慕われとるっちゅーことで」

「よー言うわ」

「ええなあ謙也……めっちゃ仲ええやん……」

「絶対に羨ましがるようなアレちゃう、絶対ちゃう」

「ミト、お前そろそろいっぺんどついた方がええか?」

「冗談! 冗談ですやん!」と小声で頭をガードするミト。
そんなミトの頭を掴もうとしているのだろうか、謙也さんも右手を上にあげている。
さすがに女子の後輩にそれはアカン! とでも思ったのだろう、小石川さんがその腕を掴んで止める。
ここまでちゃんと小声だが、動きがうるさい今店内で注目を浴びつつある状態。
……やっぱついてくるんちゃうかったかもしれん。

今年受験のある2人が部活中に話をしており、帰りに本屋によると言っていたので。
俺自身も今日が発売の音楽雑誌が欲しくて、目的地一緒やし……とついていくことにしたまではよかったが。
まさかこんなところにもミトがおるとは思わんかった、今日は学校から一度家に帰ったのか、学校のジャージとはまた雰囲気が違う、長袖長ズボンのスポーツウエアに見覚えのあるラケットバックを背負っていた。
しかしミトがいる場所はひと際棚の高さが低い、所謂子供向けの本が置いてある場所である。
幼い頃に見た懐かしい絵本の数々が並んでいるが……そこにミトがいるのは何とも言えないほど違和感がある。

「と、ところで! ミトさんは、こんなところでどないしたん?」

「あー……えーと、今度親戚の子供が生まれるらしくて」

「へえ、そらめでたいな」

「出産祝い……には早いかと思いつつ、絵本ならどうせそのうち読むやろし思て、なんかいいやつないか見に来ました」

「出産祝いかあ……偉いなぁミトさん。俺も小さいころ色々読んだわ。懐かしいわぁ」

「学生としては金額的にも優しいし、無難ちゃう? ちょい早い気もするけど」

「やっぱり? 絵本って1歳の誕生日とかの方がええすかね? それよかタオルとかの方が無難かと思うてみたりはしてるんですけど」

「まだ読み聞かせとかの段階ちゃうやろしなあ……生まれたてってコロコロ転がって寝とるイメージしかない」

「あ、あれは? あの宙ぶらりんのくるくる回るやつ。音鳴るあれ、あのー……」

「ベッドメリー」

「そう! それや! 言うてあれもまだ早いんかな? ちょっとええもんなら服とかか?」

「うーんそもそも認識するのかどうか……まあ、まだ時間はあるんで。考えてみます。それにしてもはらぺこあおむし懐かしいわ」

「王道中の王道やな。俺んちにも昔あったわ」

「俺めっちゃ印象にあるのパンケーキやわ。めっちゃ覚えとる」

「あー、謙也さんぽい。財前は?」

「いや覚えてないしどうでもええ……ああ、でもぐりぐら懐かしいわ」

「ああ、あるある。やっぱ見覚えあるんめっちゃあるけど。新作っぽい知らんやつも意外とある」

なんて絵本を見ながら話をしているが……いや、普通に会話しとるけど。
話それまくっとるし、そもそもなんでこういう状態になっとんねん。
俺もあまりの懐かしさに参加してしもうたけど。
この人らこのままおったらここで音読会とか始めるわ。子供の奴なのにただでさえでかいのがおるのも迷惑やろし。
そう思って「あんまここ長居すんのよくなくないっすか?」と言えば。
各々納得したように絵本を見るのをやめて移動を試みる。

「そうや、そもそも赤本買いに来たんや」

「あ、そゆこと。じゃ、自分全然ちゃうんで。乙でした」

「おお、またなって、早っ。もうおらんやんか」

「じゃ、俺も自分の取ってきます」

「2年組っちゅーのはなんでこうもドライなんや……」

絵本コーナーから離れた直後。
先輩たちはようやく目的を思い出したようで、それを聞いたミトも勉強関連やし1mmも興味がなかったのだろう。
一瞬で姿を消した、スピスタ顔負けちゃうの。
そんな冗談が思いつくも口には出さず、俺も自身の目的である雑誌を探しに行こうと先輩らから離れる。
お目当てのものは一瞬で見つかるやろし、手に取ったら先輩らに付き合うとして。

なんて思えば、その音楽雑誌のコーナーの近くにミトがいて。
いや方面同じかい、なんて思いつつわかれたばかりの気まずさがあってそのまま素通りしようとする。
が、ミトの方はそんなことなかったらしく「ちょい財前財前」と先ほどよりさらに小声で話しかけてくる。
せやからお前めんどいねん、学校のどうでもええ話で十分やろ。
今日もそういえば『赤ちゃんのほっぺってええよな』ってどうでもええ話しよったけど、あの話題そういう理由かい。

「なんっで小石川パイセンワイのこと認識しとるん???」

「俺に言われても」

「っかあーー! 他の人ならまだしも小石川パイセンにだけは認識されたなかった!」

「お前……部長だけやなく先輩もか……」

「いや違う、あのイケメンはどうでもよくて、パイセンはただ憧れてるだけ」

「はあ??」

「小春先輩たちと同じで密かに憧れあんねん! せやけど認識されたくはなかった!!」

「マジで意味が分からん」

「ひっそり人知れず応援しとんねん!!! 乙女心わからんやっちゃな!!!」

いや、乙女心も何も、お前の気持ちは知らん言うとんねん。てかパイセン言うとるのホンマに憧れうんぬんあるんか。
え、まさかと思うけどこいつ恋愛的な意味で先輩のこと好きや言いよる……?
確かにあのメンツの中じゃ割とまともな方やと思うけど……ってちゃうちゃう。
そうやのうて、ミトが考えることなんて今まで1mmも理解したことないっちゅーことやから。
というか少なくとも、そういう訳ちゃうけど俺と仲いいて認識されとる以上は認識されんとか無理な話や。

部活でも定期的に話題に出るようになったし、なんなら顔認知されて見かけたら声かける? みたいな雰囲気出とるし。
謙也さんはいつもの事なんかガンガン話しかけ行くし、部長が嫌いて宣言しとるわけやし。
金太郎や千歳先輩とも仲がええ、テニス部レギュラー陣の半分は知り合いやっちゅーのに。
正直マジでミトが何言いたいかわからんわ。さっきの小石川先輩の仲良うなりたいみたいなニュアンスのも意味わからんけど。
だんだん意味わからなさ過ぎて腹が立ってきた。

「小春先輩はミーハーな感じで好きやねん! ファンサもらいたいくらいやけど……! 小石川パイセンはちゃうやん! イベントとかは覗き行かんけど表紙飾った雑誌とかあったらしれっと買いたいねん!!」

「ほな、お疲れ」

「薄情モン……!! お前のせいやぞ財前……!!!」

「勝手に人のせいにすな。自分の行動振り返れ」

「ぐううう……!!!」と奇妙な唸り声をあげるミト。
その手にはバドミントンをしている写真が映えて映っている表紙の本が握られていて。
テニスマガジンと同じやつのバド版やろか? と一瞬思うもこれ以上こいつの傍にいたらさらに絡まれる。
さっさと逃げるに限りますわ、とミトをその場において退散し。
謙也さんや小石川先輩たちがいるところへと戻ってきた。

「おお、戻ってきた」

「今ちょうど謙也とミトさんの出会いの話を聞いとってな」

「マジで興味ないっす」

「ほんまに生意気やっちゅー話や!」

「いや、もうミト成分多すぎていらん。過剰摂取は体に毒や」

「まあまあ、ええから聞いてけ? それに、アイツの口がとにかく悪いってだけの話やねん」

「じゃあこれで終わりっすね」

「おーい、まとめるなまとめるな」

以前ミトがすっ転んだ時に謙也さんが治療したとかなんとか言いよったやろ……
ただでさえ今日はミトと絡む機会多かったんや、最近ですら増えてきてだるいのに、もうええわとため息をつくが。
話をやめる気はないらしく、謙也さんが口を開いてミトとの出会いの話を始める。
小石川先輩も何故か聞く気満々やし……マジでなんなん今日。
もう先帰ったろか……と思いながら、仕方ないので本を見ながら、しぶしぶ隣に立つのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「あえっ」

「えっ」

目の前で女子が転んだ。
びっくりしてその女子に負けんくらいの変な声出た。
やたらでかい、見覚えのある鞄を持ったその女子は。
転んだまま、ピクリとも動かない。

「おお、お、おい! だ、だ、大丈夫か!?」

「だいじょばん」

「おお、おお……そうか……って自分! 鼻血! 大丈夫ちゃうやんけ!?」

――――冬の北風が走り抜ける季節、商店街、馴染みのある店が立ち並ぶ中で。
たまには買い食いでもして帰ったろー、あったかいもんと言えば……と美味しそうな匂いのするお店を物色していたら。
急いでいたのか、ダッシュで向こうから走ってくる人影。
俺ほどちゃうけどなかなかスピードある――なんて考えたのも束の間、急に視界から消えてすっ転ぶ。
慌てて駆け寄ったけどよく見ればうちの制服、しかも女子で。

やたらでかい、体に不釣り合いの鞄は自分自身もよう使っとるラケットバック。
それに下敷きになるように派手に転んだ彼女に、お店の人らも店先に出て来て。
怪我の様子を見るなり慌てて店の奥に引っ込んだり、椅子とかを持ってきてくれる人もおる。
その様子に「すんません元気です、だいじょばんです」なんて受け答えをしよるけど。
寒い季節なのに肌が出ている膝の擦り傷に、顔面から行ったのか明らかに出ている鼻血、すぐに立ち上がってどうこうできるもんじゃない。

さすがに放置できひんわ、と自分の鞄からティッシュを取り出し差し出せば。
「すんません、ありがとうございます」と大人しく受け取り鼻を抑える彼女。
冷静そうにしているが、内心恥ずかしゅうてたまらんやろな……なんて他人事に考えたとき。
彼女の顔を見て、一つの考えが頭の中にパッと浮かぶ。
そうや、なんかどっかで見たことある思うたら。確か財前と同じクラスの仲のいい――

「あの噂の二年生やん」

「え、噂? ……噂てもしかして」

「あの、彼氏に手を出したとかなんとか」

「あんの性悪根腐れドブスいつか絶対どついたる」

「いや口わっる」

思わず口に出した言葉、俺も言葉に出したんは悪かったけど、めちゃくちゃ強めの口の悪い返答。
例の悪い噂があちこちから聞こえてくる1年生やん、と口から出てしまったが。
そんなことはお構いなし、とにかく鼻血が止まらず服につかないよう必死に俺の渡したティッシュでふき取っている。
……財前のこともあるし、変に首突っ込むのも良くはないけど。
さすがにこんまま放置もできひんわ! と、同級生の親がお店をやっている、小さいころから知っとる親父さんに声をかけ。
店の奥の休憩スペースと救急箱を借りて、彼女の膝の傷の手当てを施すことにした。

「……なんか、すんません。手間かけさせて」

「さすがにあんな目の前で、派手に転ばれたらほっとけんやろ。染みるで」

「私強いんでだいじょうばん痛たたためっちゃ染みる」

「言うたやんか……自分、テニスでもやるん?」

「え、ちゃうよ? テニスやのうて、バドミントン」

「あー、それでか。ラケバなんにテニス部おった記憶なかったんか」

「あ、そうか。先輩テニス部のレギュラーさんか。財前の先輩の」

「おーおー、忍足 謙也言うさかい。自分は?」

「ミト言います。財前がたまに言う謙也さんて、先輩のことやったっすか」

そのまま会話をポンポンと投げ合えば。
なんとなく、ミトっちゅー人間の人物像が理解できてきて。
話を聞いとるうちに、男好きとか遊びまくっとるとか、そういうの聞いとったけどそんな感じなくないか? と思い切って話を聞けば。
また「あんのアバズレクソ女マジで許さん」と口から罵倒の言葉が出てきて、興奮したのか鼻血がティッシュの下から垂れ始める。
どうどうどう! と落ち着かせるために話を聞いてみれば、真実は全く逆の話で。

そもそも色恋沙汰に興味ないし、というか自分今年、いや去年のバド部団体戦入賞時のレギュラーっすよ? と。
そんなことしとる暇あらへんのにあのクソアマ……! 男好きお前やないかい! とキレ散らかしつつ。
それこそテニス部になんかイケメンいたでしょ、めっちゃモテる変態っぽいやつと一応モテる白石のことを散々言うて。
なんかアイツと話したせいかそれから二年の連中とずっと不仲で、三年が引退してからやたら避けられるようになって!
今日なんかついに違う集合場所教えられて慌てて戻ってきたんにすっ転ぶし! マジであのクソアマ絶対に許さん!!! と罵詈雑言の嵐である。

なんとまあお口の悪い、と思いつつもミトの言葉に少し同情する。
ついでにうちにおる今年のレギュラーになるであろう1年の財前のことを思い出し、なるほど気が合う訳やと一人納得する。
あいつも結構毒舌吐くからな……こんなキレ散らかした様子ちゃうけども……と膝の擦り傷だけでも手当てが終わり。
鼻血はどんなや、と様子を見るために顔を覗き込めば、その目元にはうっすらと涙がたまっていた。
その様子に思わず固まり、ど、どうしようとりあえずティッシュ、いやそれは今渡しとるやつで……! と一人アタフタすれば。
その様子が何故かツボに入ったらしい、急にミトが声を上げて笑う。

「あっはっはっは! なるほど、財前が楽しそうにしとる訳や!! っはは!」

「は、はあ? そないに笑ったら自分、また……! ほら! 鼻血!!」

「うはははははは、っはは、はー……あー、おもろ」

「何がやねん、頭打ったんか」

「多分打っとるけど打ったままでええわ。あんがと、謙也さん」

「お、おん? まあ、さすがにそんままは夢見悪なるからな! せやけど、次回からは気ぃつけや?」

「はーい、ホンマに助かりましたわ。おっちゃーん! 肉まん2個ちょーだい!」

急に声を上げたミトに、店の方から店主のおっちゃんが顔を出す。
「止まっとらんやないか」と笑いながら、それでもティッシュの箱と一緒に店先の肉まんを2個お盆に乗せて持ってきた。
ほいお金、と支払いをし、その持ってきてくれたティッシュを2、3枚取ると思い切り鼻を噛んだ。
アホ、そんなんしたら止まるもんも止まらんわ! と文句を言うが、それは無視したのかお盆を手にとりこちらに差し出した。
「やって貰ったのと、話聞いてくれたお礼っす」と言うので、後輩に奢られるのは……と思いつつも。
それに対して自分の腹が返事をしたので、今回ばかりはと遠慮せずにそれを受け取った。

「ま、これも何かの縁ちゅーことで。財前共々よろしくお願いしますわ」

「お前は財前のオカンか! その感じで財前と仲ええのなんか意外やわ……」

「仲は普通くらいなんちゃいます? 別に会話くらいはしたってもええか、くらいにしかアイツ思ってないっすよ」

「想像つくわ……ミトもそれでええんか……」

「それでおもろいんで! はー、でもホンマにありがとうございました。おかげで色々スッキリしたわ」

「当たり前のことをしたっちゅーだけの話や! ま、噂も簡単に信じるモンちゃうて学べたし。しかし誤解されとる今はどうにかならんもんか……」

「あ、えっすよそれそのままで。ワイんがバド上手いんで実力で黙らせる」

「お前めちゃくちゃ好戦的やんか……」

喧嘩売ったの向こうなんで……と転んだ時から一変、鼻血が出ていなければそれなりに可愛く見えたかもしれん顔で笑う。
最初転んだ時、あれ実は落ち込んどるんやったんか……と今更ながらに気づいたものの、元気が出たなら良かったわ、とミトの言葉に耳を傾け。
その噂の件は気にせんで、そのうち静まるからと箝口令を敷かれ。
本人がそう言うなら、せやけど俺は普通に接してええか? と取引のように約束をし。
意外な所で面白い縁が結ばれた……っちゅー話や。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「まあ、後々話聞いたら、そのスッキリした言う話、部活辞めるて決意したタイミングやったらしいんやけどな」

「それが進級早々に流れまくった噂の真相っちゅーわけか……てか普通に仲ええやん」

「まあ……ミトやしなあ……白石も巻き込まれたんは気の毒やけど、あれがなければ多分普通に話しよったやろうに」

「せやけど……部活辞めたら大会出れんくないか? 一泡吹かせるにしても、場所があらへんやろ」

「ああ……それは何か言いよったけど……あれ? 財前は?」

「あれ? ホンマや、いつの間に……あ、メール」

「え? 『話長いんで先帰ります』……アイツ……ホンマに……」

「案外ミトさんと帰っとったりして」

「多分ミト的に無いと思う、ほら」

「あれ、まだおる。ちゅーか財前は?」

「先帰ったで」

「話長い言うてな」

「まあ謙也さんおったらそら長い……バド行くんで失礼します!!!」

「そんな焦らんでもバドは逃げへんやろーミト? もうちょい俺らと遊んで行かんか?」

「これで噂再熱したら謙也さんのせいやわ!!! オッサンみたいな誘い方しやがって!!!」
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